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桑田笹舟 「四季の歌」
印刷用ページを表示する 掲載日:2020年5月8日更新
この作品は、春夏秋冬の和歌を一首ずつ書いた四曲一隻屏風の右から二点目のもので、大伴書持が詠んだ万葉集の秋の歌「足引の 山のもみぢば 今夜もか 浮かび行くらむ 山川の瀬に」が書かれています。
昭和30年代までの関西のかな書壇では、帖や巻子の小字かなが主流でした。しかし美術館などがだんだんと整備され、展示壁面の大きな空間にも耐えうる会場芸術としてのかながあってもよいのではと、「大字かな運動」が起こりました。その中核となった「七人の侍」の1人が桑田笹舟です。
紙に筆をねじ込むような強い線で書かれ、漢字作品を思わせる緊張感と厳しさを感じさせながら、墨の潤渇と周囲の余白が絶妙に絡み合い、落ち着きも演出しています。
古筆・料紙の研究の第1人者であるとともに、大字かなの面でも書壇をリードしていった笹舟の世界が凝縮された大作だといえます。
(ふくやま書道美術館 特別展『生誕120年 桑田笹舟展』にて7月26日(日曜日)まで展示します。【※5月11日まで休館中】)
桑田笹舟「四季の歌」(一部)
ふくやま書道美術館 Tel:084-925-9222