福山ローザリアンクラブの物語

福山ローザリアンクラブの物語

福山をばらが咲き誇るまちに

福山ローザリアンクラブの物語

福山は「ばらのまち」
その名のとおり、市街地の中心部にあるばら公園をはじめ、
市内の多くの広場や花壇に、美しいばらが植えられている。
5月には福山市最大のイベント「福山ばら祭」が開催される。
日常の中でばらに因んだものを見かけることができる。
そんな「ばらのまち」の一翼を担う、福山ローザリアンクラブ。
ばらを深く愛する人たちにより運営され、
ばらづくりのノウハウを伝え、ばらに関することには、何でも応えてくれる。
会長は50年近く、ここ福山でばらに携わってきた、土井静雄さん。
訥々(とつとつ)とした口調の中に、ばらへの愛が匂い立つ、
福山ローザリアンクラブの物語

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戦火、復興、そして今

福山のばらづくりとともに

福山市は戦時中、空襲で市街地の多くを失った。
戦後、荒廃した街に希望を与え、人びとの心に和らぎと潤いを取り戻そうと、
公園にばらが植えられた。
1950年代(昭和30年代)に始まったばらのまちづくりは、
平和への願いとともに、今日まで営々と受け継がれている。
今では、ばらは福山の代名詞となった。
土井さんの父は、1950年代(昭和30年代)から
福山でばらづくりを始めた先覚者のひとりだった。
小学校の頃から父の手伝いをしていた土井さん。
1967年(昭和42年)、23歳のときにばらづくりを始めた。
以来、50年近くにわたりばらに変わらぬ愛情を注ぎ続けている。
実直に、真摯に、ばらに、自らの人生を捧げ
それが、土井さんという人の生き方。

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愛することが原動力

福山ローザリアンクラブは、今日も

福山ローザリアンクラブは設立して10年。
ばらを本当に好きな人たち、
ばらづくりのためならどこへでも出かけて行く。
そんな人たちが集まってつくった団体。
地域のばら花壇の手入れに出かけ、
ばらを育てて配り、市民にばらづくりを指導するなど、
精力的な活動を展開している。
会長の土井さんも、自身の仕事の合間を縫い、
年間を通じて毎週のように指導に出かける。
「もちろんボランティアです。好きなんですねえ、結局。」
そう言いながら、自分で接ぎ木した苗に視線を注ぐ。
土井さんの背中に、ばらへの愛が、優しくにじみ出ている。

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ローズマインドを育む

ばらづくりへ、願いを込めて

「ばらのまち福山」の歩みの中で誕生し、根付いたひとつの言葉、
「ローズマインド」 それは、「思いやり、優しさ、助け合いの心」を表す。
この言葉を、土井さんは、とても大切にする。
「花はものを言わんのですが、愛情を持って世話をしてやると、必ず応えてくれる。」
ばらは、愛情を注げば、その分だけ、美しい姿を見せてくれる。お返しに大きな喜びを、人びとにプレゼントしてくれる。
そんな贈り物を市民みんなで共有すれば、思いやりや優しい気持ちを育むことができる。
そんな信念を、土井さんの言葉から、力強く感じる。
「たとえば町内の花壇で協力してばらを植えたり、水やりをしたり、剪定したりする。
すると、そこはコミュニケーションや癒しの場にもなる。」
さらに土井さんの想いは、福山の子どもたちにまで及ぶ。
「今、学校でも実際にばらを植えています。ばらの世話を通じて、
子どもたちも自然に、ローズマインドを身につけてくれたらいいなと思っています。」
福山の市民や、次代を担う子どもたちへ、土井さんたち福山ローザリアンクラブの方々は、
そんな実直な行動で、ローズマインドを伝え続けている。

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「100万本のばら」の実現に向けて

「ばらのまち福山」への想い、雄大

福山市では、市制施行100周年の
「100万本のばらのまち福山」の実現に向けた機運が盛りあがっている。
その実現に向け、土井さんは大きな使命感を抱く。半世紀を超える長い歳月を経て到達する100万本。
市民一人ひとりがローズマインドを持つ。その象徴としての、100万本。
そこには、並々ならぬ意義がある。土井さんは日々、孜々(しし)としてばらづくりにいそしみ、
市民への指導や普及に奔走する。
それは、ばらへの純粋な愛情を第一の理由としながらも「100万本のばら」という目標の大きさだろう。
市民がばらに平和への願いを託し、歩み続けてきた半世紀を超える長い歳月。
父の代から想いを傾けてきた、ばらへの、ふるさと福山への
土井さんの想いは熱く、そして、雄大-。

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100万本、その実現に夢をのせ

ばら色に輝く、福山の未来のために

2014年(平成26年)3月末現在、市内のばらの本数は約85万本。
市制施行100周年を迎える2016年度(平成28年度)に
「100万本のばらのまち 福山」の実現。
この大きな目標に対し、土井さんは、訥々と、しかし力を込めて、こう語る。
「これは是非とも、実現させたい。福山のばらには長い歴史があり、
それだけに、『100万本』にかける我々の想いも別格です。
その実現のためにも、地域の皆さんの花壇にもどんどん出かけていって、
ばらづくりの指導を喜んでやりたい。」
ずらりと並んだばら苗を見やりながら、そう語る土井さんの顔には、
ばらへの深い想い入れと愛情が溢れている。
「100万本のばらのまち」の実現に向け、
土井さんと福山ローザリアンクラブの歩みは、これからも営々と続いていく。
ばらが咲き誇り、思いやり・優しさ・助け合いの心に満ちた、
福山の豊かな明日をめざして