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救命救急センター入院患者における精神科診断と治療介入

救命救急センタ-における精神科の活動

 自殺者が2万人を超える状況が続いていることが大きな社会問題となっていますが、救命センターには自殺を図った患者さんが多く搬送されてきます。自殺未遂者は自殺死亡者の10倍に上るといわれることもあり、重篤な身体症状の患者の多くは各地の救命救急センターに搬入されます。
自殺企図者はうつ病、適応障害、統合失調症やアルコール依存症、パーソナリティー障害その他、様々な精神疾患を有することが多いことが分かっています。精神科ではこれらの患者さんの精神科面接を行い、精神科診断及び当院入院中の精神科治療を行い、退院後の精神科治療方針を相談し、必要な場合には精神科専門医療への転院の調整などを行っています。また、ご家族の不安や精神的負担が大きいため、患者さんの意識が回復しない状況においてもご家族との面接を行う場合もあります。

 当院救命救急センタ―には、ドクターヘリによって広域(西は三原や愛媛県、東は笠岡、北は広島県北部)から多発外傷患者さんが搬入されます。叉、当院の立地が山陽自動車道、福山東インターチェンジに隣接しており、インターチェンジから一般道に下りずに直接救命センターに搬入するルートを持つなどの特長もあり、高速道路事故で発生した交通外傷も多く搬入されます。これら高エネルギー外傷では多臓器にダメージがあることのみならず、頭部の外傷も頻度が高く、救命後に精神症状を発症することもあります。また、頭部外傷の無い場合でも、PTSD(外傷後ストレス障害)や急性ストレス反応などのストレス障害が出やすく、これらの早期介入や本格的な病状に発展することを予防する手当てを行うなどの工夫も大切です。

 救命救急センターには救急科医、看護師、臨床工学技師など多くの職種が常に緊張を強いられる勤務をこなしています。彼らのメンタルヘルスの悪化・燃えつきを防ぐことは、当院の救命センターの機能維持のために重要なことです。そのために精神科が出来ることを模索しながら救命センター業務を行うように心掛けています。

その他の急性期病棟に入院されている患者さんに合併する精神科疾患の治療

 急性期病院には各科に重篤な疾患を抱えた患者さんが入院されています。重篤な身体疾患を病むことで心の面でも不調を招きやすいことは容易に想像できますが、各病棟で最もしばしば遭遇する精神科疾患のひとつは、せん妄です。「風邪(など身体疾患なら何でも)を引きながら数日は家で様子を見ていたおじいちゃんが、肺炎で入院したその日または数日後から夜間を中心に興奮し、幻覚や妄想を体験して安静に出来ない状態のため病棟から家族に連絡があり、家族が付き添いで大変な思いをした。しかし肺炎が治って来れば興奮は治まり、自宅に退院すると元のしっかりとしたおじいちゃんに戻った。」という類のエピソードを聞かれたことはありませんか?その患者さんに認知症があってもなくても上記のような状態は起こり得ます。この状態は医学的にはせん妄と診断できます。せん妄は実は心の不調ではありません。これは、軽度から中等度の意識障害に興奮が加わったある種の「寝ぼけ」であり、身体疾患と環境の変化(入院)という2つの要因で発症することが多いもので、簡単に言えば、体の不調によって大脳機能の低下が生じている状態です。夜に寝ないで興奮するのですが、睡眠薬を使用すると余計にせん妄が悪化する事が多いため、治療にはせん妄に有効な薬剤をご家族と相談しながら使用し、身体的治療がスムーズに進むようにサポートを行っています。身体疾患に伴う心の不調としてはその他に適応障害やうつ病があります。これらの不調によって患者さんの治療・リハビリが思うように進まないことも時にありますので、精神科医や臨床心理士が身体治療と同時にお手伝いさせていただくことがあります。


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