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菅茶山詩碑めぐり 神辺町外

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年4月10日更新

神辺町外

広島県福山市駅家町 福盛寺 「柏谷途中」

広島県福山市駅家町 福盛寺 「柏谷途中」

「柏谷途中」

乱石崩沙路不分 松杉風外午■聞
昇平四海無閑地 墾破窮山幾畳雲

 乱石崩沙 路分たず
 松杉風外 午■聞こゆ
 昇平四海 閑地無く
 墾破す窮山 幾畳の雲

  • 柏谷…駅家町大坊から新市町下安井へ越えるところ、新市町網引柏
  • 乱石崩沙…花崗岩の風化した山肌
  • 昇平四海…昇平(太平)四海(天下)
  • 窮山…頂上

【大意】

石がごろごろ、砂がいっぱいで道がどこやら分からぬ。松や杉の林の向こうから風にのって午の■の声が聞こえてくる。国中が太平で閑地を残さず開発が進められ、こんな山間僻地でさえ、山の頂まで墾きつくされている。

【出展】

『黄葉夕陽村舎詩』前編2-13所収

広島県福山市沼隈町 内海大橋下 「梔子湾」

広島県福山市沼隈町 内海大橋下 「梔子湾」

「梔子湾」

荒山何処旧行宮 島寺沙村煙靄中
一去龍舟春幾度 紫藤花落暮湾風

 荒山何れの処ぞ旧行宮
 島寺沙村けむる靄(もや)の中
 一たび龍舟去って春幾度
 紫藤花は落つ暮湾の風

  • 梔子湾…福山市沼隈町の阿武兎観音の西奥
  • 龍舟…天皇の御召船(神武天皇)

 【大意】

荒山のどこらにもとの行宮があったのか、砂浜のつづく村の高処に寺が、もやにけぶっている。一たび御召船が去って幾度春がめぐってきたか。紫色の藤の花は既に落ちて、暮れなずむ入海に昔ながらの風は吹いてやまない。

【出展】

『黄葉夕陽村舎詩』前編5-19所収

 広島県府中市出口町 「荒谷即事」

広島県府中市出口町 「荒谷即事」

「荒谷即事」

野歩追帰鳥 遥窮澗水源
当峯雲欲宿 迎客石将言
■上逢孤犢 林梢忽一村
敲詩安未得 環坐老松根

 野歩帰鳥を追い
 遥かに澗水の源をきわむ
 峯に当りて雲宿せんと欲し
 客を迎えて石将(まさ)に言わんとす
 ■上(いじょう)孤犢(ことく)に逢い
 林梢忽(たちま)ち一村
 詩を敲して安まることいまだ得ず
 環坐す老松の根(もと)

  •  孤犢…子牛

【大意】

野山を歩きながら巣に帰る鳥を追い、遠く小川の源までいった。雲が山の頂上に当りそのまま動こうとはしない。石は久しぶりの通行者となにか話したがっている。土橋で道に迷った子牛と出会い、林の梢の向こうには村が広がっていた。同道者と老松の根元にぐるっと座って、ゆっくりつくろう。詩を推敲するができずに心がやすまらない。

【出展】

『黄葉夕陽村舎詩』前編4-2所収

  広島県三原市沼田東町 米山寺 「米山寺拝謁小早川中納言肖像」

広島県三原市沼田東町 米山寺 「米山寺拝謁小早川中納言肖像」

「米山寺拝謁小早川中納言肖像」

一戦奇功仝列屯 想君軍隊立伝■
画中冠帯英風在 馬上光陰華髪繁
先覩無愆援覇主 予防有計保宗藩
当時諸将争驍勇 興学誰知文徳尊

 一戦奇功 列屯を全す
 想う君の軍隊は 立(とどま)りて■(そん)を伝へしを
 画中の冠帯 英風在り
 馬上の光陰 華髪繁し
 先覩(せんと)愆(あやま)り無く 覇主を授け
 予防計有り 宗藩を保つ
 当時の諸将 驍勇(きゅうゆう)を争う
 興学 誰か文徳の尊きを知らん

【大意】

一戦(文禄の役)の策略は一団となって任務をまっとうした。君(小早川隆景)はひとり隊を立ち小飯の時を告げる。画中の冠と帯には立派な徳がみなぎり、戦場での歳月によって頭には白髪が増えている。
 隆景公を覇主としたことに過ちはなかっただろう。その予防策によって毛利の藩をまもったのだから。当時の多くの武将らは勇猛であることを競ったが、学校を興し学問による徳の尊さに誰か気づかなかったものか。残念なことである。

【出展】

『黄葉夕陽村舎詩』前編3-17所収

広島県尾道市 千光寺山公園 「始登鼕鼕石呈同遊諸友 石在千光寺南」

広島県尾道市 千光寺山公園 「始登鼕鼕石呈同遊諸友 石在千光寺南」

「始登鼕鼕石呈同遊諸友 石在千光寺南」

鳴榔漸遠夕陽沈 水波始恬山影深
山皆珍松雑奇石 人撫龍鱗躡虎額
此石鼕鼕踏有声

 鳴榔(めいろう)漸(ようや)く遠ざかり夕陽沈む
 水波始めて恬(しず)かに山影深し
 山皆珍松奇石を雑(まじ)ふ
 人龍鱗を撫して虎額を躡む
 此の石鼕鼕(とうとう)として踏めば声有り

  • 龍鱗…松
  • 虎額…石
  • 鼕鼕…つづみの声
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