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そのほか

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年4月10日更新

「黄葉夕陽村舎詩」

「黄葉夕陽村舎詩」全13冊 茶山が生涯に詠んだ漢詩は数千にもおよび、そのうちの2,413首を集めた詩集『黄葉夕陽村舎詩(こうようせきようそんしゃし)』全13冊(前編5冊・後編4冊・遺稿4冊)は、当時のベストセラーになり多くの人に親しまれました。30代から80歳で亡くなるまでに作られた詩が、ほぼ年代順に集められています。内容は、当時の神辺の風景や人々の日常生活、多くの人々との交友、紀行などさまざまです。
 当時の出版物は自費出版がほとんどでしたが、『黄葉夕陽村舎詩』は「銭一文もいらず本仕立は望次第」とお金は必要なく、仕立ても構成も茶山の望み次第というものでした。このように茶山の詩がいかに高い評価を受けていたかがうかがえます。 

「筆のすさび」

「筆のすさび」版本 茶山は旅先で出会った人や、廉塾に訪れた多くの人から聞いた愉快な話や心に残った話を、ユーモアたっぷりにまとめた随筆を数多く残しています。それらは茶山の没後の1856(安政3)年、弟子たちによって『筆のすさび』として刊行されベストセラーになりました。その内容は「月食」「雷がヘソを取る事」「熊が茄子を嫌う事」「性悪説」などさまざまです。
 また2003年には、これらを現代語訳した『現代文 菅茶山翁「筆のすさび」』が菅茶山顕彰会(現代語訳註委員会)から刊行されました。 

「菅茶山の墓」

菅茶山の墓  1827(文政10)年8月13日、菅茶山は80歳で病没し、川北村(現在の福山市神辺町川北)の網付谷(あみづけたに)に葬られました。
 墓所は、南北に長い長方形で約35坪(115.5平方メートル)、27基の墓と、2基の招魂碑があります。ほとんどが茶山親族のものですが、塾生の墓も2基あります。茶山の墳墓と墓碑は、石製の垣に囲まれ、木造平屋建瓦葺の屋舎に守られ、東側の前面には門があり、さらにその前には2基の石灯ろうがあります。墓碑は養嗣子の菅三郎によって建立され、その碑文は頼杏坪(らい きょうへい)が撰しています。
 「菅茶山の墓」は1940(昭和15)年2月27日に広島県史跡に指定されています。
養嗣子…家督相続人となる養子のこと

 漢詩について

 「漢詩」とは、漢字だけでつくられた詩です。一句(いっく)を四言(よんごん)・五言(ごごん)・七言(しちごん)として、絶句(ぜっく)・律詩(りっし)・古詩(こし)などの種類があります。押韻(おういん)や平仄(ひょうそく)といった規則があり、自分で漢詩を作るためには、たくさんの知識と見聞が必要でした。茶山は「廉塾規約」のなかで、「むやみに詩を作るのではなく、読書を第一とすること」「詩は読書をせずに作ることはできない」と、読書の大切さを教えています。

  • 絶句…唐代に完成した起承転結の四句からなる漢詩
  • 律詩…唐代に完成した八句からなる漢詩で、五言律と七言律とがある
  • 古詩…絶句・律詩より以前のもので、韻を踏むだけで平仄や句数などに制限のない漢詩
  • 押韻…同一または類似の音韻をもった語を一定の箇所に用いること
  • 平仄…唐代以降の近代詩における平声字と仄声字の規則的配列

 画賛について

 画賛とは、山水画や禅画などの画中の余白に書き添えた詩や文章のことをいいます。
 茶山は多くの文人の画中に詩文を書き添えています。茶山の詩集「黄葉夕陽村舎詩(こうようせきようそんしゃし)」2,413首のうちおよそ400首ほどの詩も、この画賛によるものと思われます。それらは、茶山が旅先や廉塾で多くの文人と交友があったことをしめしています。

頼家との交流

  菅茶山の詩集『黄葉夕陽村舎詩(こうようせきようそんしゃし)』には、茶山と交わった人々を詠んだ詩が多く存在します。その中でも頼家の人々は、頼春水(らい しゅんすい)が28首、頼春風(らい しゅんぷう)8首、頼杏坪(らい きょうへい)16首、頼山陽(らい さんよう)15首とその数の多さや、詩の内容からも交友の深さが窺(うかが)えます。春水の詩集『春水遺稿』は1828(文政11)年、山陽が杏坪の助言を得て編集・校訂しましたが、巻頭には茶山の序文があります。また、竹原にある春風の墓碑は茶山の撰(せん)であり、茶山の墓碑は杏坪の撰によるものです。

  • 校訂…古典の本文を一般の読者が理解しやすい形にして提供すること
  • 撰…詩文を作ること

四書・五経について

 「四書」

 「大学(だいがく)」「中庸(ちゅうよう)」「論語(ろんご)」「孟子(もうし)」のこと。

  • 大学… 中国戦国時代の思想書。「礼記」中にある。治者の倫理、道徳を説く。
  • 中庸… 中国戦国時代の思想書。「礼記」中にある。天人合一を説き、物事の調和の修養法を述べる。
  • 論語… 孔子没後、門人によって著された孔子の言行録。処世の道理、国家・社会的倫理に関する教訓・政治論、門人の孔子観など。
  • 孟子… 中国戦国時代の思想家。孟子の言行や思想を記す。

 「五経」

「易経(えききょう)」「詩経(しきょう)」「書経(しょきょう)」「礼記(らいき)」「春秋(しゅんじゅう)」のこと。儒教の経典として尊重される五つの経書。

  • 易経… 孔子の集大成とされるが未詳。天文・地理・物象・人事を陰陽変化の原理によって説いた書。元来占いに用いられた。
  • 詩経… 中国最古の詩集。孔子の編といわれる。
  • 書経… 尭舜から秦の穆公に至る政治史・政教を記した中国最古の経典。
  • 礼記… 周末から秦・漢時代の儒者の古礼に関する説を集めた書。
  • 春秋… 孔子が魯国の記録を筆削(添削)したという史書。
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