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≪インタビュー企画≫福山の旬を、福山で味わうという贅沢

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年7月31日更新

 長生きしたければ旬のものを食べなさいといった先人の知恵にもあるように、旬のものには体や心を豊かにしてくれる力があります。しかもそれが地のものだとしたら、こんな贅沢なことはないのではないでしょうか。今まさに福山の特産品の一つ、ぶどうが旬を迎えようとしています。今回は、沼隈町果樹園芸組合組合長横井昌登さんにお話を伺いました。

沼隈町果樹園芸組合組合長 横井昌登さん 
▲沼隈町果樹園芸組合組合長 横井昌登さん

―沼隈で栽培されたぶどうは、なぜこんなにおいしいのでしょう?―

 ぶどうは降水量が少ないほどおいしく育ちます。この辺りは雨の少ない瀬戸内の中でも、特に雨が少ないんです。さらに、土は花こう岩が風化したもの。もともと土壌自体がぶどう栽培に適しているんです。

―見わたすかぎりぶどう畑。ここまで整備された畑は珍しいのでは?―

 ここは昔、松茸がたくさん採れる松林だったんです。その山を切り開いて、段々畑のように整備しましたが、そこでの作業は大変でした。当時は日本経済が急成長している時期。このまま大変な作業が続けば農家みんな廃園になるという不安もあり、平成元年から10年の年月をかけ、作業がしづらい段々畑を平坦かつ広大な畑に再開発したんです。これにより機械や施設の共同化が実現し、省力化が図られるようになりました。また、年間10アール当たり2トン以上もの有機堆肥を畑に与えられるようになったんです。それもおいしさの秘密。

碁盤のように整備された畑碁盤のように整備された畑

▲碁盤のように整備された畑

―あらゆる農作物の中でも特に栽培が大変だといわれるぶどう。
  ご苦労も多いのでは?―

 確かに、ぶどうは手がかかりますね。一番手がかかるからぶどうをつくる人は少ないんですわ(笑)。けど、長年やっていると苦労を苦労と思わんようになりました。ぶどうの栽培だけでなく、何事も常に前向きに考えるようにしています。野菜は春に植えて3か月で収穫して、また植えてとできますが、ぶどうは野菜と違って、1年に1回しか収穫できませんからね。毎年毎年、よりおいしいぶどうがつくれるよう努力しています。ほかの栽培地域を見に行ったりして勉強もしましたね。ひとつ一つ問題を解決しながらやってきたんです。それがぶどうをつくる喜びにもつながっています。

―作業で一番難しいことはなんですか?―

 りんごなどの果物を栽培する場合、一般的にその枝は自然に伸ばしていきますが、ぶどうはすべての枝を成長の途中で調整する必要があるんです。何メートル伸ばすかというのは品種によっても違います。いい枝を残して悪い枝を摘んでいく。その作業は経験と感覚です。あと、種なしをうたっているぶどうに関しては、種なしにするためのジベレリン処理です。

―種なしぶどうって、どうやってつくられるのでしょう?謎です。―

 植物は、おしべとめしべがくっつくと種ができますよね。たとえばスイカなどはめしべとおしべを別々で持っているんですが、ぶどうは両方持っているんです。だから、ぶどうは自分自身で種をつくることができる。花が咲くときに受粉するんですが、花が咲くタイミングでジベレリン液をつけるんです。そうすることで種なしぶどうができるんです。コップくらいの大きさの容器にジベレリン液を入れてひとつ一つすべて手作業ですよ。その作業は品種によってタイミングが違います。ニュー・ベリーAの場合、受粉した後にやるとダメ。受粉する前にやらないと種なしはできません。それにも経験が必要です。種なしといって売っている以上、種があってはいけませんからね。一番気を使っています。

洞爺湖サミットでも振る舞われた
▲沼隈のぶどうは2008年の北海道洞爺湖サミットでも振る舞われた

―ほかに大変な作業は?―

 その次に大変なのがぶどう房の整形。品種によって異なりますが、基本的に房の重さには商品として500g前後を目標に作るよう指導しています。整形しないで放っておくと30cm以上に成長してしまうんです。そうすると味が落ちるし、箱にも入らない。箱の中に4~5房入るようにするんです。それも毎年天候によって微妙に変わります。そのため年によって整形のタイミングが異ります。その作業もすべて長年の経験ですね。ぶどう畑の木の間隔もきっちり決まっています。昔はその範囲の中でもっといっぱい作っていましたが、より良いぶどうをつくるため、経験の中で量を減らし今に至っているんです。

  
沼隈のぶどう直売所

▲7月上旬~9月下旬まで選果場で直売も行っている

―ぶどうの木の寿命はどれくらいなのでしょう?―

 管理をしっかりすると長いですよ。一般的に15年~20年です。うまく手入れをしてやると30年は持ちますよ。おいしいぶどうを作ろうと思ったら20年くらいまでですね。

―ぶどうの栽培で一番大切にしていることは何ですか?―

 一番は消費者の方々に「やっぱり沼隈のはうまい」と思ってもらえるようなぶどうを毎年つくること。これに尽きます。そのための苦労は厭わないし、苦労と思いません。
 無農薬栽培というのが流行っていますが、無農薬でつくるのは梅雨のある日本では正直難しいです。特にぶどうの無農薬栽培は難しい。農薬の量や散布時期には、国の厳しい規制があるんです。沼隈の場合、組合全体で統一してその基準にそって栽培しており、出荷されるぶどうはすべて検査済み。だから沼隈のぶどうは安心・安全。そこには確かな自信を持っています。国の支援もあって、研修センターの計画もあるので、今後はさらに担い手の育成に力を入れていきたいと思っています。

―この時期、特にお薦めのぶどうは何ですか?―

 日本で最初に沼隈が種なし栽培に成功したニュー・ベリーAをはじめピオーネやシャインマスカットなどですね。ありがたいことに8月のお中元シーズンには沼隈の直売所にすごい行列ができます。今年もまたおいしいぶどうができました。ぜひ食べてください。

ニューベリーAピオーネシャインマスカット

  ▲ニュー・ベリーA(左)、ピオーネ(中央)、シャインマスカット(右)

―おいしいぶどうの見分け方があったら教えてください―

 新鮮なものを購入することですね。枝と房の間の果梗(かこう)が青く緑のものが新鮮な証拠です。食べ方としては、好みもありますが、やっぱり冷やして食べたほうがおいしい。沼隈のぶどうは生食専門です。有機肥料を使い、味で勝負しています。ぜひとも、採れたてを生で食べてほしいですね。

横井さん