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≪インタビュー企画≫ものづくりのまち福山の、伝統、技術、その底力

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年10月30日更新

  福山藩初代藩主水野勝成の奨励により、江戸時代から綿の栽培や製織、染色が盛んだった福山。江戸時代後期に生み出された「備後絣」は、日本三大絣の一つとして全国に知れ渡りました。

 それから160余年の時を経た現在、その技術により日本一のデニム産地として発展。世界の名だたる一流ブランドから高い評価と信頼を得るまでに成長しています。

 今回は広島県織物構造改善工業組合理事長でカイハラ株式会社会長、貝原良治さんにお話を伺いました。

 貝原良治さん
▲広島県織物構造改善工業組合理事長 貝原良治さん

―備後絣で培われた技術は、現在デニム製造のなかでどう生かされているのでしょう?―

  特に染色の工程です。絣を染めるのとデニムを染めるのとでは、染色方法がまた違うのですが、インディゴ(藍色の染料)に関してはどうしたらいい色が出るか長年の経験でわかっていますから。備後絣で築かれたその礎は大きいですね。

綿から糸に製紡している
▲綿から糸に製紡している

 染色された糸を織るために糊付けしている
▲染色された糸を織るために糊付けしている

 ―絣からデニムへの転換には大きな勇気も必要だったと思うのですが―

 織物産業全体が縮小していたというのが大きな理由ではありますが、やはりものづくりは時代のマーケットに合っていなくてはいけません。どんなにいいものをつくっても、時代に合っていなくては売れない。守ってきた技術を時代のニーズに合わせていこうと思ったら、デニムという選択肢になったわけです。そして、デニムをつくるとなると競合は世界。世界で戦おうと思ったとき、地元の伝統産業としてあった製織や染色の技術は大きな強みでした。

 ―そして実際、世界の一流ブランドから選ばれるまでになったわけですね―

 たとえば大量生産することを考えると、日本の場合、人件費や設備の問題もあって難しい。では何で勝負するかと考えたとき、私たちが追求したのは生地の上質感。これまで各ブランドの製品の生地として使われてはいても、その製造元の名前は公に出ないことも多かったのですが、最近では多くのブランドが製造元の名前を全面に出し、ダブルネームで販売してくれるようになりました。

 福山の生地は世界から高く評価されている
▲福山の生地は世界から高く評価されている

 ―世界最新鋭の技術を備えた工場も、すべては上質なデニムをつくるためなんですね―

 最初に工場をつくるとき、世界で一番進んだ工場をつくろうと思ったんです。まず、染色機を自分たちで設計するところからはじめました。今も50年以上前の織機を使って織っているんですよ。なかには20年以上つくりつづけているデニムもあれば、一方で新作として毎年1,000点ぐらいのデニムをつくっています。うちは一貫生産、それに染色機を自社で製造しているということも大きな特徴です。糸の外側だけを染めて芯を白く残すという技術などはやはり、ここ福山で昔から培われてきた染めの技術があったからこそ。ストレッチのデニムなど横や縦方向だけでなく全方向に伸びるような織りの技術もありますよ。

 織機でデニムを製織している
▲織機でデニムを製織している  

糸をインディゴ染めしている
▲糸をインディゴ染めしている
年間1,000種類もの生地がつくられる
▲年間1,000種類もの生地がつくられる

 ―福山のものづくりの底力ですね―

  けど、従来と同じことをやっていてはやっぱりダメなんです。伝統工芸品として売り出そうとしているようでは正直、厳しいと思います。常に新しいことをしていかないと残せないし、生かせない。そういう面で言えば、福山の織物組合というのはいい転換を果たしているのではないでしょうか。日本の人口は今後減っていく一方だということはわかっていることですからね。そういう意味でも、日本のマーケットだけでなく世界に向けて発信していかなくてはいけません。そして世界に発信していく上で、「J∞QUALITY※1」の認定を受けるように、伝統を継承しつつ新しいことにトライしていくことが大切ですね。でも、だからと言って「メードインジャパン=値段が高い」のが当然という甘えがまかり通ると思っていてはいけません。

※1…従来のメードインジャパンのクオリティを超え、織り・編み、染色整理加工、縫製、企画・販売などすべての工程を日本国内で行った商品にのみ与えられる称号。

デニム

 ―今後の展望としては?―

  これからはコラボレーションが大きな鍵になってくると思います。同業者でも異業種でもどんどんディスクローズして、協力し合って、支え合っていかないと。自分だけでは解決できないことでも、二社三社と協力したらできることもありますから。同じ織物業者だけじゃなく、いろんなモノや人とコラボして。縦のつながり横のつながりを大切にしていくことが、今後マーケットで勝ち残っていくためにも重要になってくると思います。

―たての糸とよこの糸。まさに織物のようですね―

 そうですね(笑)。繊維もそうだし、機械もそうだし、福山はやっぱりものづくりのまちなんですよ。だから決して派手ではないけど、日本経済においても福山はなくてはならない存在。みんなで協力し合い、連携していけたらいいですね。製造業が元気になれば、このまちはもっと元気になると思いますよ。デニムで福山を盛り上げていきたいですね。

貝原さん