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≪インタビュー企画≫つくるだけじゃない。福山には、それを生かす力があるから

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月31日更新

「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿は栄養豊富な果物です。ビタミンCはなんとレモンの約4倍。柿一個で一日に必要なビタミンCがまかなえてしまうほど。抗酸化作用も高く、二日酔いにも効果的で……と、効能の話はさておき、広島県内一の出荷量を誇る福山の柿がまさに今、旬を迎えています。代々柿農家を営む石井孝典さんの畑におじゃまし、お話を伺ってきました。石井さん 
▲柿農家3代目 福山市農業後継者クラブ所属 石井孝典さん

―福山の柿の特徴は何でしょう?

種がしっかり入っているので甘みが強く、でかいです。種がたくさんあるほど柿は糖度が高くなる。

―ようするに美味しい柿ってことですね。

野菜は味付けして食べることが多いけど、果物は何の味付けもしませんよね。それが強みだし、ごまかしが許されないところ。そのままの美味しさで勝負するしかないんです。

富有柿
▲市内で最も生産量が多い富有柿。12月上旬まで出荷が続く。

 ―逃げ道のない勝負、カッコいいです。柿は栽培に手間がかかるそうですね。

年間通してやることは多いです。ほかの果物に比べると実がなっている期間が長いのでその期間はずっと防除作業がつづきます。人間は病気になっても治癒力で回復することができますが、植物は治癒することがないので、一度病気になってしまうともうダメ。そうならないために防除するというのが柿栽培の基本的な考え方です。

―人間で言う予防医学ですね

梅雨が長いときはいつも以上に病害虫の予防に気を使います。病気の原因の多くは枯れ枝から。枯れた枝の組織に病気の菌がやどり、雨が媒介して病気になるので、枯れ枝を木に残さないよう常に目で見て探し、取るという作業がつづきます。

石井さん

―細かいケアが必要なんですね

作業の一番のメインは摘蕾作業です。花が咲く前に果実がなる量を制限して、いい実だけを育てる。摘果ではなく摘蕾することで数を制限するというのが重要なんです。果実は細胞分裂で大きくなる。でも、開花後1ケ月頃には細胞分裂が終わってしまうので、その前の段階で数を制限しなくてはいけません。柿は開花期まで根が動かないんです。それまでは枝に送られる栄養は前年に蓄えられたものだけ。開花期まではその栄養のみで細胞分裂をしていくことになるんですね。となると、限られた栄養は効率的に使えるようにしてあげなくてはいけない。それで摘蕾作業やいらない枝を整理する芽掻きなどをして、より果実に栄養がいきやすいようにするんです。

―大変そうですね。

出荷量を保つということ自体、すごいことだとお聞きしました。

ブドウは毎年同じ量が取れるんですが、柿は今年よかったら次の年はよくないとか、年によって違いが出やすいんですが、それを埋めるのが技術。祖父の代から引き継がれている剪定技術で、毎年安定した美味しい柿がつくれるよう努力しています。受粉樹を柿畑に何本も植えているのもそのためです。できた柿と、つくった柿は違うんですよ。

―できた柿と、つくった柿?

果物ってほっといても実はなりますが、手をかけるかかけないかでその実の出来が全然違います。できた柿はかたい。つくった柿は前歯でサクサクと齧れて、美味しい。ここ松永の柿は糖度が高く歯ごたえもいいと、高い評価をいただいています。

―お祖父様がここ松永に柿の産地を立ち上げたそうですね。

このあたりの農業委員会の会長をしていた祖父が柿づくりに力を入れ、それから父、僕。僕で三代になりますね。

―柿づくりのサラブレットってわけですね。小さいときからお手伝いを?

してないです(笑)。けど、その背中を見て育ちました。なので、継ぐことは当然の流れでした。農場

―農業に関わらず、高齢化や後継者不足は大きな問題としてありますが。

それは感じています。しかも農業をやっていると同世代の同業者に会う機会ってなかなかないんです。それで福山市農業後継者クラブに所属し、同志で集まれる機会を持ったり、情報を交換したり、共有したりしています。切磋琢磨していけたらいいですね。ほかの作物をつくっている人とも繋がれるのはうれしいことです。苦労話や失敗談など、話せる知り合いが増えたことは、けっこう大きいです。モチベーションになっています。

―福山市農業後継者クラブはどんな活動をしているのでしょう?

交流会のほかにも視察研修などもあります。今後、農業体験や教育の現場と交流イベントなどもできたらいいと思っています。

―商工業都市のイメージが強い福山ですが、実は農業も盛んなんですね。

福山って、生産者と消費者を結びつけるにはすごくいい場所だと思っているんです。福山は生産地というよりも消費地のイメージがありますが、すごくバランスのいい恵まれた土地だと思うんです。「顔が見える」って言ったら、ありきたりな表現かもしれないけど、まさにそういう場所。柿に限らず、こんなにたくさんいろんなものが地元でとれてるのに、それを食べない手はないと思うんです。
たとえばトマト。産地はたくさんあるけど、遠くの産地から来るということは赤くなってから出荷すると熟し過ぎてしまって売り物にならない。だから、まだ熟れもしない真っ青なうちに収穫して出荷する。だけど、市内でできたトマトならちゃんと熟れてから出荷できるから、本当に美味しい頃にスーパーに並べることができる。そりゃ、味の差は歴然ですよ。そういう美味しいものが食べれるってことは、地元にそれが植えてある、育てているから。福山にはその環境がある。こんな優位性があるんだから、もっと積極的に食べて欲しいと思います。

―食べない理由はないですね。

こんな贅沢なことはないと思いますよ。福山市の強み、生かしていかないと。

地元の人にそれをどんどん理解してもらいたいですね。地元のものを食べるってことは、味も、栄養面も、価格も、流通にも、たくさんメリットがあるんですよってことを。今の時代、熟れたものを食べるって本当に難しいことなんですから実は。福山には柿だけじゃなく、ほかにもたくさんあります。ほうれん草もブドウも、くわいもすももも。直売なんかも普及してるし。

―福山市民のみなさんがうらやましいです。

地元に農業がないとできないことですからね。福山にはそれができる。生産力だけじゃなく、消費する力もちゃんと持っている。非常にバランスが取れた地域なんです。それを市民のみなさんが自覚したら、きっと福山はもっとすてきなまちになると思います。そのためにも、福山のものをしっかり食べてもらえるとうれしいです。倉庫

―今が旬の福山の柿、食べたいです。美味しい柿の見分け方ってありますか?

色は赤く、甲高で大きなのものを選ぶといいですよ。甲高で大きいということは種がしっかりついているということですから、すなわち糖度が高い。摘果のときも甲高のものを残していくんです。それと、ヘタのかたちがしっかりしてるもの。そして、ブルームと呼ばれる、果粉がしっかりついたもの。

―あの白い粉、農薬じゃないんですか?

そう思っている方って意外と多いんですよね。そのために、わざわざ畑に受粉樹まで植えているのに(笑)。直売所や専門店なら果粉がついたそのままの柿が買えると思います。あと、箱買いでもそうですね。

―オススメの食べ方ありますか?

「なます」かな、けど、一番はそのまま食べて欲しいです。
気温が低いときは冷蔵庫に入れなくても大丈夫ですよ。

―最後に市民のみなさんにひと言お願いします。

う〜ん……。柿を食べてください(笑)。

―はい、食べます。というか、食べたいです。

2.5ヘクタールの、すごく日当たりがいい傾斜畑で育った柿です。

―すべての木に燦々と太陽が降り注いでいるのを感じました。

すごくいい場所で育っている恵まれた柿なんだなって

柿は背伸びをしない素直な味。なんの偽りもありません。そのまま柿の美味しさを味わってください。