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【地域おこし協力隊インタビュー企画】子どもの郷土愛を育む暮らし

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年6月30日更新

今回は、鞆町にある鞆こども園で、保育士として働く片岡孝子さんに、子どもの郷土愛を育む暮らしについて伺いました。

─鞆こども園はいつからあるのですか?

2011年にできて今年で7年目です。公立の鞆保育所と平保育所、私立の鞆幼稚園の3つが一緒になって、当時は地元の子どもたち70名でスタートしました。今は108名になりました。ここが、福山市内では初めての「幼保連携型」のこども園です。私は鞆の出身で、保育士として福山市内で48年勤めています。

片岡さん
▲鞆こども園 片岡孝子さん

─幼稚園と保育園が一緒になると、いろんな子どもを受け入れられるということですか?

そうなんです。保護者が働いているかどうかに関わらず、受け入れることができます。たとえば、幼稚園に通っている子どもの保護者が働くことになっても、子どもの生活はほとんどそのままで、保育園に切り替えることもできます。家庭の状況によって幼稚園にするか保育園にするかを柔軟に選択しやすくなるんです。そうそう、福山市の出生率が高いのはご存知ですか?全国平均よりも上なんですよ。福山市では、ここの他にもこども園が増えていて、市内に10ヵ所以上あります。

鞆こども園

─こうした幼保連携型の施設のニーズは増えてきているのですか?

出生率は下がっても、夫婦共働きの世帯も増えてくる中で、世の中のニーズは幼稚園よりも保育園の方が増えてきているようです。ここでも、幼稚園と保育園の子どもは、3対7くらいです。親子だけで閉じこもって保育をするんではなくて、しんどかったらみんなでしんどいよねって言い合いながら、助けてもらいながら、育てていく方がいいと思うんです。親だけががんじがらめになるなんて、そんな必要はないんですから。

─今は鞆以外からも来られているんですか?

鞆の子は70%くらいです。鞆以外は、田尻、水呑、箕島、新涯、多治米、赤坂などいろいろです。保護者が鞆で働いているからここに子どもを通わせているという方も多いんですよ。

─鞆こども園では行事がたくさんあるそうですね。今日も遠足に行ったとか…。

今日は、108人が5つのコースに分かれて町内を遠足に行ってきました。コースの説明も、聞くだけではわかりづらく、発達障がいなどいろんなタイプの子がクラスにいるので、絵で示してあげるんです。神社へ行って、公園でごはんを食べるよ、なんてことを。鞆の子が鞆を知らなかったらいけないなぁと思うのでね。鞆の名所旧跡に行ってきて、「みんなここで育ったんよ」って。風や空気を感じたり、人に出会ったり。人巡りをしてるみたいなもんですねぇ。お年寄りばっかりですけど(笑)

遠足

─他にはどんなことを?

夏にはタコを持って来て、湯がく前のねずみ色のタコの絵を描かせるんです。そのあと塩もみして、湯がいて食べるんですが、色が赤く変わるでしょう。そういうのを見てもらってね。冬にはサヨリの干物を作ります。手ではらわたを出して、自分たちで刺して作るんですよ。鞆ならではのことを体験してもらっています。給食でも、ほぼ毎日地元の美味しい魚屋さんや肉屋さんのものを使っているんです。私が普段自宅で食べているものよりいいものですよ(笑)

それから、3歳と4歳を中心に、地元の方が大漁節を教えに来てくれるんです。樽太鼓を叩いて歌って、太鼓が叩けない子は網を持って段ボールでつくった鯛を飛ばしたり。運動会の時にお披露目をするんです。地域の行事では、鞆のチョウサイという秋祭りがあって、毎年参加しています。鞆の7町が毎年順番にやるのですが、同じ鞆でも山車がない町もあって、山車に乗ったことがない人もいて。だから、こども園でチョウサイをつくって、みんなが乗れるようにしたいなと思ってつくってもらったんです。

 チョウサイ
▲毎年、鞆こども園の園児は秋祭り(チョウサイ)に「山車」で参加

─地元のことをそうやって教えてあげると子どもたちの様子はどうですか?

大漁節は、こども園でやって、小学校と中学校でもやるんです。子どもたちの中に入っているので、また聞いた時に、「前にやったよなぁ」と懐かしい感じがするようですよ。「鞆で生きている」って感じがしますよね。また大きくなった時に戻ってこようかなと思ってもらえたらいいなと思うんですけどね。

─お話を伺って、地元にいると何気ないと思うような生活や文化をとても大切にされているのがよくわかります。そういうことを子どもたちに伝えるのは、昔のことをしているようでいて、過去に戻るということではなくて、これからの未来に必要な新しいことをされてるように感じます。たとえば、自分の住んでいる地域に愛着を持つ子に育ってほしいと思った時、私たちができることって何だと思いますか?

やっぱり、この地域の何が素敵かって、ここにいる人がここが好きじゃないと伝わらないと思います。ここに住んでいる人が、ここで働いている職員が、ここで働いててよかったなぁと思える、そういうことがないといけないんだと思います。毎日ここで生活してても、「この町っておもしろいなぁ」とか、「子どもってかわいいなぁ」って思えたら。私なんかも、0歳の子に「抱っこして!」って言われるとこっちが嬉しいというか。育ててあげているつもりが、こっちが助けられてるんですよね。だから、ここで一番していきたいのは、子どもの自尊感情を育てていくことなんです。それが私たち先に生まれた者の仕事だと思うから。それは親であっても、保育士であっても、地域であっても。優しいまなざしを受けたり、名前を呼んでもらったり、そんなことで「自分のことを知ってくれてるんだなぁ」って嬉しくなる。子どもたちが「このままの自分でいいんだ」「生きていていいんだ」という感情を持って生きていけるようにするのが、私たちの役目だもの。だったら、おもしろく楽しくその役割を果たしたいなぁって。

鞆の浦

─片岡さんがそう考えられるのは、ご自身がそうやって育ってきたという実感があるからなんでしょうか?

きっとそうだと思います。実は、私は両親が幼い頃に離婚し、祖父母に育てられました。その頃から親戚や地域の方々にもお世話になって育ててもらったなぁと感じているんですよ。私自身が、「生きているままのあなたでいいんだよ」と言ってもらって育ってきたから、今度は私が子どもたちの支えになりたいと思って、保育士を志すようになりました。

─私もこちらに住み始めてから、ありのままの自分を受け入れてもらえる安心感というか、そんなものを感じています。周りの人から認識されて声をかけてもらえたり、そういう些細なことでそれを感じてるんだろうなって思います。

ここは鞆に1軒しかない就学前の施設です。おさんぽに行ったら鞆の人に声をかけてもらってお世話になって、地元のお祭りに参加してお返しをして喜んでもらって。そうやってお互いに喜び合いながら、人が好きで、自分のことが大好きな子になってほしいなぁと思って。それはどの行事や保育を通してもですね。

こども園では、「2分の1成人式」をしてるんです。4年生の子どもたちに岡本亀太郎本店さんが保命酒を1本ずつプレゼントしてくださって、20歳になるまでここの蔵へ入れておくんです。さらにサプライズで、お母さんからのメッセージも用意して、4年生に代読してもらうんですが、泣いて読めない4年生もいたりするくらい、本当に感動的なんですよ。そして、子どもたちにも20歳の自分に手紙を書いてもらって、保命酒と一緒に納めておくんです。内緒で先生からの手紙も(笑)まだ始めて7年目で、20歳になった子はいないから、どんな風に大きくなって保命酒を持って帰るかっていうのが楽しみなんです。

─本当に子どもたちとの日々を楽しんでらっしゃるんですね。

子育てって順調な日ばかりではないですよね。「もうえぇ加減、寝てほしいなぁ」って思うこともあるし、失敗することもありますけど、そうやってみんな親になっていくんですよね。そうそう、先日講演に来てくださった先生に教えてもらったことがあるんです。「五風十雨(ごふうじゅうう)」と言って、作物は晴れの日ばかりでは育たなくて、雨も風も必要で、そういう時に根っこが育つんだそうです。子育てでも同じで、「思い通りにならない時こそ親の心の根っこが育つ時。子どもとの時間を楽しむ大人の心が試されていると思ったら、同じ時間なら楽しまなくっちゃ」って。本当にその通りだなと思っているんですよ。

 片岡さん

-「子どもの郷土愛を育む暮らし」。片岡さんのお話から、また一つ福山らしい暮らし方のヒントが見えました。自分の地元が好きな子どもたちが育つまちでありたいですね。

≪お知らせ≫
鞆こども園では、未就園児向けのさまざまな子育て支援のイベントを開催しています。ベテラン保育士さんや、同じように子育て真っ最中のお母さんたちと交流できる場です。ぜひ一度、参加してみてください。詳細は、こども園のホームページでご覧いただけます。

問い合わせ先:幼保連携型 認定こども園 鞆こども園
住所:広島県福山市鞆町鞆274
TEL:084-982-2455
ホームページ:http://tomokids.net