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第10回「ふくやまピース・ラボ」が開催されました!~わだつみの声を聞く~
第10回「ふくやまピース・ラボ」が開催されました!
被爆・福山空襲70周年の記念事業として,“平和について学び,考え,広く発信していこう” と市内の中・高・大学・専門学校生を対象に募集した『ふくやまピース・ラボ』の第10回講座が開催されました。
■ 日 時 : 2015年(平成27年)8月9日(日曜日)13時30分から15時00分
■ 場 所 : 福山市人権平和資料館
■ 内 容 : 「わだつみの声を聞く ~戦没兵士の精神構造から~」 (講師:青木 秀男さん)
◆戦時体制下
(1)法律:国家総動員法
国防目的達成のため,あらゆる人的・物的資源を統制運用する権限を政府に与える
(2)思想統制:労働・社会運動の弾圧,思想教育(学校教育)と言論統制(学問,マスメディア),情報局,特別警察,治安維持法
*治安維持法による逮捕者100,000人
*検事局への送検者 75,681人
*拷問死者 65人
*獄死者 114人
*獄中病死者 1,503人
◆徴兵者数・死者数
陸海軍兵士750万人(1945年),出陣学徒30万人
特攻死者6,000人 第2次世界大戦の死者(兵士230万人・市民80万人)
◆戦争に抵抗した人々
(1)不服従
*徴兵忌避(死亡診断書の偽造,身体損なう)
*徴兵拒否(兵役の拒否)
*幹部候補生試験拒否・意図的不合格
*敵軍への自発的な投降
*特別特攻隊参加拒否
*軍隊内での抵抗
(2)不服従の困難
*兵役法 :入営の期日10日を過ぎた者は6カ月以下の禁錮
戦時に5日を過ぎた者は1年以下の禁錮
徴兵検査を受けない者100円以下の罰金
*社会統制:戦時体制に従わない者,戦争に反対する者⇒非国民・国賊・世間の圧迫
◆自縛
(1)天皇
「天皇陛下万歳」と叫んで死んでいった兵士…天皇は祖国の象徴,祖国は美しい故郷の象徴,そこに家族がいる
(2)家族
・ゆりかごであり「魂が帰る宿」
「お母さん」と叫んで死んでいった兵士…母は情愛の器・父は倫理の教師
・兵士は国を守るために戦場へ行く=国を護るは家族を護ること
△戦争に負けて敵に侵略されると家族がひどい目にあう
△徴兵や戦闘を拒否すれば家族が非国民として迫害される
=家族を国家に人質に取られていた
◆今を生きる私たちに必要なこと…
(1)戦争への足音を聞きとる
・戦争体験に学び,戦争体験を継承する
(2)聞く耳を鍛える(騙されない)
(3)精神の自由を失わない
・精神の自立
・自分の意志で生きる力
・合理的な個人主義
◆ピースラボメンバーの感想
・戦場から家族へ宛てた手紙の中に「今日も元気に過ごしていますか?」と体を心配する文章と,「今日は5人殺してきた。」という文章が入っていた。これは,どちらも家族を思う気持ちで発された言葉だそうだ。前者は分かる。後者は,5人殺したことで,日本の勝利に近づいた。勝利に近づくということは家族を守ったことになる…という考え方だそうだ。それほど思想統制がなされていたのだと思った。
・かつてアフガニスタンで戦っていた兵士の中に,現在ホームレスとなっている方々がいるという実態を知り,生きて帰ってきても戦争は大きな精神的ダメージを与えたのだと思った。
【次回ふくやまピース・ラボ】
日 時 : 2015年(平成27年)8月23日(日曜日)9時45分~12時00分
場 所 : 福山市人権平和資料館,福山市内
内 容 : 市内戦争遺跡巡り