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鞆町の港町文化をテーマとしたストーリーが「日本遺産」に認定されました

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年5月24日更新

 福山市が文化庁に申請していた「瀬戸の夕凪が包む 国内随一の近世港町 ~セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦~」のストーリーが、本日(5月24日)、「日本遺産」に認定されました。

 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、わが国の文化・伝統を語る「ストーリー」を文化庁が認定するもので、2015年度(平成27年度)に創設されました。ストーリーを語る上で欠かせない有形・無形のさまざまな文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外へ発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としています。

認定された日本遺産の概要

 タイトル

 「瀬戸の夕凪(ゆうなぎ)が包む 国内随一の近世港町 ~セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦(とものうら)~」

ストーリー

 夕暮れ時になると灯(あか)りのともる石造りの「常夜燈(じょうやとう)」は,港をめざす船と港の人々を160年間見守ってきた鞆の浦のシンボル。
 「雁木(がんぎ)」と呼ばれる瀬戸内海の干満に合わせて見え隠れする石段が、常夜燈の袂(たもと)から円形劇場のように港を包み、その先端には大波を阻(はば)む石積みの防波堤「波止(はと)」が横たわる。
 瀬戸内の多島美に囲まれた鞆の浦は、これら江戸期の港湾施設がまとまって現存する国内唯一の港町。潮待ちの港として繁栄を極めた頃の豪商の屋敷や小さな町家がひしめく町並みと人々の暮らしの中に、近世港町の伝統文化が息づいている。

常夜燈

ストーリーの詳細はこちら [PDFファイル/595KB]

地図 [PDFファイル/513KB]
構成文化財 [PDFファイル/289KB] 
構成文化財写真 [PDFファイル/1.83MB]

ストーリー(詳細)

◇近世随一の常夜燈
 鞆の浦(とものうら)の「常夜燈(じょうやとう)」は港に現存する江戸時代のものとして日本最大級の大きさを誇る。水平線のその先を見渡すよううず高く積まれた石は、ときを経て風合いを増し、絶妙な反りをみせる笠と宝珠(ほうじゅ)が織りなすたたずまいは唯一無二の存在感を放つ。そのむかし、航海の目印となった高さ10mを超える大きな常夜燈はいまも変わらず町のシンボルとして、そこに住む人々を守りつづけ、また訪れる人々を惹きつける。夕暮れ時に常夜燈へ灯りがともると、紅(くれない)がかった空へ伸びるその姿が影絵のように浮かびあがり、港町の穏やかでゆったりとした時が流れているのを感じる。それが鞆の浦の、常夜燈の魅力なのだ。

常夜燈

◇最大にして唯一の近世港湾施設
 常夜燈の袂(たもと)から海に向かって階段のように並んでいるのが、船着場として大きな役割を果たした「雁木(がんぎ)」だ。全長約150m、最大24段もの石段がまるで円形劇場のように見える雁木は、最大約4mにおよぶ潮の満ち引きに関係なく荷揚げができる優れもので、この積み上げられた雁木から莫大な商いの物資と人々が往来し、鞆の浦は港町としての栄華を積み上げた。ひととき腰を下ろせば、石段が一段、また一段と見え隠れし、潮の満ち引きを実感できる。港の出入口で海に突き出て穏やかなカーブを描く石積みは「波止(はと)」と呼ばれる防波堤で、「常夜燈」や「雁木」と並び、国内最大級。これらに加え、港に出入りする船を見張った「船番所跡(ふなばんしょあと)」や、船の修理を行った「焚場跡(たでばあと)」など、近世港湾に必要とされた5つの施設が揃っているのはいまや鞆の浦だけとなった。

雁木 波止

 瀬戸内海の中央に位置する鞆の浦は、東西から潮が流れ込んで留(とど)まり、そして引いていく特異な立地にあることから、多くの人々がこの地で潮を待った歴史を持ち、「潮待ち(しおまち)」の港としてその名を日本中に轟(とどろ)かせた。現代とは違い、潮流を利用して航海していた時代、流通や移動において潮の流れは何より重要で、日本国内にある多くの港のなかでも、鞆の浦は「潮待ち」として最も恵まれ、多くの文化、学問、技術、物資、情報が集まった。

◇「潮待ち」が築いた鞆の浦の町並み
 常夜燈の前には物資を積み上げる「荷揚げ場(にあげば)」がある。「荷揚げ場」は、いまもむかしも遠来や地元の人々が出会い憩う格好の交流広場だ。荷揚げした物資を保管していた白壁の大きな蔵が面するその広場から、海を背にして路地に向くと、鞆の浦きっての豪商の屋敷や酒蔵があり、サイコロ目のナマコ壁や古い船板を使った壁など、洒落た意匠を随所に見ることができる。迷路のような細い路地をさらに進むと、波打つように流麗なリズムを刻む家々の屋根に目を奪われる。

鞆の町並み

 町並みの北側には、移動式として使われた能舞台や先端に鳥がとまっているような鳥居がある沼名前(ぬなくま)神社など、個性豊かな神社仏閣が連なっているのも鞆の浦の特徴だ。「袖触れ合うも他生(たしょう)の縁」というならば、すれ違う人にみなご縁を感じてしまうような狭い路地を抜け、小高い丘から港を見下ろすと、海に囲まれた鞆の浦の全体像、そしてその美しさを改めて感じることができる。

◇多島美が引き寄せた国際的な彩り
 穏やかな海に大小の島々が響き合うように浮かぶ鞆の浦は、朝鮮通信使や琉球使節、オランダ商館長など、海外からの多くの客人を魅了した。朝鮮通信使にいたっては、迎賓館であった福禅寺対潮楼(ふくぜんじたいちょうろう)から望む海島が魅せる眺めを「日東第一形勝(にっとうだいいちけいしょう)(日本で一番美しい景色)」と絶賛し、多くの漢詩を残した。対潮楼の目前に横たわる仙酔島(せんすいじま)や弁天島(べんてんじま)を見ながら、船で西へ進めば、海へせり出した断崖絶壁にそびえ建つ朱塗りの阿伏兎観音(あぶとかんのん)が姿を現し、青く輝く瀬戸内の多島美にアクセントを添える。

対潮楼

◇継承される鞆ならではの祭りと特産品
 景勝に囲まれた歴史ある町並みのなかに、人情味豊かな鞆の浦の住民が港町の伝統文化を息づかせている。数多くの船で鯛を取り囲み一網打尽とする伝統漁法の「鯛網(たいあみ)」や、子どもの成長を願い大きな木馬を引きまわす全国でも珍しい祭り「八朔(はっさく)の馬出し」、さらに海上安全や無病息災を祈願し重さ200kgもある巨大な三体の松明(たいまつ)の火の粉が飛び散る勇壮な火祭り「お手火神事(おてびしんじ)」など、鞆の浦では四季折々の伝統行事が盛大に行われ、自然と歴史に恵まれた港町の舞台を格別に輝かせる。また江戸時代、力比べに使った重さ200kgを超える「力石(ちからいし)」の現物見学もおもしろい。
 鞆の浦で生まれた薬味酒「保命酒(ほうめいしゅ)」や、名産の鯛や小魚「ねぶと」を使った料理や珍味、練り物なども鞆の浦ならではの楽しみだ。

八朔の馬出し

 鞆の浦には、常夜燈をはじめ日本の近世に繁栄した港のたたずまいがそのまま残されている。鞆の浦の魅力はこの地に住む人々の日々の営みの中で育まれ、伝えられてきた。鞆の浦は、いまに生きる「近世港町」として、またそれを体感できる極めて稀な場所として、訪れる人の心を惹きつけて離さない。

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