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芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全地域協議会

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年12月7日更新

はじめに

スイゲンゼニタナゴ(Rhodeus atremius suigensis)は、山陽地方の限られた水域に生息する希少なタナゴ類で、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」では国内希少野生動植物種に指定されています。本種は、広島県内では芦田川水系のみ生息が確認されていますが、生息状況は近年悪化しています。

このような状況を踏まえ、本種を保全するために、地域住民、各種団体、有識者、行政機関等で構成される「芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全地域協議会」(以下、協議会といいます)を平成26年度に設立し、各主体が取り組むべき活動について議論してきました。「芦田川水系スイゲンゼニタナゴ地域連携保全活動計画」(以下、計画といいます)は、協議会での議論を通して策定されたものです。

1.計画の基本的な考え方

1-1 目的

スイゲンゼニタナゴに対しては、これまでも市民団体等による保全活動や保護・増殖活動が継続的に実施されてきましたが、野外で確認される個体数は減少傾向にあり、その生息状況は悪化しています。計画は、芦田川水系のスイゲンゼニタナゴ個体群が健全かつ安定的に生息する状態を目指して策定しました。スイゲンゼニタナゴとその生息環境を保全することは、この地域の水域の生態系をより豊かにすることでもあります。様々な主体が連携した取組みを展開することを通して、人と人とのつながり、人と自然のつながり、地域の誇りと愛着が生み出され、地域の活力向上につながることも期待されます。

1-2 計画の位置づけと役割

福山市環境基本計画(2009年3月策定)では、生物多様性プロジェクトとして、地域が連携して絶滅のおそれのある野生動植物種を保全するための組織化と活動計画を定めることとされています。計画は、このような背景のもと策定したものであり、次のような役割を担います。

・スイゲンゼニタナゴの保全に関する段階的な目標と活動の基本的な方針を定めることにより、保全活動に対する共通認識を形成する

・スイゲンゼニタナゴの保全に関する活動を体系化することにより、役割に応じた各主体間の連携を促し、持続的かつ計画的な活動の推進を可能にする

1-3 計画の期間

計画の期間は、2016年度(平成28年度)から2024年度(平成36年度)までとします。

1-4 活動の実施体制

地域住民、研究機関、行政機関など多様な主体が保全活動に参加できる体制を構築します。多様な主体が連携した取組みを確実に展開できるように、協議会が中心となり保全活動を展開していきます。

計画に基づく具体的な活動内容を明確にした年次計画を作成し、保全活動はこれに基づき実施します。年次計画は、保全活動を通して得られた効果や課題、最新のスイゲンゼニタナゴの生息状況、地域の社会情勢等を総合的に検討し、作成します。

計画に基づく保全活動の進みぐあいの把握や課題整理等は、毎年1回以上開催する総会で行います。また、3年毎に目標の達成度を評価し、必要に応じて計画を見直していきます。

1-5 目標設定

計画では、短期目標、中期目標及び長期目標を設定し、これらを段階的にクリアしていきます。活動開始から3年毎に目標の達成度を協議会で評価し、効果的な保全活動を展開します。

短期目標(3年後):生態の解明と普及啓発を通した保全意識の向上

中期目標(6年後):自然水域での生息環境整備と新たな保護施設の設置

長期目標(9年後):生息地の拡大と地域連携による保全活動の定着

2.スイゲンゼニタナゴの生息の歴史と変遷

2-1 生息状況の変遷

スイゲンゼニタナゴの確認地点は、1970年代から1990年代前半までは、福山市内の芦田川周辺の水路等に散在していましたが、1990年代後半頃から孤立しはじめ、2014年度には3箇所、2015年度には1箇所でしか確認されていません。

2-2 減少原因

スイゲンゼニタナゴの生息場(水路、小河川)の減少、生息場の質の低下(水路の3面コンクリート化など)、外来魚による捕食などによって減少してきたと考えられます。

2-3 これまでの保全活動

行政機関・教育機関・地域団体等の様々な主体が、これまで芦田川流域に生息するスイゲンゼニタナゴの保全に関する活動を行ってきました。

2-4 今後の課題

現時点における芦田川水系スイゲンゼニタナゴの保全に関する課題として、以下の事項が挙げられます。

・生態や保全技術に関する知見の集積

・地域連携による保全活動の定着

・系統保存の実施体制の拡充

・再導入に向けた検討

・効果的な普及啓発のあり方

3.保全活動計画

3-1 生息地の保護・改善・再生

(1)調査研究の継続

スイゲンゼニタナゴの生息実態を把握すること、生息環境を改善または再生する候補地を選ぶための基礎情報収集を目的として、現地調査を実施します。また、類似事例や先行事例を視察し、得られた情報を本種の保護や生息環境の改善、再生に活かします。

(2)生息地の保護、改善、再生の検討

これまでに得られたスイゲンゼニタナゴの生息に関する知見と、今後の調査研究や事例研究により得られた知見を総合し、本種の保護や生息環境の改善、再生について具体的に検討します。

3-2 生息環境の維持・管理・監視

(1)水路の泥上げ

水質の維持及び産卵母貝となる二枚貝の良好な生息環境を維持するために、水路に堆積した土砂(ヘドロ等)を除去します。著しく底質が悪化している場合には、事前に検討したうえで覆砂等を実施します。

(2)草刈り

維持管理作業を行うための水際へのアクセス性や水域の視認性を向上させます。ただし、ヨシ等の水際の植物は、スイゲンゼニタナゴの生息条件として重要であることから保全します。

(3)清掃

スイゲンゼニタナゴだけでなく、多様な動植物が生息生育する水域環境を保全するために清掃を行います。日常的な活動として地域に定着することが望まれます。

(4)生息箇所のパトロール

スイゲンゼニタナゴの密漁防止、突発的な水質事故の監視等を目的として、生息箇所のパトロールを行います。

(5)モニタリング調査

保全活動の効果を把握するために、スイゲンゼニタナゴや二枚貝(産卵母貝)の生息状況を調査します。また、オオクチバスやブルーギル等の外来種が生息している水域では、必要に応じてこれらの駆除作業を実施します。

3-3  個体群の系統保存(保護増殖)

(1)系統保存の実施

芦田川水系のスイゲンゼニタナゴ個体群の系統保存は、盈進中学高等学校及び宮島水族館の2箇所で行われています。今後もこれらでの系統保存は継続しながら、危険分散の観点から、受け入れ可能なほかの機関を検討します。

(2)再導入の検討

芦田川水系のスイゲンゼニタナゴ個体群の生息状況が危機的状態になった場合を想定し、系統保存により増殖した個体の再導入について、関係機関と協力しながら検討します。

3-4  将来にわたる保全のための普及啓発活動

(1)普及啓発イベントの開催

保全に関する普及啓発として、広く一般市民の意識向上を目的とするシンポジウム等や、スイゲンゼニタナゴが生息する地域住民等を対象として環境学習会等を開催します。

(2)保護施設の設置・活用

既存の公共用地等を活用した自然環境に近い保護施設を新たに設置し、普及啓発の場としても活用します。

おわりに

危機的な状況に置かれている芦田川水系のスイゲンゼニタナゴ個体群を、安定して生息する状態にまで回復させるには、地域住民、各種団体、有識者、行政、民間企業等がそれぞれの立場で保全活動を続けることが重要です。

スイゲンゼニタナゴの保全活動が福山市内や周辺地域に広まることで、豊かな自然が維持されると同時に、本種をシンボルとして活力あふれる地域がつくりだされることも期待されます。

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