ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 担当部署で探す > 企画政策課 > 平成30年9月定例市議会 市長説明要旨

本文

平成30年9月定例市議会 市長説明要旨

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年9月4日更新

 本日は,9月定例市議会を招集いたしましたところ,議員各位には,御参集いただき誠にありがとうございます。
 今回提出いたしております諸議案の御審議をお願いするに当たり,当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。

7月豪雨災害について
 始めに,去る7月の豪雨災害は,西日本を中心に200人以上の犠牲者を出すなど各地に深い爪痕を残しました。本市においても,2人の尊い命が失われ,約2,000haが浸水するなど,甚大な被害となりました。お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された多くの皆様方に対し,心よりお見舞い申し上げます。発災直後より企業を含む多くの方々から温かい御支援をいただきました。心から感謝申し上げます。引き続き,復旧と被災された方々の生活再建に全力で取り組んで参ります。
 今回の豪雨では,本市において観測史上最大の雨量を記録し,初めての大雨特別警報が発表されました。こうした異常気象が今後も起こり得ることを想定し,早速,国・県にも働きかけ,災害対応について検証作業を開始いたしました。検証結果を踏まえ,災害に強いまちづくりを更に進めて参ります。

任期の折り返しを迎えて(5つの挑戦の成果と課題)
 
さて,今月で私に与えられた任期の折り返しを迎えます。これまで市政運営に全力で取り組んでこられましたのも,市民の皆様や市議会の御理解のお陰と,心から感謝申し上げます。私は,この2年間,活力と魅力に満ちた輝く都市の実現に向け,邁進して参りました。「スピード感・情報発信・連携」を市政運営の基本とし,常に10年,20年先の福山の姿を見据えて,積極果敢に挑戦する市政の実現に向け職員と力を合わせて参りました。また,現場主義を徹底し,車座トークや福の耳プロジェクト,子育て座談会などを通じて市民の皆様のまちづくりへの思い,地域・企業が抱える課題やニーズを把握し,施策へ反映して参りました。
 市長就任時に掲げた5つの挑戦につきましては,1年目を実行の年,2年目は加速の年とするべく,スピード感をもって取り組んで参りました。
 本市の顔とも言える福山駅前の再生については,その第一歩となる駅前再生ビジョンを官民連携で策定しました。現在は,ビジョンの実現に向け,デザイン会議を設置し,エリア価値を高めていくデザイン計画策定のための議論を本格化させています。こうした取組が国にも評価され,地方再生のモデル都市にも選定されました。11月には,これまでの取組の成果として,リノベーションスクールによる第1号の店舗が開店します。これに続く第2号,第3号の実績を積み重ね,備後圏域の玄関口である福山駅前の再生を実感していただけるよう努めて参ります。
 子育て支援では,子育て世帯の様々な悩みにワンストップで応える「福山ネウボラ」を県内のトップを切ってスタートさせました。これまでに13,000件を超える相談があり,確かな手応えを感じております。核家族化の進行により,周囲のサポートを得られにくい子育て世帯が増加しており,今後,福山ネウボラの必要性は更に高まるものと考えております。
 産業振興では,福山北産業団地の第2期事業に着手しました。また,少子高齢時代の都市のあり方を考えるため「先端技術によるまちづくり官民協議会」を立ち上げるなど,将来を見据えた基盤づくりを進めて参りました。Fuku-Bizによる中小・零細企業へのきめ細かな経営相談やビジネスのヒントとなるセミナーの開催などは経営者から高い評価を受けています。また,官民協働による福山独自の海外留学制度を創設し,今年度から留学生を送り出しております。市内企業のインターンシップを組み込んだ留学制度は県内初であり,国際感覚をもつ企業人の育成と地元定着につなげて参ります。
 福山城築城400年に向けては,県内初となる天守の景観重要建造物指定や伏見櫓・筋鉄御門の国宝化に向けた調査など,ハード・ソフト両面から様々なプレ事業に取り組んでいます。また,国内外のアーティストや多くの市民が参加した「ばらのまち福山国際音楽祭」を,リーデンローズを主会場に開催するなど,本市の歴史文化資源を最大限に活用したまちづくりを推進して参りました。
 スポーツ振興では,2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け,県内最多の8競技でメキシコオリンピックチームの事前合宿の受け入れが決まり,これまでに2種目の選手団が来福されました。選手団との交流を通じて,市民の競技への関心が高まり,競技力の向上にもつながるものと期待しています。
 これら5つの挑戦は,福山駅前の賑わいを創出し,歴史文化資源の価値や産業競争力を高めるなど,活力と魅力に満ちた輝く都市を実現するだけでなく,人や企業,情報が集まることで,備後圏域全体をけん引する備後の中核都市としての拠点機能の強化にも直結するものと考えております。
 一方で,観光振興や地域コミュニティの再構築など,緒に就いたばかりのものもあります。観光振興では,外国人観光客が伸び悩んでおり,鞆の浦や福山城などの地域資源が誘客に生かしきれていません。特に鞆の浦は,国内で唯一,国の重要伝統的建造物群保存地区,ユネスコ「世界の記憶」,そして日本遺産の3つの評価を受けている日本屈指の地域です。今後は,こうした本市の観光資源を外国人観光客も楽しめるよう更に磨き上げるとともに,買い物・交通の利便性の向上に一層取り組んで参ります。
 車座トークでは,各地域から,コミュニティの維持のための担い手の確保などを求める声を多く聞きました。こうした地域の声に応えるため,現在,有識者を交え,地域コミュニティの再構築に向けて具体的な議論を開始したところです。本格的な少子高齢時代における行政と地域との役割分担を改めて整理するとともに,企業やボランティア団体の果たすべき役割も視点に加えながら,地域が抱える課題の解決策を見出して参りたいと考えております。
 100万本達成後の新たなばらのまちづくりの取組も重要な課題です。2024年(平成36年)には,世界バラ会連合世界大会が本市で開催されることが決定しました。国際都市としての「ばらのまち福山」を世界に向けて発信する絶好の機会と捉えるとともに,開催までの間,香り,健康,医療,そして食品などばらの持つ多様な機能についても研究し,新たな視点からばらのまちづくりの可能性を探って参ります。

次の2年に向けて(今後の都市づくりの方向性)
 任期の残り2年間は,喫緊の課題である人口減少対策を推進する中で,特に子どもの健やかな成長の支援に全力を傾注いたします。また,安心・安全なまちづくりに向けた取組も強化して参ります。
 人口減少対策につきましては,先日,「多様なライフスタイルが実現できるまち」を目標とした全体像を取りまとめました。その特徴としては,日本政策投資銀行や戦略推進マネージャーと連携して,データに基づき,政策目標をより具体化したことにあります。進学・就職や結婚・出産など人生の転機ごとに9つの人物像を設定し,それぞれに特化した施策に重点的に取り組んで参ります。今後,各界各層の皆様と対策の方向性を共有していきながら具体的なアクションプランを作成します。行政が取り組むべき項目については,来年度予算案に盛り込んで参ります。
 この人口減少対策の大きな柱の一つが子育て支援です。引き続き,ネウボラを中心に子育て支援環境を拡充して参ります。車座トークや市民アンケートでは,経済的負担の軽減を求める声が多く,子どもの生活実態調査から,特に生活困窮層において,医療機関への受診が抑制されている実態も明らかになりました。子どもの医療費助成については,これまで,国が制度を創設すべきとの基本姿勢を貫いてきましたが,時代背景や貧困の実態,多くの市民の声を踏まえ,このたび,医療費助成制度の対象を中学生まで拡充することを決断いたしました。来年度当初からの実施に向け,本議会の補正予算案に必要経費を計上したところであります。
 子どもたちの教育環境にも更に力を入れます。これまでも,中学校給食の早期の完全実施や今年度完了予定のトイレの洋式化などに取り組んで参りました。これらに加え,児童生徒の健康管理や学習環境の改善のために市立小中学校の全普通教室等へエアコンを設置することを決めました。小学校は2021年(平成33年)6月末,中学校は2022年(平成34年)5月末の整備を目指し,本議会の補正予算案に必要経費を計上したところであります。学校再編地域においては,開校準備委員会を中心に地域の声に謙虚に耳を傾ける中で,児童生徒の教育環境の維持確保に努めて参ります。子育て支援や教育環境を充実することにより,子どもたち一人一人が輝き,笑顔があふれるまちづくりを進めて参ります。
 安心・安全なまちづくりについては,頻発する自然災害への備えを強化します。このたび,甚大な被害が生じた浸水への対策として,まず,瀬戸川・福川,手城川,天王前川,西谷川などの河川改修事業や2,200近いため池の対策について,国・県と連携して緊急に取り組んで参ります。先月31日の知事とのトップ会談においても,河川改修の大幅な加速化,再度災害防止のための必要な措置,そして防災重点ため池の選定基準の見直しなどを強く要望しました。しかし,こうしたハード面の整備だけで災害を完全に克服することは不可能です。地域住民の共助により人命優先の避難行動が取れるよう,初動対応など地域防災計画の内容を緊急に検証する必要があります。併せて,確実な避難行動につながる速やかで分かりやすい情報提供のあり方などソフト面からも見直して参ります。

決算
 次に,2017年度(平成29年度)普通会計の決算見込みについて,その大要を御説明申し上げます。
 まず,歳入の根幹となる市税は,企業収益の改善に伴う法人市民税や家屋等の増に伴う固定資産税の増加などから,約738億円と前年度を上回る決算となりました。
 歳出では,新総合体育館の建設やスマートICの整備など,財政の健全性に配慮しながら,本市の将来の発展に向けた投資に積極的に取り組んで参りました。定員管理の適正化や公債費対策などにより,人件費・公債費等が減少する一方で,障がい福祉サービス事業費や保険会計への繰出金などの社会保障関係費は,引き続き増加いたしております。これらの結果,歳入全体では,前年度に比べて0.6%減の1,706億5,506万7千円,歳出全体では,同1.0%減の1,648億7,803万6千円となりました。財政の健全性を表す健全化判断比率は,4つの指標全てが,前年度に引き続き早期健全化基準を下回っております。また,市債残高は,市民一人当たり29万8千円となり,1992年度(平成4年度)以来25年振りに30万円台を下回りました。本市の財政は,健全な状況を維持できているものと受け止めております。
 一方で,少子化・高齢化の進行やそれに伴う生産年齢人口の減少など,市税や地方交付税等の動向が不透明な状況の中で,社会保障関係費が増加し続ける厳しい財政環境が今後も継続するものと予測されます。引き続き,中長期的視点に立ち,施策・事業の選択と重点化,財源の確保など,健全で持続可能な財政運営に取り組んで参ります。
 次に,今回,議案として提出いたしております2017年度(平成29年度)の企業会計の決算などにつきまして,その大要を御説明申し上げます。
 まず,病院事業会計についてであります。市民病院は,国から大学病院に相当する医療機関として,2016年度(平成28年度)からDPC特定病院群に指定されています。また,医療スタッフの確保にも積極的に取り組み,小児専門外来を新たに開設するなど,職員体制と医療提供体制の更なる充実に努めております。収支状況につきましては,1,009万円の純利益を計上し,経常収支は10年連続の黒字となっております。引き続き,福山市民病院改革プランの取組を進め,健全な経営を維持するとともに,備後圏域全体の医療水準向上のための中心的役割を担う基幹病院として,高度で良質な医療を提供して参ります。
 次に,水道事業会計では,良質で安全な水道水を安定的に供給するため,久松台配水池の耐震補強工事や基幹管路等の耐震対策に取り組んで参りました。当年度の純利益は,17億6,507万8千円を計上し,当年度末資金残高は約36億2千万円と,前年度と同水準を維持したものの,未だ企業債残高は約387億円を有していることから,より一層の健全経営に努めて参ります。
 工業用水道事業会計につきましては,引き続き純利益を計上することができており,今後とも,産業基盤として企業活動を支える役割を担って参ります。
 下水道事業会計につきましては,安全で快適な生活環境を確保するため,汚水管渠埋設を始め,管渠の耐震化・長寿命化などに取り組むとともに,水洗化率や収納率の向上の取組により,収益確保に努めて参りました。また,市街地の浸水対策として中央2号・中央5号幹線が完成したところであり,このたびの豪雨災害においては,浸水被害が軽減され,一定の効果はあったものと考えております。
 上下水道事業は,市民生活や社会経済活動にとって重要なライフラインであるため,上下水道事業中長期ビジョンを着実に実施し,経営資源を最大限に活用するとともに,中長期的視点に立った計画的・効率的な施設整備や持続可能な経営基盤を確立する中で,一層の経営の健全化に努めて参る考えであります。

補正予算案
 次に,補正予算案について御説明申し上げます。このたびは主に,7月の豪雨による災害復旧に対応するものであり,一般会計を始め,全7会計の補正をお願いいたしております。
 まず,豪雨災害関連といたしましては,道路や河川・ため池,小中学校などの公共施設等の復旧への取組のほか,被災家屋のがれき等の処理や被災者への生活再建のための貸付金など,一般・企業会計を合わせた全体で72億7,660万8千円と,これまでにない規模となっております。
 災害関連以外では,人口減少対策として,乳幼児等医療費助成制度の対象拡大に向けてシステム改造などに取り組むほか,教育環境の充実として,市立小中学校の全普通教室等への空調設備整備に着手いたします。また,安心・安全の実現として,本年6月,大阪府北部の地震で発生したコンクリートブロック塀の倒壊事故を踏まえ,公共施設・教育施設の安全対策にも取り組んで参ります。このほか,新たな広域連携を推進するため,備後圏域の共通課題である医療分野について,課題抽出や今後の方策等の研究を行って参ります。
 以上の結果,今回の補正予算額は,一般会計で79億9,820万8千円の追加となり,全会計では,82億509万4千円の追加となりました。

最後に
 今,国においては,急速に進む人口減少に対応した行政サービスのあり方の議論が始まっています。こうした議論は,今後の都市のあり方,更には地方自治の形にも影響を及ぼすものと考えております。我々が備後圏域で取り組んでいる連携中枢都市圏構想などを参考に地方行政の制度が再設計されるとも聞いており,引き続き,備後圏域における経済や医療等での連携を深め,全国のモデルとされるような自治体・圏域の運営を目指して参ります。
 そのためにも,本市自ら,若者や女性をひき付け,未来に向かって輝きを放ち続ける都市としての礎をしっかりと築いていくことが重要です。5つの挑戦を果断に,スピード感をもってやり抜く所存です。各位の一層の御理解をお願い申し上げます。

その他の議案
 このほか,決算及び予算以外の議案といたしましては,条例案として,福山市一般職員の給与に関する条例等の一部改正についてなど11件,その他の議案として,福山市立城北中学校南棟校舎改築他工事請負契約締結についてなど5件を提出いたしております。
 何とぞ慎重なる御審議の上,御可決いただきますようお願いを申し上げ,提案理由の説明といたします。


 本文は,口述筆記ではありませんので,表現その他に若干の変更があることがあります。