リハビリテーション科
診療概要
現在診療は各科からの紹介のみ対応しています。
リハビリテーション医学について
これまでの伝統的な医学では、病気を治癒させること、そしてできるだけ延命をはかることが目標でした。もちろん、これは重要なことです。
でも、忘れられていた大切なことがあります。それは患者さんのQOLです(QOLはQuality of Lifeの略で、生活の質、命の質などと訳されます)。
どんな先端治療を行っても治らない病気がたくさんあります。病気が治らないとき、そして障がいが残るとき、従来は「医学の限界」と考える傾向がありました。しかし、それは違います。障がいに対するリハビリテーション治療を行うことによって、障がいを最小限にでき、障がいが残っても最大限のQOLを達成することができるはずです。
このようにQOLを重視しながら障がいを治癒する医学がリハビリテーション医学です。
リハビリテーション科医について
病気や外傷の結果生じる障がいを医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供することを専門とする医師です。ただ残念ながら、現在リハビリテーション専門医は全国で約1700人と必要数が満たされていない状況です。
リハビリテーション医療の対象について
永続する障がいあるいはその原因となる病気、外傷がリハビリテーション医療の対象です。脳、脊髄、末梢神経、骨関節、筋の異常さらに呼吸、循環器、代謝・内分泌系の内臓疾患、嚥下障害、廃用症候群(不動による機能低下、合併症)なども含まれます。医療の拡大、医療の進歩によってその対象は拡大されてきました。脳の可塑性や再生医学の研究成果に伴うリハビリテーションの役割も再認識されているところです。
福山市民病院のリハビリテーション科について
診療報酬上のリハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とした理学療法、応用的動作能力や社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言語聴覚療法により構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものです。市民病院は平成23年4月に言語聴覚士の採用によりこの3本柱がそろいました。平成30年4月から理学療法士14名・作業療法士8名・言語聴覚士3名で急性期リハビリテーションに取り組んでいます。今後とも、時代に対応できるリハビリテーションシステムを福山市民病院に確立できるようスタッフ皆で努力していきたいと考えます。
筋電図
神経伝導検査を実施しているところです。神経伝導検査や針筋電図検査などの筋電図はリハビリテーション科で行われる臨床検査の一つです。この検査により末梢神経や筋の機能異常を診断することができます。手根管症候群などの神経絞扼性疾患は、検査結果によって手術部位や治療方針が決定されることも少なくありません。
筋電図
嚥下造影検査
嚥下造影検査を実施しているところです。嚥下造影検査はリハビリテーション科で行われる臨床検査の一つです。嚥下動態を透視下に観察することで、嚥下障がいの診断、訓練方法への手掛かりが得られます。とくにむせの無い誤嚥を診断するためには必須の検査です。透視画像は動画として保存し、臨床に役立てます。
嚥下造影検査
疾患別患者数
(1)脳血管障害・脳外傷 | 1,113人 |
(2)外傷性脊髄損傷 | 68人 |
(3)運動器疾患・外傷 | 1,554人 |
(4)神経筋疾患 | 76人 |
(5)切断 | 46人 |
(6)内部障害 | 1,456人 |
(8)その他 | 3,684人 |
総計 | 7,997人 |
(2019年4月~2020年3月)