《地域おこし協力隊インタビュー企画》地域の産業を支える暮らし
今回は、鞆町で「鞆の浦ちりめんグルメプロジェクト」に取り組む粟村元則さんに、地域の産業を支える暮らしについて伺いました。
▲鞆の浦ちりめんグルメプロジェクト
粟村 元則 さん
地元食材で手軽に食べられるものを
─「鞆の浦ちりめんグルメプロジェクト」はどんな取り組みなのですか?
走島や鞆で獲れるしらす(ちりめん)を使った料理を、鞆町内の複数の飲食店で食べられるイベントを実施しています。今年で3回目になります。
─プロジェクトを始めたきっかけは何だったのでしょう。
「鞆といえばこれ」「手軽な価格帯で食べられるものがあれば」という声をいただくことがありました。せっかく地元で獲れるしらすがあるし、しらすは色々な使い道もあるので、それを活かせないかなと密かにアイデアを温めていたんです。
─そもそも、「しらす」と「ちりめん」の違いは何なんでしょうか。
この近海で漁師さんが獲ってくるのが「しらす」です。それを茹でたものが「釜揚げしらす」です。「ちりめん」は、一回茹でてから一気に乾燥機にかけることでできます。昔から走島はちりめん加工が有名で、今も地元産のちりめんがあるんですよ。このプロジェクトでも、ちりめんは地元産のものを使ってもらうようにしています。
▲鞆・走島産のちりめん
地元の需要を増やすことで、地元漁師を支えたい
─しらす漁は漁期が決まっているんですよね。
去年に続き、今年も解禁が遅れそうだと聞いていて、潤沢に獲れているというわけではないのが現状です。漁獲が少なくなっていることもありますし、加工後の「ちりめん」としての消費は減少傾向にあるのではと思います。それに獲れたとしても、他県の業者で水揚げをしてしまうと、漁獲量も他県のカウントになってしまうんです。また、産地も加工した業者が地元でないと、他県産になってしまうこともあります。
─少しもったいないように感じますね。
せっかく地元の漁師が獲ったしらすを、地元で食べる人がもっと増えたらいいなと思います。生しらすや釜揚げしらすの需要が増えれば、もっと高い値段をつけることもできますよね。漁獲量が伸びていない分、漁師さんが頑張って獲っているものを価値を付けて売り、地元の漁師さんが長く続けていけるようにできないかなと。お客さんが高いお金を払っても食べたいと思ってくれるなら、みんなにとって良いことですよね。
─プロジェクトは今年で3年目とのことですが、続ける中でどんな変化がありましたか?
参加してくださる店舗数が少しずつ増えていて、今年は14店舗になります。これまで、生しらすや釜揚げしらすは鮮度が命のため、地元産を提供するのが難しかったんです。ただ、昨年から鞆の浦漁協さんが、生しらすを急速冷凍できる機会を導入されたので、地元産のしらすを飲食店の方にも使っていただけそうです。こうして漁協さんと一緒にできるのはとても嬉しいです。
▲昨年から鞆の浦漁協で取り組み始めた冷凍しらす。一般への販売はまだされていないが、「将来的には一般家庭でも購入できるようになれば」と粟村さん。
大切なのは、とにかく続けること
─プロジェクトを通じて伝えたいことは?
観光の方も近隣の方も「鞆にしらす食べに行こう」となったらいいなと。しらす漁の現状や、地元でなかなか消費されていない部分もあるといったことも含めて知っていただけたらなと思います。
─プロジェクトにはお店をはじめとして、いろんな方が参加していますが、運営する上で大切にされていることはありますか?
とにかく続けることですね。ルールを細かくしすぎず、それぞれのお店にお任せしています。実行委員会では、他店のメニューとの調整が必要であればするのと、店舗の方に地元のちりめんや漁協の方を紹介しています。費用もチラシ印刷代を店舗数で割るというシンプルなもので、広報はSNSでそれぞれの店舗が発信するなど、それぞれができることをできる範囲でしています。
─粟村さんは個人でもSNSでの発信を日々されていますよね。
苦になっていないのが良いのでしょうね。鞆は散歩にちょうどいい大きさで、時間帯や人の有無でも見える景色は変わるので、新しい発見が毎日あるんです。今は個人旅行の時代になっているので、鞆に合っていると思います。まちの滞在時間が伸びたらいいなと思います。散歩して、お店をはしごして、まち全体を楽しんでもらいたいです。
─「地域の産業を支える暮らし」。粟村さんのお話から、また一つ福山らしい暮らしのヒントが見えました。自分がその産業を仕事としていなくても、取り組みに参加したり、携わっていないなりの視点で企画をしたり、できることもいろいろありそうです。福山にも様々な産業がある中で、みなさんならどんなことをしてみたいと思うでしょうか。
お知らせ
「鞆の浦ちりめんグルメ2018」が始まっています!
2018年6月25日(月曜日)~8月31日(金曜日)
鞆町の14店舗で、それぞれのお店が企画開発したちりめんグルメが食べられます。
料理の写真をInstagramにアップして、プレゼントがもらえるキャンペーンも。
コンプリートを目指してみてください!
Facebookページ「鞆の浦ちりめんグルメプロジェクト実行委員会」
https://www.facebook.com/chiripro/
鞆の浦ちりめんグルメ2018 チラシ[PDFファイル/3.12MB]