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【地域おこし協力隊インタビュー企画】地域の知恵を受け継ぐ暮らし

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年7月31日更新

 今回は、山野町で地域資源を活用している「やまの里山クラブ」の三木知文さんに、地域の知恵を受け継ぐ暮らしについて伺いました。

最初は「怒り」だった、約20年ぶりの故郷での暮らし

─生まれ育ちは山野町なんですか?

 ええ、そうです。県外で学生時代を過ごし、父親が早くに亡くなっていたので当たり前のようにこちらに帰ってきました。その後、夫の転職で大阪に20年弱住みました。南港という大阪湾を埋め立てて作った人工島で、「海のまち」「太陽のまち」なんていう風に4区画に分かれていて、それぞれに小学校が1つずつあるようなところ。緑も多く、川も流れていました。その頃から、自然を近くに感じながら暮らしたいという気持ちがあったんでしょうね。だけど、川はポンプで汲み上げて循環させているようなもので、本物じゃないとはずっと思っていたから、いつかここは出ていくだろうなと思いながら住んでいました。でも、必ずしも山野に帰ろうと思っていたわけではなかったんですよ。

三木さん
▲やまの里山クラブ 三木知文さん 

─再び帰ってくることになったのはなぜですか?

 いつか福山市内に帰ってくることは考えていたんです。娘は当時小学校2年生で、これ以上帰るタイミングが先になると、ますますお友達との関係が親密になっていくのでかわいそうじゃないかというのが夫の考えで。一方私はいろいろな活動をしていて、つながりもたくさんあったので「そんな気軽に言われても…」という気持ちでした。

─帰ってきてからの暮らしはどうでしたか?

 山野に帰ってきましたが、最初の一年は怒りでしたよ(笑)こちらでは地域の集まりなども多いのでしんどかったんです。田舎で生まれ育ったのに、田舎での暮らし方を忘れていた時期でした。

故郷の見方を変えた「受け入れる生き方」と「人のつながり」

─その「怒り」が変化したきっかけはあったんでしょうか?

 次第に「この中で生きていくしかないんだから、自分のところにやってくることを引き受けて最善を尽くそう」と思えるようになったんです。畑をやることになったのも、母やおじが畑をできなくなったのがきっかけでした。だから「受け入れる生き方」というか。いつまでも「こんなはずじゃなかったのに」なんて思いながら暮らしていたら、自分の生き方にならないってことに気付いたんですね。

―そうして故郷の見方が変わる中で、「やまの里山クラブ」に関わることになったのですか?

 そうですね。自分の暮らす地域をより良くしたいと思うようになりました。やまの里山クラブは2010年にできた団体です。いくつかの部会に分かれて、山野の里山の資源を活かして、地域の人と地域外の人とが一緒に小麦やそばの栽培などをしています。小麦粉やそば粉は牛糞と鶏糞だけで栽培していて、「キラリやまの」で販売しています。

ソバの実芽
ソバの花刈り取り

▲ソバの種まきから収穫、そしてソバ打ちまでを全6回で体験できる。

─活動していてよかったと思うことはどんなことですか?

 山野に住んでいても知り合えない人たちと一緒に作業して交流できるのは楽しいですよ。一緒に作業して、ごはんを作って食べると仲良くなってしまうから不思議ですよね。それから、周りに助けてもらうのは悪いことじゃないとも改めて思うようになりました。困った時は自分の中だけで閉じてしまわないで、人とつながっていけばいいんだ、と。反対に、助けてほしいと言われたら助けてあげたいとも思います。私自身、人と何かを一緒にやるのはあまり得意ではない方だと思うけれど、だんだんそれができるようになってきたと感じています。

─生まれ育った地域の自然や暮らしを楽しめるようになったのはなぜでしょう?

 もともと草花や昆虫に興味があって、それから里山、そして農業や手仕事へと興味が広がっていきました。何年か前に、公民館主催の自然観察会に友人と参加したんです。そしたら、その時の先生は「山野は草花の宝庫ですよ」と言ってくれて。友人も「山野は本当にいいところね」と言ってくれるんです。そうやって、外の人とのつながりの中でも、自分が生まれ育った地域の良さを教えてもらったような気がします。

ハナカイダ 
▲ハナイカダ(葉の上に花が咲く)

山野におったら、山野の生き方をする

─三木さんの、山野での暮らしの楽しみはなんですか?

 朝の散歩ですね。季節によって田んぼが変わるのを、犬と一緒に眺めています。苗が付いたばかりの頃はホウネンエビが泳いでいて、もう少し稲の背が高くなると、ヤゴがあがってきて、クモが巣をはります。デビューしたばかりのアマガエルが草むらの葉に止まっていて、もう少ししたら稲にやってきて虫を狙う。そんなのを見ながら、田んぼ道を歩くのが好きなんです。
 それに、美味しいおまけもあって、5月のクサイチゴの赤い実は甘くてうちの犬も大好き。6月になれば桑の実。ちょっと遅れてヒメコウゾの赤い実。散歩しながら、ビタミン補給してます(笑)時には、道に出てきたヒナやモグラを犬がガブリとやってしまって悲しいことがあるし、マムシに会うこともありますが、心を落ち着かせてくれる自然のなかにいると、時間がたつのも忘れてしまいます。何も考えないで、こういう豊かな時間を過ごせるのは宝物だなぁ、と。

─そんな自然の中で子育てをしたいという思いもあったんですか?

 大阪にいた頃から、子どもには植物や鳥、昆虫などの生き物には敏感になってほしいなと思っていましたね。
 自然の中での経験って、一番基本にあって大切なことだと思うんです。「人間も自然の一部なんだ」ということを思っておかないといけないなって。それから、いろんな人に出会ってほしいなと思っています。私も、自分だけで子育てするのではなく、周りの人に育ててもらおうと思って、いろんな人に会わせました。それは、有名人に会わせようということではなくて。人を信頼することを学んでほしいと思ったんです。学問はその気になれば大人になってから学び直せますからね。

─そういった想いがあって、子育て支援の活動もされているのですか?

 そうかもしれませんね。「やまのっこ広場」という子育て支援の活動は、毎月1回実施しています。人形劇を見たり、絵本の読み聞かせをしたり、わらべうた遊びや自然の中での遊びをしています。子どもたちの様子を見ていると、田んぼの畔を走り回ったり、川の石を投げたり、もう夢中で。昔は当たり前にやっていたことも、今はのびのびとさせてもらえる場所があまりないのだろうなというのがわかります。わらべうた遊びは、知っている人も少なくなってきましたが、何も道具がなくても遊べておもしろいんですよ。案外今の子どもたちもすごく楽しんでくれるんです。

やまのっこ広場
▲やまのっこ広場

─そして「手仕事塾」というサークルも始められましたね。

 友人の範囲で小さく、1回目をスタートしたばかりなんです。私は畑仕事もあまりしてこなかったし、手仕事も全然できないんです。でも、年配の方からそうしたことを学べるのはもう今しかないと思って、地元の方に手仕事を習いたいと何年もお願いし続けて、やっと先日実現しました。紐の結び方など、山野にはたくさん技術を持った方がおられて。そういう方たちから学んでいけたらいいなと思っています。現代の技術は、インターネットやパソコン、スマホなど若い人ほどよく知っている技術ですが、昔の技術は年上の方ほどよく知っていて若い人が聞いたり見たりして学ぶものでした。それが逆になっているんですね。わからないことはインターネットで調べれば済んでしまう時代ですが、人に聞くことで出会いも生まれます。

─確かにその通りですね。

 何でも便利になっているけれど、あえてちょっと不便さを残すということも大事かなと思います。便利だからいいやと思っていると、「不必要な便利」が増えすぎるというか。不便というのは、時間がかかるということです。時間ってつまり、命ですから。少なくとも食べるものは一番大切な部分だから、人任せにせず時間をかけたほうがいいんじゃないかなって。
 ここで生きていくには都会のように暮らしていてもだめで、「山野におったら山野の生き方をする」ってことかなと。せっかく住んでいるんだから、山野で楽しく暮らしたい、より良い地域にしたいと思っています。たぶん、私はどこに住んでいたとしても、自分の住んでいる地域をより良くして楽しく暮らしていきたいんだと思います。

─「地域の知恵を受け継ぐ暮らし」。三木さんのお話からまた一つ福山らしい暮らしのヒントが見えました。地域にある自然や暮らしの中にある知恵を受け継ぎ、生かしていけるまちでありたいですね。三木さんが活動されている「やまの里山クラブ」や「やまのっこ広場」の活動にも、ぜひ参加してみてください。

《お知らせ》山野町の方とふれあうなら!
■ソバづくり体験
耕作放棄地をつかい、ソバの種まきから収穫、そしてソバ打ちまでを全6回で体験できます。
第1回 8月19日(土曜日)8時30分~ ソバの種まき
第2回 9月9日(土曜日)8時30分~ ソバの中耕
第3回 9月23日(土曜日)9時00分~ ソバ打ちとソバのお花見会
第4回 10月14日(土曜日)8時30分~ ソバの刈り取り
第5回 11月11日(土曜日)10時30分~ ソバの脱穀
第6回 12月9日(土曜日)10時00分~ 新ソバでソバ打ち交流会

主催:やまの里山クラブ
参加費:全6回3000円
問い合わせ先:山野公民館
場所:山野郵便局近く
電話:084-974-2851(山野公民館)

■やまのっこ広場
今月は人形劇を楽しみます。その後は、お弁当を食べて川で遊ぶこともできます(自由参加)。お弁当や水着、着替えなど必要と思われるものを持ってきてください。

8月27日(日曜日)10:30~11:30(人形劇)
主催:やまのっこ広場
参加費:無料
集合場所:山野ふれあいプラザ(福山市山野町大字山野3790−1)
問い合わせ先:山野公民館
TEL:090-8719-3234(池田)