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平成30年第1回定例市議会 市長総体説明
本日は,2018年(平成30年)第1回定例市議会を招集いたしましたところ,議員各位には,御参集いただきまして,誠にありがとうございます。
今回提出いたしております2018年度(平成30年度)当初予算案を始め,関係諸議案の御審議をお願いするに当たり,新年度における市政運営の基本方針と予算案の大要について御説明申し上げます。
市政運営の基本方針
はじめに(未来へのたゆまぬ挑戦)
熱戦が繰り広げられた平昌冬季オリンピック大会が一昨日閉幕しました。自分の限界に挑戦し続けてきた若者たちのひたむきな姿は,観る人に勇気と感動を与えました。同時に,私は論語の「今,汝は画れり」という言葉を思い起こしました。これは,「私には先生の教えを実践するだけの力がありません」と力不足を訴える弟子に対して,孔子が「本当に力のない者なら,今までついて来ることはできなかった。やる前から諦めてはいけない」と論した言葉です。人生においては,誰しも,困難な場面に直面することがあります。そんな時,課題を一人で抱え込み,無理だと諦めてしまう前に,立ち向かうという前向きな強い気持ちが大切です。私は,次代を担う若い世代には,限界を自ら設定するのではなく,チャレンジ精神を大切にしてほしいと願っています。果敢な挑戦が生み出す若い力の躍動こそが,本市の更なる成長に欠かせないものと考えるからです。
さて,地方創生の掛け声の下,これまで,国・地方ともに雇用創出や移住促進,結婚・出産・子育てなどに係る様々な施策を講じて参りましたが,地方の人口減少には歯止めが掛かっていません。本市においても,少子化の進行や若い世代の転出超過などが続いており,本格的な人口減少社会の到来が目前に迫っています。都市としての活力を失わないよう,若者や女性にとっての魅力や市民一人一人のふるさと福山への誇りを高めていく必要があります。
このため,新年度は,挑戦の手綱を緩めることなく,福山駅前のにぎわい創出に向けた実践や福山ネウボラの拡充,福山城築城400年の取組強化など5つの挑戦を加速させて参ります。産業,芸術・文化,スポーツの拠点機能の強化や本格的な人口減少対策にも重点的に取り組み,中国・四国地方の拠点都市として活力と魅力にあふれた都市づくりを力強く進めて参ります。
産学金官民が連携し,スピード感を持って,これらの施策を実施し,市民の皆様に「未来を実感」していただける年にしたいとの思いを込めて,新年度予算を「未来実感予算」と名付けました。
新年度予算案の概要
以下,新年度予算案の概要について御説明申し上げます。
歳入につきましては,根幹となる市税が今年度と比べて約9億円の増と3年連続で増加し,約725億円となる見込みです。主な要因は,給与所得の伸びによる個人市民税の増加や企業収益の改善による法人市民税の増加です。
歳出につきましては,未来づくりの取組に約126億円を重点配分いたしました。また,投資的経費は,小中学校の校舎改修やICT機器整備,中学校給食完全実施に向けた整備,新総合体育館建設などにより,今年度と比較して約33億円の増となる約214億円を確保いたしました。
その一方で,事務事業の見直しや計画的な基金の活用など,積極的な財源確保に取り組んだ結果,主要な財政指標である実質公債費比率は1.5%で過去最低値を更新するとともに,経常収支比率は83.8%と今年度から0.4ポイント改善しました。未来づくりへの積極的な投資と健全な財政運営の両立を図ることができたと考えております。
この結果,一般会計の当初予算規模は,1,668億3,300万円となり,今年度当初予算と比べて24億6,300万円,率にして1.5%の増となっております。特別・企業会計を含めた全体では,3,233億5,758万5千円,率にして2.2%の減となったところであります。
新年度の主要な事業について(5つの挑戦の加速)
挑戦1 中心市街地の活性化と都市の魅力向上
(中心市街地の活性化)
次に,5つの挑戦について御説明申し上げます。
1つ目の挑戦は,「中心市街地の活性化と都市の魅力向上」です。
中心市街地の活性化では,福山駅前の再生に向けて駅前再生ビジョンの実践に取り組みます。現在の福山駅前再生協議会から「(仮称)福山駅前デザイン会議」へと議論の舞台を移し,三之丸地区を含む福山駅前の道路や公園などの公共空間の有効活用によるエリア価値の向上に取り組みます。福山城南側道路を二之丸お散歩エリアとした社会実験の実施や,中央公園の運営にパークPFIの考え方を取り入れ,カフェなど民間活力の導入可能性調査を行います。
また,リノベーションスクールを年2回開催するなど,地権者と事業者をつなぐ「現代版家守」の育成を強化し,リノベーションまちづくりを着実に進めます。
にぎわい創出や歩行者の回遊性の向上により,福山駅前を備後圏域の玄関口としてふさわしい魅力あるエリアに再生して参ります。
(都市の魅力向上と発信)
情報発信戦略基本方針に基づき,「鞆の浦を核とした観光振興」「産業・イノベーション」「子育てしやすいまちNo.1」の3つを重点的に発信します。鞆の浦については,情報感度の高い首都圏の20歳から34歳までの女性にターゲットを絞ったプロモーションを展開し,観光客の増加につなげます。重要伝統的建造物群保存地区の選定やユネスコ「世界の記憶」への登録,日本遺産認定に向けた取組などの旬な話題も最大限に活用します。産業ではデニム,子育てではネウボラなど,魅力的で特長ある素材・取組を効果的に発信することで福山の知名度を高めます。
世界バラ会連合の大会誘致については,当初の2022年地域大会から,2024年世界大会の福山開催へと目標を変えて,正式に立候補することといたします。世界バラ会には,約40か国が加盟しており,実現すれば,国内外から多くの方々が本市を訪れます。100万本のばらが咲き誇るまちとして,世界に向けて福山の名を発信していきます。
また,市民生活関連情報や新たな政策等の市政情報についても,SNSの活用など市民の皆様との双方向の意思疎通を大切にし,分かりやすい広報に努めて参ります。
(戦略的な観光振興)
観光振興では,インバウンドの県西部から東部への周遊を県と連携して促進します。インバウンドを呼び込む鍵は「自然と文化」であると考えています。海や山の自然,郷土料理,歴史的な町並みを楽しむなど,福山でしか味わえない文化体験の掘り起し・磨き上げに取り組みます。
本市は,新幹線や高速バスの結節点であるという有利な立地条件などを背景に,今後ホテルなどの建設が続くことが期待されます。こうした民間の動きを捉え,福山城のライトアップを生かしたイベントや夜の能鑑賞など遅い時間まで地域資源を楽しめるナイトタイムエコノミーに取り組み,民間のハード整備と一体となった外国人宿泊者数の増加を目指して参ります。
挑戦2 希望の子育て,安心の医療・福祉とまちの活力の創出
(福山ネウボラが支える希望の子育て)
2つ目の挑戦は,「希望の子育て,安心の医療・福祉とまちの活力の創出」です。
国の定義の変更により,昨年10月から待機児童が生じておりますが,引き続き,地域型保育事業による受入れ体制の整備や保育士確保のための処遇改善などにも取り組み,本市の強みである待機児童ゼロを継続して参ります。
また,安定した小児救急医療体制の構築に向け,新年度から5年間,岡山大学への寄付講座を継続します。
(「健康長寿社会 福山」の実現)
健康長寿社会の実現に向け,健康寿命の延伸と認知症施策の充実に取り組んで参ります。
健康寿命の延伸として,糖尿病性腎症重症化予防対策を強化します。具体的には,国民健康保険の健診データなどから,重症化リスクの高い人を抽出し,かかりつけ医と連携した保健指導を行うことで,人工透析への移行防止などに取り組んで参ります。
認知症対策としては,軽度認知障害の方を対象に民間企業と連携した学習療法等の取組を開始し,認知症予防など早期支援につなげて参ります。また,備後圏域の自治体間で連絡・通報体制を構築し,認知症等の方が市域を越えて移動した場合でも,早期に発見できるよう,広域による見守り体制を強化します。
(若者や女性が輝く都市づくり)
若者の地元就職につなげるため,新たに保護者も対象に加えた企業見学バスツアーを実施します。U・Iターン就職に向けた企業説明会も,大学進学先の調査・分析結果に基づき,関西以外でも開催するなど,大学生が地元企業を知る機会を拡充します。
また,女性の「働きたい」思いを応援するため,企業が就業規則の改正や女性専用更衣室の設置などに取り組む場合の助成制度を創設します。女子高校生・大学生が福山で暮らし,働くことをイメージできるよう,製造現場など様々な企業で活躍する女性の輝いている姿を積極的に発信します。
(障がい者の社会参加支援)
障がいのある人が,地域の中で自分らしい生活を実現するためには,障がいの特性に応じた支援と市民の理解が必要です。障がい者の経済的自立に向けて,事業主を対象に雇用拡大への理解を深めるためのセミナーの実施や雇用する企業を支援します。
また,本市は,昨年12月,手話言語条例を県内で初めて制定いたしました。手話が言語であるとの認識に基づき,手話への理解について普及啓発に努めて参ります。
挑戦3 まちの成長をけん引する産業づくり・防災
(地域経済の活性化)
3つ目の挑戦は,「まちの成長をけん引する産業づくり・防災」です。
福山北産業団地第2期事業を推進するとともに,助成制度などをまとめたPR動画を作成し,企業誘致による雇用の創出などにつなげて参ります。官民協働による県内初の地域人材の育成を目的とする福山版留学制度を創設します。留学生は,インターンシップにより企業の課題を把握した上で,日本代表として海外に赴きます。帰国後は地元企業へ就職し,地域経済の発展に貢献することが期待されています。
また,地域に根付く産業を応援します。国内屈指のデニム産地であることを発信するため,世界的な素材展示会ミラノ・ウニカへの出展に初挑戦します。琴・畳表など伝統産業の活性化に向けた支援にも取り組みます。
シャープなど地域企業や県と協定を結んでいるソフトバンクなどをメンバーとする「(仮称)先端技術によるまちづくり官民協議会」を創設します。スマートシティの実現を目指し,様々な実証実験などの取組を開始し,IoT等を活用した地域課題の解決に向けて県と連携して参ります。
(農林水産業の活性化)
農林水産業は,担い手の減少など厳しい状況にあります。本市では,生産者の所得が向上し,産業として成長するよう6次産業化や水産物のブランド化を進めています。新商品開発に当たっては,びんご6次産業化アドバイザーに加え,福山ビジネスサポートセンターFuku-Bizとも連携し,販路開拓までを見据えた支援を行います。水産物のブランド化に向けては,地域内流通の仕組みづくりのため,地魚ブランド「備後フィッシュ」を味わえる店の認定やフェアの開催などの取組を開始します。新たな付加価値を創出し,消費拡大につなげて参りたいと考えております。
(防災対策の推進)
災害に強いまちづくりに向け,自助・共助・公助の役割分担による地域防災力や浸水対策の強化に取り組みます。各学区の防災リーダーと連携して,地域の実情に応じた防災訓練や地区防災計画作成など自主防災組織の活動を支援して参ります。また,全戸に配布した防災ガイドブックの活用方法を住民に分かりやすく伝え,一人一人の防災意識を高めて参ります。国・県等の関係機関と連携して,瀬戸川や手城川流域など,近年,災害により被害が発生した河川等の改修や雨水排水施設の整備に,引き続き,計画的に取り組んで参ります。
国際情勢が不透明な中,福山市国民保護計画に基づき,今年度内に初動対応・避難実施マニュアルを作成します。これを踏まえて,国・県と連携した訓練を実施するとともに,より迅速な情報伝達に努めて参ります。
挑戦4 夢・希望あふれる未来を創る人財の育成
(未来を創造する教育)
4つ目の挑戦は,「夢・希望あふれる未来を創る人財の育成」です。
本市の将来の発展に貢献する人材の育成に向け,「福山100NEN教育」を推進します。モデル中学校区で小中学生の一人一人の学力の伸びを把握し,科学的根拠を踏まえた学力向上に効果的な指導法を導入します。これにより,児童生徒の学力向上はもとより,教育効果の検証にもつなげて参ります。
また,「10歳の君へ ようこそ美術館プロジェクト」を実施します。市内全ての小学4年生をふくやま美術館へ招待し,国内外のホンモノの絵画を鑑賞することで,創造力などを育みます。
教育環境の整備では,5か年計画で全市立小中学校の教室へICT教育機器の導入に取り組みます。全市立中学校での給食実施に向けた取組も加速いたします。
施設一体型の義務教育学校として,「(仮称)鞆の浦学園」や「(仮称)千年小中一貫教育校」の整備を着実に進めるとともに,学校再編について,保護者や地域の皆様と丁寧な意見交換を行う中で,互いの理解を深め,子どもたちにとってより良い教育環境となるよう取り組んで参ります。再編後の学校施設については,未来志向の利活用策を地域の皆様と共に検討し,地域住民の安心と希望につなげて参ります。
(未来づくりへのチャレンジ)
ふくやま未来づくり100人委員会で1年かけて議論いただいた「30年後の未来図」が完成しました。3月1日から,より多くの方々に御覧いただけるよう,市役所本庁舎1階の市民ホールに未来図のパネルを設置します。今後は,未来図の具体化に向け,意欲がある人が集い,議論する未来づくりミーティング事業が新たにスタートします。また,そこで練り上げられた事業を公開でプレゼンテーションし,専門家からの助言もいただく中で,実現へとつなげて参ります。
挑戦5 文化・スポーツの振興
(歴史・文化・芸術の薫る都市づくり)
5つ目の挑戦は,「文化・スポーツの振興」です。
福山城築城400年に向け,二之丸石垣の再建に向けた発掘調査を実施するほか,史跡保全のため樹木の伐採に着手します。入封400年を記念し,神辺地区などを巡る歴史観光ツアーを実施します。また,神辺本陣の保存・整備を行い,国史跡指定を目指して参ります。駅前再生の取組と連動して,福山駅北口の再整備にも着手します。市民の声を聞く中で,交通結節点としての機能を充実するとともに,福山城周辺にふさわしい歴史・文化が感じられるエリアとして参ります。
(鞆のまちづくり)
鞆のまちづくりにつきましては,「鞆まちづくりビジョン」に沿って,住宅密集地域の防災機能を強化するため,防災広場の整備に着手するなど,住民の皆様が安心・安全に暮らせる生活環境の確保に努めて参ります。
また,重要伝統的建造物群保存地区へ選定された歴史的町並みなどを保存するとともに,にぎわいづくりにも生かして参ります。住民の暮らしと地域の活性化との調和を図りつつ,鞆の歴史的価値を後世に継承して参りたいと考えております。
(スポーツを核とした地域活性化)
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け,メキシコオリンピックチームのバドミントン・スポーツクライミングの事前合宿の受入れやメキシコ選手団と市民との交流にも努めて参ります。市民がスポーツを身近に楽しむ環境をつくるとともに,スポーツを通じて国籍や文化の違いを越えて互いを理解し合うオリンピックムーブメントを推進します。
備後圏域における拠点機能の強化
(拠点機能の強化)
人口減少や経済の成熟化,グローバル化の進展など時代が大きく変わる中,本市には備後圏域の中核都市として,圏域全体の成長をけん引していく責任があります。この責任を果たすためにも,「産業,芸術・文化,スポーツ」の拠点機能を強化していく必要があると考えています。
まず,産業の拠点機能の強化について申し上げます。本市には国内外に誇れる技術力をもった企業が数多くあります。この技術力の強化に向けて,県と市が一致して取り組むことを県知事とのトップ会談で合意いたしました。これを受け,IoT・AIなど最先端技術を創造・活用できる拠点づくりに挑戦し,中小企業の技術開発力を高めて参ります。また,県立東部工業技術センターに県内最新鋭の設備が整備されます。高度なものづくり人材の育成にも取り組みます。
次に,芸術・文化について申し上げます。本年5月にふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)を主会場に「ばらのまち福山国際音楽祭」を開催します。子どもから大人まで参加し,本市の音楽文化との融合を試みる福山ならではの音楽祭にして参ります。また,ふくやま美術館開館30周年を記念し,シャガールなど新たな所蔵品の常設展示や岸田劉生展の開催により,質の高い芸術・文化に触れる機会を増やして参ります。
次に,スポーツです。ラグビーワールドカップ2019や2020年東京オリンピック・パラリンピックなど国内で世界規模のスポーツイベントが連続して開催されることから,近年,スポーツを活用した地域活性化が注目されています。本市におきましては,再来年度,備後圏域の拠点施設となる新総合体育館が完成します。国内外の大規模な大会やプロスポーツ,スポーツ合宿の誘致などに積極的に取り組み,各種スポーツの競技力向上や交流人口の増加につなげます。
新総合体育館の整備に合わせて,ローズアリーナを含めた体育館機能の再編に取り組みます。また,老朽化が進むテニス場やプールについて再編方針を策定し,市民の皆様の声を反映する中で,快適にスポーツを楽しめる機能性の高い新しい施設を整備して参ります。
これら拠点機能の強化により活力と魅力を増し,備後圏域の一体的な発展や圏域外からの新たな人の流れにつなげて参る考えであります。
(連携中枢都市圏)
備後圏域における連携中枢都市圏構想の取組は4年目を迎えます。今年度実施した中間評価を踏まえ,今後は,圏域の共通課題である産業支援や安定した医療提供体制の構築などに重点的に取り組んで参ります。福山ビジネスサポートセンターFuku-Bizの圏域内への出張相談の実施や県と連携した医師・看護師の確保対策を強化します。また,日本郵便と連携し,高齢者の見守り活動も拡充します。こうした取組により,住民の皆様がいつまでも住み続けたいと思える圏域づくりを進めて参ります。
人口減少対策の推進
2016年(平成28年)の本市の出生数は,3,879人と平成の大合併後では最低となり,合計特殊出生率も低下いたしました。住民基本台帳では,昨年まで4年連続で人口が減少しています。人口は都市活力の源泉であり,私は強い危機感を抱いています。
このため,まずは,福山ネウボラの拡充と主要課題である若者・女性の転出超過の是正に向けて先行的に取り組みます。
福山ネウボラの拡充では,生まれてくる子どもたちへ社会からの祝福として,子育てグッズや絵本が入った「あのねHappy Baby Box」を配布します。また,4月に開園する市立大学附属こども園へ相談窓口「あのね」を開設し,教育機関と相談窓口が一体となった新しいタイプのネウボラを誕生させます。市立大学とネウボラの連携により,学術的知見に基づいた専門性の高い助言ができるよう努めて参ります。県が実施する「わーくわくママサポートコーナー」と連携し,女性の就労・再就職支援も充実して参ります。また,不妊治療に対するこれまでの支援に加え,不育症の治療への支援も開始します。
若者・女性の転出超過対策としては,働く女性に優しい社会を目指し,市内に転入する女性や母子家庭等を対象に就職活動や引っ越しなどに要する費用に対する助成制度を創設し,女性のU・Iターン就職支援を拡充します。大学生の市内就職を促進するため,遠方の大学へ通学する市内在住の大学生への支援もスタートします。
また,現在,人口減少対策の既存施策について効果検証に取り組んでいます。検証結果を踏まえて,日本政策投資銀行と連携を密にしながら,本年9月を目途に福山の地域特性を考慮した人口減少対策の全体像を取りまとめます。
以上,新年度予算とその大要について,御説明申し上げました。
市政運営への思い
新年度には,以上に加えて,「地域」を意識したまちづくりに向けた取組を開始します。一昨年から実施している車座トークでは,少子化・高齢化の進行などを背景に,自治会(町内会)の加入率の低下や地域活動の担い手不足を訴える声を多く伺いました。多くの市民が地域コミュニティの維持への危機感を抱いているのです。その一方で,住民に対する日常生活面の支援や防災など,地域が担う役割はその重要性を増しています。
こうした地域に共通する声を受け,学識経験者等を交え,他都市の先進事例などを参考に,地域課題の解決等を検討し,来年度末を目途に,解決方策を取りまとめます。協働のまちづくりを始め,これまで市民が大切に育ててきた地域と市政との関係を大切にしつつ,次の時代を予見する中で,地域コミュニティを維持可能なものへと再構築して参ります。
また,近年の企業の特徴として,包括協定などを通じて自治体との連携を強めようとする動きが見られます。5つの挑戦の加速や地域コミュニティの再構築の検討に当たっては,こうした企業の都市づくり・地域貢献の視点も積極的に取り入れて参ります。
新年度の組織について申し上げます。新たな地域活性化策や福山北産業団地,文化財活用を担当する部署を創設するなど組織を再編いたします。また,経営戦略監の下に,兼業・副業限定で採用した民間高度人材をチームとして編成します。人口減少対策などの重要な政策分野において,新たな視点から客観的に施策を検証し,また,従来の考え方に捉われない柔軟な発想でより効果的な企画立案につなげて参ります。
今を生きる私たちが,直面する様々な課題を次の世代に先送りすることは許されません。変化を恐れず,常に時代を先取りしようとする取組こそが都市の成長を支える大きな力となるはずです。リーダーシップを持って果敢に挑戦し,市政の変化を確かなものにして参ります。
引き続き,「スピード感・情報発信・連携」を市政運営の基本としつつ,現場主義を貫き,活力と魅力に満ちた輝く都市の実現に向け全力で前進して参る所存であります。
予算以外の議案といたしましては,福山市職員定数条例の一部改正についてなど条例案22件,その他の議案として,(仮称)ふたば・法成寺統合保育所新築工事請負契約締結についてなど6件を提出いたしております。何とぞ慎重なる御審議の上,御可決いただきますようお願いを申し上げ,提案理由の説明といたします。
本文は,口述筆記ではありませんので,表現その他に若干の変更があることがあります。