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平成30年6月定例市議会 市長説明要旨
本日は,6月定例市議会を招集いたしましたところ,議員各位には,御参集いただき誠にありがとうございます。
今回提出いたしております諸議案の御審議をお願いするに当たり,当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。
先月24日,近世港町をテーマとした鞆の浦のストーリーが日本遺産に認定されました。常夜燈・雁木・波止などの江戸時代の港湾施設が日本で唯一まとまって現存し,かつて多くの船が寄港し繁栄していた頃の商家・寺社等も数多く残るなど,古(いにしえ)の港町としての魅力が今日まで大切に受け継がれてきたことが評価されたものと受け止めています。今月中には,地域のまちづくり団体などと共に,その魅力についての情報発信や人材育成等に取り組む協議会を立ち上げる予定です。1つの地域が国の重要伝統的建造物群保存地区,ユネスコ「世界の記憶」と合わせて3つの評価を受けているのは,国内ではこの鞆の浦だけです。地域の皆様と協力し,この貴重な歴史・文化資源を国内外に発信するとともに,その素晴らしさを後世に継承して参ります。併せて,県と連携を密にして,安心・安全で住みやすく,活力あるまちづくりを進めて参ります。
ばらのまち福山国際音楽祭について申し上げます。先月,国内外で活躍するアーティストや市民音楽団体が参加し,福山市初となる音楽祭を開催いたしました。リーデンローズを主会場に市内各所でまちなかつながるコンサートを開くなど,短期間で多彩な演奏プログラムが楽しめるこれまでにない音楽祭として,子ども連れの方から高齢者まで幅広い層に喜んでいただけたものと考えております。一方で,事業PRや運営ボランティアのあり方などの課題も明らかになりました。今後,実行委員会で協議し,より良いものにして参ります。音楽の魅力は,世代や言語を越えて人々が交流することにあります。市民の皆様が日常生活の中で音楽に親しむとともに,子どもたちの豊かな感性を育むことができるまちづくりを目指し,将来「ばらのまち福山国際音楽祭」が備後圏域を代表する音楽の祭典となるよう取り組んで参ります。
福山駅前の再生について申し上げます。地権者と事業者を仲介する役割が期待される,いわゆる現代版家守の第1号として,「築切家守舎」が4月に設立されました。伏見町地区を中心に,事業のデザインや地権者に対する物件の活用方法の提案などに取り組まれています。Fuku-Bizと広島銀行による起業の支援体制も整い,リノベーションによるにぎわい創出が具体的に動き出す手応えを感じています。先月21日には,福山駅周辺のエリア価値を高めていくため,第1回福山駅前デザイン会議を開催いたしました。質の高い民間投資を呼び込めるよう,来年度末を目途にハードとソフトを含めた公共空間のあり方などを示すデザイン計画を取りまとめて参ります。
長年の懸案であった旧キャスパの再開発に向けた準備も進められていると伺っております。また,これまでに,駅北側広場の整備の第一歩として埋蔵文化財の発掘調査を行いました。そして,先般,駅の北と南の回遊性を高めるため,福山城南側道路の歩行者優先空間の創出に向けた実証実験と福山商工会議所などによるオープンカフェ等の取組も実施されたところであります。
本市は,本年3月,国の地方再生モデル都市に選定されましたが,こうした国の支援が官民の取組を後押しするものと大いに期待しています。引き続き,国・県との連携の上に官民が協力して,備後圏域の玄関口にふさわしい福山駅前の再生に取り組んで参ります。
IoT・AIなどの先端技術を活用したまちづくりについて申し上げます。先月,先端技術の活用による地域課題の解決などを目的に,シャープ,ソフトバンクとそれぞれ連携協定を締結いたしました。同時に,この2社も含めた「先端技術によるまちづくり官民協議会」を設立し,現在,高齢者の見守りや福山駅前の再生など,産学官が連携して地域課題の解決や新たな都市の魅力創出のための実証事業に向けた検討を進めています。IoT・AIなどの先端技術は,今後,急速に企業活動や市民生活に広まっていくと言われており,官民協議会に参画する企業や大学などの知見等を活用する中で,企業の生産性や市民生活の向上につなげて参りたいと考えております。
福山ネウボラについて申し上げます。ネウボラがスタートしてちょうど1年が経ちました。相談窓口「あのね」では,昨年度末時点で,7,000件以上の相談を受け付けております。相談内容は,妊娠・出産を始め,低年齢の子どもの生活習慣,発育・発達などへの不安が多く,妊婦や子育て中の親にとって身近な相談相手の重要性を改めて感じたところです。妊婦の方には,母子健康手帳を交付してから出産までの間に定期的に「あのね」にお越しいただき,安心して出産を迎えていただきたいと考えております。このため,来所のきっかけとなるよう,出産に対する不安が高まりやすい妊娠後期の妊婦を中心に子育てグッズや絵本などをプレゼントする事業を今月から開始いたします。
また,来月1日からは,不育症に係る費用の助成も開始し,適切な検査や治療を促進することで,出産を希望する方の妊娠へとつなげて参ります。
なお,昨年度,国の定義変更により生じていた保育所の待機児童については,3歳未満児の受け皿となる地域型保育事業の充実や保育所の改築などを行った結果,本年4月には再びゼロとなっております。
引き続き,相談窓口「あのね」の積極的なPRに取り組むとともに,待機児童ゼロの継続など,子どもの健やかな成長を支える福山ネウボラの充実により,希望の子育てが叶えられる社会の実現に取り組んで参ります。
学校再編の取組について申し上げます。先月,服部・駅家東小学校区と東村・今津小学校区の2地域で,新たな学校の設置に向けた開校準備委員会が発足いたしました。保護者や地域住民等にも参画いただく中で,2020年(平成32年)4月の開校を目指し,新たな校名などについて検討して参ります。再編後の地域振興についてもしっかり取り組みます。現在,校舎の跡地利用など全国の先進事例を調査しており,今後,両地域の皆様と意見交換の場を設け,地域の特色に応じた活性化策について議論を深めていきたいと考えております。また,このほかの再編対象校への取組や義務教育学校の設置についても,引き続き,地域で意見交換会などを開催し,保護者や住民の考え・思いを受け止める中で理解を深めて参りたいと考えております。
なお,福山市立中学校において,生徒のけがを市教育委員会へ報告せず,1か月後にいじめを認知するという事案がありました。これを受け,早速,教育委員会や学校が責任を持って再発防止に努めるよう要請をしたところであります。引き続き,子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう取り組んで参ります。
次に,今回提出いたしております議案について御説明申し上げます。
条例案として,「福山市税条例等の一部改正について」など6件,その他の議案として,「福山市庁舎行政棟昇降機設備(1~5号機)改修工事請負契約締結について」など8件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上,御可決いただきますようお願いを申し上げ,提案理由の説明といたします。
本文は,口述筆記ではありませんので,表現その他に若干の変更があることがあります。