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公有水面埋立免許の出願について

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年7月7日更新

事業者である福山市と広島県は,様々な問題を抱える鞆町にとってこの鞆地区道路港湾整備事業が必要不可欠であると考え,本事業の実現に向け,2007年(平成19年)5月23日,埋立地に係る公有水面埋立免許願書を出願しました。
このたびの出願については,公有水面に排水されている方の一部から,同意を頂いていません。このため,得られる公共の利益と失われる利益を比較衡量した資料を出願図書に添付し,出願を行いました。

整備効果パンフレット


本件事業の施行により得られる公共の利益と失われる利益の比較衡量について
(1)   本件事業の施行により得られる公共の利益
 古くから潮待ちの港として栄えた鞆の町は,歴史的な町並みの多くがそのまま残っているが,時代の流れとともに,海上交通から陸上交通に移った現在においては,基本的な都市基盤が劣っている状況にある。生活の根底となる都市基盤がこのまま整備されなければ,生活の不安や不便さから人口減少・高齢化に歯止めがかからず,歴史の継承はもちろん,ひいては町の存続さえ危ぶまれている。
 都市基盤の根幹となる道路においては,市街地中心部の唯一の幹線道路である主要地方道鞆松永線で,幅員が概ね4m程度しかないために,慢性的な交通混雑(混雑度は最大で6.9)が発生しており,いたるところで民家の軒下などを利用した離合を行わざるを得ない状態となっている。その他の市道においても4m前後の幅員のものが多く,狭く屈曲している上に隅切りがとられていないなど,地区内における車の通行は非常に困難な状況となっており,緊急車両の迅速な走行も懸念されるなど,住民は日常生活に不便や不安を感じている。また,県道の一部は通学路にも指定されているが,通学時間に生徒たちは,時には民家の軒下に退避したりしながら連なる車両を避けるようにして通学せざるを得ない状況となっている。さらに,重要な都市基盤のひとつである下水道整備については,こうした道路事情から全面通行止めで施工せざるを得ないが,迂回路がない区間も多く,供用区域を順次拡大していくためには代替となる道路が不可欠となっている。
 また,観光面においても,年間100万人の観光客数を誇る福山市有数の観光地でありながら,駐車場が絶対的に不足しているため,県道への違法駐車が慢性化しており,観光客にとっての利便性が悪いほか,地域住民の交通にも支障が生じている。
 一方,鞆における主要な産業の一つである漁業においても,施設の老朽化や,不足により漁業者は沖合いに船を停泊し,小船で渡船するなど,非効率で,安全性に劣った漁業活動を行わざるを得ない状態となっている。
 このように,鞆の町は,古くからの町並みを残すがために,そこに生活する住民にとっては,非常に生活しづらい環境となっており,安心して暮らせる活力あるまちづくりを進める必要がある。
  本件事業は,こうした鞆の抱える様々な課題を抜本的に改善するために計画されたもので,住民の多数が事業の早期実現を切望しており,事業の実現によって得られる利益は次のとおりである。
〔道路交通の円滑化〕

  •  山陽自動車道ICやJR鉄道駅等から鞆を経由して沼隈半島を一周する2車線道路が整備され,地域間の交流・連携が強化される。
  •  大型車が鞆地区を通行することが可能となり,車両の大型化と走行時間・経費の短縮など物流効率化が図られる。
  •  現在,鞆港手前でUターンしている福山駅方面からのバス路線の沼隈方面への延伸が可能となり,公共交通の利便性が向上するとともに,現在幅員が狭く混雑する道路を走行しているバスの運行状況が改善され,バス利用者の利便性が向上する。
  •  鞆密集市街地に新設2車線道路が近接していることから,これまで,鞆市街地内に流入していた交通(通過交通,観光交通)の多くが新設道路を利用するため,生活交通と通過交通・観光交通が分離され,鞆地区中心部の交通混雑が解消される。(混雑の度合いを示す混雑度は,6.9⇒0.2となる  ※1.75以上:慢性的な混雑,1.00未満:混雑することなく円滑に走行できる)

〔生活環境の改善〕

  •  新設道路を下水道工事中の代替路として利用することができるようになり,現道通行止めに伴う生活への影響を最小限に抑えられることから,下水道工事に着手することが可能となる。

〔安全・安心なまちづくり〕

  •  鞆地区を経由する沼隈半島循環二車線道路が整備され,災害など緊急時における輸送道路・避難道路が確保される。
  •  鞆地区中心部の交通混雑が解消されることから,自動車と通学児童,自転車等が最も輻輳して危険な朝の通勤時間帯ラッシュ時における歩行者の安全性が向上する。
  •  鞆地区中心部の交通混雑が解消されることから,対向車との離合回数が減少し,事故や沿線家屋の損傷の不安が軽減される。
  •  新たな埋立地は公共空地としての機能も有することから,災害時の避難地としての防災機能の強化が図られる。
  •  新たな埋立地の造成により高潮対策として必要な高さが確保されることから,高潮浸水被害を受ける区域の面積が縮小される。

〔観光振興〕

  •  鞆地区を経由する沼隈半島循環二車線道路が整備され,鞆を経由する大型バスによる広域観光ルートの形成が可能となり,観光需要の増加につながる。
  •  鞆地区中心部の交通混雑が解消されることから,現道を歩行者の安全性や石畳など周辺の町並みに配慮した道路としての整備を行うことが可能となり,住民や散策する観光者にも快適で優しい道づくりが推進される。
  •  鞆の重要伝統的建造物群保存地区(予定)の近くに観光客用の駐車場が確保されることにより,観光客の利便性の向上や集客力のアップが図られることから,観光客数や観光消費額の増加など,観光振興による地域の活性化が可能となる。

〔歴史的町並みの保存〕

  •  代替道路の整備などにより,現在の現道を拡幅することとした都市計画道路の変更を行い,伝統的建造物群保存地区を都市計画決定することにより,重要伝統的建造物群保存地区の選定を申し出ることができ,歴史的な町並みの保存の推進を図ることができる。

〔水産業・離島振興〕

  •  小型船だまり施設(物揚場・浮桟橋・荷捌施設等)の整備により,安全で効率的な漁業活動を行うことができる。
  •  フェリーふ頭施設が整備されることにより,新たに走島へのフェリーの就航が可能となることから,走島町住民の生活環境の向上が図られる。また,産業・観光等の地域の活性化につながる。

  なお,本件事業の工事・存在・供用による生活環境等に及ぼす影響について,環境影響評価を実施している。その結果,大気質・水質・騒音・振動等のすべての分野において,環境基準を満たすなどしており,周辺地域に与える影響は小さいと考えられる。
 以上のことから,本件事業の施行により得られる公共の利益は相当程度存する。
(2)本件事業の施行により失われる利益
〔生活〕

  •  埋立区域内の排水口は,本計画内で確保される排水管に接続し海域に放流することから,排水機能は従前と同様に確保されるため,排水機能の損失は生じない。

〔環境〕

  •  埋立区域内の海浜には,県で準絶滅危惧種に指定されているスナガニの存在が確認されているが,埋立地西側へ養浜を別途施工し,その生息地を確保するなど適切な処置を講ずる。

〔文化財〕

  •  埋立区域内には指定された文化財は存在しない。
  •  埋立区域内には,焚場・亀甲状石積という埋蔵文化財が存在するが,工事の影響を受ける部分について発掘調査を実施し,記録保存する等の適切な措置を講ずることとしている。

〔景観〕

  •  埋立地周辺は,文化財保護法による名勝「鞆公園」や都市計画法の風致地区及び自然公園法の瀬戸内海国立公園の特別地域が指定されているが,指定地域は仙酔島及び周辺の島などで埋立地内から離れており,埋立形状などにも配慮することから,本件事業がその景観に与える影響は小さいと考えられる。
  •  港町としての歴史的景観については,本件事業の実施により変化するものの,緑地の整備や歴史的景観と調和した橋梁などの構造物や建築物の整備により,歴史的町並みや歴史的港湾施設との連続性・一体性を確保し,歴史的景観に与える影響を最小限にしている。

 なお,港町としての鞆の歴史的景観は,それぞれの時代の生活に応じて変化する中で形成されてきたものであり,港町としての価値もそこで生活が営まれていることが基本である。現在の鞆地区は,生活環境の悪さから,人口の減少や高齢化などの問題を抱えており,本件事業により生活環境等の改善を図ることが,今後の港町としての景観を維持して行く上でも重要である。

《軽減措置》
 鞆地区道路港湾整備事業は,当初,都市再開発用地や賑わい施設を含む埋立面積約4.6haの計画であったが,広島県文化財保護審議会の答申を受け,平成4~5年に有識者を含めた「鞆地区道路港湾計画検討委員会」を設置し,埋立て橋梁案と山側トンネル案との比較や埋立規模の縮小など検討を重ねた結果,埋立て橋梁案で整備を図り必要最小限の埋立とし埋立面積を2.3haへ縮小している。
 さらに,平成7~8年に学識経験者及び地域の関係者からなる委員会を設置し,「歴史文化と地域生活が調和,共生するまち・安全で快適な生活環境が整った住みよいまち・活力ある地域社会を築くことのできるまち」をまちづくりの目標とした「鞆地区まちづくりマスタープラン」を策定している。
 また,平成8~10年には,有識者を含めた「鞆地区道路港湾景観検討委員会」を設置し,景観面からの検討を加え歴史的町並みや常夜燈・雁木などの歴史的港湾施設との調和を図った計画とし,その後,焚場遺溝の調査とその保存により,平成12年に埋立て規模を2.0haへと縮小している。
 このように,本件事業は,昭和58年に当初計画が策定されてから,広島県文化財保護審議会への諮問等により,歴史的文化財への配慮を行うため,学識者や地域住民の方々で構成される委員会等で検討を重ね,現在の計画に至っている。
 実施にあたっては,背後の町並みに調和しつつ新たな鞆の歴史的構造物となるように,歴史や文化との調和や歴史的景観の保全に配慮しながら進めることとしている。
 以上のことから,本件事業の施行により失われる利益は軽微である。
(3)比較衡量
 以上のとおり,本件事業は,歴史的な文化遺産や景観を保全・保存していくため,文化・工学の学識者や地域住民の意見を尊重し検討を重ねており,その影響は,最小限に低減されており,さらに,文化庁等の指定する歴史的な価値のある範囲に影響を及ぼすことはないものである。
 一方,本件事業の実施は,交通混雑の緩和や生活環境の改善を図るとともに,多くの文化財や歴史的建造物を保存・活用するため,新たなバイパス道路(埋立て橋梁)の整備や交流拠点となる駐車場・フェリーふ頭・小型船だまりふ頭等を整備することで地域としての発展を図るものである。
 したがって,事業の施行によって発生する諸効果は多大で,その公益性は大きなものである。