○福山市男女共同参画推進条例
平成14年3月26日
条例第19号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 基本的施策等(第9条―第19条)
第3章 男女共同参画審議会(第20条・第21条)
第4章 雑則(第22条)
附則
個人の尊重と男女平等を基本的人権として保障した日本国憲法が制定され、我が国では、「国際婦人年」以降の世界的な取組と連動する中で、女性の地位向上に向けた法制上の整備がされてきた。そうした中制定された「男女共同参画社会基本法」においては、21世紀の我が国が少子高齢化の進展、国内経済の成熟化等社会経済情勢の急速な変化に対応していくための最重要課題として、男女共同参画社会の実現を位置付けている。
福山市においても、住みやすさ、働きやすさが保障される「人間環境都市」をまちづくりの基本理念とし、すべての人の人権が尊重され、性別にかかわりなく、その人の個性で活躍できる社会の実現を目指し、さまざまな取組を進めてきた。しかしながら、性別による固定的な役割分担意識などに基づく社会の制度や慣行が今なお根強く存在し、真の男女共同参画社会の実現には至っていない。
私たちは、多様な人々がつどう瀬戸内の拠点都市としての役割を自覚するとともに、個性豊かなばらのまちづくりに向けた先人たちのたゆまぬ努力に習い、社会を構成する男女が共に責任を担い合い、対等な立場で社会に参画する、男女共同参画社会を早期に実現することを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにし、並びにその推進に関する施策について基本的な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、豊かで活力ある地域社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会についての男女間の格差を是正するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与えること、又は性的な言動により相手方の生活環境を害することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、男女が直接又は間接に性別による差別的扱いを受けず、個人として能力を発揮する機会が確保されること。
(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活、職業生活その他の社会生活における活動に対等に参画することができること。
(5) 男女共同参画の推進に向けた取組が国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、男女共同参画の推進は、国際的協調の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な施策として位置付け、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施するものとする。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するに当たっては、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するに当たっては、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携して取り組むものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画に関する理解を深め、男女共同参画の推進に自ら主体的に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に自ら主体的に取り組むとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的扱いをしてはならない。
2 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、配偶者等のパートナーに対して身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、広く市民に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び女性に対する暴力等を助長し、又は連想させる表現並びに性を商品として扱う表現を行わないように努めなければならない。
第2章 基本的施策等
(基本計画)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ市民及び事業者の意見を反映できるよう、適切な措置を講ずるものとする。
3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、福山市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
4 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(推進体制の整備)
第10条 市は、男女共同参画に関する施策を総合的に企画調整し、及び推進するために必要な体制を整備するものとする。
(一部改正〔令和4年条例41号〕)
(附属機関等における男女共同参画の推進)
第11条 市長その他の執行機関は、その設置する附属機関等の委員を任命し、又は委嘱する場合には、積極的改善措置を講ずることにより、男女の数が均衡するよう努めるものとする。
(施策策定等に当たっての配慮)
第12条 市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(市民の理解を深めるための措置)
第13条 市は、男女共同参画に関する市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動を充実させる等の適切な措置を講ずるものとする。
(教育の分野における男女共同参画の推進)
第14条 市は、市民が男女共同参画に関する関心と理解を深めることができるようにするため、あらゆる分野における教育及び学習の振興に必要な措置を講ずるものとする。
(苦情又は相談の申出の処理)
第15条 市が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情を有し、又は男女共同参画を阻害する要因によって人権が侵害されたと認められる市民等(市内に住所を有する者又は在勤若しくは在学する者をいう。)は、市長にその旨を申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、関係機関又は団体と協力し、これに適切かつ迅速な対応をとるものとする。
3 市長は、必要があると認めるときは、第1項の規定による申出に対応するため、福山市男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。
4 市長は、第1項の規定による申出に対応する場合、必要があると認めるときは、調査を行うことができる。この場合において、関係者は、当該調査に協力するよう努めなければならない。
5 市長は、前項の規定による調査により、必要があると認めるときは、関係者に対し指導及び助言を行うことができる。
(調査研究)
第16条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項及び男女共同参画の推進を阻害する問題について調査研究を行い、その成果を男女共同参画の推進に関する施策に反映させるよう努めるものとする。
(男女共同参画の推進に向けた支援)
第17条 市は、市民、民間の団体及び事業者が行う男女共同参画の推進に関する自主的な取組に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(事業者等の表彰)
第18条 市長は、男女共同参画に関する取組の推進を図るため、当該取組を積極的に行う事業者及び民間の団体(以下「事業者等」という。)の表彰を行うものとする。
2 市長は、前項の表彰を行ったときは、事業者等の取組を公表するものとする。
(年次報告)
第19条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 男女共同参画審議会
(設置及び所掌事項)
第20条 男女共同参画の推進を図るため、福山市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置き、次の事項を所掌する。
(1) 基本計画の策定に関し、第9条第3項に規定する事項を処理すること。
(2) 市長の諮問に応じ、男女共同参画に関する重要事項を調査審議すること。
2 審議会は、男女共同参画の推進に関し必要と認める事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織及び運営)
第21条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
3 委員のうち5人以内は公募に応じた者から、その他の委員は学識経験を有する者から、市長が任命する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 審議会は、その定めるところにより、専門部会を置くことができる。
第4章 雑則
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成14年4月1日から施行する。
(福山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 福山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年条例第112号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
附則(令和4年12月19日条例第41号)
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。
(福山市男女共同参画センター条例の廃止)
2 福山市男女共同参画センター条例(平成15年条例第47号)は、廃止する。