○福山市人権尊重のまちづくり条例

令和3年9月30日

条例第36号

本市では、日本国憲法や世界人権宣言の理念を踏まえ、まちづくりの基本理念に「人間環境都市」を掲げ、その実現のため恒久平和の維持、基本的人権の尊重及び市民本位の行政を推進してきた。

しかしながら、性別、年齢、障がいや疾病の有無、社会的地位や生まれ、民族、国籍、性的指向及び性自認などを理由にした様々な差別や偏見が今もなお存在している。

全ての人が基本的人権を持っているかけがえのない個人として尊重される社会をつくっていくためには、市民一人一人が、様々な人権問題について正しく理解した上で、差別を許さない、差別を解消していくという意識を持ち、かつ、行動に移さなければならない。

こうした認識の下、差別のない、誰もが真に大切にされる人権尊重のまちづくりを推進していく決意を新たにし、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、本市における人権尊重のまちづくりに関して、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、人権意識の高揚及び人権擁護に資する施策(以下「人権施策」という。)の推進について必要な事項を定め、差別の解消及び合理的配慮の促進に取り組むことにより、全ての人の人権が尊重される社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 人権尊重のまちづくりは、全ての人が基本的人権を持っているかけがえのない個人として尊重されなければならないとの考えの下、差別のない、誰もが真に大切にされる社会を実現することを基本として取り組まなければならない。

(定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に居住、勤務又は在学する者をいう。

(2) 事業者 市内に事務所又は事業所を有し、事業を営む法人その他の団体又は個人をいう。

(市の責務)

第4条 市は、第2条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、必要となる人権施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、互いの人権を尊重し、自らも人権意識の高揚に努めるとともに、市が実施する人権施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に関わる者の人権意識の高揚を図るとともに、市が実施する人権施策に協力するよう努めなければならない。

(基本方針の策定等)

第7条 市は、第4条に規定する市の責務を果たすため、人権施策に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を策定しなければならない。

2 基本方針は、基本理念に関する事項のほか、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 人権教育(人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)第2条に規定する人権教育をいう。以下同じ。)及び人権啓発(同条に規定する人権啓発をいう。以下同じ。)の推進に関する事項

(2) 人権問題に関する相談及び支援の体制の整備に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、人権尊重のまちづくりの推進のために必要な事項

3 市は、基本方針に基づいて必要な人権施策を推進するとともに、国、地方公共団体その他の関係機関(以下「関係機関等」という。)との連携を強化し、推進体制の充実に努めなければならない。

4 市長は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、第11条に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、基本方針を策定したときは、これを公表するものとする。

6 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(人権教育及び人権啓発)

第8条 市は、人権尊重のまちづくりに対する市民及び事業者の理解を深めるため、人権教育及び人権啓発を推進するものとする。

(人権侵害による被害に係る支援)

第9条 市は、人権侵害による被害救済の観点から、関係機関等と連携し、相談の実施、情報の提供その他の支援を行うものとする。

(情報の収集及び調査研究)

第10条 市は、人権施策を効果的に実施するため、必要な情報の収集及び調査研究を行うものとする。

(審議会の設置等)

第11条 市長の諮問に応じ、基本方針に関する事項及びその他の人権尊重のまちづくりの推進に関する重要事項を調査審議させるため、福山市人権施策推進審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会の委員(以下この条及び次条において「委員」という。)の定数は10人以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 弁護士その他人権施策に関し専門的な知識を有する者

(3) 人権関係団体を代表する者

(4) 前3号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者

3 委員の任期は、第1項に規定する調査審議を終了したときまでとする。

4 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選により定める。

5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(審議会の会議)

第12条 審議会の会議(以下この条において「会議」という。)は、会長が招集し、その議長となる。ただし、会長及び副会長が在任しないときの会議は、市長が招集する。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の会議への出席を求め、その説明又は意見を聴くことができる。

(委員会の設置等)

第13条 第9条に規定する支援を行うに際し、当該人権侵害に係る事案の社会的影響の大きさ等を考慮して必要と認めるときは、市長の諮問に応じ、当該事案を調査研究させ、並びに市及び関係機関等による支援の在り方並びに人権教育及び人権啓発の在り方を審議させるため、福山市人権侵害調査等委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会の委員(以下この条及び次条において「委員」という。)の定数は5人以内とし、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 弁護士その他人権施策に関し専門的な知識を有する者

(3) 前2号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者

3 委員の任期は、第1項に規定する調査研究及び審議を終了したときまでとする。

4 委員会に委員長及び副委員長各1人を置き、委員の互選により定める。

5 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

6 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。

(委員会の会議)

第14条 委員会の会議(以下この条において「会議」という。)は、委員長が招集し、その議長となる。ただし、委員長及び副委員長が在任しないときの会議は、市長が招集する。

2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 委員会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の会議への出席を求め、その説明又は意見を聴くことができる。

(委任)

第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(福山市同和対策審議会設置条例の廃止)

2 福山市同和対策審議会設置条例(昭和42年条例第26号)は、廃止する。

(基本方針に関する経過措置)

3 この条例の施行の際現に定められている福山市人権施策基本方針は、第7条第1項の規定により策定された基本方針とみなす。

(福山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 福山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年条例第112号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

福山市人権尊重のまちづくり条例

令和3年9月30日 条例第36号

(令和3年9月30日施行)