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7月定例市長記者会見

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年9月4日更新

 記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。

 会見日:2018年(平成30年)7月18日(水曜日)

報告事項

・平成30年7月豪雨について

・デンマーク訪問の報告について

会議録

市長

 おはようございます。まず,平成30年7月豪雨についてであります。

 西日本を中心に甚大な被害が出ております。今月5日からの豪雨では,本市においても,これまで経験のない雨量を記録し,2名の方が亡くなるなど,大変痛ましい結果となってしまいました。
 お亡くなりになられた方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに,被災されました多くの市民の皆様に,心からお見舞いを申し上げます。

 また,今回の災害対応や,復旧並びに被災者支援に対して,様々な方面から,大変温かいご支援やご協力,ご尽力をいただいておりますことに対しまして,心から感謝を申し上げます。
 それでは,このたびの豪雨における被害と対応の状況についてご報告をいたします。
 お手元には災害対応状況について第15報という直近の集計結果をお配りしております。それを見比べながら聞いていただければと思います。

 今回の大雨は,72時間雨量が392.5ミリ,これは,2年前の28年6月の大雨被害時と比べますと,その時は48時間で148.5ミリでありましたから,24時間に換算いたしますと,2倍弱の雨量が3日間続いたということであります。2日と3日と期間は違いますが,それぞれの期間の雨量を比較しますと今回が約2.6倍という凄まじいものでありました。

 また,24時間最大雨量は今回が238.0ミリ,2年前は148.5ミリでありました。72時間雨量,そして24時間雨量ともに観測史上1位となる記録的な大雨と言えます。6日には本市で初めてとなる大雨特別警報が発令され,また,芦田川,高屋川でも危険水位を越えるなど,今回の大雨は,これまで経験したことのない極めて大きな災害であったとこのように受け止めています。

 避難情報及び避難状況についてであります。6日21時37分に大雨特別警報が発令されたことを受けまして,同日21時50分に避難指示(緊急)を市内全域に発令をいたしました。
 避難所を最大時では36施設開設をし,避難者数は最も多いときには,2,895人に及びました。

 さらに,雨がおさまった11日においても,ため池決壊の恐れがあることから,熊野町高下地区をはじめ,3地区に対して避難指示(緊急)をそれぞれ発令する事態となりました。
 被災件数等につきましては,現在も確認中でありますが,17日現在の被害の主なものといたしましては,人的被害は死亡2名,建物被害は全壊10件,半壊5件,床上浸水720件などとなっていますが,床上浸水については,今後の確認作業で増えてくることが予想されております。

 また,最大時で,停電が約860戸,断水は約190戸が発生いたしましたが,これらは全て解消しております。
 また,交通機関等につきましても,最大時には,ほぼ全ての鉄道,バスが運休するなど,市民生活にも大きな影響をもたらしましたが,現在,新幹線は通常運転,山陽本線は運休しておりました福山・三原間が,本日再開するなど,少しずつ回復してきています。
 現在は,大雨も終息し,2次災害の危険性も低下していることから,災害対応から,被災カ所の復旧や被災者の生活再建に,その重点をシフトしていっております。

 このように今回の災害は市民生活に大きな影響をもたらしましたが,そのような中にあって,県河川であります福川などの浸水対応のため,広島県を通じて,国土交通省に排水ポンプ車を迅速に配備していただきました。また,県河川吉野川の堤防決壊の際には,決壊直後から,広島県に大型土のうによる応急復旧を,昼夜を問わず実施していただき,早期の浸水解消を図ることができました。

 また,避難指示の発令は,人災等の被害を防ぐために,国・県等関係機関からの気象や水位情報を基に市民に対して迅速かつ適切に周知を行ったものでありますが,エリアメールの避難対象範囲の限定など,より一層の工夫が必要ではなかったかとそのような印象をもっております。

 また,ため池の決壊,河川の浸水対策の更なる強化などが福山市の防災上の課題として改めて浮かび上がりました。今後も,国や県など関係機関との連携を更に強化して,こうした課題に引き続き取り組んでいく必要があります。
 このため,昨日,まだ災害の全容が確定しない段階ではありますが,早速,国・県をはじめ,府中市や関係機関に呼び掛けて,連絡会議を開催いたしました。現時点の情報交換や,課題の共有を行ったわけであります。災害がおさまった段階で必要があれば改めて連絡会議を開催をしたいと考えています。

 また,明日19日からは,本庁舎3階に被災者支援相談窓口を開設し,被災された方に対する支援策の情報提供や生活再建の相談を実施することとしております。これをもって今日まで継続をしてきました警戒態勢を解きます。今日限りに解きまして,被災者の生活支援に改めてその重点を移していくことといたします。

 なお,現在行っております尾道市・三原市への水道水の供給支援や,消防局による坂町・小屋浦地区における行方不明者の捜索活動支援等,近隣市町への支援は継続をしてまいります。また,災害復旧事業の早期の実施につなげるため,災害の立会を申請するための準備に早速入っております。
 以上が,今回の豪雨災害に対するご報告であります。

 次に,デンマーク訪問の報告について申し上げます。
 このたび,デンマークのコペンハーゲンで開かれました世界バラ会連合世界大会に,私をはじめ市議会議長,準備委員会のメンバー等,総勢10人が参加をし,誘致活動を行いました。
 大会には,世界各国から600人を超えるばら関係者の参加がありました。改めてばらのコミュニティが世界に広がっていることを感じました。

 7月2日には,40カ国の代表の前で福山誘致のためのプレゼンテーションを行い,満場一致で,第20回の節目となる2024年(平成36年)の福山での開催が決定をいたしました。4日の大会最終日には,正式発表がなされました。
 これも60年以上にわたる市民の皆様によるばらのまちづくりの成果であると思っています。
 6年後の世界大会には,福山の魅力を国内外に強くアピールするととともに,世界各国からお迎えするばらの愛好家の皆様に満足していただける素晴らしい大会となるよう,日本バラ会,福山市民の皆様とともに準備を進めてまいりたいと考えております。

 当面は,3年後に開催されますオーストラリアのアデレード大会世界大会までに,福山大会の日程,そして基本的コンセプト,また,プレツアー・ホストツアーの概要などをあらかた決定しておく必要があります。これまでの市民局長を委員長とする準備委員会を,副市長トップとして,日本バラ会とも連携するなどその体制を強化してまいりたいと思っております。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック後の国内が注目する国際会議の一つに仕立て上げていくという気持ちでしっかりとした準備に取り組んでいきたいと考えております。

 また,その機会に,自転車やクリーンエネルギーの利活用を推奨する環境都市政策の世界的な先進地であるコペンハーゲン市の取組を視察してまいりました。
 コペンハーゲンでは,市内に自転車専用道路が網の目のように設けられ,サイクリング・ネットワークと呼ばれる自転車道が整備されていました。
 こうしたハード面の整備により,目的地に車よりも早く到着することができるそうです。また,各企業が更衣室やシャワー室や自転車修理場を完備するなどの取組や,電車に自転車専用車両があることなどが,自転車利用の促進にもつながっていると感じました。

 自転車利用の実態を見ようと,朝の通勤時間帯に訪れたノアポート駅,コペンハーゲン駅の隣の駅でありますが,そこでは,多くの自転車が行き交っておりました。駐輪場は全て無料で,自転車が散乱しないよう,駐輪場を歩行者通路よりも一段下げてハッキリと区分けをするとこのような工夫もされていました。
 また,市内各所で各ホテルのレンタサイクルや行政による電動アシスト自転車のシェアサイクルも確認され,地元市民だけでなく,観光客も移動手段として自転車を使っておりました。

 コペンハーゲンには歴史的建造物が数多く残っており,建物や景観を保存するため,各地域固有の法律があるそうです。窓や屋根の傾斜,壁の色など多くの規制があり,そしてそれらが厳しく保存・活用のために効力を発揮しているということでありました。古いものはとにかく残すというのがコペンハーゲン流の街づくりであります。道路は歩行者天国化され,観光客を含め多くの人が集まっていました。私たちは歩行者空間の意義を語るとき,「にぎわいの創出」という言葉を使いがちでありますが,現地の方が「歩行者空間は人々に社会性をもたらす取組」という言葉をよく口にされておりましたのが印象的でありました。
 視察の結果をもとに,今後本市の自転車行政・施策についての工夫につなげていきたいと考えております。

 私からの説明は,以上であります。

質疑応答

記者

 2点お伺いいたします。
 1点目。世界バラ会議について先ほど市長のお話にもありましたもう1点を詳しくお伺いします。コペンハーゲン大会で市長がプレゼンテーションなどをされる中で,大会の関係者から「このような大会にしてほしい」など要望や期待の声はありましたら教えていただきたいなと思います。
 2点目。メキシコオリンピックチームの合宿についてです。6月21日から7月11日まで行われました。最後のあたりは大雨災害ともかぶることになりましたが,市として受け入れてみての課題や評価点,そういったものがありましたら教えてください。

市長

 ありがとうございます。まず世界バラ会議についてであります。
 大会開催委員長を務めた,世界バラ会連合の前の会長のヘルガ・ブリシェさんからは,私のプレゼンテーションを聞いて,このような言葉をいただきました。「プレゼンの内容は大変興味深いもので,福山は日本のどこにあって,どのようなところなのか。福山のばらの歴史や,またなぜ市民がそれほどまでにばらに関心を持ち,まちづくりを進めているのか,などが印象付けられた。委員全員が興奮した。」このような感想をいただきました。

 また,ヘルガさんは昨年10月,福山に事前の視察に来られておりますが,この時も福山市民のおもてなしに大変良い印象を持っていただきました。「世界各国からの参加者が,福山のばらや,とても親切で素晴らしい方々と触れ合え,福山を十分に堪能いただき楽しむことができる大会にしてください。」このような期待の言葉を今回改めていただきました。

 次に,メキシコオリンピックチームの合宿についてであります。
 メキシコの選手団は,6月21日に2競技が福山入りいたしました。スポーツクライミングチームは7月6日までの16日間,バドミントンチームは7月11日までの21日間,合宿を行いました。

 合宿時には,大学や民間事業者からの練習施設の提供,本市競技団体や実業団チームによる練習サポート,ボランティア通訳など多くの皆様にご支援・協力をいただきました。また,小学校での給食体験やレクリエーション,そして地域の皆様との里山体験や夜店体験など,多くの交流事業も実施をいたしました。
 合宿にご協力をいただきましたさまざまな方々に,改めて御礼を申し上げます。
 概ね良好な受け入れ態勢ができたのではないかと思っております。

 スポーツクライミングのアルフレッド会長,そしてバドミントンのオロスコ会長からは,次のような言葉をいただきました。「練習会場や宿泊施設ともに期待どおりのものだった。」と,「練習と交流事業のバランスも良かった。」「園児や児童,市民の皆様の素晴らしいもてなしに感謝をしたい。」とこのような声でありました。
 また,競技団体の皆様方からは,「競技力の向上に向けた良い刺激につながった。」「交流を通じて競技団体の団結力が高まった。」このようにおっしゃっていただいております。
 また,通訳ボランティアの皆様からは,「直接選手と接することができて嬉しかった。」「来年に向けてもっとスペイン語を学びたい。」このような声をいただいております。

 先ほども,ご質問にありましたが,合宿チームの帰路を豪雨災害に巻き込まれまして,交通手段が寸断される中,予定を変更して,バスで成田空港まで長時間かけて帰っていかれました。そのようなことになってしまいました。こうした経験も次回以降の合宿につなげながら引き続き良好な受け入れ環境の整備に努めていきたいと思います。
以上であります。

記者

 さきほどの災害についてですが,ため池の決壊と河川浸水の防災上の課題が浮かび上がったと言われましたが,具体的にそれぞれどのような課題を認識されたか,またこれからどのように対応されていくか,お考えをお聞きかせください。

市長

 今回,11日に避難指示を3回発令しましたが,いずれもため池の決壊への懸念についての情報があったためです。そのようなことから福山市内に2,000以上あるため池の管理の在り方については,地域の皆さん,あるいは管理者の皆さんも含めて,そしてまた県も含めて,どのような日常管理の強化ができるかを考えていきたいと思いました。

 それから,今回幅広い地域で浸水被害が発生してしまいました。もちろん今回は大変な雨量だったことをまずは受け止めたうえで,今回の被害を冷静に見極め,評価していくことが必要ですが,結果的に多くの方々が被災されたと,これまで県や国で対応して頂いたことについては,現時点での評価では一定の成果があったと思っております。

 さらに,これまでの取組を加速化できないかという観点から,今後国や県と調整していきたいと思います。大きな方向性としては間違っていなかったのではないかと現時点では思っております。それをもっともっと加速化・強化していかなくてはいけない,これが今後の浸水対策の柱ではないかと思っています。

記者

 関連して,駅家町のため池の決壊によって女児が亡くなるという痛ましい事故がおきましたが,ため池は防災重点ため池には該当しない,指定されていないと。このあたりについて市の対応について伺いたいと思います。

市長

 ご質問にありますように,当該ため池が防災重点ため池,あるいは,県ではこのことを重要ため池と呼んでいますが,重要ため池に指定されていないことは事実です。これまで市内のため池全般について,県との間で重要ため池の指定について色々とやりとりをしてまいりましたが,現在は県であらためて指定の基準の見直しに着手しているということです。そうした県の見直しを踏まえて,適切な指定がなされるように県と市で協議を急いでまいりたいと思います。

記者

 災害関係の質問ですが,ため池等の対応についてあったのですが,今回の災害全般の市の対応について適切であったのかどうかということを市長のご認識をお伺いしたいと思います。

 それと,市の体制を今後支援の方向に舵を切るということですから,今後の検証ですね,ハード・ソフトを含めた市の体制の検証もあろうかと思いますので,そういったところをどういった工程で今後進めていくのかお考えがあればお伺いしたいと思います。

市長

 避難指示の出し方,あるいは避難情報の出し方,これについては遅れることなくできたと考えております。大変地域の交通に混乱をもたらしかねない避難指示の発令は,各首長とも大変悩まれる話だということですが,今回改めてそれを肌身で感じました。

 私は空振り終わってもいいからとにかく避難をしていただく必要があるときには,迅速にそれを発出するという思いで臨みました。また,その災害対策本部・警戒本部には,各機関からリエゾンの方が多く来ていただきました。もちろんこれで十分,満足するということはないですけれども,それぞれの方とも連絡は密にできました。それが国や県の迅速な行動につながりました。もちろん,事前の行動,発災後の行動色々あると思います。どうしても事前の災害防止に努めることができなかった場合には,発災後の事後の迅速な対応が重要になってまいります。いずれにおいても十分な動きをしていただけたと思っております。

 一方で,課題がないわけではありません。先ほど冒頭の話の中でも申しましたが,避難指示を出す場合に,あまり幅広い対象に発出してしまうと,地域に大変な混乱を巻き起こします。
 実は,西中条でため池が決壊をしているという情報がありました。そしてその時に決壊しているという情報を得た以上,急がないといけないと判断し避難指示を出しましたが,実はその発出先が1,600戸に及ぶということがその直後に判明しました。そうした反省を踏まえて,次に東中条で避難指示を出した際に,地区を限定し90戸のエリアに指示を発令するということにつなげました。ただその後に,さらに考えてみますと,本当にため池の影響を受ける戸数は30戸程度ということも分かりました。こうした経験を今後に生かしていきたいと思います。

 避難指示が本当に避難につながっていたのかどうか,人口47万に対して避難者数は2,895名です。こうしたものを今後検証していかないといけないと思います。皆さん地域の判断で,どこか安全な場所に避難していただいていると思っております。いずれにしても検証になろうかと思います。

 また,一部の避難所では混乱があったということであります。2,895名よりも多くの方が避難所に殺到していた際には,うまく収容につながったのかどうか,こうしたものもみていかないといけないと思います。

 今回特に感じましたのは,避難指示を出すときに私たちは時間との争いということが頭をよぎるものですから,まず指示を発出するときに,事前にその地区の責任者,たとえば町内会長に一報したうえで避難指示の発令ができれば,地域の混乱をより小さくできるのではないかなど,改めてしっかりした検証が必要でありますが,私の印象としてはそうしたものが当面の大きな課題としております。さっそく今後の各機関の抽出された課題を持ち寄って,今後につなげていきたいと思います。

記者

 検証していくということですが,先ほど国や県や府中市など,連絡会議があると言われたのですが,そうした中で検証されていくのか,あるいは市として改めて会議体というものを立ち上げて検証するのか,そのあたりはいかがでしょうか。

 それともう一点,これからの復興に向けて,補正予算についての考え方が現時点であればお示しください。

市長

 検証の場ですが,さまざまな場で検証していくことになると思います。特に市役所の中で,新たな組織体,検証の場を立ち上げることは考えておりません。2年前の大雨災害時以降もそうした検証の取組をしております。そうした取組を再び今回の豪雨災害を受けて検証の場にしていくということだろうと思います。そしてそれぞれの機関が課題の抽出を終え,今後に対する方向性が粗方固まった段階で,また関係機関の連絡会議というものを設けていきたいと思っております。そのときには,しっかりした数字をもってある程度確定した数字をもって議論ができるのではないかと思います。

 補正予算でありますが,何よりも早い災害復旧事業の着手に向けて取り組む必要があります。9月補正に事業費を計上できるよう早速取組を始めています。

 通常,被災箇所を確認する,つまり被災箇所の調査設計を地元自治体が開始し,国土交通省と財務省から,あるいは農林水産省から災害被害が承認されるまで2カ月くらいかかるのが通例ですが,そういう通例のペースでいくと9月補正に間に合いませんから,それを急いでいただいております。なんとか9月補正に大きな箇所については盛り込めるように取組を開始いたしました。

記者

 引き続き,駅家の災害について質問させていただきます。該当地区は重点ため池に指定されていなかったということですが,重点ため池に指定するかどうかは,私の取材で県と市が協議して決めるということを聞いているのですが,なぜ重点ため池にあの2つの池が指定されなかったのか,これは歴史が古すぎて分からないという答えであればそれで構いませんし,なぜ指定されていなかったのかということと,どうすれば地域の災害を防ぐことができたのかということと,3つ目は,市内に175カ所の防災重点ため池があると思うんですけれども,ハザードマップの作成とか公表がされていないんですが,これは県がするべきことだと言われればそれまでですが,それについて市長のお考えをお聞かせください。

市長

 まず,改めて3歳の女の子が亡くなった今回の事案については大変痛ましい出来事だと思っています。そのうえではっきりさせておかないといけないのは,このため池の崩壊と防災ため池の指定は必ずしも一致しないということです。

 直接の起因はその上にあるグランドが崩壊して,それがため池を決壊させ,被害をより大きくさせてしまったということを考えないといけないと思います。そして,なぜ指定がなかったのかということでありますが,これは先ほど申し上げましたが,これまで県との協議はしてまいりましたが,結果的に指定につながっていないということであります。

 なぜそうなのかということも,今後県と協議の中で検証していきますし,今我々がやるべきことは早く県に重要ため池あるいは防災重点ため池の指定の基準を整理していただいて,その見直し後の基準に沿って早く市内のため池を必要数は全て重要ため池に指定していただくと,そういうことにつながっていくことだと思います。175カ所の現時点で指定されている市内の重要ため池については,現在ハザードマップを作成中であります。年度内には175カ所のハザードマップの作成を終えるという計画で進んでおりました最中の出来事であったということであります。

 どうすれば今回の災害を防ぐことができたのかというご質問がありました。これまでの情報によれば,予兆がなかった,あるいはため池についてもそうした変調の情報が得られていなかったということからしますと,なかなか今回の事故を未然に防止できたかというのは難しい面があったのかもわかりません。ただ幼い命を奪われたということもありますので,そこはしっかりと念には念を入れて検証していきたいと思っております。

記者

 ハザードマップを作成中ということだったのですが,これは市ですか,県ですか。

市長

 市ですね。

記者

 防災重点ため池の指定と事故との因果関係は難しいところがあると思いますが,その中で住民にため池の存在であるとか場所であるとかをいかに届けるかが大事になってくると思います。それがハザードマップになってくると思います。市内には2,000カ所のため池があるわけですが,ため池は公益性があるもの,一方で災害のリスクがあるものがあり,どのように住民へ示していくか,認知してもらうか,それについてはどのように思っておられますか。

市長

 そのとおりだと思います。よりため池の存在を地域住民に知ってもらうか,その取組を怠るわけにはいかないと思います。

 一方で難しいのは,利活用されていないため池も数多く存在しているということです。そうしたことも含めて県の重要ため池の指定の基準の見直しに沿った適切な指定,そうしたことも踏まえながら,住民への周知をさらに強めていく必要があると改めて感じています。

記者

 ため池をめぐっては,東日本大震災とか九州豪雨でも決壊があり,災害については注目されていますが,先ほど市長が言われたとおりため池の住民への周知,使われていないため池があり,重点ため池ではないものもあると。市としてのため池への災害リスクの認識について,教えていただけますか。

市長

 災害につながるリスクのより大きなもの,そうしたものから優先的に必要な対応をしてそれに備えていくと。そして,よりリスクの低いものはそれに準ずる形でどう対応・周知を図っていくか。これは当然の順序論であります。そのために先ほどから申し上げておりますように,よりリスクの高いものについて,県が見直す新たな基準に沿って適正に指定をしていただく。そうすることによってリスクの大きな池については軽減をする,ということを優先させるべきではないかと思っています。

記者

 これまでの市のため池への認識はどのように考えていたのですか。

市長

 数多くため池があるということですから,そういう意味では豪雨災害のときに,いち早く関心が向くことは間違いのない存在です。そして必要に応じて市の職員や管理者,あるいは土木常設員に見回りに行っていただいている。そういう意味では,できる限りの被害の防止に向けた対応については努めているつもりです。

 ただ,2,000カ所以上あり管理者もいない,そうしたため池全てに対して,ことあるごとに見回りができているかといえばできていない。そういうことも含めて今後の課題検証の際の論点にしていかないといけないと,このように考えています。

記者

 重要ため池の指定は最終的には市がするものでしょうか。

市長

 指定は県です。

記者

 被災者への支援についてお尋ねします。17日17時現在で19人が避難されていて,建物の被害も全壊半壊含めて15件あると。市長は先ほど3階に窓口を設置して生活支援の相談に乗っていくと話をされましたが,自宅に戻れていない人,実際に避難所にいる人は相談に来るのは難しいのではないかと思うのですが,こういう人へのフォローはどう考えているのかということと,市として独自に何か支援策を考えているようなことがあれば教えていただきたいと思います。

市長

 避難所で長期滞在されている人については,もうしばらく避難所に留まっていただく予定です。ただ月内には住居の確保ができる見通しになっています。その間はご不便をかけるということであります。したがってそういう意味でも警戒態勢を解いて,被災者支援に移行するということであります。

 もちろん避難所にいる間の健康管理や必要な物資の供給は市の職員がいるので,職員を通じて被災者支援相談窓口に常駐している職員を通じて関係各所につなげていくことで支障のないようにしていきたいと思っています。必要があれば市の独自の支援策も考えていきますが,現在のところ災害救助法,生活再建支援法,特定非常災害特別措置法など国の法律が発動しているので,そういう中でしっかりとした対応にまずは努めていきたいと思っています。あらゆることをしていきます。

記者

 浸水の件ですが,大量な雨量が大前提であると思うのですが,山手町等では2年前に続いて広範囲な浸水がありました。一定の成果があったとお話いただきましたが,具体的にはどのあたりが一定の成果で,また今後加速させていきたいというのはどの部分なのか,具体的にお話いただければと思います。

市長

 今回と2年前を比べてみます。先ほど2年前の6月に48時間雨量で148ミリを記録したと申し上げました。この時点と今回同程度の雨が降った段階で,どのような市内の状況であったかを比較してみました。

 2年前,150ミリ前後の総雨量が降った段階で,瀬戸川流域では道路冠水・床上浸水・床下浸水が既に発生していました。床上浸水でいえば瀬戸町と佐波町で5カ所・3カ所,床下浸水は全体で16カ所,道路冠水は全体で26カ所,このような浸水が発生をしていました。その時と同じ雨量が今回降った段階では,道路冠水も床上浸水も床下浸水も全くありません。これは瀬戸川流域です。瀬戸川の河川の先行掘削,国土交通省のポンプの迅速な活動の開始,もちろんそのためには広島県を通じた要請がありますが,こうしたことが背景にあったのではないかと思います。

 それから手城川流域については,もう少し検証は必要ですが,2年前は道路冠水16か所あったのが今回は8カ所ですね。こうしたところが一定の成果としては挙げられるのではないかと思っています。ただ,多くの方が床上・床下浸水の被害があったので,そういう意味ではさらに取組を加速しないといけないということであります。一番抜本的な対策とすれば,現在の瀬戸川流域と手城川流域の河川改修計画を加速化することにつきますね。そのうえで,更にどのような手法を加えることで更にその効果を早期に発動できるか,そういったことを今後の議論の中で意見を出し合って取り組んでいきたいということですね。

記者

 農業被害について,市民の方から不安の声があったか分かりませんが,田植えシーズン直後の被害であって,今後のことを不安視する声があるのですが,被害状況は把握しておられますか。

経済環境局長

 現在,確認しているところですが,農作物の冠水3件,農地の崩壊1件,土砂の流入4件ですが,随時情報を得ている段階です。被害額ですと水稲の関係ですと約200万円ということですが,今後は詳細についても確認をして,随時対応していきたいと考えています。

 以上。