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3月定例市議会市長記者会見

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月25日更新

 記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。

 会見日:2020年(令和2年)2月10日(月曜日)

報告事項

世界バラ会議福山大会について

福山市地域おこし協力隊候補者決定について

山野峡キャンプ場の再開について

3月議案・来年度予算について

会議録

市長

 まず,世界バラ会議福山大会についてご報告をいたします。

 この度,日本政府観光局(JNTO)が主催する「2019年度国際会議誘致・開催貢献賞」の「国際会議誘致の部」に,第20回世界バラ会議福山大会が選ばれました。

 この賞は,2008年度(平成20年度)に創設され,国際会議の意義の普及・啓発や国際会議の開催を推進するため,優れた功績を表彰するものであります。今月26日に東京国際フォーラムにおいて表彰式が行われます。この受賞を励みに,2024年の世界バラ会議福山大会の成功に向け,多くの市民の皆様と力を合わせて取り組んでまいります。また,引き続き,国内外から人や情報が集積し交流する,そんなMICE誘致を推進してまいります。

 2点目であります。福山市地域おこし協力隊員候補者が決定をいたしました。木下友貴さんを地域おこし協力隊員候補者として決定いたします。

 地域おこし協力隊員は,最長で3年間,地方自治体の委嘱を受け,地域に生活の拠点を移し,地域協力活動を行いながら定住をめざすものであります。着任日は,4月1日を予定しております。本市では本年度から新たな人口減少対策を進めており,行政や企業,団体等で組織する「みんなのライフスタイル応援会議」において,「働き方改革の推進」や「男性の育児参加促進」などに官民連携で取り組んでいます。こうした取組を推進するにあたって,木下さんには強力な情報発信力を生かしていただいて,市内外へ効果的に発信をし,取組の輪の拡大につなげていきたいと考えています。

 また,子育てインフルエンサーとして,すでに大活躍されている木下さん独自の目線で,福山市の魅力を市内外に情報発信をしていただき,「働きたい・住みたいまち福山」の発信,そして地域力向上につなげていきたいと考えています。

 次に3点目のご報告であります。山野峡県立自然公園キャンプ場が再開することとなりました。

 平成30年7月豪雨によって長らく閉鎖しておりましたが,この間,山野峡を守る会の皆さんや地元の町内会等とともに,県に対して早期の復旧を要請してきました。3月16日(月)からの再開となります。

 山野峡の四季折々の豊かな自然の中に位置するキャンプ場は,夏には川遊びや渓流釣りも楽しめることなどから,県内外から利用者が訪れる人気の施設となっています。市中心部から車で1時間弱で行くことができます。ぜひ多くの皆様方に,山野峡の自然を堪能していただきたいと思っています。

 それでは引き続き,3月議会の案件についてご説明をいたします。

 3月議会につきましては,本日,招集告示を行い,2月17日から開会することといたしました。第1次分として提出いたします内容について,ご説明をいたします。

 まず,報告案件であります。「損害賠償の額を定めること及び和解の専決処分の報告について」の1件であります。

 次に,予算案件ですが,「令和2年度福山市一般会計予算」を始め16件であります。

 次に,条例案件ですが,「福山市事務分掌条例の一部改正について」を始め28件であります。

 次に,単行議決案件としては,「(仮称)鞆町町並み保存拠点施設整備工事請負契約締結について」を始め13件であります。

 以上,3月議会へ1次分として58件を提出いたしております。

 それではこの内,「令和2年度予算の概要」についてご説明申し上げます。令和2年度の予算は,一般会計1,737億9,000万円で,前年度に次ぐ過去2番目の規模といたしました。今日私からは予算の特徴とその重点施策について,かいつまんでご説明いたします。

 まず,予算の重点施策を取りまとめたものであります「ふくやま未来づくりビジョン2020」についてご説明してまいります。

 これまでに取りまとめた抜本的な浸水対策と,新たな人口減少対策に加えて,今年度末までにはネウボラ事業計画,駅周辺デザイン計画,ICT戦略,MICE戦略を順次取りまとめることで,本市の都市力を高めていくための3つの「備え」を中期的展望をもって体系化してまいります。今後は,これら中期的視点を踏まえ,各地域力を高めながら,また,備後圏域の連携も強めながら,新たな都市づくりにつなげていきます。

 新年度はこれまでの取組の集大成の年でもありますが,同時に都市機能の更なる強化に向けた新たなスタートの年であるとも考えています。今後,本格的な人口減少社会が到来いたします。そうした時代にあっても,子どもから高齢者までもが笑顔で暮らせる,活力と魅力に満ちた都市づくりを進めていく必要があります。それは,安心して子どもを産み・育てることのできる,健康で長寿の社会であり,そして同時に,活発な産業活動が展開され,若者や女性を惹き付ける都市でもあります。こうした社会を先端技術を積極的に活用しながら実現してまいります。

 まず,備えの1番目の柱ですが,「頻発する自然災害への備え」であります。昨年も全国各地で自然災害が相次ぎました。安心・安全なまちをつくりあげるため,ハード・ソフト両面から3つの対策を強化します。

 1つ目は,抜本的な浸水対策です。2023年度(令和5年度)までの概ね5年間で国・県・市において,それぞれに集中的に実施してまいります。

 2つ目でありますが,ため池の安全対策を強化します。市内で1,110か所ある防災重点ため池について,継続的に利用する場合は耐震工事を,利用しない場合は廃止に向けた工事を進めてまいります。

 3つ目でありますが,地域・行政の防災力強化です。一人ひとりの避難計画であるマイ・タイムラインについては,新年度では,県が作成する「ひろしまマイ・タイムライン」を小中学校の防災教育で活用し,防災意識の向上に努めます。また,洪水や防災重点ため池に関するハザードマップを早期に作成・配布することで,災害時の的確な避難行動へとつなげてまいります。

 行政の防災機能も高めてまいります。災害時にも業務が行えるよう,本庁舎の南側に別棟を整備するほか,老朽化した非常用発電機などの更新にも着手します。

 次は,「本格化する人口減少への備え」2番目の備えであります。人生100年時代を見据え,子育て世代や子どもたちへの未来の投資を継続するとともに,高齢者が元気に自分らしく活躍できる社会を実現します。

 1つ目は,ペルソナの満足度向上に向けた取組です。人口減少対策のターゲットである9つのペルソナに対し,官民連携によるプロジェクト「みんなのライフスタイル応援会議」を中心に,働き方改革の推進,子育てパパ活躍ウィークの実施など男性の育児参加促進といった取組を着実に進めます。先ほども申し上げましたが,木下友貴さんにも大いに活躍をしていただきます。

 また,新たに,スーパーグローバル大学などと連携し,全国で初めて,AIによる施策の有効性の検証を行っていきます。また,本市独自の体験プログラムを拡充し,ワーケーション事業を強化し,首都圏などから地方への新たな人の流れを加速いたします。

 次は,福山ネウボラであります。母子保健と子育て支援を一体的に提供できるよう児童部と保健部を再編し,ネウボラ推進部を新たに設置いたします。1月に開所した「あのねぬまくま」を含む,中核市でも最多の13か所の相談窓口により,特に妊娠後期の子育て家庭の相談実施率100%をめざしてまいります。また,子育てに不安を抱える家庭の状況を把握し,早期の支援につなげてまいります。また,来月には市内最大級の大型遊具を備えた総合体育館公園がオープンします。こうした親子で楽しく過ごせる場の充実にも力を入れます。

 次は,健康長寿社会の実現に向けた取組,フレイル予防を本格的に導入します。地域ごとにフレイルサポーターを中心としたフレイルチェック体制を整え,健康を見える化することで,最適な支援へとつなげます。また,モデル地域を設け,ICTを活用した取組を実施してまいります。

 3番目の備えでありますが,「備後の拠点都市としての備え」についてです。活発な産業活動が展開され,若者や女性を惹きつける都市になるよう,近未来技術など新たなイノベーションを活用し,クリエイティブで開かれた都市づくりを進めるため,6つの柱に整理をいたしました。

 1つ目は,福山駅周辺の再生です。3月末に取りまとめる予定のデザイン計画に基づく具体的な取組を着実に実施していきます。三之丸町周辺エリアでは,民間事業者による再開発に向けた建築工事がいよいよ始まります。県とも連携して,しっかりと支援をしていきます。伏見町周辺エリアでは,リノベーションまちづくりによる好循環を継続することに加え,せとうちツーリズムの玄関口機能を開設していきます。中央公園エリアでは,Park-PFIによる新たなにぎわいにつながる施設を整備します。福山城周辺エリアでは,駅北口広場駐車場等の解体に着手し,交通混雑を解消し,玄関口としての機能を高めるための整備をスタートします。エフピコRiMについては,今週13日のデザイン会議において,これまでの調査結果を踏まえた本市の方向性案を提示する予定であります。各エリアの価値を高め,それぞれをつなぐことで居心地がよく歩きたくなるそんな駅前をめざしております。

 2つ目は,スマートシティへのチャレンジです。ビッグデータやIoT・AI,5G等の先端技術を地域課題の解決などに積極的に取り入れます。自動運転やオンデマンド交通により,地域住民の安心・安全で便利な移動手段を確保します。また,安定した医療提供体制の確保の一環として,医療機器などを車内に搭載したヘルスケアモビリティの実証実験を新たに実施します。市内企業の生産性向上の取組を後押しするため,企業のICT導入を支援します。子どもたちが先端技術を体験できる場づくりにも取り組み,新たな時代に生きる人材の育成につなげます。新年度は「先端技術による都市づくり元年」として,「実証」から「社会実装」の年にしてまいります。

 3点目であります。強靭な地域経済の確立であります。地域経済を支える産業基盤として,福山道路の整備や福山港のふ頭再編改良事業を着実に進めます。福山北産業団地第2期事業については,2023年度(令和5年度)の分譲開始に向け,引き続き取り組んでまいります。

 4つ目であります。MICE誘致の推進です。国内外から人や情報が集積・交流し,経済効果も高い国際会議等の誘致をめざすため,3月に取りまとめる予定のMICE戦略に基づき実行してまいります。まずは,目玉となる世界バラ会議福山大会に向けた準備を本格化します。

 5つ目でありますが,外国人に選ばれる環境づくりです。キャッシュレスなど,インバウンド観光の受入環境の充実に取り組むほか,情報発信も強化してまいります。行政サービスの多言語化として自動翻訳アプリを導入するなど,多文化共生も推進してまいります。

 6つ目は,歴史・文化・スポーツについてです。3回目を迎えるばらのまち福山国際音楽祭については,春のばらのシーズンに合わせ,5月7日から10日までの4日間,リーデンローズを中心に開催します。新たに市民参加のリレーコンサートも開催いたします。幅広い世代が楽しむ,そして演奏家と聴衆が一体となる,そんな音楽祭をめざしてまいります。

 令和4年に築城400年を迎える福山城については,天守の耐震化に加えて,全国の城で唯一といわれる天守北側の鉄板張りのほか,外壁の全面塗装替えも行い,往時の姿に復元してまいります。また,博物館を大きくリニューアルするとともに,エレベーターの設置など,バリアフリー化にも着手します。

 総合体育館「エフピコアリーナふくやま」のプレオープニングイベントとして,来週22日から,Vリーグのファイナルステージを開催します。また,3月20日のグランドオープン当日には,パラクライミング日本選手権も開催されます。同時オープンする総合体育館公園と芦田川かわまち広場一帯を備後圏域の新たな交流拠点にしてまいります。

 次代を担う子どもたち一人ひとりが,変化の激しい社会をたくましく生きることができるよう,少子化や多文化共生などの社会課題を題材とした探究学習による子ども主体の学びづくりを実践するほか,イエナプラン教育校や特認校など多様な学びの場の整備にも取り組んでまいります。

 以上が備後の拠点都市としての備えの6つの柱であります。

 次は連携中枢都市圏構想についてであります。

 新年度から,第2期びんご圏域ビジョンがスタートします。次期ビジョンはFuku-Bizによる中小企業の支援など,これまでの取組を基本に,圏域の一体的発展に向け,4つの重点プロジェクトに取り組んでまいります。すなわち,「びんごイノベーションエコシステム形成支援プロジェクト」,「広域観光・交流プロジェクト」,「医療連携強化プロジェクト」,「行政サービス効率化プロジェクト」であります。引き続き,本市がリーダーシップをしっかりと発揮し,備後圏域の未来を実現してまいります。

 以上,「ふくやま未来づくりビジョン2020」について申し述べました。

 次に,令和2年度予算の特徴についてご説明いたします。

 新年度は,未来づくりの分野に一般会計の政策経費の49%に相当する総額約159億円を配分いたしました。

 このうち3つの備えの充実として,「頻発する自然災害への備え」に約67億円,「本格化する人口減少への備え」に約22億円,「備後の拠点都市としての備え」に約60億円,計149億円を投入いたします。

 次に財政の健全性の確保についてであります。主要な財政指標である「経常収支比率」は,今年度と比べて0.2ポイント上昇し,84.4%となりますが,引き続き低い水準を維持しています。この0.2ポイントの上昇の要因でありますが,会計年度任用職員制度への移行に伴う人件費の増加,いわば,制度改正による人件費の増加や,介護保険特別会計などへの繰出金の増加によるものであります。

 次に,実質的な負担を示す財政指標のうち,「実質公債費比率」は1.3%で,3年連続で1%台を維持しています。「将来負担比率」は,将来活用可能となる財源額が将来負担額を上回ることから,6年連続で比率は算出されておりません。

 市債についてであります。この表の中には表示されておりませんが,臨時財政対策債を含めた市債発行額は約156億円となっております。総合体育館の完成などによる投資的経費の減少により,今年度より約22億円減少しています。それらの結果,市民1人あたりの市債残高は32万4千円であります。目標にしています35万円を下回る状況を確保しております。

 次であります。持続可能で強靭な財政運営を可能とするため,総合的な財源確保策に計画的に取り組んでいきます。新年度から2024年度(令和6年度)までの5年間で,87億円を目標額とする,財源確保策に取り組みます。このうち,新年度は3つの視点から19億円の財源確保を可能といたしました。

 1つ目でありますが,行政事務のスマート化です。先端技術を積極的に導入し,事務を効率化してまいります。

 2つ目の視点は,既存財産の活用であります。今ある資産を有効活用し,新たな収入源といたします。

 3つ目の視点でありますが,民間活力を用いた公共サービスの再構築に取り組みました。

 このうち,小学校の水泳授業については,公共及び民間のプール施設を利用いたします。快適な環境とインストラクターによる適切な指導などにより,学校プールの維持管理コストの縮減にとどまらず,水泳授業の充実も図ってまいります。

 引き続き,課題を先送りすることなく,3つの備えの充実に全力を尽くし,子どもから高齢者までもが魅力を感じる都市づくりを進めてまいります。

 以上で,予算についての説明を終わります。

質疑応答

記者

 代表して質問を2つさせていただきます。

 まず1つは学校再編後の地域振興についてです。今春学校再編により開校する遺芳丘小と駅家北小の2校に関連し,これまで開校に向けて準備を進めてきた「開校準備委員会」が1月,役目を終えました。鞆の浦学園とは違い,住民らには学校を無くすという重い責任を振り返り,地元から学校がなくなることが目前に見えたことなどから,最後の開校準備委員会では一同が涙を流しておられました。再編によって,東村学区,服部学区からは小学校がなくなります。

 改めて市長は学校がなくなることについてどのような印象,理解をお持ちでしょうか。また,今後の地域振興に向けて,これら2つのエリアに対して配慮していくことや優先的に手掛けようとされる事はありますか。

 続きまして,スポーツツーリズムについてです。1月中旬,スポーツ庁の参事官が市の事業の講師として来福し講演しました。その中で現在,スポーツ庁としてアウトドアや武道を強化項目としてスポーツツーリズムをめざしている話をされていました。

 市として,スポーツツーリズムへの取組で検討していることはありますか。官民が一体となり,スポーツと地域資源を生かしたまちづくり組織「地域スポーツコミッション」の立ち上げは検討されていますか。

市長 

 まずは,学校再編についてであります。

 地域と保護者の皆様方には子どもたちの将来を考え,学校再編に深いご理解をいただきました。そして,開校準備委員会 委員の皆さんを中心に開校準備に前向きに取り組んでくださいました。心から感謝を申し上げます。

子どもたちにとって,新しい友だちや先生との出会いといった大きな期待と,環境が変化することへの少しの不安があるのではと思います。まずは両校の児童・保護者・地域の皆様が再編の効果を実感していただけるよう,教育内容の充実に取り組んでまいります。

 また,東村学区と服部学区の地域の皆様方は,愛着のある学校を閉じることに寂しさを感じておられると思います。新たな学校では,校区の広がりとともに,地域資源も多彩となります。遺芳丘小学校では,東村で農業体験活動を,駅家北小学校では服部でほたる学習を行うことにしています。新たな地域に出向き,地域の方々から学ぶことを通し,地域への愛着を広げ,深めていく,そんな教育を進めていきます。

 そして,これまで通り,地域のお祭りや消防団・体育会などの活動が行えるよう,新たに条例を定め,環境を整えてまいります。このほか,新たな視点で地域を活性化することをめざした取組をそれぞれ行っていただいております。

 東村学区では,民間事業者からの活用アイデアを募集するサウンディング調査を行いました。提案内容のヒアリングを進め,実現の可能性を探ってまいります。また,今月末の2月29日には,講演会とワークショップを開催することとなりました。住民の皆さんが,課題意識や地域の将来像を互いに議論し,今後の方向性を共有できる場にしたいと考えています。

 服部学区では,地域と行政で昨年4月に協議会を設置し,ワークショップなどを開催してまいりました。この結果,まちづくりの拠点施設として,校舎の一部に交流館を改修整備することが決まりました。新年度予算案に設計などの費用を計上しています。

 今後も,地域の思いにしっかりと寄り添い,協議しながら,これから新たに見えてくる景色に希望をもって取り組んでまいりたいと考えています。

 2点目のご質問のスポーツツーリズムであります。

 本市では,総合体育館「エフピコアリーナふくやま」を備後圏域のスポーツの拠点として,隣接する公園やかわまち広場とあわせて,エリア一帯の賑わいを創出していきたいと考えています。スポーツツーリズムは,都市ブランドの向上や,宿泊・飲食などによる経済効果も見込まれ,地域の活性化に有効と考えています。

これまでの「せとうち福山・鞆の浦トライアスロン」や「ふくやまマラソン」に加え,エフピコアリーナふくやまや,芦田川かわまち広場などは新たなスポーツツーリズムの可能性が感じられる拠点だと考えています。例えば,サップ等のウォータースポーツやサイクリングロードを活用したサイクリングイベント,また,県内最大級のスケートボードパークなどが念頭に置かれますが,先進的な取組事例なども参考にしながら検討してまいりたいと考えています。 

 2点目の「地域スポーツコミッション」の立ち上げですが,来年度,広島県において「広島版スポーツコミッション」が設立されると伺っております。現在本市では,地域のスポーツ活動がより活性化するよう,スポーツアカデミーによる人材育成やスポーツ事業の創業支援に取り組んでいます。今後「広島版スポーツコミッション」と意見交換を行うなど県と密接に連携して,官民一体となったスポーツの振興に努めてまいります。以上であります。

記者

 予算のことでお伺いします。これまで市長は2017年度以降,「実行」「加速」「深化」という形で予算を表現されていましたが,2020年度予算についてはどのように考えられていらっしゃいますか。

市長

 実行し加速し取組を深めていく中で,「5つの挑戦」から「3つの備え」に視点を整理していきながら,今年度は市政運営を行ってきました。先ほど申し上げましたように,そうした3つの備えをさらに充実していく,そういう予算として編成をいたしました。

記者

 つまり「充実」ということですか。

市長

 そうですね。3つの備えを継続する中で充実させていきたいという思いであります。

記者

 今回一期目,最後の当初予算編成ということになりますが,2020年度予算にかけた思いと,これまでの3年間と今回の予算の違いについてお聞かせください。

市長

 思いが違いとなって表れているということだと思いますが,2つのご質問を一体としてお答えさせていただくかも分かりませんが,私に与えられた任期最後の予算編成となります。この4年間の集大成にしたいという思いを持って編成をいたしました。ただ今後,福山市が進むべき方向性をこれまで取り組んできた市政運営の上に立って分かりやすく展望し,いわば体系化していく役割も併せてあるのではないかという思いがあったものですから,中期的な視点に立った方向性を打ち出していくという責任を感じてきました。そのため3月末までに,いくつかの中期的視点に立った戦略なり基本計画なりを取りまとめていきたいと考えました。こうしたものに立って新年度の市政運営を行うことで,中期的な展望を市民の皆さん方に示していければいいのではないかと,このような思いです。

記者

 AI を使った人口減少対策のグローバル大学というのは具体的にどこと連携してやっていくのかということと,人口が2020年をピークに減少していくという推計が福山市の場合でもありますが,人口減少対策がまだ手探りであろうと思いますが,そういう中でこの方法への市長の期待を改めて聞かせてください。

市長

 具体的には京都大学であります。今年度ペルソナマーケティングという手法で9つの典型的なライフスタイルの分類分けをして,そうした分類に帰属する市民・住民にとってどんなサービスを提供することが住みたくなる・住み続けたくなる,そんな街につながっていくのか,あるいは子どもを持ちたい家庭にとってはどのような行政サービスが子どもを産み育てたくなる行政サービスなのか,そういう事を検証していく取組を導入いたしました。そうしたペルソナマーケティングの手法が効果的な人口減少対策につながっているかどうかということをAI を使って検証していくというのが1つの取り組みになるかと思います。具体的にどういう手法なのか,詳しくはまだ勉強しておりませんが,このAIがどのようなアドバイスをしてくれるのか楽しみにしています。

記者

 予算案の柱として,頻発する災害への備えということで,西日本豪雨災害,さらには今後に向けた災害対策への思いを聞かせていただけますか。

市長

 福山市はこれまで災害の少ない街だと思われてきたし,私たち市民もそう思っていました。ただ,ここ数年の気象状況をみると,そう安穏としていられないという危機感を持ってこれまで取り組んできました。

 一昨年の豪雨災害を受けて,福山という地域に防災上の脆弱性がたくさん潜んでいるということがあらわになりました。それは芦田川に対する県河川の水の流れにいくつかの課題があって,阻害されているということ。それは,芦田川そのものの流下能力に問題があるということが分かったことや,排水するためのポンプの脆弱性,そういうことが分かってきました。また,管理者不明のため池や老朽化したため池がたくさん存在するということを改めて知らされました。そういう意味では,ハードの取組がたくさん残っているということを実感いたしました。ハードの取組はこれまでも進めてきましたが,「あまりにも時間をかけすぎているな」という思いを持ちました。そこで5年間に集中的に国や県や市がそれぞれの役割分担を果たして,抜本的な浸水対策を進めていこうということで取組をはじめました。

 一方で,ハードだけではなくて,あるいは“ハードだけでは防ぎきれない”そういう自然災害に対して,「ソフトの取組も強化していかないといけない」という思いを改めて持ちました。そうしたものが一体となって,ここにある抜本的な浸水対策や,それを含む3つの防災対策に今整理されつつあるということだと思います。

記者

 そこで伸びしろとしたらどんな思いを持って取り組みたいか教えてください。

市長

 従って,こうした3つの視点を持って,集中的に強力に防災力の向上に向けた取組をしていくということであります。

記者

 確認になって申し訳ないですが,西日本豪雨以降,特にため池対策への方針が注目されていると思います。それについての思いを改めて聞かせてください。

市長

 防災重点ため池について例示的に申し上げますと,一旦決壊しますと,下流の人家に影響が甚大に及んでくるという意味で,当初175か所が指定されていました。我々の思いとすれば700~800ぐらい,本来は防災重点ため池として指定されるべきではないかという思いはあったんですが,現実の指定は175か所にとどまっていた。そして,改めて新しい国の基準に従って選定を行えば,それが1,110か所になった。一気に935か所の対策を大急ぎで取りまとめないといけないという課題を突き付けられてきたわけであります。一方で国も“現場の財政支援にとどまっている限りは,効果的で迅速な短期間でのため池の防災対策も進められない”という問題意識を持っていただきつつあるという状況にあると思います。

  この前も国に行きまして,ため池の現状や息の長い財政支援,あるいは補助メニューの新設も含めて地方の実情を訴えてきましたが,そういう国の取組も強化してもらわないと,この地域のため池対策は進まないという思いを持っています。これは福山だけではなくて全国的に共通するものであり,国の支援がリードする形でため池対策が今後進んでいくように願っています。

記者

 ため池の廃止について,水利権者の同意とか難しい面もあるようですが,そのあたりも含めてどう取り組んでいきたいと思いますか。

市長

 管理者を含めた関係者を特定するという作業がまずは課題ですね。そして,それを進めながら,廃止か存続かという整理をしていかないといけません。いざ廃止要望が出てくれば,今の支援メニューだけでは生活に合っていないために廃止がなかなか難しいです。一例を申し上げますと,今は堤体を開削して,水を抜いた上で廃止工事に入っていくというやり方しか支援策に乗ってきません。都市化の進展とともに,もうその堤体が生活道路として利用されているという実態があります。そうすると開削ができません。制度の制約があるので,それを取り除きながら,必要があれば開削が計画的に進むような取組につなげていきたいと願っています。国の支援が前提になるということであります。

記者

 まず2点質問したいのですが,まず1点目は福山駅前の再生についてですが,今週デザイン会議もあって,去年には CASPA の方針も大筋決まって,まさに大詰めの時期を迎えているのではないかと思いますが,今回の予算編成を踏まえて来年度どのように取り組まれていきたいかお聞かせください。

市長

 特に駅の南につきましては,いくつかの事業がスタートしています。それらについてはこれを継続するのが基本です。あるいは伏見町については,これまで飲食を中心とした賑わいが起きてきましたが,その他の業態にどう広がっていくか,そんなことを意識していきたいと思っています。それからRiMについては,これまでお約束してきておりますように,方向性を年度末までにはお示しするという大詰めの段階になっています。方向性が出てきてませんから,当初予算の措置はできておりませんが,方向性が出てくれば,年度途中にどのような事業,あるいは追加調査が行われることになるのか,そんな論点に入っていくと思います。北口について“新たな事業が行われていく”という年になると思います。北口の整備計画に沿って一部の解体工事がいよいよ始まっていくという年になっていこうかと思います。そうした駅の北口も含めれば,4つのエリアを中心に,そこをどうつないでいくのかという議論がデザイン計画で示され,それを受けて具体的な事業が早ければ新年度途中からスタートしていくと思います。

記者

 その上で,人口減少社会に対して3つ掲げられたということですけれど,今後どのように“福山の都市づくり・街づくり”を進めていきたいか改めてお答えいただければと思います。

市長

 大きく言えば,駅前にさまざまな世代の,あるいはさまざまな立場の市民が集い,時間をそこで過ごせる。あるいは色々な市民が中心となったイベントや祭りが行われる。また,市外から来た人たちが駅に降りたとたん,歴史や文化を感じる。あるいは瀬戸内の玄関口に降り立ち,そこからスポーツサイクリングがスタートする。そんなさまざまな思いがこの駅周辺にたくさん集まるような,さらには夜ももっと明るい,そんな駅前・駅周辺が作られていけばいいなと思います。

記者

 その上で駅前の再生にとどまらず,フレイル予防ですとか社会保障面に関しても3つの備えの中で掲げられていますが,全体としてどのように進めていかれたいか伺います。

市長

 一言でいえば,人生100年時代にあって,これまで人口減少対策というと「自然減をどう食い止めるか」ということにどちらかというと目が向かいがちでしたが,それだけにとどまらず,高齢者も生きがいを持って自立して生活できるような街であり,若者や女性が惹きつけられるような魅力的な街であり,それをまた別の言葉で言えば「活力」と「かがやき」と「誇り」という言葉に凝縮されるような,そんな都市を作っていきたいと思っています。

記者

 先ほどのAI の質問とも関連しますが,福山市のICT構想・ICT戦略についてお尋ねします。新年度予算の中にも人口減少の分野だったり,教育の分野だったりで,かなりICTを活用した事業が盛り込まれていますが,この辺りにかける市長の思いだったり背景についてお聞かせいただければと思います。

市長

 例えば,このオリンピックを機に一気にデジタル社会が進んでいくのではないかと思っています。あるいは,いろいろな有識者に聞けば,10年15年先には世の中はすっかり変わると口々に聞きます。そういう時代に遅れることがあってはならないと思ってきました。そのためには,実証実験を小さくてもいいから,あるいは個別の技術に限定されていてもいいので,いち早く地域で進めておく必要があると考えてきました。それは,一気にデジタル社会が普及した時に,そこに乗っていきやすくなるからです。

 それからもう1つは,このデジタル技術は都会にとってメリットが大きいだけではなく,私たちの住む地方,あるいは,人口減少が進む地域にとっても大変大きな意味を持つ技術だということを,私たちはもっと強く自覚しないといけないと思っています。人手不足に悩む中小企業にAIがどのような貢献をしてくれるのか,あるいは人口減少が進む,高齢化が進む中山間部に新たな移動手段としてデジタル技術の果たす役割がどんなに大きいのか,そうしたことを考えると私たちこそが積極的に取り組んでいくべき課題であると,こういう意識を持ってこれまで取り組んできました。

記者

 先ほどの予算の3つの特徴のスライドの中で,未来づくりビジョン159億円ということで,その下の項目3つの数字を足すと149億円になります。これ以外にも10億円があるということですか。

市長

 そのように捉えていただいて良いです。

記者

 市長就任以来,福山駅前再生と福山ネウボラにかなり多額のお金を投じて重点配分して,施策を多面的に展開されたと思いますが,この3年間でネウボラ・駅前再生は街にどのようなインパクトを与えたと総括されてらっしゃいますか。

市長

 まず駅前ですが,明らかに景色が変わってきたという声を何人かから私も伺ってきました。そうした景色の変化は,駅前の賑わい再生の方向性を行政が示したことが,民間活動を促してきたといえるんだと思います。評価は今後を待たなければいけませんが,いくつかの動きは出てきた。また,例えば伏見町で言えば28年ぶりに地価の反転があった。地域の経済活動や市民の心に少しずつ変化が出てきたのではないかと思います。今後それをどう継続し,大きくしていくかということが,引き続き行政に求められているということであると思います。

 それからネウボラについては,これまでも子育てについては,施設の整備を中心に,福山市は充実した施策を進めてきていたと思っています。ただ私が念頭に置いたのは,そうしたハードの受け皿ではなくて,市民の子育てに対する不安とかそうした思いと行政がもっと寄り添った関係を構築しないといけないと思いました。そこに市長就任前から耳にしていましたネウボラというその施策が入ってきたということだと思います。多くの若い子育て世代に少しずつ浸透してきたと思います。そして,少ないマンパワーの中で職員が研修を受けて職員が相談にあたるというやり方もこれまで守ってくることができました。その中で,沼隈に1つ増やして13か所の「あのね」を維持できています。こうした取組は県内のトップを切って進んでいるという自負もあります。さらに継続していきたいと思います。

記者

 災害対策で先ほどため池の話が出ましたが,国が財政支援の面でリードしていかないと,なかなか地方は対策を進めるのが厳しいというお話がありましたが,地方で対策が進まないというのは,やはり財政面のことが要因ということでよろしいでしょうか。 

市長

 先ほども言ったように,廃止も含めて整備をすべきため池が市内1,110ヵ所ということが分かりました。これは今までのイメージを大きく超えたものでしたので,やはりこれからどれだけの財政負担がのしかかってくるかということについて,正確に試算ができないほどだと思います。そういう意味でも国や県の支援は不可欠だと思っています。

 それから,これは市の役割ですので我々自身が考えていかないといけませんが,長年にわたってこのため池の管理の実態の把握がおろそかになっていたので,その間に何代も世代が代わって相続がうまく行われていなかったということも分かってきた,管理者が誰かということも分からなくなってきていた,そういう問題を他市と課題を共有しながら進めていかないといけないと思っています。そういうことを改めて取り組む中で,国の役割や県の役割が出てくれば,国や県に支援をお願いしていくということにもつながっていくんだろうと思っています。

記者

 2020年度は2か所の廃止にとどまっています。1,110か所の中でも実際はもう使用していないものも当然入ってきていて,地域からもそういう声はあると思いますが。ただそれが年間着手が2か所というのが多いのか少ないのかという評価もあると思いますが,ここはやっぱり抜本的な浸水対策も進めなくてはいけない中で,そこのバランスというのも当然あるでしょうし,そういったような理解でよろしいでしょうか。

市長

 廃止について言いますと,廃止の要望があったところについては,できる限り対応してきています。問題はそれ以前に,廃止できるかどうか,そのための管理者が特定され,そして地域が廃止の要望で合意し,そして要望が上がってくるという,そこまでに時間がかかっている点がむしろ問題かもしれません。

記者

 2点お伺いしたいんですが,フレイル予防について新潟市ですとか首都圏の方でも同様の取組をしてるようなんですが,福山市ならではの特徴なり取組について市長の考えがあればお尋ねしたいのが1点と,2点目は直接の予算と関係ない質問で恐縮なんですが,呉市の日鉄の呉製鉄所が2023年にも閉鎖になるということが先日発表になりました。現時点ではなかなかないと思いますが,もし福山市でも大量の解雇がでた場合の雇用の支援ですとか,福山にも鉄工所がございますので,何か支援できるお考えがあればお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

市長

 まずフレイル予防でありますが,今,福山市は政策顧問に,備後出身の大内先生に就任していただいております。大内先生は東大の老齢医学の教授もされ,「健康な高齢社会をどう作っていくか」ということについては,大変な権威であります。そして,大内さんの弟子である東大の飯島先生が,福山市のフレイル予防対策の構築に伴走してくれています。これから一緒になって進めていくという意味では,これまで先行して取り組んできた全国の他の市町よりも,内容の濃いものが短期間で出来ていくんじゃないかと思っています。具体的にどういうところが他市町と違うのかということについては,私は知識がなくて申し上げられないのですが,特徴として挙げられるのはそういう体制ですね。それからもう1つは,市内でもフレイルに対して意識が低いところもあれば,既に高い意識を持っている地域もあります。そういうものを横一線にして取組の中で扱っていくというのは効率的ではないのではないと思っています。従ってモデル地域を設定して,意識の高い所に対してはICTの技術も使ったスマートフレイルチェック体制のようなものをスタートして,より短期間での効果につなげていく取組もしていこうとしています。つまり,市内全域に通り一遍の対策をスタートさせるのではなく,濃淡をつけたフレイル予防対策をしていきたいと思っています。

 それから,呉市の事例ですけども,支援があるかどうかというのはどういう趣旨のご質問でしょうか。

記者

 3,000人が製鉄所の閉鎖に伴って関連会社も含めて職を失うと言われていまして,まだ3年後ということなんですが,それに向けて例えば再就職の支援ですとか,もし呉市や製鉄所からオファーがあった場合に,福山市としてできることがあるのかないのかというのは現時点ではどうでしょうか。

市長

 呉市の事例はマスコミを通してでしか把握しておりませんので,確かなことを申し上げられませんが,大変地域経済にとっては大きな課題だと思っています。知事も今後について憂慮されているというニュアンスを報道から私は受け止めています。県から「福山市で何かできないか」という話があれば,それは是非お役に立てることがあれば考えていきたいと思っています。

以上。