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2023年12月定例市議会市長記者会見

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年12月6日更新

 記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。

 会見日:2023年(令和5年)11月21日(火曜日)

2023年12月定例市長記者会見

 ・新型コロナワクチン集団接種の終了について​

 ・備後圏域におけるマイナンバーカードを活用した休日保育予約システム実証試験

 ・“みんなで創る”世界バラ会議福山大会

 ・グリーンなものづくり企業プラットフォーム

 ・官民連携による福山駅周辺再生の考え方

  2023年12月定例市議会市長記者会見資料 [PDFファイル/2.89MB]

 

会議録​​

市長

 それではまず12月定例市議会の案件についてご説明いたします。12月議会は,本日招集告示を行い,11月28日から開会いたします。第一次分として提出している内容についてご説明いたします。まず報告案件でありますが,「損害賠償の額を定めること及び和解の専決処分の報告について」を始め,2件であります。次に予算案件でありますが,「令和5年度福山市一般会計補正予算(第5号)」を始め,7件となっています。条例案件でありますが,「福山市議会の議員の議員報酬,費用弁償及び期末手当に関する条例及び福山市特別職の職員に対する期末手当の支給に関する条例の一部改正について」を始め,17件であります。そして単行議決案件としては,「(仮称)まちづくり支援拠点施設整備業務委託契約締結について」を始め,23件となっています。以上,12月議会へは1次分として,49件を提出しております。

 それではあらためて補正予算の概要について,補正予算議案説明資料をもとにご説明いたします。今回補正する会計は,一般会計のほか,特別会計では,都市開発事業特別会計,国民健康保険特別会計,介護保険特別会計,そして後期高齢者医療特別会計の4会計の,合計5会計であります。補正予算額は,一般会計が75億3,923万6千円を追加するほか,特別会計では3,028万円を追加し,合計では75億6,951万6千円を追加いたします。

 また,継続費を病院事業会計で1件,繰越明許費を一般会計で5件,債務負担行為を一般会計で27件,駐車場事業特別会計で2件,計上するものです。まず,原油価格・物価高騰対策分として,公共施設光熱費等高騰対応で2億8,480万円,新型コロナウイルス感染症対策分として,2億8,946万4千円をそれぞれ計上しております。

 次は通常分の主な内容をご説明いたします。「世界バラ会議福山大会に向けた取組」は,本議会には条例案件として「世界バラ会議福山大会記念基金条例の制定について」を提出いたしますが,それに伴って,協働のまちづくり基金の一部を積み替えるものなどであります。「公共施設等の整備」は,県補助内示の増に伴い,(仮称)鞆町平地区ふれあい広場の造成・排水工事を実施するものなどであります。「文化・芸術活動の推進」は,令和6年度からリーデンローズで広島交響楽団などによる定期演奏会を年10回実施するため,チケット販売等の準備行為を行うものであります。「コミュニティの活性化」は,本庄町宮本町内会などの地域集会施設の整備費を助成するものであります。通常分のその他の項目については説明資料へ記載の通りです。

 次に人件費分として,各会計において,本年8月の人事院勧告等に基づく,職員の給料月額や期末・勤勉手当の支給月数の引き上げのほか,職員の中途退職や人事異動等に伴う人件費の整理を行うものであります。

 次に,継続費については,病院事業会計で,材料費・労務費の高騰などによる病院増改築事業の総額の変更を,繰越明許費については,一般会計で,旧市民参画センター別館解体事業や,道路橋りょう整備事業などの追加を,そして,債務負担行為については,指定管理料のほか,次年度に向けた準備行為を行うため,福山祭負担金,渡船運行業務委託,弁天島花火大会負担金の追加や,複合施設の完成後速やかに什器,物品等の整備を行うため,大学施設整備事業の追加などをそれぞれ計上するものであります。

 以上が令和5年第5回定例市議会に提出する補正予算の概要であります。なお国の経済対策に伴う措置については,政府の補正予算成立後,速やかに対応いたします。以上が補正予算の概要であります。

 続いて,新型コロナワクチン集団接種の終了について報告します。本年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後も,他の自治体が集団接種を縮小・中止するなかで,本市では会場の数などを調整しながら,集団接種を継続してきました。現在予約受付をしている,12月の集団接種の会場とその予定でありますが,現在,中国新聞備後本社ビルの1箇所で集団接種を継続しており,予約率は62.0%となっております。この集団接種会場は12月10日を最後に終了いたします。そして12月11日以降は,来年3月31日まで個別接種,市内の193の医療機関で接種をしていただく,こういった方法に変更していきたいと思っています。もちろん,引き続き無料で接種をしていただけます。その理由をあらためてご説明します。

 まずこれまでの接種者数・接種率の推移でありますが,1回目から始まって,現在は令和5年秋接種になっておりますが,個別と集団の割合を見ていただきますと,個別接種が8割近く,7割から8割を担っていただいておりまして,集団接種の割合は,2割程度になっております。これまで,集団接種会場を市民の皆様に活用いただき,健康の管理を行っていただきましたが,この間,出務いただいた医療関係者の皆様のご尽力に改めて感謝申し上げます。

 次に,マイナンバーカードを活用した休日保育の予約システムを実証的に導入していく取組についてです。備後圏域として取り組むもので,マイナンバーカードを活用した予約システムの導入は県内初となります。実証期間は来年の1月と2月です。そしてこの事業実施,実証実験に参加していただく私立の保育施設としては,花園保育園,せんにしの丘,大門未来園,ゆめなの4園を予定しております。

 これまでの休日保育の予約のあり方から,オンラインを通じた予約システム導入がどのように負担軽減に繋がるかを説明します。

 現状は,まず各施設に概ね1ヶ月前から電話をし,空き状況の問い合わせをしていただくことになります。その後,対面で申請書類を取りに行き,その申請書類はあらためて提出にいく必要があります。そこで初めて利用登録がなされますが,原則2日前までに園に出向いて,利用登録を行う必要があります。

 これが現在の方法ですが,この予約システムを導入すると,まずアプリ上で,事前登録を行います。最初はマイナンバーカードを活用し登録をするわけですが,そのうえでアプリによる利用登録を行います。これは従来だと電話が繋がる時間帯にしか問い合わせができませんでしたが,このアプリによる利用登録の場合は,24時間利用が可能です。そして,アプリの利用により,施設ごとの利用登録は不要になり,4園が同時に利用登録できることになりました。そして,空き状況の確認もオンライン上で可能となり,仮予約を行うこともできます。そして最終的には,統一化された書類をオンラインで送信することで,予約が確定となります。

 なお,システムの導入前後いずれの場合もですが,初回だけは,預ける園児の健康状況や病気の具合などを園側に伝えるやりとりが必要になります。これも現状は対面で行いますが,システム導入後はオンライン上での面談で済ませることができます。あらためて,この新しいシステムによる効果を保護者と保育施設の観点から整理いたしました。

 保護者の利便性の観点からは,書類提出や面談のためにわざわざ園まで出向く必要がなくなる。従来は,施設の空き状況を園ごとに確認する必要がありましたが,システム導入後は一度に確認でき,事前登録は一度で済ますことができ,全施設で利用可能になる,こうした負担軽減が図られます。一方,保育施設側では,利用状況のデータ管理を行うことができ,それが事務負担の軽減に繋がります。また,来園・電話対応にかかる時間の節約を図ることができます。

 今後の流れですが,今回の実証実験の成果により,来年度以降に本格実施を検討していきます。備後圏域の子育て家庭の園児を市内4園で受け入れることは,この実証実験の段階から可能となります。受け入れは,この実証実験の段階から広域的に実験をしてみる,というのがスタートであります。そのうえで,本格実施後は,休日保育の実施施設を福山市内だけではなく,市外,備後圏域6市2町に拡大していき,相互に利用ができるようにしたいと思っています。

 また,今回は私立の施設から実験を行いますが,ゆくゆくは公立施設への導入を検討していきます。さらに今回は,休日保育の予約にシステムを導入する実験でありますが,今後は一時預かりなど,他の事業への展開をめざしていきます。こうしたさまざまな取組を通じて,保護者と施設,双方にとって利便性の高い保育サービスの向上につなげていきたいと思っています。

 最後に,世界バラ会議福山大会に向けた取組についてです。市民・企業提案型事業をこれまで受け付けてきまして,採択件数が103件に到達しました。今年度は締め切りましたが,それぞれ新商品の開発やイベント実施,記念作品制作,School Rose Garden Projectに関する取組を行っていただくことになります。

 今後の予定ですが,11月30日に採択通知の交付を行います。そして,12月以降は順次それぞれの状況に応じて,事業に取り組んでいただく段取りに入ります。応募いただいた大勢の皆さまに感謝申し上げますと同時に,機運を盛り上げる,そうした活動に育てていただきたいと思っています。

 また,同じ機運を盛り上げるための取組,市民・企業の「応援宣言」についてですが,これまでに1,000件を超える応募をいただきました。2021年5月から募集を開始しましたが,1,000件を突破し1,015件,応援宣言に賛同をしていただきました。それぞれ「ばらを育てる取組」「大会ロゴを使用するなど,大会のPR活動に協力する取組」「バラの花や,折ばらを使用した飾りつけなどの,おもてなしの取組」「食用ばら,酵母,香りなどを使用した商品開発やメニューを提供する取組」「その他,大会の機運醸成につながる取組」といった5つの取組をこれからしていただくことになろうかと思います。引き続きよろしくお願いします。こうしたさまざまな取組を通じ,みんなでつくる福山大会にしていきたい,市としてもしっかりと支援をしていきたいと思っています。

 

記者

 1点目,グリーンなものづくり企業プラットフォームについてお伺いします。福山市には製造業が数多くあるということで,福山市がグリーンなものづくり企業プラットフォームの立ち上げを準備されていると聞いています。昨日の市議会の常任委員会でも,今後の展開について説明があったと聞いていますが,あらためて今後の具体的な展開や見込まれる効果について,市長の考えを伺いたいです。2点目が,福山駅前の整備についてです。旧キャスパ跡地一帯で再生事業が展開されており,福山市もその再生事業を支援されているということで,マンションの入る北棟やオフィスなどが入る南棟などが,2023年度末に完成予定と聞いています。それと同時に,駅前広場再整備の基本計画の策定も進んでおり,新たなにぎわい創出ということで官民の連携が欠かせないと思っております。旧キャスパ跡地ビルと福山駅前広場など,福山駅前エリアの活性化の進捗などについてお伺いします。

 

市長

 最初のご質問の,グリーンなものづくり企業プラットフォームでありますが,このプラットフォームには,実際の取組を行う企業が主体として参加し,そうした企業の取組をサポートする関係者があわせて参加する。そして,さまざまな活動はプラットフォーム上で行われる,そうした実践の場になっている。こうしたイメージを考えております。福山市のものづくり企業には,実はさまざまな特徴や魅力がある,あるいは先進的な取組をしている企業がありますが,そうした魅力が必ずしも十分に発信できていない,理解されていない,こういったことだろうと思います。そのために,古いものづくりのイメージが残り,場合によっては,それが一つの理由として,若者が地元のものづくり企業になかなか目を向けづらい状況になっているのではないか,そのような思いから,若い人たちの就職先として,福山の企業をしっかりと発信していきたいとの思いもあって,今回のプラットフォームを立ち上げました。

 どのような特徴ある取組が行われているか,これは例示ですが,環境を技術に長けた企業や,女性や高齢者,障がい者の雇用に熱心な企業,共働き・共育てへの理解が進んだ企業,あるいは,素晴らしいデジタル技術等を持っている企業など,さまざまあります。こうしたグループは,経済界が主体となって組成していただくわけですが,それぞれのグループに属する企業のプロジェクトや取組をあらためてもう一度可視化・数値化し,どの程度すばらしいのかということを企業自らが知り,そしてさらなる取組につなげる。そうした実践の場にまずはしていきたいと思っています。そうすることによって,さらに技術力が向上され,取引も拡大する。つまり,企業の力が増大していくわけです。それと同時に,そうした企業が認知される,あるいは周知されると,若い人たちがそうした企業に目を向けて,若い人の福山市からの流出を防止する一つのきっかけになっていくことにも期待したいと思っています。

 では,どのような企業が参加するのかということですが,1つは,グリーンな取組を意欲的に実施している企業。これを我々はコア企業と呼ぼうとしています。もう1つは,グリーンな取組に着手しているが自社の取組がどれほど進んでいるのか,どれほど価値のある取組をしているのか,本当は数値化されて認識できれば一番いいのですが,必ずしも気づいてない企業もたくさんあります。そうした企業が気づく場にもしていきたいということです。そのためには,技術の見える化のサポートを産業支援機関等が行います。例えば,CO2排出量算出システムを活用しながら,見える化をしていくことにより,さらに取組に弾みがつく,こうした効果が出てきます。

 また一方で,グリーンな取組に未着手の企業があります。あまり意識しなかったが,先ほど述べたような企業の取組に刺激を受けて,このプラットフォームに福山のものづくり企業がどんどん参加していくことに期待したいと思っています。そして「グリーンなものづくり企業チャレンジ宣言」をしていただき,取組を内外にアナウンスする。そして実際,「グリーンな取組が進んでいる企業」から「グリーン先端企業」へと高まっていく。そうすることにより,いろいろな表彰制度も取り込んでいきながら,さらなる刺激にしていきたいと思っています。

 環境技術に取り組んでいる企業,これは本来グリーンな企業だろうと思いますが,私たちの定義では,女性・高齢者・障がい者等の雇用,働きやすい職場環境,先進的な技術,こうしたものも幅広くグリーンな取組に包摂しながら,大きなうねりにしていきたいと思っています。これは本来,産業界が主体として取り組むべき話でありますが,立ち上げや軌道に乗るまでは,民と官で一緒になって,弾みをつけていくということで,これまで構築検討委員会を開催し,そのサポート側として,福山商工会議所や商工会,市が参加をし,議論を重ねてきました。そしていよいよ今年12月にプラットフォーム運営会議を開催します。つまり,このプラットフォームがいよいよキックオフを迎えるということであろうかと思います。

 続いて,福山駅周辺のにぎわい再生についてのご質問です。これまでは,官民で連携するということを基本に据えてきました。実はこれまでの再開発は,民間主体で,民間で組合を作り,そうした開発を進めていくというのが基本的な流れでしたが,これまでそうしたやり方が続いた結果,福山の駅前からにぎわいがどんどん失われていきました。新しい企業の立地も,目に見えて増えませんでした。そうしたことから,行政が,福山駅前のあり方をしっかりとわかりやすく旗を振り,民間事業者の方たちと一緒に構想し,そして,一緒になって実践をしていく,そういったアプローチに取り組んできました。それが,当初は福山駅前再生,今は駅周辺再生の考え方であります。

 まずさっそく,官民が連携し,「福山駅前再生ビジョン」を作り,その方向性を共有しました。その共有した方向性は,「働く・住む・にぎわいが一体となった福山駅前」を作ろうという言葉に集約されました。そして,デザイン会議を構築し,「福山駅周辺デザイン計画」を策定いたしました。「福山駅前再生ビジョン」を具体化するものが「福山駅周辺デザイン計画」で,骨子は伏見町周辺,中央公園周辺,三之丸町周辺,福山城周辺とそれぞれ特徴を持つ4つのエリアでにぎわいを模索していくものでありました。つまりここまでは,官民連携で議論し,考え方を共有してきたということです。

 そして今度はそれぞれ官と民が実行する,連携して取り組む段階に入り,それぞれスタートは違いますが,各エリアで取組(伏見町周辺…リノベーションによるまちづくり,中央公園周辺…パークPFIの導入や図書館と連携したイベント,三之丸町周辺…エフピコRiMの再生や三之丸地区の再開発,福山城周辺…福山城博物館のリニューアルや北口スクエアの整備)を行い,それぞれににぎわいが実感されるようになってきました。さらに新たな人材がこうした取組に加わってくる流れができつつある,これが現状だと思います。

 先ほど述べた4つのエリアのうちの1つ,三之丸町周辺エリアの取組についてご質問がありましたので説明します。まず,優良建築物等整備事業,「優建」と呼んでおりますが,この事業を使い,北棟・中棟・南棟の整備を進めてきました。最上階までそれぞれの建物が上棟し,全体像がはっきり見てとれるようになりました。来年の3月に竣工予定でありますが,特にこの北棟・中棟・南棟の1階は,平面で繋がっております。また2階もデッキで繋がり,そうしたところに商業施設が入ってくることになります。建物は3棟ありますが,1階と2階は一つに繋がった施設になるということです。

 特に1階は,福山駅前広場と三之丸町エリアをつなぐ公共用通路も設定され,行き来が寸断されない構図にもなっています。そして入居店舗についても,福山ならではの価値を発信,といったこだわりを持って,今リーシングを進めているということです。商業施設を含めたグランドオープンは来年の9月を予定しています。来年3月に竣工した後,マンションへの入居は徐々に開始される予定だと伺っています。

 今後の取組ですが,福山駅周辺デザイン計画で示した4つのエリアを結節するのが福山駅前広場ということで,今後は福山駅前広場の再整備に向けた取組がいよいよ佳境に入ってくるわけであります。昨年度,基本方針を策定しましたが,その基本方針では,駅前広場の中央に細く弓なりに交通結節機能を配置しています。現在も,福山駅前を東側から線路に沿って道路が駅に近づき,そして伏見町に沿うような形で南下する道路がありますが,その道路がもう少し駅前の中側につけかえられるイメージです。

 ただ,基本方針を策定する議論の過程で,駅前広場がウォーカブルの核として機能するためには,広場の外にバスのターミナルを配置して,全面的に都市の広場空間をこの駅前に確保してはどうかといった意見も多くありました。そこで今後の基本計画,これは今年から来年度にかけて策定しますが,この基本計画の策定においては,駅前広場を全面的に広場化する,そうした選択肢もしっかりと見据えながら,議論を進めていきたいと思います。

 そして,基本計画の策定にあたっては,その地下に埋もれている福山城の遺構の活かし方や広場の使い方,あるいは広場の運営や管理の方向性などについてもあわせて議論していきたいと思っています。福山市の場合,この広場はJRと福山市が土地を持っており,市とJRが管理協定を結び,例えば,タクシーやバスの乗り入れルールや地下の送迎場のあり方などを決めてきましたが,今後のこの駅前の使い方については,市とJRにとどまらず,広く民間事業者に関わっていただき一緒になって広場の使い方を模索していく,あわせて管理や運営のあり方についても議論し,あるいはその一端や全体を民間事業者にも担っていただく。そうした管理運営のやり方に転換をしていきたいと思っています。

 それを念頭に置きながら,11月27日には駅前広場デザインシンポジウムを開き,運営管理の仕組みや体制づくりについても,みんなで議論をしていく。ここでも官民連携をベースとしたあり方の模索がなされていくということで,いずれにしても,この広場のキーコンセプトは,「交通結節機能と都市の広場機能が融合した,駅前広場の実現」,つまり交通結節機能がしっかりと維持されると同時に,これからの時代に合った都市の広場機能がしっかりと植えつけられて,その両者が融合していくということです。そうしたものをめざすと同時に,やはりウォーカブルエリアの核であるこの広場では,居心地が良いことが何よりも重要です。したがって,人が集い,憩い,そこに交流が生まれる,そうした空間づくりをめざしていきたいと思っています。いよいよこれからが福山駅前あるいは福山駅周辺のにぎわい再生にこれまで取り組んできた,その集大成の段階に入っていこうとしているということだろうと思います。

 

記者

 2点伺います。まず,マイナンバーカードを活用した休日保育予約の関係で,例えば病児・病後児保育など他事業への展開の可能性を含めて,今後の取組への期待感を教えてください。もう1点,世界バラ会議の関係で,市民・企業提案型事業の件数や,応援宣言が1,000件を突破したことに対する受けとめと今後への期待を聞かせてください。

 

市長

 まず,休日保育予約について,一時預かりの他にどのような事業展開が考えられるかということですが,病児・病後児保育についても,こうしたシステムを導入することにより,保護者と受け入れ側のとの間でのやりとりがスムーズにいく,そういったことも考えていきたいと思っています。現在,福山市は市独自に,そして備後圏域と一緒になって,圏域内の保育サービス向上のためにさまざまな取組を行おうとしておりますので,そうしたところにもシステムを活用していきたいと思っています。

 それから世界バラ会議ですが,市民・企業提案型事業については,たいへん多くの方に参加いただいたと受けとめています。じわじわと広がりが自分事になっていっているなと感じ,とてもうれしく思っています。今年度の採択はこれで締め切りますが,来年度も実施を考えていくつもりです。来年度はどういった取組になるのか,みんなでつくるやり方をどんどん考えていきたいと思っています。新商品の開発やイベント実施,記念作品制作といった取組のほか,School Rose Garden Projectという,とても心温まる取組を行う学校が41件,参加してくれています。子どもたち自らがこうした取組をしてくれることについては,この先の展開を考えると,とても嬉しいことです。こうした取組を我々はしっかりとサポートして,これから先を担う子どもたちにばらの意味をしっかりと伝えていきたいと思っています。

 

管理部長

 School Rose Garden Projectの取組を行う41校は,公立の小学校と中学校の義務教育学校と,福山高等学校です。

 

市長

 続いて,市民・企業の応援宣言ですが,これまで1,015件いただいており,この内訳として,7割が市内の個人と企業です。残り3割弱のうちのほとんどが広島県外なんです。7割強が市内の個人と企業,残りのほとんどが,県外の個人と企業です。これは世界バラ会議福山大会が県境を超えて,少しずつではあるかもしれませんが,県外の方たちに今伝わっていっていることを心強く思いました。さらに,そうした幅広い全国の方たちから支持されるような取組にしたいと思いますし,そういったところも意識した情報発信にも今後は努めていかないといけないとの感想を持っています。

 

記者

 2つ質問します。まず,福山城国宝化調査についてです。築城400年を前期・後期と分けるなら,前期の盛り上げを担ったのがこの福山城の国宝化調査であろうかと思いますが,筋鉄御門と伏見櫓の国宝化調査の進捗,文化庁あるいは政党筋の反応についてお聞かせください。

 また,市長は2年前に市長記者会見の場で,備後一宮吉備津神社についても国宝化に向けた調査を行っていきたいと話されました。それ以来,公の場での国宝化に向けた発言はありませんでしたが,11月16日に東京で,「『あなたの街にも国宝を』議員連盟」において,備後一宮吉備津神社についても言及されたそうです。その場で何を説明され,国宝化に向けてどういったスケジュールで調査をされていくのかを教えてください。

 2点目は,先日終了を発表したゲタリンピックに関してです。人的にも経済的にも厳しいというのがイベント側の終了の理由でした。このことについて,郊外が疲弊していることの現れのように感じています。まちづくりを進める福山市のトップとしての認識をお聞かせいただければと思います。また,ゲタリンピックの歴史を後世に伝えていかなければならないとも考えるところです。大規模イベントは難しくともカープヂェーなどで,ゲタタワーなどの競技を展開し,歴史を未来につなげていくことができるはずです。ですが,ゲタリンピックの実行委側は,ゲタなどの備品を処分もしくは譲渡する考えでいます。福山市がこれまでのゲタリンピックの資料を収蔵してはいかがでしょうか。

 

市長

 まず福山城の国宝化に向けての取組です。築城400年に向けて,いわゆる国宝化調査を行い,いくつかの成果が得られたと聞いております。そしてその国宝化に向けた調査の結果については,文化庁にすでに提出をしているとのことです。したがって今後何を調査していくかについては,まだはっきりと定められてはいませんが,引き続き文化庁に提出した調査報告に対する文化庁の評価を聞きながら,次の段階に進んでいきたいと思っています。つまり我々は国宝化に向けた一定程度の調査の成果を得られたということで,文化庁に報告は済ませている段階にあります。

 我々が当面念頭に置いている城郭は,伏見城から一体となって移されたと古文書にも記されている伏見櫓と筋鉄御門,この2つをまずは自民党の国宝議連という議員連盟の場で先週報告し,素晴らしいものがあるととても好意的な受けとめをしていただきました。そして,そもそも基本的には旧国宝であった城郭がその後の新法によって重要文化財にいわば格下げされましたが,これはそもそもそうした考え方ではなく国宝として維持されるべきだというのが,国宝議連のスタンスということを聞き,あらためて心強く思いました。

 実は報告の後,文化庁の方からぜひ一度あらためて話を聞きたいといった旨の話がありましたので,近々,説明に行く予定です。その議連での報告を受けて一歩,歩が進んだ印象を受けています。それから,備後一宮吉備津神社の本殿の国宝化についても,私たちは強い期待を持っています。吉備津神社については,2019年から2022年にかけて,屋根の葺き替え工事が行われました。その際に,保存修復とあわせてさまざまな角度から調査が行われ,新たな墨書名,墨書きが見つかっています。その結果,福山藩の初代藩主・水野勝成公によって,桁行七間,桁行というのは本殿の幅ですが,正面の幅が七間ある。そして奥行き,これは梁間と呼ぶらしいのですが,梁間は四間ある。こうした全国最大規模を要する豪奢な本殿であり,それが1648年,慶安元年に建立されたことが裏付けられ,古い建造物であることが,あらためて調査により確認できました。

 こうした吉備津神社の価値をあらためて国宝議連で説明し,これからあらためて文化庁とも協議しながら,国宝化に向けた取組をしていきたいと思っています。冒頭申し上げましたように,調査の進捗としては,伏見櫓と筋鉄御門が進んでいますので,その城郭2つの国宝化に向けた取組がまず優先すると考えています。

 2点目はゲタリンピックについてです。社会情勢が大きく変化するなかで,地域の活力維持が難しくなってきている。これは全国的な課題として受けとめていますが,一方で,コロナが明けて,数年ぶりの祭や行事が福山市内の各地で活発に再開しており,一概に福山の周辺が疲弊しているとは受けとめていません。皆さまそれぞれに頑張っている,そうした思いを率直に持っています。そうしたなかで,松永の地元有志の皆さまが立ち上げ,30年間発展させてきたゲタリンピックが今回をもって終了することについては,一抹の寂しさを覚えています。

 何といっても,全国最大の下駄の産地として,全国にその名を轟かせた松永,そしてその下駄であります。このゲタリンピックの思いを何とか維持していきたい。今回はやむを得ない理由で,一旦,ゲタリンピックを終了することになりますが,そうした資源をしっかりと保存し守っておけば,将来また新たな担い手がゲタリンピックの復活をめざす,そうした時期も来るのではないかと思っています。そうした意味では,その資源をどのように守っていくかということについて,地元と行政で,これから相談していきたいと思います。

 もちろんこれまで実行委員会を担ってくれた方たちにも参加していただき,どういったあり方を望むのかを聞いていきたいと思います。私としては,今の段階では処分や売却といったことは避けたいと考えています。保存の担い手がどういった形になるにせよ,しっかりと保存しながら,つなぎとして,例えばカープヂェーのなかで下駄を活用した取組が持続されれば,これはまた将来に繋がるやり方かなとも思っています。そうした思いを持って,このゲタリンピックの終了を受けとめています。

 

記者

 世界バラ会議の件でお尋ねします。補正予算案で世界バラ会議福山大会記念基金積立金がありますが,世界バラ会議に「持続可能な」というキーワードもあるなかで,基金新設のねらいを教えてください。

 

市長

 これまでも,世界バラ会議福山大会を支援したいとの思いから,全国から寄附をいただいてきました。今後も機運が高まっていけば,福山大会への協賛の声も多くなってくると思います。そうしたときに目的を明確にした受け皿を整備をしておくことが必要ではないかということで,これまでは「協働のまちづくり基金」のなかで受け入れてきましたが,それを新たに世界バラ会議の名前を冠した基金に移し替えて,今後の取組の支えにしていきたいと思っています。それが今回,基金を設定した理由です。そうしたことによって,また新たな取組の展開の広がりにも繋がっていくことを期待したいと思っています。

 

記者

 休日保育施設予約システムの件でお聞きします。さまざまな行政サービスがあるなかで,今回このマイナンバーカードを入り口で必要とするしくみを保育の分野に導入する意義と,今回この予約システムを公立ではなく私立の保育施設から導入する理由を教えてください。

 

市長

 まずマイナンバーカードを活用する意味ですが,休日保育の利用にあたっては事前登録が必要ですが,事前登録で必要となる保護者や園児の情報をマイナンバーカードで読み取ることで,その事前登録が簡単にできることが1つのメリットです。それから,本人確認が必要になった時,あるいは入力誤りを減らすためにもマイナンバーカードの利用が有効で,混乱や手間などを省きながら,施設側と保護者をつなぐことができる。それがマイナンバーカードを使うメリットだと考えています。

 2点目に,今回は私立の保育施設を念頭に実験を進めていきますが,現状,休日保育の受け入れをしていただいているのが,対象の4園です。現在休日保育を実施していただいている私立の保育施設にシステムを導入し,そのメリットが広く共有されれば,さらに,他の私立の保育施設でも導入が模索され,それは保護者にとっての負担軽減にも繋がっていくだろうという意味で,この4つの私立の保育施設を皮切りとしました。

 

保育施設担当部長

 公立保育所に関しては,すでに市のLINE予約を活用し,運用をスタートしております。一定の登録者の方もいらっしゃいますので,公立保育施設へのシステム導入にあたっては,調整が必要かと思います。ただいずれにしても,同システムとして統合していく必要があると考えており,それは今後検討していきたいと思っております。

 

記者

 2点お伺いします。1点目が,福山シティFCについてです。福山シティFCが,全国地域サッカーチャンピオンズリーグの決勝ラウンドに進んでおります。JFLをめざしているなかでの,市長の受けとめやエールなどをお願いします。2点目は,「びんごの姫」についてです。先日,広島県庁で株式会社クラハシや福山大学と一緒に「びんごの姫」の報告をされていました。福山の新たな漁業の,世界輸出ができる可能性がある「びんごの姫」についての期待などを教えてください。

 

市長

 福山シティFC,頑張ってほしいですね。昨年はJFL昇格に向けた1次ラウンドで敗退しましたが,今年は出だし順調にJFL昇格に向けた戦いを進めているようです。ぜひ今年こそは目標達成してもらって,今後新たな舞台での活躍を期待したいです。2点目,「びんごの姫」については瀬戸内の漁業が不振を見ているなかでとても新しい,「育てる漁業」が1つ実用化されたと心強く思っています。これまで,鱚を養殖するということはおそらくあまり考えられていなかったのではないかと思います。

 鱚を題材に,全く市場に出てこない冬場にこの鱚を家庭や料理店に提供できるというところに着目して養殖に成功されたということで,事業者の知恵が大学の技術としっかり結びついて新たな可能性の窓を広げた,そうした出来事だったように私には受けとめられました。出だしは出荷好調のようですので,ぜひ国内だけにとどまらず,アジアやさらにはその他海外にも展開できるような事業に発展されることを願っています。そしてこれからも,第2・第3のシロギス,第2・第3の成功例が出てくることを願いたいと思います。

 

記者

 「びんごの姫」の試食会も行われたようですが,天然と養殖の違いなど,市長の舌で味わわれてみていかがでしたか。

 

市長

 食レポがあんなに難しいものだというのは初めて体験しました。おいしいのは確かですが,さてそれをどう皆さまに的確に伝えるのかという意味では,十分な役割を果たせずクラハシさんには申し訳ない思いですが,とても美味しかったですね。ぜひご自身の口で,「びんごの姫」を体験していただきたいです。

 

記者

 「びんごの姫」は,まさしく産学連携として今後成功例となり得るものかと思いますが,今後も福山市としては,その大学と企業,産学で新たに創出されていくことを期待されていますでしょうか。

 

市長

 もちろんそうです。今回は広島県の支援事業を通じてこの産学連携を進めてこられたということで,福山市が十分役に立ってきたかというと,そうでもなかったと聞いています。これからは福山市の担当課も,そうした育てる漁業への取組をしっかり強化しながら,新しい挑戦に向けた話が出てくれば,広島県と一緒になってしっかりとサポートしていきたいと思っています。

 

記者

 今年9月以降,市内でイノシシの出没が相次いでおり,特に9月28日にケガ人が2人出て以降,計4人の方がイノシシに噛みつかれるなどして被害に遭っています。市長としてこのイノシシの被害をどう受けとめているのか,また今後対策など検討されていることがあれば教えてください。

 

市長

 イノシシの市街地への出没は全国でも大きなニュースになっており,本市の市街地での目撃情報や被害などの相談は4月1日から11月の上旬までの間にすでに106件寄せられています。市民生活の不安材料になっており,何とか対応をしないといけないと考えておりますが,なかなか難しい問題でもあります。広島県とも協議を重ねておりますが,現状なかなか有効な手だてを見いだすには至っておりません。しかし,これからもイノシシ被害を起こさぬように,取り組んでいきたいと思っています。

 イノシシがなぜこの市街地に出没するようになったかということについては,いくつかの専門家の分析もあるようです。市街地近くに潜み場が増えて,出没しやすくなった。あるいは,都市部の生ゴミやカキやクリなどの実がそのまま放置されて,それが新しい,意図せざるえさ場となり,そこにイノシシが誘引された,それが人との距離を縮めている。そしてさらにそれが重なると,人慣れや車慣れをして人を恐れなくなってくる。こうしたことが市街地出没の要因になってくるのだと思います。したがって,そこから割り出される対策は,潜み場やえさ場をなくすということ,さらにはイノシシと出会ったときの人間の対応をしっかりと我々が知っておくということなんだろうと思います。そうしたことをまずは心がけていくなかで,専門家によるさらなる有効な対策を見いだしていただくいうことになるのだと思っています。

 我々市民も生ごみの放置や収穫後の農作物をそのまま畑に放置しない,あるいは畑にある木にそのまま果物を残さない。そうしたことを一人ひとりがまずは心がけていくことも意味があることだと思っていますので,これから呼びかけていきたいと思っています。

以上。

 

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