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1.ポリ塩化ビフェニルとは
ポリ塩化ビフェニル(以下PCB)は,(1)化学的に安定している,(2)電気絶縁性が高い,(3)不燃性である,などの性質を有する物質であり,主にトランス・コンデンサ等の電気機器の絶縁油,各種工業における加熱・冷却用の熱媒体など幅広い用途で使用されていました。カネミ油事件をきっかけにPCBの毒性が社会問題化し,1972年(昭和47年)に製造が中止されました。しかし,処理体制の構築が進まず,既に製造されていたPCB含有製品が廃棄物となった今もなお,事業者等により長期にわたり保管が続けられているのが現状です。
長期の保管に伴い,保管中のPCBの紛失や漏えいなどによる環境汚染が心配される中,国は2001年(平成13年)に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」を制定しています。
※「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)
PCB廃棄物は,2027年(平成39年)3月末までに確実かつ適正な処理を行うこととなっています。期限内の処理完了に向け,使用中の機器を含めた早期・計画的な処理を推進していく必要があります。
PCBの主な用途
- 絶縁油(トランス用/コンデンサ用)配電用柱上トランス、家電用コンデンサ(テレビ、エアコン、電子レンジ)
- 熱媒体(加熱と冷却)
化学工業、食品工業などの工場での加熱と冷却用の熱媒体 - 潤滑油油圧オイル、切削油、真空ポンプ油
- 可塑剤(絶縁用、難燃性、その他)
電線の被膜・絶縁テープ、ポリエステル樹脂 - 感圧複写機/塗料・印刷インキ難燃性塗料、耐薬品性塗料、印刷インキ
※PCBは1972年(昭和47年)に当時の通産省より行政指導で製造中止、回収の指示が出されています。
※それぞれ機器などにPCBが使用されているかは型式・製造年月日をもとに各メーカーに確認が必要です。
PCB廃棄物の種類
- 高圧トランス・コンデンサ等絶縁油としてPCBを使用した電気機器(PCB濃度60%~100%)
- 安定器等・汚染物
安定器等:蛍光灯安定器、及びこれらの同程度小型の電気機器汚染物 :感圧複写紙、汚泥、PCBに汚染されている鉄くず、廃プラ、木くず 等 - 微量PCB汚染廃電気機器等
PCBを絶縁油として使用していないが、絶縁油が微量のPCBによって汚染されたもの(微量PCB汚染絶縁油)(数ppm~数十ppm程度のオーダー)微量PCB汚染絶縁油が塗布されていたり、付着、封入されたもの。(トランス、コンデンサが多い)
参考
・ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の期限内処理に向けて (環境省パンフレット)