○福山市幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定の要件に関する規程
平成31年3月29日
告示第140号
(趣旨)
第1条 この規程は、福山市幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園及び地方裁量型認定こども園の認定の要件を定める条例(平成31年条例第16号。以下「条例」という。)の施行について必要な事項を定めるものとする。
(教育及び保育の内容)
第2条 条例第7条第2項に規定する市長が定める要件は、次のとおりとする。
(1) 教育及び保育の基本及び目標
ア 認定こども園における教育及び保育は、0歳から小学校就学前までの全ての子どもを対象とし、一人一人の子どもの発達の過程に即した援助の一貫性や生活の連続性を重視しつつ、満3歳以上の子どもに対する学校教育法(昭和22年法律第26号)第23条各号に掲げる目標の達成に向けた教育の提供と、家庭において養育されることが困難な子どもに対する保育の提供という2つの機能が一体として展開されなければならない。
イ 認定こども園は、幼稚園教育要領(学校教育法第25条第1項の規定に基づき文部科学大臣が定める幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する事項をいう。以下同じ。)及び保育所保育指針(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第35条に規定する指針をいう。以下同じ。)の目標が達成されるように教育及び保育を提供しなければならない。
ウ 認定こども園は、イの教育及び保育の目標を達成するため、子どもの発達の状況等に応じ、より具体化した教育及び保育のねらい及び内容を定め、子どもの主体的な活動を促し、乳幼児期にふさわしい生活が展開されるように環境を構成し、子どもが発達に必要な体験を得られるようにしなければならない。
(2) 認定こども園として配慮すべき事項
認定こども園において教育及び保育を行うに当たっては、次の事項について特に配慮しなければならない。
ア 当該認定こども園の利用を始めた年齢により集団生活の経験年数が異なる子どもがいることに配慮する等、0歳から小学校就学前までの一貫した教育及び保育を子どもの発達の連続性を考慮して展開していくこと。
イ 子どもの1日の生活の連続性及びリズムの多様性に配慮するとともに、保護者の生活形態を反映した子どもの利用時間及び登園日数の違いを踏まえ、一人一人の子どもの状況に応じ、教育及び保育の内容やその展開について工夫をすること。
ウ 満3歳以上の子どもであって、幼稚園と同様に1日に4時間程度利用するもの(以下「教育時間相当利用児」という。)及び保育所と同様に8時間程度利用するもの(以下「教育及び保育時間相当利用児」という。)に共通の4時間程度の利用時間(以下「共通利用時間」という。)において、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行う教育活動の充実を図ること。
エ 保護者及び地域の子育てを自ら実践する力を高める観点に立って子育て支援事業を実施すること。
(3) 教育及び保育の計画並びに指導計画
認定こども園における教育及び保育については、前号に掲げる認定こども園として配慮すべき事項を踏まえつつ、園として目指すべき目標、理念や運営の方針を明確にしなければならない。また、認定こども園においては、教育及び保育を一体的に提供するため、次に掲げる点に留意して、幼稚園における教育課程及び保育所における保育計画の双方の性格を併せ持つ教育及び保育の内容に関する全体的な計画を作成するとともに、年、学期、月、週及び日々の指導計画を作成し、教育及び保育を適切に展開しなければならない。
ア 教育時間相当利用児と教育及び保育時間相当利用児がいるため、指導計画の作成に当たり、子どもの1日の生活時間に配慮し、活動と休息、緊張感と解放感等の調和を図ること。
イ 共通利用時間における教育及び保育の「ねらい及び内容」については、幼稚園教育要領及び保育所保育指針に基づき実施し、指導計画に定めた具体的なねらいを達成すること。
ウ 家庭や地域において異年齢の子どもと関わる機会が減少していることを踏まえ、満3歳以上の子どもについては、学級による集団活動とともに、満3歳未満の子どもを含む異年齢の子どもによる活動を、発達の状況にも配慮しつつ適切に組み合わせて設定するなどの工夫をすること。
エ 受験等を目的とした単なる知識や特別な技能の早期獲得のみを目指すような、いわゆる早期教育となることのないように配慮すること。
(4) 環境の構成
認定こども園における園舎、保育室、屋外遊戯場、遊具、教材等の環境の構成に当たっては、次に掲げる点に留意しなければならない。
ア 0歳から小学校就学前までの様々な年齢の子どもの発達の特性を踏まえ、満3歳未満の子どもについては特に健康、安全や発達の確保を十分に図るとともに、満3歳以上の子どもについては同一学年の子どもで編制される学級による集団活動の中で遊びを中心とする子どもの主体的な活動を通して発達を促す経験が得られるよう工夫をすること。
イ 利用時間が異なる多様な子どもがいることを踏まえ、家庭、地域及び認定こども園における生活の連続性を確保するため、子どもの生活が安定するよう1日の生活のリズムを整えるよう工夫をすること。特に満3歳未満の子どもについては睡眠時間等の個人差に配慮するとともに、満3歳以上の子どもについては集中して遊ぶ場と家庭的な雰囲気の中でくつろぐ場との適切な調和等の工夫をすること。
ウ 共通利用時間については、子ども一人一人の行動の理解と予測に基づき計画的に環境を構成するとともに、集団との関わりの中で、自己を発揮し、子ども同士の学び合いが深まり広がるように子どもの教育及び保育に従事する者の関わりを工夫すること。
エ 子どもの教育及び保育に従事する者が子どもにとって重要な環境となっていることを念頭に置き、子どもとその教育及び保育に従事する者の信頼関係を十分に築き、子どもとともにより良い教育及び保育の環境を創造すること。
(5) 日々の教育及び保育の指導における留意点
認定こども園における日々の教育及び保育の指導に際しては、次に掲げる点に留意しなければならない。
ア 0歳から小学校就学前までの子どもの発達の連続性を十分理解した上で、生活や遊びを通して総合的な指導を行うこと。
イ 子どもの発達の個人差、施設の利用を始めた年齢の違いなどによる集団生活の経験年数の差、家庭環境等を踏まえ、一人一人の子どもの発達の特性や課題に十分留意すること。特に満3歳未満の子どもについては、大人への依存度が極めて高い等の特性があることから、個別的な対応を図ること。また、子どもの集団生活への円滑な接続について、家庭との連携及び協力を図る等、十分留意すること。
ウ 1日の生活のリズムや利用時間が異なる子どもが共に過ごすことを踏まえ、子どもに不安や動揺を与えないようにする等の配慮を行うこと。
エ 共通利用時間においては、同年代の子どもとの集団生活の中で遊びを中心とする子どもの主体的な活動を通して発達を促す経験が得られるように、環境の構成、子どもの教育及び保育に従事する者の指導等の工夫をすること。
オ 乳幼児期の食事は、子どもの健やかな発育及び発達に欠かせない重要なものであることから、望ましい食習慣の定着を促すとともに、子ども一人一人の状態に応じた摂取法や摂取量のほか、食物アレルギー等への適切な対応に配慮すること。また、楽しく食べる経験や食に関する様々な体験活動等を通じて、食事をすることへの興味や関心を高め、健全な食生活を実践する力の基礎を培う食育の取組を行うこと。さらに、利用時間の相違により食事を摂る子どもと摂らない子どもがいることにも配慮すること。
カ 午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる環境を確保するとともに、利用時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
キ 健康状態、発達の状況、家庭環境等から特別に配慮を要する子どもについて、一人一人の状況を的確に把握し、専門機関との連携を含め、適切な環境の下で健やかな発達が図られるよう留意すること。
ク 認定こども園の職員は、当該認定こども園の子どもに対し、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の10各号に掲げる行為その他当該子どもの心身に有害な影響を与える行為をしてはならないこと。
ケ 家庭との連携においては、子どもの心身の健全な発達を図るために、日々の子どもの状況を的確に把握するとともに、家庭と認定こども園とで日常の子どもの様子を適切に伝え合い、十分な説明に努める等、日常的な連携を図ること。この場合において、職員間の連絡・協力体制を築き、家庭からの信頼を得られるようにすること。
コ 教育及び保育活動に対する保護者の積極的な参加を促すこと。この場合において、保護者の生活形態が異なることを踏まえ、全ての保護者の相互理解が深まるように配慮すること。
(6) 小学校教育との連携
認定こども園は、次に掲げる点に留意して、小学校教育との連携を図らなければならない。
ア 子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、小学校教育への円滑な接続に向けた教育及び保育の内容の工夫を図り、連携を通じた質の向上を図ること。
イ 地域の小学校等との交流活動や合同の研修の実施等を通じ、認定こども園の子どもと小学校等の児童及び認定こども園と小学校等の職員同士の交流を積極的に進めること。
ウ 全ての子どもについて指導要録の抄本又は写し等の子どもの育ちを支えるための資料の送付により連携する等、教育委員会、小学校等との積極的な情報の共有と相互理解を深めること。
(一部改正〔令和5年告示146号〕)
(保育者の資質向上等)
第3条 条例第8条に規定する市長が別に定める要件は、次に掲げるとおりとする。
(1) 子どもの教育及び保育に従事する者が、自ら資質の向上に努めること。
(2) 教育及び保育の質の確保及び向上を図るためには日々の指導計画の作成や教材準備、研修等が重要であり、これらに必要な時間について、午睡の時間や休業日の活用、非常勤職員の配置等、様々な工夫を行うこと。
(3) 幼稚園の教員免許状を有する者と保育士資格を有する者との相互理解を図ること。
(4) 認定こども園の長及び職員に対する当該認定こども園の内外での適切な研修計画を作成し、実施するとともに、その研修の機会を確保できるよう、勤務体制の組み立て等に配慮すること。
(5) 認定こども園の長は、認定こども園を1つの園として多様な機能を一体的に発揮させる能力並びに地域の人材及び資源を活用していく調整能力を向上させること。
(子育て支援)
第4条 条例第9条第2項に規定する市長が別に定める要件は、次に掲げるとおりとする。
(1) 単に保護者の育児を代わって行うのではなく、教育及び保育に関する専門性を十分に活用し、子育て相談や親子の集いの場の提供等の保護者への支援を通して保護者自身の子育てを自ら実践する力の向上を積極的に支援すること。また、子育て世帯からの相談を待つだけでなく、認定こども園から地域の子育て世帯に対して働きかけていくような取組も有意義であること。
(2) 保護者が子育てに関し認定こども園の利用を希望するときに利用可能な体制を確保すること。
(3) 子どもの教育及び保育に従事する者が研修等により子育て支援に必要な能力を涵養し、その専門性と資質を向上させていくとともに、地域の子育てを支援するボランティア、NPO、専門機関等と連携する等様々な地域の人材や社会資源を活かしていくこと。
附則
この規程は、2019年(平成31年)4月1日から施行する。
附則(令和5年3月29日告示第146号)
この規程は、2023年(令和5年)4月1日から施行する。