今津を見守る柔和なまなざし 蓮華寺の阿弥陀如来
今津町にある蓮華寺は白鳳年間(645年頃~710年)、今津地方の長の菩提寺が起源と伝わっています。
本尊は阿弥陀如来像で、左右の脇侍(わきじ)である観音・勢至(せいし)菩薩像とともに本堂に安置されています。
阿弥陀如来像は高さ約90センチ、正中矧ぎ(せいちゅうはぎ)の一木割矧ぎ造(いちぼくわりはぎづくり)(※1)という技法で造られています。円満な面相に柔和な肉付き、体の奥行きが薄く、浅い彫り口の衣文表現や繊細典雅な姿から、平安時代(12世紀ごろ)に制作されたと考えられます。
脇侍の観音・勢至菩薩像は高さ約100センチの立像です。制作年代は阿弥陀如来像から下り、衣文表現などから室町時代(15~16世紀)と考えられます。
三尊の面差しが似ていることから、阿弥陀如来像は両脇侍の制作と同時期に修復されていると考えられますが、それでも定朝様(じょうちょうよう)(※2)を彷彿とさせる制作当初の姿をよくとどめています。
阿弥陀如来像は作風や技法が稀少であること、姿態バランスが整い優れた彫技がうかがわれること、県内で等身大の彫像は多くないこと、観音・勢至菩薩が揃い三尊一具(さんぞんいちぐ)としての体裁が整っていることなどが評価され、2023年11月2日、本市の重要文化財に指定されました。
普段は公開されていませんが、10月にふくやま美術館で展示されます。
※1 一木を一度左右に割り、中を刳りぬいてつなぎ合わせる技法
※2 平安時代の仏師、定朝にはじまる和様の仏像彫刻様式
木造阿弥陀如来坐像及び両脇侍立像
手話通訳/要約筆記の有無:
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