
雨を呼ぶ神が座す 蛇円山
駅家町の服部大池公園から北を眺めると、山並みの中央に蛇円山が見えます。標高545.5m、その姿から備後富士とも呼ばれ、福山市で二番目に高い山です。山の頂上付近にある蛇円山公園からは服部川流域が眼下に広がり、天気が良ければ芦田川の河口まで展望できます。初日の出のスポットにもなっており、元旦には多くの人が集まります。
山頂には高龗(たかおかみ)神社が祭られています。祭神は八大龍王で雨乞いの神です。干ばつのときには雨乞いのための祭礼が行われました。駅家町出身の馬屋原重帯が編纂した地誌「西備名区(せいびめいく)」には、蛇円山を龍山やおろち山とも呼ぶのは大蛇に由来するもので、昔は大蛇が棲んでいたと記されています。蛇と龍は水をつかさどるとされ、形態の類似もあり同一視されてきました。また、龍王がこの山に降りたという伝承も残っており、昔から蛇円山が神の宿る神聖な山として敬われていたことが伺えます。
蛇円山には登山ルートがいくつかあります。そのうちの一つに、備後地方の南北を結ぶ野呂往還という古い尾根道があります。梶原屋敷跡と呼ばれる石積みが残っており、古くから続く人々の営みの跡を見ることができるルートもあります。山中には花こう岩の特徴的な巨石が点在しており、そのうちくぐり岩と呼ばれる重なった岩の付近からは奈良時代の塼仏※が発見されています。神や仏の違いはあれど、いつの時代も蛇円山は信仰の対象であり場所であったことがわかります。
※塼仏(せんぶつ):粘土上のレリーフ上の仏像
蛇円山(服部大池公園から)
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