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福山市のばらから取り出した独自の酵母で発酵食品を開発 福山大学 生命工学部生物工学科 教授 久冨泰資さん

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久冨 泰資(ひさとみ たいすけ)さん

久富先生の写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久冨 泰資(ひさとみ たいすけ)さん(左から2番目)

福山市のばらから取り出した独自の酵母で発酵食品を開発

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2013年(平成25年)から福山市内の産学官が連携して始めた「福山バラの酵母プロジェクト」。福山市で育てられたばらの花から野生の酵母を採取して、地域発の発酵食品を生み出す取り組みです。

この福山生まれのバラ酵母を研究・開発したのが、福山大学生命工学部の久冨泰資教授のチームです。

プロジェクトの第1弾は、バラ酵母を使ったパン作り。久冨教授と研究室の学生たちは、市の園芸センターで栽培された50品種のばらの花から1,305株もの出芽酵母を取り出し、そのうち8株がパン生地の発酵に適していることを発見。それらのDNAや安全性を調べていく中で、真っ赤な花を咲かせる「ミスターリンカーン」という品種のばらから抽出した酵母が、上質なパンを作り出す能力があることがわかりました。

地域事業者たちと協力してパン種や地酒などが誕生

久冨先生の写真

久冨教授のチームが発見した「リンカーン酵母」を活用して、4つの商品が誕生しました。

まず1つ目は、地元企業『ぬまくま夢工房』や東京のパン種メーカーと6年がかりで完成させた乾燥パン種。次に、同じく久冨教授チームが福山市沼隈町産のブドウから抽出した酵母も用いて、世羅町の『せらワイナリー』が醸造したワイン。そして『備後福山ブルーイングカレッジ』と共同開発したクラフトビール、福山市内唯一の酒蔵『天寶一』が造った日本酒です。

この4商品は「ローズマインドシリーズ」として、2025年(令和7年)福山市開催の「世界バラ会議福山大会」での提供が期待されています。

 

酵母という地域の「宝」を発掘して育てていきたい

久冨先生の写真​​

屋久島で新種の野生酵母を発見するなど、微生物学のエキスパートである久冨教授。「酵母は地域の宝。まちに隠れた『宝』を発掘して、日の目を見させるのがわれわれ科学者の使命」と力強く語ります。

「多様な品種のばらが咲き誇る『ばらのまち福山』だからこそ、新しいバラ酵母を発見できた。そして地元事業者の方々の、地域を盛り上げたいという熱い思いと失敗を恐れない行動力のおかげで、すばらしい商品が生まれました。これからも福山ならではの酵母が持つ可能性を、地域の皆さまと育てていきたいです」。

現在は、学生たちとともに、ばらの香りを発する「リンカーン酵母」を育種中。科学の力と地域の情熱によって、これからも福山発のオンリーワンな発酵食品が醸されていくはずです。

 

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2022年(令和4年)12月取材

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