本文
動物園で働きたい!異分野から飼育員の道へ 福山市立動物園 飼育員 高橋弥帰さん
高橋 弥帰(たかはし みき)さん
動物園で働きたい!異分野から飼育員の道へ
福山市の北西部にあり、約60種の動物が飼育されている『福山市立動物園』。園のアイドル的存在・ボルネオゾウのふくちゃんや、飼育員たちによる親近感あふれるSNS発信などにより、多くの福山市民に愛されています。
ここで2022年の春から働くのが、新人飼育員の高橋弥帰さん。高橋さんは、大学在学中に飼育員になることを決意します。思い立ったら即行動!派の彼女。専攻は哲学と全くの異分野ながら、動物園でアルバイトをしたり飼育実習に参加したりして飼育体験を重ね、『福山市立動物園』の採用試験に合格。晴れて憧れの飼育員となったのです。
「その子に合ったペースで」 難題の体重測定に挑む!
飼育員の仕事の一つが、動物たちの体調管理です。体重測定はそのための重要な作業ですが、これが意外に難しく…。特に、高橋さんが担当するエミューなどの走鳥類は、体重計の上といった足場が不安定な場所を嫌がるためなかなか成功に至らず、これまでは見た目を参考におおよその体重を予測していました。しかし高橋さんは、あえてこの難題に挑戦! 高橋さんがエサで誘導して彼らが自ら体重計に乗るようになることを目指し、トレーニングを始めました。
まずは、高橋さんの手からエサを食べるようになること。次に、体重計に乗れるようになること。「数日で達成する子もいれば、警戒心が強くて、体重計にかぶせる板に慣れるだけで数カ月かかる子もいます。その子に合ったペースで進めていくのが大切なんです」と高橋さん。
毎日少しずつ根気よくトレーニングを続け、2 カ月が過ぎた頃…。ついに体重測定に成功! 「うれしかったですね。エミューたち、ありがとう!という気持ちでした」。
動物たちのために…よりよい環境づくりを
高橋さんが飼育員になる決意をしたきっかけは、学生時代に体験した飼育実習の際に「動物福祉」について知ったから。動物園は、来園者に楽しんでもらうためだけでなく、動物たちも心地よく暮らせるように、さまざまな取り組みを行っています。
そのことに感動した高橋さんは、「飼育員として動物たちの力になりたい」と意気込みます。これまで行われていなかった走鳥類の体重測定に挑んだのもその思いから。
「この子たちが健康的に過ごせるよう、個体ごとの体重管理を継続的に行ってデータを集めていきたい」。それが、「動物ファースト」な彼女のまず最初の目標です。
2022年(令和4年)10月取材