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体験や製品づくりを通じて藍の魅力を伝えたい 藍屋テロワール代表 藤井健太さん

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藤井健太(ふじい けんた)さん

藍屋 藤井さんの写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この土地ならではの色を​鮮やかに表現する藍染め

藍屋 藤井さんの写真​​

自然豊かな福山市山野町で、藍の栽培から染料となる蒅(すくも)づくり、そして藍染めを一貫して行う『藍屋テロワール』。テロワールとは「その土地が持つ特徴や性格」を意味するワインの用語で、その名の通りこの土地でしか表現できない藍を作り上げています。

代表の藤井さんは、大阪の大学を卒業後、広告業界でサラリーマンとして働いていましたが、西条の酒蔵で藍染め体験をしたことがきっかけで藍の道へ。藍染めの本場・徳島で、蒅づくりをする藍師に弟子入りし、約2年間修業したのちにUターン。

藍を育てる畑や藍染めに欠かせない水が豊富にあること、さらに親戚の紹介で住む家が見つかったこともあり、山野町で藍の栽培と藍染め工房をスタートしました。

栽培から蒅づくりまで 藍とともに過ごす四季

藍屋 藤井さんの写真

耕作放棄地だった土地を自ら耕し整地した畑で、3月に種をまいて育てた藍の収穫が始まるのは初夏。葉を選別・乾燥し、寒さ厳しい冬の間に蒅を仕込みます。葉に水と酸素を与えてかき混ぜ、発酵させる作業を18週間繰り返すことで、藍染めの原料である蒅が完成。約1年の地道な作業を経て、ようやく藍染めの準備が整うのです。さらに、この蒅に灰汁と貝灰、小麦のふすまを混ぜたものが染液になります。

日本に古くから伝わる伝統的な「天然灰汁発酵建て」による藍染め。化学染料に頼らないため、その時々で変化する藍の状態を見極める必要がありますが、糸や布をこの土地でしか表現できない藍色に染めるだけでなく、環境にも人にも優しいのが特長です。

 

体験や製品づくりを通じて藍の魅力を伝えたい

藍屋 藤井さんの写真​​

「藍染めに関わっている人は美大や芸大出身の人、学生時代から染色を学んできた人も多くいます。その中で、何の知識も経験も持たないまま藍染めの世界に飛び込んだ僕にできることを考えたら、畑で藍を育てることからやるしかないと思いました」と藤井さん。

その思いは少しずつ広がり、地元企業をはじめ、全国のブランドやメーカーからの依頼が絶えません。2023年(令和5年)3月にはオリジナルブランド〈terroir〉が始動。備後のデニムをはじめ、産地でのものづくりにこだわったアイテムが登場する予定です。

また、畑で育つ植物としての藍や蒅づくり、藍染めまであらゆる過程を体感してほしいと、藍染め体験のワークショップも随時実施。「藍染めは、それ自体が魅力的な存在。藍染めをツールにいろんなつながりが生まれていくことが喜びです」と話してくれました。

工房の周辺で揺れる藍色は、藤井さんの人柄や土地の性格を映し出すように深みがあってのびやか。藍を通じた新たな出会いと輪は、さらに広がっていきそうです。

 

2022年(令和4年)10月取材

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