ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 担当部署で探す > 福山駅周辺再生推進課 > 福山駅前再生フォーラム2020を開催しました

本文

福山駅前再生フォーラム2020を開催しました

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年5月7日更新

開催概要

日時

2020年(令和2年)3月19日(木曜日)19時から21時

場所

まなびの館ローズコム4階大会議室

テーマ

まちなかと周辺地域をつなぐ~産業のリノベーションによる地域の再生~

参加者

ファシリテーター

清水義次さん (株式会社アフタヌーンソサエティ代表取締役、福山駅前デザイン会議座長)

パネリスト

西村浩さん (株式会社ワークヴィジョンズ代表取締役)

塩出喬史さん (大和屋製パン工場代表)

籔田健一さん (株式会社ガスエナジーヤブタ代表取締役社長)

井上隆雄さん (若葉家具株式会社代表取締役社長)

田邊潤三さん (若葉家具株式会社営業部長)

島田宗輔さん (福山電業株式会社代表取締役社長)

意見交換の内容

開会挨拶

清水さん

清水さんの写真

 皆さん,こんばんは。駅南の地価公示が昨年を大きく上回る,伏見町で約6%の上昇,また三之丸町でも上昇がみられました。ずっと民間の投資が起こりにくかったまちでしたが,民間の投資が起こり始めたということです。少し上がり過ぎかと思いますので,穏やかに長期にわたってこのまちが良くなっていくことが今日の話のテーマだと思います。そのために福山のまちで実際のビジネスの場で活躍されている皆さんをお呼びしました。どうぞ活発な意見交換をお願いします。

 

福山駅周辺デザイン計画の説明(動画2分頃~)

福山市福山駅前再生推進室 古山

福山駅周辺デザイン計画 [PDFファイル/10.72MB]

 この計画は,福山駅前再生ビジョンに掲げる「働く・住む・にぎわいが一体となった福山駅前」に実現に向け,行政と民間が行う具体的なソフトとハードのプロジェクトを定め,官民連携により取り組むことで,福山駅前の再生を実現するものです。
 福山駅周辺を居心地が良く,歩いて楽しい空間,人やモノ,情報が集まる空間へと転換し,エリア価値を高め,良質な民間投資を呼び込むことで,備後圏域の玄関口としてふさわしい福山駅前として再生を実現していきます(デザイン計画p.1)。

 デザイン計画の期間は10年間を1期とします。デザイン会議などで適宜修正を行い,概ね5年を目途に見直しをしていきます。実際にまちを使う人である市民や民間事業者の意見をしっかりと受け止め,それを計画に結びつけていきます(同p.2)。

 福山駅前の再生がめざすものは,官民の良質な投資により,駅周辺に都市機能を集積させることで,エリア価値を高めていく経済循環を再構築することです。駅前再生は,駅前と周辺地域の人や産業がつながり,経済の好循環を生み出すことで,駅前だけでなく,市域全体の発展をめざします。さらにその効果を備後圏域から中国・四国地方へと波及させていきます(同p.3~4)。

 駅前再生に資する具体的な事業を,福山駅周辺を4つのエリア(福山城周辺エリア,伏見町周辺エリア,三之丸町周辺エリア,中央公園周辺エリア)に分け,それぞれのエリアビジョンに沿って取り組むことで,駅周辺に性格の違うエリアをつくり,駅前に行く目的を増やします。

 4つのエリアについて説明します。まずは福山城周辺エリアです。エリアビジョンは,「歴史・文化資源を活用した日常使いの憩いの場」,エリアイメージは,「福山城へと人々をいざなう駅北側の玄関口」などです。福山駅を訪れた人が福山城内に駅があるような印象を与える空間づくりなどに取り組みます。このエリアでは,駅北口広場整備事業を始め大きく7つの事業を計画しています(同p.8~11)。

 続いて伏見町周辺エリアです。エリアビジョンは「地域の個性がつまった魅力発信の拠点」,エリアイメージは,「せとうちツリーズムの玄関口」などです。福山駅に隣接する立地を生かし,官民連携でせとうちエリアへとつなぐ拠点の形成などを図ります。具体的にはレンタサイクル事業や土地有効利用事業など5つの事業に取り組みます(同p.12~14)。

 次に三之丸町周辺エリアについてです。エリアビジョンは「職住混在のスマートでクリエイティブなオフィス街」,エリアイメージは「広域性と拠点性を備えた高次都市機能が集積した備後圏域の玄関口」などです。このエリアでは,伏見町周辺エリアと一部重複しますが,駅前広場機能検証やリムの再生など6つの事業に取り組みます(同p.15~17)。

 最後に中央公園周辺エリアについてです。エリアビジョンは,「多様な知識や文化が融合する学びの拠点」,エリアイメージは「中央公園の緑の空間が育む豊かな日常風景のあるエリア」などです。このエリアでは,中央公園のPark-PFIと市民の学び支援サービスの2つの事業に取り組みます(同p.18~19)。

 また,4つのエリアに共通して行われる事業と周辺地域と連携して行う事業を掲載しています(同p.21~22)。

 続いてウォーカブルエリアについてです。福山駅前を居心地が良く,歩いて楽しい歩行空間とするため,ピンクで網掛けしているエリアをウォーカブルエリアとして設定し,重点的に事業に取り組みます。駅前再生ビジョンで定めたまちづくりの核となる福山城と中央公園・中央図書館と,福山駅,旧キャスパ等跡地,伏見町エリアそしてRiMの計6か所を人が集積する拠点と位置付けています(同p.23)。今後,歩いて楽しい空間形成のために民間投資を呼び込むことによるにぎわいの創出に取り組みます。2020年度(令和2年度)から5年後,10年後,20年後までにウォーカブルエリアとなるステップを掲げています(同p.25~27)。主な歩行者動線を赤い矢印で表し,主な車両動線を黒い矢印で表しています(同p.28)。水色の個所は現在駐車場が集積している場所になります。将来フリンジ駐車場として期待できる場所だと考えられます(同p.29)。

 続いてウォーカブルエリアの歩行者空間のイメージを掲載しています。官と民の境界線を曖昧にして,活用しやすい環境をつくり出し,良質な民間投資を呼び込み,歩いて楽しい空間を形成します(同p.30~31)。

 最後に,4つのエリアに関係する事業の成果指標を掲載しています(同p.33)。

 今後,この計画に基づき駅前再生に向けた取組を官と民が連携して着実に実行することで,駅前再生を確かなものにしていきます。

 

自己紹介・会社紹介(動画10分頃~)

塩出さん

塩出さんの写真

 大和屋製パン工場という事業をしています。1年前のリノベーションスクールに参加して三之丸公園を対象物件にしたことで,そこからFukuyama Park Girlsというユニットを結成し,プロデューサー的な立ち位置で活動をしています。今日はいろんな視点から話をさせてもらえばと思いますので,よろしくお願いします。

籔田さん

籔田さんの写真

 株式会社ガスエナジーヤブタの籔田と申します。弊社は福山を中心にプロパンガスの供給をしています。2023年には創業100年を迎えます。今はその他にも住宅設備機器の販売や工務店を1社持っていますのでリフォーム事業をやっています。先日はコインランドリー&カフェをオープンしました。そういった生活に関わる全般の事業をしています。福山の地域が盛り上がっていくことが私たちの成長に直結するので,まちのために何かしていきたいと思っています。

 最近力を入れていることは,福山の子どもたちに国際的な機会を与える目的で,海外から子どもたちを連れてきて交流したり,福山の大学生の留学をサポートする事業をしたりする団体を立ち上げています。

 駅前再生に関してはこれまであまり関わって来ませんでしたが,これをきっかけに勉強させてもらいながら今後関わっていきたいと思いますので,よろしくお願いします。

井上さん

井上さんの写真

 若葉家具の井上と申します。府中市に本社があり,家具の製造販売をしています。かつて府中といえば婚礼家具の府中家具で有名でしたが,今は家具も様変わりした中で,家具だけではなくてダイニングテーブルやイス,ソファなどに切り替えて,デザイナーとも組みながら新たな取組みをしています。工務店とも組みながら,家具からリビング全般,家づくりや暮らし方を提案できるようにしていきたいと思って活動しています。7年前からはショールームを開放して生活雑貨を取り入れながら,ワークショップを定期的に開催して地元の人を中心としたコミュニティの場づくりもしています。

 今日は福山のまちづくりということで,備後圏域が活性化するためには,まずは核となる福山が活性化することで波及効果が生まれると思っています。

田邊さん

田邊さんの写真

 若葉家具の田邊と申します。営業職をしていて,岩手県と秋田県以外の,だいたいのまちは見てきました。福山から来ましたと言ってもどこですか,とよく言われるので,福山駅で駅名の入ったお菓子を買ってPRをしています。いろんなまちを見ているので,そういう話が少しでもできればと思います。よろしくお願いします。

島田さん

島田さんの写真

 福山電業の島田と申します。電気工事をしており,会社は今年で74年目を迎えます。7年前に福山に帰ってきました。さまざまな団体で籔田さんや塩出さんの後輩にあたり,いろいろな活動をしています。

 個人としてはせとうちPEDAL Lifeという自転車の団体を立ち上げて活動しています。尾道や倉敷などの周辺とどうつながっていくか,どうやって福山がこの地域のハブになっていくか,どう素晴らしい体験をしてもらうか,そのための手段として自転車を通じて活動しています。何か少しでもお役に立てればと思いますのでよろしくお願いします。

西村さん

西村さんの写真

 福山に関わって3年くらいになります。駅前周辺の公共空間に関わっています。道路や駅前広場を今後どう使っていけばいいか,行政の皆さんと一緒に考えています。

 私自身は設計事務所が本業ですが,最近は設計のみをすること自体が本当に必要なのかを問うていく時代で,何かをつくってくれと依頼されるのが仕事ですが,最近は本当につくっていいのかとよく考えます。依頼されるものはつくりますが,つくる前提で何をしておくべきかを考えています。使ってもらうためのハード整備のあり方をまず考えて,そのあとで初めて設計するというのが仕事の趣旨になってきています。これからまちに投資するのであれば,使うことを前提に投資することが必要で,まずは使う人を探さないといけないし,使うためのハードルや法令,規制緩和などもこちら側から提案して実現できるように整えてから,ハード整備をするというやり方を福山駅前でも考えていきたいと思っています。リノベーションスクールのスクールマスターなどをさせてもらっていますが,プレーヤーとも近いところで仕事ができていることが,使うという感覚にリンクしていると思います。よろしくお願いします。

 

意見交換(動画24分頃~)

会場の写真

清水さん

 福山駅前の再生はまずビジョンを掲げるところから始まりました。2020年度の国交省の施策の資料にも福山のビジョンの絵が掲載されています。これを他の自治体でもめざせ,ということです。ビジョンを定め,それに基づくプロジェクトによるビジョンの具現化がどんどん進んでいくことが,このビジョンを定めた目的です。ビジョンを絵に描いた餅にせずに,具体的で,中に入れる,触れるみたいなものにして,まちなかがどんどん変わっていくということです。

 ウォーカブルという考え方がありますが,これは車で来やすく,歩いて楽しいまちなかをめざすものですが,現実の市民の皆さんにとって車は重要な移動手段となっています。しかし,車で駅前にアプローチして,停めやすい駐車場に車を停めた後は,歩いて楽しいまちがお城から中央公園まで続いていくというまちづくりを,先ほどのデザイン計画のウォーカブルエリアで起こしていくということです。それを面的につくり出すことが駅前再生であり,いいまちができるとおもしろい人が集まり始めるということだと思います。今日のテーマは今ある産業をリノベーションしたり,新たな産業をつくり出したりして,福山で持続する産業をどう伸ばしていくかということです。今日は若手の経営者の方々にお集まりいただいている意味もそういうことだと思います。福山の課題でもいい,福山の未来の産業のことでもいい,話したいことはどんどん話すということで進めていきたいと思います。

【テーマ】 デザイン計画や福山のまちの課題、未来の福山の産業などについてどう思いますか。(動画28分頃~)

塩出さん

 先ほどウォーカブルエリアの話がありましたが,私の会社の工場は本町にありまして,ウォーカブルエリアでいう北の端のあたりにあり,今いる中央公園はエリアの南の端にあります。今日は駅のあたりを通り,伏見町を通り,久松通を通って会場まで歩いて来ました。実際に歩いてみるとしんどいわけではなく,距離的には歩きやすいエリアだと思います。ただ,気持ち的には遠いような気がします。ポイント,ポイントで歩きたくなるようなものを配置するとか,人とも出会いやすいとか,そういうことがあると歩きやすくなると思います。

 車で来やすく歩いて楽しいという話がありましたが,自転車で通いやすいというのがポイントだと思います。駅前では放置自転車が撤去され,景観の面では良くなったと思いますが,その反面自転車で来づらくなった部分もあると思います。以前は駅の構内を自転車で通行している人もいましたが,いろいろな面で禁止されることが多くなると駅に行きづらくなることもあると思います。最近は駅前で多くの外国籍の人が自転車で行き来していますが,あれを見るとにぎわいの可能性を感じます。あんな姿がもっと見られるようになれば良くなると思います。

籔田さん

 先ほど車で来やすく歩いて楽しいという話がありましたが,まさにそうだと思います。少し否定的になるかもしれませんが,今の福山は車文化です。駅周辺に住んでいる方は別ですが,私は駅から10分くらいのところに住んでいて,基本的には車で移動しています。車で移動する人たちに駅前を行先の選択肢に入れてもらうのは,私はハードルが高いと思います。恐らく市民の多くが感じていることだと思います。そこで選んでもらうためにこういう企画があると思います。すごくインパクトのあるコンテンツを打ち出し続けないと途絶えてしまうと思います。

 もう一つは,ユニバーサルで便利という視点が重要です。例えば,お年寄りや車を持っていない人が駅前に来て,駅前に行くと便利だとか,いろんな用事が済むだとか,行政機関が集まっているだとか,そういう視点がないと,車文化の福山で駅前を選んでもらうのは難しいと思います。

島田さん

 7年前に福山に戻ってきたときは,もっとこうすればいいのに,という不満ばかりでしたが,最近はいろんなことが実現されていて,自分がやらなくてもいいのではと思うこともあります。ウォーカブルはすごく大事だと思っていて,歩いてでも行きたくなるものがその先にあるというのが重要だということがこの計画で考えられているんだと思います。

 あとは楽しいコンテンツも大事ですけど,働く場所もここに集積していくと変わると思います。周辺になくてここにしかないものは何だろうと考えたときに公共機能もそうだと思います。例えば,今三吉町にある税務署とか,そういうものが集積すれば,そこに行く人やそこで働く人もいますし,その人たちがランチ時にはまちに出てきます。生活に必要な機能をいかにここに配置していくか,日々歩いて生活する人をどれだけ増やすかが大事になると思います。

籔田さん

 先ほどの島田さんのお話を聞いて思うのが,周辺の地域も一緒に成長していくという視点であれば,家から外に出る人を増やさない限り,駅前にいろんなお店が集中すれば郊外店が廃れてしまって,単なる人口の移動になってしまってはいけないと思います。働く人をここに呼び込んで別の機能を郊外にということもいい視点だし,福山をハブとして県外から人を呼んでくるという施策も必要だと思います。

 先日,香港の友人が連絡をしてきて,福山に宿泊するからウィークリーマンションを取って欲しいと言われました。なぜ福山かと聞くと,福山にいれば中四国どこに行くにも便利だと言っていました。福山なら関西にも山陰にも行ける,そういう発信の仕方ができると,そこがまたハブとなって駅前に人が集まってくると思います。

田邊さん

 今福山に住んでいますが,残念ながら駅のあたりにはあまり行かないです。うちの家族になぜ行かないのか聞くと,駐車料金がかかるし,郊外なら無料だからと言っていました。RiMはいろんな施設が入っていますが,駐車場が狭くて困ると言っていました。もう少し女性が行きやすい場所じゃないと困ると。福山は玄関なので駅に人が来てくれないと郊外にも人を送れないです。

 前々からこんなことができればと考えていたのが,山陽自動車道の福山東インター,西インター,スマートインター,JR大門駅,赤坂駅等,駅周辺を1つのハブにしてそこから乗り合いなどでまちの中に入ってもらうということです。魅力的なまちになったとしても渋滞が起きると来てもらえないと思います。

 群馬の草津温泉の事例をご存じですか。駅の近くに70台くらいの駐車場があったんですが,混雑するので思い切って離れたところに駐車場を置いてやると,まちの隅から隅まで人が歩くようになったそうです。最近は成功事例としてもメディアでも取り上げられていますし,そういった事例の真似をしていけばいいんじゃないかなと思います。

井上さん

 駅と周辺のビジョンというのはいいと思います。福山は新幹線のぞみが停まることもあって,まずは県外から来た人が降り立つ場所だと思います。その時に駅前が活性化していることがまち全体の活性化にもつながると思います。福山も府中もそうですけど,車社会の中で歩いて楽しいまちづくりをしようと思うと,どこかに焦点を合わせないといけなくなって,それは駅前からになると思います。駅前が良くなれば電車を利用する人も増えると思いますし,そう考えると駅前が核になると思います。それを考えるとじゃあ中身をどうするかという話になりますが,これからの高齢化社会を考えると,高齢者が公園に行くような感覚で駅前に行く,歩くと健康にもつながるし,楽しみにもつながるということでは歩くということはテーマでしょうし,そういう場所ができるのは大事だと思います。

西村さん

 地方都市はどこも車社会ですが,よく言われるのが,駐車場がないと人が来ないということですが,全くそんなことないんです。絶対に行きたいお店があると駐車場がなくても,駐車料金を払ってでも人は来ます。車がないと人が来ない,と言っているのは言い訳です。本来,お店の魅力があれば絶対人は来ます。そういうコンテンツがあるところに人が歩いているんです。ということは,ウォーカブルというのは道路の環境を歩きやすくするのは当然ですが,まちに魅力があるコンテンツがなければ歩かないんです。もう一つは習慣の問題です。歩くということを習慣づけるということです。これはどれだけ道路の環境を良くしても,公共交通を充実させても,それだけでは歩かないんです。それは習慣の問題だから。ということは習慣を変えるという仕掛けをセットで取り込まないとウォーカブルなまちは実現しないと思います。

 人口が増えていた時代は,人が増えてぎゅうぎゅうの状態になって大変でしたが,郊外の田んぼを宅地に変えて,住宅の専用地域をつくり,郊外に住むようになりました。そのときに車という道具も入ってきました。そうすると郊外の広々とした一戸建てに住んで,車で通勤できるようになるから,ますます郊外に住むようになりました。それによって行政は郊外は住宅専用の地域として,中心部は商業専用の地域として管理するようになりました。行政として管理やすい状態をつくるために都市計画というものを進めてきました。ところが人口が減っていく時代になったときに,単一機能のまちがいかにつまらないか,ということになったわけです。そこで多様性の重要さに気づきました。エリアの用途も多様なほうがいいし,使い方も多様であるといいし,その場所にアプローチする手段も多様なほうがいい。だから選択できるということが,まちの価値になると思います。まちの中にオフィスがあってもいいじゃない,子育て世代が集まる場所があってもいいじゃない,そうしたらもう少し安全な空間にしないとね,ということから道路のあり方が変わるということをつくり込んでいくことがウォーカブルの神髄だと思います。

 ウォーカブルエリアは人が歩く道と車の通る道をうまく区分けしています。基本的にこれまでは,いかに車や歩行者をスムーズに流すかという視点で道がつくられてきて,道で滞留するという視点はありませんでした。今後は滞留してお酒が飲めたり,子育て世代がくつろいだりという用途を道に入れていくことを考えようとしているのがウォーカブルです。ただ車社会だし,全部の道がそうなってはいけないです。車でのアクセスも便利なまちにしよう,でもその中はお母さんたちがゆっくり過ごせる道にしようと,そういう道が一本ずつ交互にあると一番いいんですが。そうするとくつろげる道にはお母さんたちが集まり,それに合う用途のお店が張り付き,車でアクセスしやすい道には物流機能とかが張り付いて,これが交互にあることがまちなかにとって重要なんです。車でアクセスする道とウォーカブルな道をすみ分けるということがこのデザイン計画に盛り込まれています。ですから,まずは多様なまちをつくる,皆さんがされている事業でも郊外に工場があるけど,まちなかにショールームがあるとか,農業でいう生産と消費みたいな関係が生まれて,まちなかが再生されていくとおもしろくなると思います。

【テーマ】 先ほどの西村さんのお話を聞いてどう感じましたか。(動画42分頃~)

島田さん

 いいお店が来るにはそこに感度の高い人がいないといけない,そう考えると先ほど言った働く場所というのがキーだろうと思います。ランチや仕事終わりの人を毎日居させるには仕事場を持ってくるしかないと思います。おしゃれな商業施設よりもまず先にそちらを整備して,感度が上がってきたまちなかのどこにお店を出すか,という話になると思います。これは優先順位かなり高いと思います。

西村さん

 デザイン計画とか伏見町で起こっている状況をみて,市場が反応しているから路線価が上がっていて,もうすでに感度の高い人が土地を買ったり,お店を出したりし始めているということなんです。ここから大事なことはそれをどうコントロールするかですね。また巨大なハコモノができて昔みたいなことやるということじゃなくて,これからの時代にふさわしいもののつくり方,活動の仕方,働き方をどう入れていくか,ということをコントロールしていくことを地域の人が意識しないといけないですね。ここからが難しいところです。

清水さん

 行政側が自分たちの分担ジャンルである公共空間がどうあるべきか,今あるものを使いながら少しずつ変えていって,次の時代の暮らしにふさわしいまちにいかに変えていくか,ということが欠かせないことだなと思います。このことを計画的に各部署が連携して進めているのが,福山市が他の自治体から圧倒的に評価されている理由だと思います。

 行政が頑張って中心部の公共空間の再整備を進めていますが,日本は今までは一度投資したものに対して再整備しようとしない国だったんですね。アメリカは当たり前にやります。更新期間が過ぎたという解釈で再投資が進んでいます。あとは民間がまちなかでただお金を稼げばいいという意識でやると,つまらないまちになってしまいます。たぶんお金だけじゃないんですよね。そこにまちを愛する気持ちがあって,子育て世代やお年寄りがまちなかでどんな過ごし方ができるか,ということに民間側が積極的に関与していくことが,次のステップを考えたときに非常に重要になってくると思います。

島田さん

 行政が民間の話を聞いて,内部で連携して一つのチームとしてそれぞれの役割を持って取組んでいる,これ自体が奇跡みたいなことなんだなと私でも感じるということは,私より上の世代の方々も感じているんじゃないかなと思います。

田邊さん

 活性化しているまちとの違いは何かと考えたんですが,分断されているまちは活性化していないんですね。広島は駅の北側に向かって行ける通路をつくったりしていますが,いろんなまちを見ていて,表と裏という表現がいいかわからないですが,そこをつなぐような動きがあるまちは元気があるように思います。せっかくお城があるので,いつも妄想していることなんですが,駅の上に屋上みたいなものができて,そこからお城やまちを眺めることができたらいいかなと。お城のほうに向かって歩く歩道があるといいかな,そんなことをしながら分断しているところを整理してやると活性化していくと思います。

【テーマ】 皆さんはどんな場所で飲んだり、コミュニケーションを取ったりしますか。(動画47分頃~)

籔田さん

 やはり駅前ですね。ただ若い人は飲み方が変わってきていて,スナックとかには行かない世代だと思います。駅前の飲食店に行って,二次会もその近くの居酒屋で,というのが多いと思います。かつての飲み屋街は人が少なくなっているように思います。

塩出さん

 会議や集まりがあると,その後飲みにいくことも多いんです。会議はニューキャッスルやローズコム,RiMのものづくり交流館などでよくありますので,そのあたりに飲みにいくので,確かにかつての飲み屋街にはいかないかもしれないですね。

島田さん

 今住んでいるのは駅前で,職場が昭和町の入口なのですが,安い居酒屋などに行くときは駅前に出て行きます。飲み屋街にはいわゆる名店と呼ばれるお店もありますが,それらは和食系のお店が多くて,店構えをみてもどこのお店がおいしいか分かりづらいですね。でも駅前にはそのあたりの見せ方が上手なお店が多いように思います。せっかくいいお店があっても見せ方がうまくないと分からないんじゃないかなと思います。

籔田さん

 コミュニケーションの仕方や社交場が昔とは変わってきていて,会って話をすると新しいビジネスの話をするのでビジネスが前に進んだり,人を紹介したりしていますね。昔はスナックに行って,わいわいしながら,少し仕事の話もして,という感じでしたが,そのあたりのコミュニケーションの仕方が変わっているので,やはりそういった,しっかり話ができる場が好まれます。それにはおしゃれな雰囲気が必要だし,それが新しいイノベーションを起こすきっかけになるんだと思います。

清水さん

 私はまちを歩いて都市で生活している人たちの潜在意識をつかみ取るというのが本業です。それがつかみ取れるとある程度未来が読めてくるんですね。不動産の投資をするときに20~30年先をみてどういう投資をするかということが問われるんですが,実際にはすごく古い概念で投資が行われるからことごとく失敗しています。軟らかくて,揺れ動く,通称軟文化と言うんですが,硬い文化よりも先にどんどん変化する軟文化があることを大宅壮一という人が言ったといわれています。福山のまちを見たときに,おもしろいまちですね。旧繁華街といいますか,昭和町あたりはおもしろいですね。そこには名店としかいいようのないお店があって,素晴らしいレベルです。瀬戸内海の魚はおいしいですし,あと福山で食べていて思うのは野菜がおいしいですね。これはおそらく沼隈や北部地域などの農地がいいんではないかという予想です。よくスーパーで見かける形も色も整った,見た目がいい野菜ではなく,本当にミネラルがいっぱい詰まったオーガニックに近い野菜が飲食店で出てきます。非常に珍しいことです。

 福山に関わって3年ですが,何が変わって良かったかというと,ワインを出すお店が増えたということですね。これは目覚ましい変化ですね,おでんとワインとか,霞銀座のあたりにあるワインのお店がすごくいいです。食事はコミュニケーションの手段だと思います。コミュニケーションを取るということは,特にビジネスをするうえではとても重要なことだと思います。まちなかに食事を取りながら楽しく会話ができるところがあるということは家族にとってもいいことだし,ビジネスはそういう場で生まれるということは,特にヨーロッパではよくあります。17世紀後半のロンドンのコーヒーハウスから近代的な社会の仕組みが生まれています。18世紀に入るとロンドン市内の狭い範囲に3000件を超えるコーヒーハウスが誕生したと言われています。そこから,近代の生活に関わる,例えば株式会社が誕生しました。ロイズという保険会社なんですが,これはロイズコーヒーハウスというところで株式会社という概念が生まれたことがきっかけです。政党政治やジャーナルもコーヒーハウスから生まれているのが実際です。近代的な社会システムはコーヒーハウスから生まれていると言っても過言ではないです。福山でも,籔田さんの話を聞いていると,コミュニケーションを取れておいしく健康な食事が取れる,いろんなジャンルのお店ができてくるとおもしろくなると思います。

【テーマ】 西村さんが近年、故郷・佐賀で取り組んでいることについて教えてください。(動画53分頃~)

西村さん

 地元の佐賀の話ですが,子どもの頃はアーケードがあってとてもにぎわっていましたが,大人になって行ってみると商店街が破産しているような状態で,そこに佐賀市さんからまちを何とかしたいという相談がありました。現地に行くと昔の記憶がわからなくなるくらいまちがボロボロなんですね。そこで気が付いたのは,まちが駐車場だらけだったということです。昔は全部埋まっていたのに,今は土地がスカスカになっていました。建物が古くなって,テナントが入らないから壊してしまい,壊した後の土地利用を駐車場しか思いつかないんですね。とりあえず駐車場で稼げるからいいやと駐車場が増えていった結果,今起こっていることは価格競争です。価格がどんどん落ちて,時間貸しで稼げなくなると月極めに変わり,1台当たりの収益が下がり,固定資産税だけなんとか払っているという状態です。この状態に危機感を感じて,別の土地利用にしないとまちがだめになると思って始めたのがわいわいコンテナでした。

わいわいコンテナの写真
わいわいコンテナの写真2
出典 わいわいコンテナWEBサイト(http://www.waiwai-saga.jp/

 これは何かっていうと,飲み屋街になって駐車場だらけになっていたこのまちに,お母さんとか子どもが来るようにならないかなと思ったのがきっかけで,芝生を張ってコンテナの中に人気の雑誌を置いたら来るんじゃないかなと思ったんですね。佐賀市さんに提案して社会実験として始めました。最初は1年で終わる予定でしたが,今も続けていて,なぜ止められないかというと,99%以上の人が残してほしいというアンケートの結果があるからなんですね。わかったことは,まちなかに来たいと思っている子どもやお母さんがいるということで,その人たちが必要とするジャンルや時間帯のお店が開き始めて,雰囲気が変わってきて,それを察知したおもしろいプレーヤーが集まってきています。そういう人たち同士が出会うと,また新しいプレーヤーにつながっていきますよね。10年やっていると最初に始めた人たちが育ってきていて,2軒目をやりたいということになっています。仲間を連れてきてコミュニティが大きくなって,まちのシャッターが空いて,再投資が起こっています。

 事務所の近くにあるビルのオーナーをチェンジさせようと思って,志と資金のある方に事業計画書を持ってオーナーになってもらうよう相談に行きました。仲間が増えているからテナントとして入りたい人も見つかるんです。テナントが先に付いているから現実的な事業計画を持って話に行けました。これは佐賀市さんに都市再生整備計画をつくり大臣認定をもらい,民都機構からも融資を受けながら運営をしています。実はこの中にはカメラマンだったり,デザイナーだったり,IT系の人がいて,まちづくりが次の展開になったときその人が仕事を受ける流れが出来ています。まちの中にオフィスを構えると,まちづくりでその人たちの仕事が増えてくるんですね。そういうことをやっていくとそのまちに住みたい,オフィスを構えたい人が増えてきて,いわゆる定着型に移行していくんだと思います。

 最近の事例でいうと,その通りに駐車場が面していたんですが,これが嫌だったんです。だから私はここに平屋の小屋を建てたんです。建てたのにテナント募集中というのは最悪なので,事前にお母さんたちを集めて,どうしたらここで好きな雑貨で稼いで,子育てもできて,教育にいいことができるか相談して,それをもとに設計しました。ベーグル屋さんを併設して,子育てしながら稼ぎながら,事業を進めています。狭い範囲ですが,そこにいるプレーヤーを上手に使いながら新しい暮らし方を植え付けてきたということです。

 おそらくウォーカブルエリアの中の青色で着色されている通り(デザイン計画p.23)のどこかで5人くらい集まって事業を始めるとまちが変わると思います。この着色されている通りが公表されるということが大事で,感度の高い人はこれを見て,ここでやろうと思うはずです。これがこのデザイン計画の一番のポイントです。気配は見えてきていると思うので,あとは皆さんが上手に仲間を集めてまちを見直すことが大事だと思います。

清水さん

 西村さんは今までの建築家とは全く違うジャンルを開拓しながら事業を進めている点がすごく評価されています。佐賀の呉服元町という通りなんですが,10年前に訪れたときは人も少なく寂しい印象でしたが,今は人通りが絶えない状況で,特に子どもやお母さんが増えています。

西村さん

 商店街はもともと車を通していませんでしたが,アーケードを撤去した途端,車を通そうという話が出てきました。私は絶対やめたほうがいいと言いました。他に車が通る道が多いからこそ,車が通らない道に価値が生まれると思っています。車が通らないからこそお母さんや子どもにとっては天国のような空間になるんですね。そんな道が駅前にもあっていいと思います。もちろんその道の一本裏には駐車場もあり,車が通れるようにすればいいですね。

【テーマ】 デザイン計画で示したウォーカブルエリアの中で、皆さんならどの通りに、どんなコンテンツ(事業)を打ち込みますか。(動画58分頃~)

井上さん

 女性や若い人たちがどんなところに集まるかということは意識したいですね。通りではなくても公園などのオープンスペースでもいいんですが,私たちがやっていることで6畳くらいの大きさの木製の箱をつくっていまして,これをいろんな空間につくることで,その中がオフィスになったり,物を売ったり,飲食したり,コミュニティの場になると思います。イベントは一過性のものですけど,常にその空間で誰かが動いていることが重要なのでそういう人を集めたいです。

 もう一つは例えば,アンテナショップをするときに,ただ単に製品を置くだけでなくて,そこで何かしたい,来る人に楽しみを与えたいという意気込みを持ってやる人を集めていくことが大事だと思います。

島田さん

 私が住んでいるエリアの小学校でも児童数やクラス数が減ってきていて,ドーナツ化が進んでいます。家はあるけどおじいちゃん,おばあちゃんしか住んでいなくて,あと何十年か経つと人がいなくなる可能性があります。そのときに中央公園周辺エリアが子育て世代にとっての魅力を取り戻すことが重要で,中心部の住宅エリアに若い世代を戻していくということを10年くらいかけてやるのはおもしろいと思います。週末に公園にいけば何かあるという状況をいかにつくり出すかが重要だと思います。

籔田さん

 中央公園ではこれからおもしろいことができるかなと思っています。先ほどの若葉家具さんの木製のプライベートスペースはおもしろいと思います。我々もレストランで懇親会をするのに飽きてきたところがあるので,プライベートスペースでコミュニケーションを取りたいときに使えると思いました。安い投資でおもしろいことができるという意味では参考にしたいと思います。

島田さん

 まだ立ち上げたばかりですが,火を焚きなさいという会を立ち上げて,雑居ビルの屋上などでゲリラ的にバーベキューをしています。単なるバーベキューではなくてワンランク上のパーティーをいろんな雑居ビルでやり始めています。ビルの屋上から見る景色はおもしろくて,そこから撮った写真はけっこう映えるんですね。これを続ける中で感度の高い人や価値観の似た人がつながっていくので,そこには可能性を感じています。

西村さん

 中央公園はお母さんたちにとってすごく価値の高い存在だと思います。私は横浜に住んでいますが,特にコロナ問題が起きてからは,週末に行くところがないので公園は大渋滞です。ということは,みんな公園の良さに気づき始めていると思います。図書館と一緒になっているのはすごくいいと思っていますし,図書館が外(公園)に開いていて,本が公園に出ていくだけでもいいと思います。大分駅前でも広大な芝生広場の設計に携わりましたが,芝生を張る作業を市民参加で行いました。募集したら2800人が集まって30分で終わりました。要はモノをつくるということを当事者として関わったことのある場所をどれだけまちなかにつくるかということです。うちのベーグル屋さんは雑貨も売りながら,子育てもでき,車が通らないから安心して過ごせる環境があるので,この公園でもお母さんたちが働ける公園という考え方があってもいいと思います。それに加えて,防災拠点の位置づけがあるのであれば,防災訓練の観点からキャンプイベントなどもできるかもしれない。そういう意味で周囲の居住環境と公園とをみて,どういう世代がこの周辺に住むかということを,目標を持ってやっていくのがいいですね。公園の運営をお母さんたちとやるくらいのことを考えてもおもしろいと思います。

塩出さん

 中央公園でも芝生の空間ができれば素敵になると思います。関わる人を増やしたいですね。芝張りということになればFukuyama Park Girlsの出番だと思うし,若葉家具さんの木製のプライベートスペースを中央公園や三之丸公園に設置しても良さそうだと思います。市内のたくさんある小規模公園を活用していきたいという思いもあります。

西村さん

 公園を地域の手でつくるのであればクラウドファンディングを取り入れながら進めていくのがいいですね。お金も地域の人たちが出しながら公園をつくることがプロモーションにもつながります。

塩出さん

 公園にも地域によってキャラクターがあって,子育て世代が集まれる公園,お年寄りが集まれる公園,いろんな世代が集まれる公園,などいろんな可能性があると思います。

【テーマ】 駅前と周辺地域の何をつなげば、備後圏域が持続性の高い、おもしろいまちになるでしょうか。(動画1時間10分頃~)

島田さん

 せとうち=海と思われがちですが,福山は山も近く,魅力がたくさんあります。私たちもJRさんと連携しながら,福塩線に自転車を載せられるサイクルトレインを走らせられないかと検討しています。これは府中と福山を結ぶことの一部でしかないですが,県外や国外の人がアクセスするにはこれがいいかなと思います。

籔田さん

 働く場をつくるのがつなぐことの大きなコアになると思います。福山駅のポテンシャルですが,すでに周辺地域とつながっている部分はあると思います。周辺の市町の人たちは福山とつながりたいと思っていて,何かあると福山に来ることができるようになっています。経営者同士の横のネットワークも既にできているので,何かおもしろいことがあればすぐに連携できる状態です。いろんな人が持っているアイディアを一つにつなげていくような人が福山にもたくさん欲しいと思います。その福山の人材をつなぐことが効果的だと思います。

塩出さん

 福山にハブ,拠点という役割があることは間違いないと思います。私がやっている活動の中で若葉家具さんとも一緒にやっている瀬戸内ファクトリービューというのがあって,工場見学をやったり,現場を訪れたり,というのを今年も企画しています。人を介して,いろんな地域のことを知れるので,その地域に行ってみようかなという思いにつながります。

 福山にサッカーチームをつくるという活動もしていますが,チームができることで備後圏域全体のチームということで運営できるかなと思います。備後圏域全体で応援できるチームができれば福山と他の地域をつなぐきっかけになると思います。

井上さん

 府中や福山はものづくりのまちです。何をつくっているか,PRしていくことが雇用にもつながっていきます。PRが重要とわかっていてもまず何から始めたらいいか,わからないんです。大企業のもとで製品の部品をつくっている中小企業はたくさんありますが,最終的な製品をつくっているわけではないので,いいものづくりをしても知られることがないんです。中小企業も今は少しずつ自ら製品をつくることで表舞台に出てこようとしています。福山駅前でもそういうことをPRできるようになれば,このまちにあるものづくりをいろんな人に知ってもらえると思います。

 福山,府中,尾道の3都市をめぐるようなツアーをできれば,備後地域をつなぐことになるのではないかと思います。

塩出さん

 全国にはある特定の分野で特化して有名になっているまちはたくさんあります。福山を中心にしたこの地域は繊維や木工,鉄鋼などがありますし,海産物もあってハイレベルなものが多様に集積していることが特徴だと思っています。そういうことをPRしていくことで,多様な産業のつながりを生み出すことも大切だと思います。これが瀬戸内ファクトリービューでも大きなポイントになっています。

西村さん

 新しい地図をつくるということですよね。地域を文化圏で捉えていくことが重要だと思います。まちづくりの話をするときは,行政界の入った通常の地図とは違うもので話をするくらいがいいですね。多様性の話でいえば,多様なレイヤーが必要なんだと思います。例えば鉄鋼のレイヤー,ものづくりのレイヤー,農産物のレイヤーなど,いろんなレイヤーの地図がたくさん重なっているのが福山だよね,というのがおもしろいと思います。

 よく駅前ではゲートウェイという言葉が使われますが,品川も名古屋でも使われています。でもそれぞれ役割を分けようとしていて,品川の場合はデザインですね。世界中のデザインを集めようとしています。世界を視野に入れています。上海に行ったときに感じたのはアートです。美術館がたくさんあって,国家をあげてアートのマーケットをつくろうとしていると感じました。名古屋も東海圏域のものづくりの集積地になっていて,名古屋駅にはJRや私鉄が多く乗り入れていて,その枝葉の先にはたくさんのカルチャーが根付いています。僕は最先端のローカルをつくろうという話をしました。ローカルが一番の価値だと思っています。だからこの備後圏域をどう表現するか,そのためのレイヤーはたくさんあっていいと思います。そのレイヤーを重ねてみると,やっぱり福山が中心だよねと言えるといいですね。じゃあそのための駅前の空間や広場はどうあるべきなのかという議論ができればいいと思います。

清水さん

 みなさん,ありがとうございました。真剣に議論していただいて何より嬉しいです。

 井上さんのおっしゃったPRの話はすごく重要だなと思いました。今,我々はスマートフォンに支配されて生きています。情報によって私たちは行動を決めているのが現実です。ですので,情報と人間が交流する場が福山駅周辺なんだという捉え方がいいのではないかなと思います。情報と人のネットワークを今後どういう形で展開するのか,この考え方に対する具体的な作戦が今後,ものすごく重要ではないかと思います。そのためにはおもしろいコンテンツが重要ですが,おもしろいコンテンツはどう生み出されるか,おもしろいコンテンツはおもしろい人によってしか生み出されないということです。鴨がネギを背負ってくるという言葉がありますが,これをコンテンツに言い換えると,人がコンテンツを背負ってくるということです。おもしろい人が集まればおもしろいコンテンツが集まってきます。その人たちが日常的におもしろいコンテンツを生産して,それが情報となって伝達されることで,ものすごい集客が起こるというのが現実です。情報とイメージによってまちづくりは大いに左右されます。

 新幹線のぞみが停車するまちであるのに,福山がどこにあるかまだわからない人が多くいるのが現状です。いい素材はたくさんあるまちだと思います。自然のフィールドが豊かだということはいつも感じています。実は今アメリカで繁栄しているまちはフィールドがいいんですね。特にアウトドアのフィールドがいいところはものすごく価値が高まっています。それが都心から近くにあるということが可能性なんじゃないかなと思います。そこにおもしろい人が集まって,日常的におもしろい情報発信がお金をかけずにどんどん起こっていけば,特に井上さんのところの10平米の木製のボックスにいろんな人が訪れて写真を撮り,コメントとともに発信する人が,しかも発信力のある人がそれをした瞬間に来客数は当然増えます。その次に,現場に行って本当にいいねと感じることがとても重要で,情報を得て行ったけどがっかりするようではマイナス情報を生産することにしかなりません。今の時代,人はどうやって行動を起こすか,これはまちを考えるときの起点ではないかと思います。皆さんのような若い経営者の方が福山や府中,尾道などを含めた大きな地域でまちづくりに関わっていけば,おもしろい地域がつくられていくんだと思います。本当に今日はありがとうございました。

閉会挨拶(動画1時間32分頃~)

福山市建設局参事 大谷

 福山市建設局の大谷です。国交省から3年前に福山に来ました。福山はおもしろいコンテンツがありますし,おもしろい人材もたくさんいます。そういった方々の思いやアイディアをしっかり形にして応援していけるような行政でありたいという思いでやっています。URさんとも一緒にやっていっています。周辺と駅前とをつないで一緒に活性化させていく,そういったまちづくりをやっているまちは他にないと思います。

動画配信のお知らせ

福山駅前再生フォーラム2020は、福山市公式You Tubeチャンネルでも配信しています。

https://www.youtube.com/watch?v=dy1R6TDkpVU

こちらもぜひご覧ください。

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)