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福山駅前再生フォーラム2021を開催しました
福山駅前再生フォーラム2021を開催しましたので、お知らせします。
日時
2021年(令和3年)3月24日(水曜日)14時から16時まで
場所
まなびの館ローズコム4階大会議室+ZOOM
ファシリテーター
清水義次さん(株式会社アフタヌーンソサエティ代表取締役)
パネリスト
岡崎正信さん(オガールプラザ株式会社代表取締役)
西村浩さん(株式会社ワークヴィジョンズ代表取締役)
山田高広さん(株式会社三河家守舎代表取締役)
民間プレーヤー
亀山本果さん(株式会社leuk取締役)
島田宗輔さん(福山電業株式会社代表取締役社長)
藤本慎介さん(株式会社築切家守舎代表取締役)
古川和秋さん(株式会社enivrant代表取締役)
参加人数
現地:30人、ZOOM:20人
議論内容(要約)
民間プレーヤーが取り組む事業について
(左から古川さん、藤本さん、島田さん、亀山さん)
亀山さん
- 中央公園内にレストランを建設するPark-PFI事業に関わらせてもらっている。
- 多くの公園は,子どもを遊ばせる場所が他にないから行くなど,能動的に訪れる場所になっていない。公園を特別な日常の舞台にしたい。
- 視察したニューヨークの公園は,日常と非日常の間にあるような場として使われていた。ぜひこういった風景を中央公園でもつくりたい。
- 中央公園の周囲には商店街があるが,駅方面から続く商業の流れが絶たれている。公園をまちの続きとしてデザインしていきたい。
- 人がつながる仕組みとしては,コミュニティマネージャーあるいはパークマネージャーを専属で配置して,様々な公園活用のイベントなどを企画していきたい。
- 5月1日にオープニングイベントを予定している。
島田さん
- エフピコRiMはこれまでのような商業施設として再生できるとは考えていない。発想を転換する必要がある。
- 福山の都市としてのキャラクターを「せとうち」という少し広い視野で考え,エフピコRiMを「せとうちのカルチャーが生まれ育つ起点」にしたい。
- 実際に人に集まってもらうためには,点ではなく面で捉えることが重要で,エフピコRiMを福山城や文化ゾーンへのエントランスと捉えていきたい。
- 建物の中で完結するような場になってはいけない。今の場所の性格をどう捉えるのか,その中でどう屋外とつながっていくのか,これを課題として捉えている。
- おもしろいことをしたいプレーヤーに対して,自由に表現ができる場,小さく始められる場を提供していきたい。
- お客様には,五感で感じることができる場,偶然の出会いが生まれる場を提供したい。
- 例えば,せとうちで初めてe-sportsの常設会場が生まれるかもしれない。デジタルコンテンツを体験できる場所として機能するかもしれない。いわゆるデジタルファブリケーションのような自分たちのつくりたいものを表現できる場になるかもしれない。
- この事業は,自らがやりたい,表現したい,これがまちにあったらいい,というものを7年間かけてつくり出し,まちに定着させていく取組みだと思っている。
藤本さん
- 市が策定した福山駅前再生ビジョンでリノベーションまちづくりを進めることが示され,家守という民間の事業者の重要性も示された。まずは伏見町の活性化に取り組もうと思って家守会社をつくった。
- これまで行った事業として,土屋ビルのリノベーションでは,今は変わってしまったが,地元の精肉店が肉バルを出店した。地元の方に愛されている情緒的なテナントが入ったビルとなった。
- 旧橘高ビルのリノベーションでは,ウォータリングホール,つまりお酒を出す社交場というコンセプトで,クラフトビールの醸造所や飲食店,カフェなどが入った。
- 伏見ビルのリノベーションでは,URさんと協力し,土地をURさんが取得し,その上の建物を民間が持ってリノベーションしてゲストハウスをつくった。全国的に注目された事例だと聞いている。
- これからは伏見町に限らず,ウォーカブルエリア内のプレーヤーと協力しながら駅周辺の活性化に取り組んでいきたい。
- 今後の事業としては,伏見町内の市が保有する水路跡地を路地のように整備していきたい。路地の周りには空き家や駐車場があるので,そこも活用しながら,人が歩いたり,お店があったりという空間をつくり,活性化させたい。
- 駅の周辺には大変すばらしい食のコンテンツが集まっているが,もっと集積させたい。
- 駅周辺から鞆の浦,沼隈,走島などにつないでいきたい。せとうちへ出ていく玄関口という位置づけで駅前を活性化させたい。
古川さん
- 商店街に醸造所を設けてワインをつくっている。福山やワインのことを発信していきたいと思っている。
- 市の南部や北部といった駅前とは少し離れた地域と中心市街地をどうつないでいくかを考えている。
- 今まで交通手段がなくて沿岸部などの地域に行けなかった方のお手伝いができないかと思い,「大人の遠足」というツアーを企画した。15時くらいから開始し,地元の食事やお酒を楽しんで駅に帰ってきて解散した後,また駅周辺の店舗で飲食する方もいて,にぎわいが創出できた。
- これは尾道や笠岡など周辺のまちでもできるし,山の幸をめざして山間部を対象に企画してもいい。
- 今年新たに伏見町に立ち上げたワインショップで,市の南部や北部の美味しいものをお試し的に食べることができるようにすることで,現地に行ってもっと美味しいものを食べようという行動につなげていきたい。
民間プレーヤーの発表や福山の現状について率直な感想は
岡崎さん
-
Park-PFIがこんなに進んでいるとは思わなかった。市が土地・建物を賢く活用しようとしたからこそ,このスピードで事業が進んでいると思う。
西村さん
- 福山はデザイン会議やフォーラムなどを重ねる中で,皆さんが妄想できる状態になってきている。こうなったらまちがもっとおもしろくなりそうだ,とイメージできる状態になっている。
- 今回のような会では民間のプレーヤーの方が前に出てきて話をする機会が多い。それを繰り返してきたことが福山の先進性につながっている。
山田さん
-
福山のスピード感はすごいなと思う。福山は,民間のやりたいことを全体の戦略で束ねようとしている印象があって,それがすごくバランスがいいと感じた。
中央公園Park-PFI事業について
岡崎さん
- 図書館と公園が隣接している立地がいい。
- まずは図書館と公園の融合をどう図るかということに取り組み,官(図書館)と官(公園)が連携できる状態をつくって,官と民が連携するという流れで事業が進んでいる。
- 民間の方にお話しするとすれば,大切なことは図書館に敬意をもって連携を図ることで,そのために一番早いのは経済的なつながりをつくることだ。例えば,公園で行われるイベントの収益の一部を図書館に寄付するなど。そうすると図書館の人たちが公園をつかっていろいろな事業をやってくれるようになると思う。
- 市の職員も積極的に公園や施設を使い,まちを使いこなすプレゼンターとして頑張ってほしい。
清水さん
- 図書館と公園は最強の公共施設の組み合わせだ。コロナ禍においては,室内空間だけの図書館を補完することになる。
- 今後は公園の周囲の不動産の価値が上がってくると予想される。そのときに住宅開発が行われる可能性が高いが,マンションを建てるにしても足元の1階から全てマンションとして建てることがまちにとっていいのかを考えなければいけない。
エフピコRiMリノベーション再生事業について
西村さん
- エフピコRiMは空気感を変えていくことがとても重要だ。ここからまちに人が出ていく拠点をつくるというほうがいいと思う。ウォーカブルエリアは広大で,このエリアを再生していくためにはもっと民間のプレーヤーが出てこないといけない。
- エフピコRiMがまちに人やコンテンツを送り出すエンジンのような場になるのがいい。
キャスパからエフピコRiMをどうつなぐか
山田さん
-
キャスパの事業者さんとエフピコRiMの事業者さんが連携してやっていくことは必然だ。まずは関係する人たちが1日でいいので最高のイベントを企画してやってみるのがいい。当事者が楽しみながら,このまちに必要なものをつくっていくということが大切だろう。
伏見町のまちづくりについて
西村さん
-
中長期的な視点では,ビルなどの不動産を購入するなどして事業が進むようサポートする事業者も必要で,そういった役割を家守会社が担うこともあり得ると思う。
山田さん
-
家守会社は設立されたときによく注目されるが,実際には数年経過したときに評価されるものだと思う。数年後に,どれだけ取組みの効果が周囲に広がっているかが問われる。そのためには次に続く家守会社の存在が重要だ。
藤本さん
-
事業をしようとすると市役所の様々な部署と話をする必要がある。その際に窓口が一本化されていると事業者としてはとても助かる。
駅前と周辺とのつながりについて
岡崎さん
-
駅前のエリアの価値を高めるという視点では,古川さんのような製造小売の業態が集積したほうがもっと魅力が高まる。
西村さん
-
古川さんの話にあったツアーはいろいろな地域でその地域の価値を高めるために有用だ。
山田さん
-
岡崎市はものづくり企業が集積しており,クラフトのマーケットイベントがよく行われていたが,家守事業者がまちなかにある籠田公園で一般のフリーマーケットと合わせて開催した。新しい層の方にものづくり企業のことを知ってもらうきっかけになった。
最後に
清水さん
- 駅周辺ではリアルに集まることができる場所が大切で,中央公園の事業も一つのきっかけになる。エフピコRiMは新たなことに挑戦する場所になりそうだと期待される。キャスパや三之丸公園もそういう場所になり得るかもしれない。まちなかにそういった場ができることは,とてもいいことだ。
- エフピコRiMの場合は1階しか使わないという全国でも例のない珍しい取組だ。さらに三之丸通りを通じて三之丸公園やキャスパ,駅前広場とのつながりや福山城周辺エリアとのつながりを持とうとしているのがおもしろい。
- 築切家守舎さんはすごいスピードで事業を進めていて,ビルの中に入るコンテンツが尖ったものばかりだ。バラエティに富んだ尖ったローカルコンテンツの集積が伏見町にでき始めている。
- 福山はおいしいワインと美味しい食材があるまちで,その片鱗を駅周辺でも示すことができればいいが,まだ集積が足りない。北部の繊維産業は製造業の色が強すぎてもったいない。製造と販売を一体で取り組めばもっと利益率の高い事業になる可能性がある。アフターコロナを見据えた事業のリノベーションこそが必要だ。
- 駅前再生で一定のインフラ整備がされても,民間がその空間でおもしろい事業をやらない限り,おもしろいまちにはならない。コンテンツやソフトはさらに重要視される社会になる。インフラ整備を生かしたソフト・コンテンツが福山から生み出されていくことが重要だ。そういった挑戦がこれから始まると思うとワクワクする。