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安井曾太郎の世界‐人物画を中心に‐
安井曾太郎の世界 -人物画を中心に-
《金蓉》1934年東京国立近代美術館
日本の近代美術のなかで、とくに昭和期における安井曾太郎(やすいそうたろう1888-1955)の果した役割には重要なものがあります。人物画においては、「安井様式」ともいえる独自のリアリズムを確立し、多くの画家たちに影響を与えました。
安井はパリ留学時代、セザンヌ回顧展に遭遇して、驚き、心酔してその画法の研究に没頭します。その構図上の組立や身体の立体感などに腐心し、新しいリアリズムを体得していったのです。安井は、セザンヌの本質を理解し、その影響による作品を描いた最初の日本人画家ともいえます。その安井を評して、「写実の画家」とか「素描の画家」とよく言われますが、そのリアリズムの本質には、徹底的なデッサンの積み重ねがありました。その基本には、青年時代の聖護院(しょうごいん)洋画研究所での浅井忠の指導があり、パリのアカデミー・ジュリアンにおけるジャン=ポール・ローランスの指導があったのです。
安井の昭和初期を代表する作品に《金蓉(きんよう)》や《玉蟲(たまむし)先生像》があります。これらの“日本人的な感性を表現した”とされる作品は、「人ならば、話し、動き、生活する人を描きたい。その人の性格、場合によっては職業までも充分現したい」という安井の言葉通りにわれわれに語りかけ、多くのファンを魅了し、人物画の最高峰として高く評価されました。
本展では、こうした安井曾太郎の人物画の名作を全国45ヶ所の美術館などの協力を得て、青年期のデッサンから晩年の《大原總一郎(おおはらそういちろう)像》まで96点を集め、半世紀にわたる画業の足跡を回顧し、あらためて「安井様式」の 魅力にふれていこうという試みであります。
●休館日 休館日:月曜日
※10月13日(月曜日)、11月3日(月曜日)、4日(火曜日)は開館、10月14日(火曜日)は休館
●開館時間 9時30分~17時00分
※夜間開館:11月7日(金曜日)、8日(土曜日)、14日(金曜日)、15日(土曜日)は、19時00分まで開館
※9月20日(土曜日)は10時00分より開場
●観 覧 料 一般1,000円(800円)高校生以下無料 ( )内は前売りまたは20名以上の団体料金
●前売り券販売所
天満屋カードサービス(株)(天満屋福山店8階)、ガレリア・レイノ 福山店、福山リビング新聞社、啓文社【啓文社コア春日店・啓文社ポートプラザ店・啓文社多治米店・啓文社瀬戸店・啓文社コア福山西店・啓文社コア神辺店・啓文社イオン三原店(三原市)・啓文社西条店(東広島市)】、フジグラン神辺、さんすて福山、神辺文化会館、福山ニューキャッスルホテル、JR福山駅観光案内所、井原市立田中美術館、尾道市立美術館、華鴒大塚美術館、笠岡市立竹喬美術館 【前売り券の販売は9月19日(金曜日)まで】
次の方は無料です。証明となるものを各受付にご提示ください。
■社会福祉施設に入所されている方。
■65歳以上で、福山市、府中市及び神石高原町に在住の方。
■障がい者およびその介護者の方。
【展示構成】
第1章 京都時代からパリ時代まで
第2章 帰国後の展開
第3章 安井様式の確立
第4章 戦後の展開
第5章 素描・表紙絵
(※総点数 96点: 内訳 油彩画58点、素描・表紙絵など38点 出品予定)
【展示替作品】
・10月19日(日曜日)まで
油彩:《粟田口風景》(京都市美術館)、《自画像》(東京国立博物館)、
《宇治黄檗風景》(西宮市大谷記念美術館)
・10月21日(火曜日)より
油彩:《自画像》(京都市美術館)
※なお、素描作品(東京藝術大学、三重県立美術館、茨城県近代美術館)19点は、
半期入替となります。
《婦人像》1912年頃 愛知県美術館
《裸婦》1910年頃 三重県立美術館
《水浴裸婦》1914年 石橋財団石橋美術館
《婦人像》1930年 京都国立近代美術館
《玉蟲先生像》1934年 東北大学史料館
《座像》1929年 個人蔵
《手袋》1943-44年 ふくやま美術館(松本卓臣氏寄贈)
《女と犬》1940年 公益社団法人糖業協会
《腰かけのポーズ》1953年 ポーラ美術館
《大原總一郎像》1954-55年 個人蔵(大原美術館寄託)
《安倍能成像》1944年 東京国立近代美術館
主 催: (公財)ふくやま芸術文化振興財団 ふくやま美術館、福山市教育委員会、読売新聞社、美術館連絡協議会
協 賛: ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜
関連行事
(1)記念講演会
日 時:9月21日(日曜日) 14時00分~15時30分
会 場:1階ホール
定 員:150名(先着順) 聴講無料
講 師:田中善明氏 (三重県立美術館学芸普及課長)
演 題:「安井藝術のヒミツ」
(2)ワークショップ 「木炭で人物をデッサンしてみよう!」
日 時:10月26日(日曜日)10時00分~16時00分 (最後の30分間講評)
会 場:2階デッサン室
講 師:諏訪 敦 氏 (画家)
受 講 料:2,000円(材料費含)
対 象:高校生以上(絵画制作の経験者)
定 員:18名 ※応募者多数の場合は抽選
応募方法:ハガキまたはeメールにて
「ワークショップ名」「名前」「住所」「電話番号」を明記のうえ下記の宛先まで。
*一通につき1名のみ
募集締切:10月13日(月曜日) 必着 宛 先:〒720-0067 福山市西町二丁目4番3号
eメール art2@city.fukuyama.hiroshima.jp
ふくやま美術館「木炭で人物をデッサンしてみよう!」係
(3)ギャラリートーク ※当日の特別展観覧券が必要
日 時:10月12日(日曜日)、18日(土曜日)、11月1日(土曜日)、9日(日曜日) 14時00分~
会 場:1階 企画展示室
講 師:当館学芸員
(4)ナイト・ギャラリートーク ※当日の特別展観覧券が必要
日 時:11月14日(金曜日)、15日(土曜日) 17時30分~
会 場:1階 企画展示室
講 師:当館学芸員
(5) ロビーコンサート「早稲田桜子ヴァイオリンコンサート」*入場無料
日 時: 10月4日(土曜日) 14時00分~
会 場: ふくやま美術館 1階 ホワイエ
演 奏 者: 早稲田桜子(ヴァイオリン)、藤本夕子(ピアノ)