2011年度の政府予算が成立し,小学校1年生の35人以下学級を実現するために必要な義務標準法の改正法も国会において成立しました。これは,30年ぶりの学級編制標準の引き下げであり,少人数学級の推進に向けようやくスタートを切ることができました。今回の義務標準法改正条文の附則には,小学校2年生から中学校3年生までの学級編制標準を順次改定する検討と法制上を含めた措置を講ずることと,措置を講じる際の必要な安定した財源の確保も明記されました。今後,35人以下学級の着実な実行が重要です。 日本は,OECD諸国に比べて,1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多くなっています。一人一人の子どもに丁寧な対応を行うためには,1クラスの学級規模を引き下げる必要があります。文部科学省が実施した「今後の学級編制及び教職員定数に関する国民からの意見募集」では,約6割が「小中高校の望ましい学級規模」として,26人~30人を挙げています。このように,保護者も30人以下学級を望んでいることは明らかです。新しい学習指導要領が本格的に始まり,授業時数や指導内容が増加します。また,暴力行為や不登校,いじめ等生徒指導面の課題が深刻化し,障害のある児童生徒や,日本語指導など特別な支援を必要とする子どもが顕著にふえています。このような中で,地方が独自に実施する少人数学級は高く評価されています。 子どもたちが全国どこに住んでいても,機会均等に一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請です。しかし,教育予算について,GDPに占める教育費の割合は,OECD加盟国(28カ国)の中で日本は最下位となっています。また,三位一体改革により,義務教育費国庫負担制度の国負担割合は2分の1から3分の1に引き下げられ,自治体財政を圧迫しています。 将来を担い,社会の基盤づくりにつながる子どもたちへの教育は極めて重要です。未来への先行投資として,子どもや若者の学びを切れ目なく支援し,人材育成・創出から雇用・就業の拡大につなげる必要があります。 よって,政府(国)におかれては,2012年度政府の予算編成において,次の事項を実現するよう強く要望します。
1. | 少人数学級を推進すること。具体的学級規模は,OECD諸国並みの豊かな教育環境を整備するため,30人以下学級とすること。 | 2. | 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため,義務教育費国庫負担制度の堅持とともに国庫負担割合を2分の1に復元すること。 |
上記のとおり,地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。 2011年(平成23年)6月24日 福山市議会 |