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令和元年6月定例市議会 市長説明要旨
本日は,6月定例市議会を招集いたしましたところ,議員各位には,御参集いただきまして,誠にありがとうございます。
今回提出いたしております2019年度(令和元年度)補正予算案を始め,諸議案の御審議をお願いするに当たり,当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。
始めに,防災対策についてであります。昨年の豪雨災害からの復旧事業につきましては,土木施設や農地・農業用施設など本市分約1,600件のうち,8割弱が今月末までに完了する見込みです。被災企業についても,産業支援機関と連携し,グループ補助金などを活用した復旧に継続して取り組んでいるところです。引き続き,一日も早い復旧を目指し,全力を傾注して参ります。
抜本的な浸水対策については,河川の流下能力を高めるための河道掘削に加え,雨水幹線や雨水貯留施設の整備など内水排除対策を集中的に実施していきます。この中で,浸水被害が頻発する手城川流域や瀬戸川・福川流域では,今年度,国において創設された大規模特定河川事業に県の河川改修事業が採択されました。これは,本市が浸水被害の状況を強く国へ訴えてきた結果であり,床上浸水対策を大きく加速するものと評価しています。なお,これら浸水対策の詳細については,被害のあった地域を中心に説明会を開催しており,引き続き,周知に努めて参ります。
ため池の安全対策も更に強化します。新たな基準により防災重点ため池に選定された1,110か所については,今後,県の「ため池の整備・廃止・管理等に関する方針」に基づき地域とも話合いを進め,廃止も含め適正な管理を進めて参ります。
こうしたハード対策に加え,災害時には,市民の皆様への迅速で分かりやすい情報の伝達や自主防災組織との連携が重要です。このため,先月から,一人一人が早目の避難判断ができるよう,国が新たに導入した5段階の警戒レベルの運用などについて,市,消防団,防災リーダー,地域で意見交換を行っています。また,今月14日には,芦田川の氾濫に備え,国・県・市を始め,気象台,警察,報道機関,ライフライン事業者,通信事業者等が災害時に取るべき行動を時系列でまとめた「芦田川水害タイムライン」の試行版も策定しました。
引き続き,国・県・市が連携を密にし,総合的な防災対策に取り組み,災害に強い都市を実現して参ります。
次に,人口減少対策についてであります。先月,市内企業やNPOなどが人口減少社会における課題を共有し,その解決に向けて共に挑戦するプロジェクト「みんなのライフスタイル応援会議」を立ち上げました。現在,男性の育児や働き方の意識改革のほか,地域における子ども・子育て支援を重点テーマとして議論を深めており,今後,具体的な活動につなげていきます。まずは,市内企業に対して働き方改革の先進事例を紹介するセミナーを8月に開催します。また,男性が育児に関わる重要性を子育て中の男性自身が学び,実践する「(仮称)子育てパパ活躍デイ」を実施します。こうして,企業などの参加の輪を広げていき,子育てしやすい環境につながるワーク・ライフ・バランスを積極的に推進して参ります。
日本人の人口減少が続く一方で,市内在住の外国人は留学や就労などを目的に増加しており,今後も製造業を中心に外国人人材の受入れの拡大が予想されます。このため,本年4月,多文化共生を推進するための懇話会を設置し,生活面の課題などについて,日本語学校,企業,各種団体等との意見交換を開始しました。今後は,外国人住民を対象に生活環境等に係るアンケートを実施し,異なる文化や価値観への理解を深めるとともに,国,県,医療機関等と協力して,地域で助け合いながら暮らせる環境づくりを進めて参ります。
次に,「先端技術によるまちづくり官民協議会」を中心に進める新たな都市づくりについてであります。本市とMONET Technologies社は,服部学区において,今年3月から5月末までの約2か月間,利用者の予約に応じて運行するオンデマンド交通の実証実験を行いました。利用者ニーズや課題を分析した上で,将来は,キャッシュレスなど様々なサービスを附帯させた次世代型モビリティサービスの実用化を目指します。
また,ビッグデータの活用も促進します。自動車の走行データなどの分析を通じて,市内の危険箇所を抽出し,マップ化することで,子どもから高齢者まで安全に暮らせる環境を形成して参ります。
こうした取組を積み重ね,実用化に向けたニーズや課題を整理し,また,発信していくことにより,ここ福山で先端技術を活用した民間企業の意欲的な挑戦を促し,未来社会を展望する都市づくりを進めて参ります。
次に,競馬場跡地の利活用についてであります。明日18日,みらい創造ゾーンの一部を暫定的に活用し,福山市農業協同組合の「食と農の交流館」がオープンします。「食と農の交流館」は,安心・安全で新鮮な地場の農産物を提供するとともに,食育や6次産業化の推進,観光情報の発信など農業振興や地域の魅力発信を目的とする施設です。多くの方に御利用いただき,備後圏域の発展に寄与する新たな交流拠点の1つとなることを期待しています。
次に,東京2020オリンピック・パラリンピックについてであります。今月1日,聖火リレーのルート概要が発表されました。本市には2020年(令和2年)5月19日に聖火が到着し,供用開始間もない福山市総合体育館「エフピコアリーナふくやま」でその到着を祝うセレモニーを開催することが決定しました。これまで,市議会や福山市スポーツ協会など関係者と共に取り組んできた聖火リレー誘致が実現し,大変嬉しく思っています。本日からは,聖火リレーを応援するパートナー企業による聖火ランナーの公募が始まります。復興五輪の理念にふさわしい聖火リレーとなるよう,万全の準備を進め,市民の皆様の記憶に長く残るものにしていきます。
最後に,財産区特別会計の補正予算案について御説明申し上げます。昨年の7月豪雨により被災した駅家町向永谷地区所在グラウンド等の法面整地工事を実施するなど所要の措置を講じるため,6,653万2千円の追加をするものであります。
このほか,条例案として,「福山市手数料条例の一部改正について」など5件,その他の議案として,「ごみ固形燃料工場プラント設備改修工事請負契約締結について」など5件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上,御可決いただきますようお願いを申し上げ,提案理由の説明といたします。
本文は,口述筆記ではありませんので,表現その他に若干の変更があることがあります。