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令和4年第1回定例市議会 市長総体説明
先ほどは,「福山市一般職員の給与に関する条例等の一部改正について」を御可決いただき,ありがとうございます。
ただ今,御上程になりました「令和4年度福山市一般会計予算」を始め,諸議案の御審議をお願いするに当たり,新年度における市政運営の基本方針と予算案の大要について御説明申し上げます。
はじめに
今年,私たちは,福山城築城400年の年を迎えました。
400年前,藩祖水野勝成公はこの地に城を築き,福山と名付けました。そして,干拓や上水道の布設により城下町を整備し,産業を奨励するなど,発展の礎を築きました。
時は移り,幕末,老中首座の大任を帯びた阿部正弘公は,慣例にとらわれない人材登用を行うとともに,当時の攘夷の言論に抗し,日本を開国に導くなど,近代国家への道を切り拓きました。
このように福山は,誇れる歴史を持っています。同時に,今日の繁栄が,先人たちの労苦の上に成り立っていることも忘れてはなりません。
今を生きる私たちは,敬意と感謝の念を持って福山城と共に歩んできた本市の歴史を学び直すとともに,子や孫の世代に語り継いでいかなければなりません。そして,改めてその価値と魅力を全国に発信し,市民全体の誇りとしてまいります。
市政運営の基本方針
私は,これまで,新型コロナから市民の命と健康を守ることを最優先に,市民一人一人が安心に暮らし,希望にあふれる未来を築くという強い決意を持って「5つの挑戦」に取り組んできました。2023年度(令和5年度)には,これまでにまいてきた種が花を咲かせ,まちの景色が大きく変わります。
新年度は,それにつなげる重要な年になります。変化を確かな成果につなげるため,福山みらい創造ビジョンに掲げる「新型コロナウイルス感染症対策の強化」,「都市魅力の創造」,そして「人口減少対策の強化」の3つの柱と,これらを支える基盤となる「デジタル化の推進」を果断に実行していきます。また,その先の更なる発展も見据えて,新たな都市の魅力づくりに向け,一歩を踏み出します。
市長就任以来,一貫して市政運営の基本としてきた「スピード感・情報発信・連携」に一層努めるとともに,現場主義を大切に,そして多様な意見を取り入れながら,新たな「5つの挑戦」に全力で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症対策の強化
始めに,新型コロナウイルス感染症対策の強化について申し上げます。
まん延防止等重点措置が来月6日まで再延長されました。市民の皆様には,気を緩めることなく,今一度,マスクの着用,換気といった基本的な感染予防対策を徹底していただくようお願いいたします。
一方で,社会経済活動を停滞させるわけにはいきません。昨日から,飲食店に対する制限が一部緩和されました。公共施設の利用制限についても,注意深く解除していきます。引き続き,感染拡大防止と社会経済活動の両立をめざして,対策を進めていきます。
まず,感染拡大を防止するため,迅速なPCR検査の体制を確保します。また,国の補正予算に伴う前倒しとして,教育・保育施設に必要な衛生用品を配備します。
医療体制については,感染症治癒後の方を受け入れる後方医療機関への支援を継続するとともに,病床と宿泊療養施設の確保に努めます。また,患者の健康観察に万全を期すとともに,酸素濃縮装置の追加整備を進めていきます。さらに,先月開設された東部輸液センターにより,療養者の急変にも適切に対応するなど,病床のひっ迫を回避してまいります。
ワクチンの3回目接種については,既に保育施設従事者や小学校教職員等のエッセンシャルワーカーのほか,65歳以上の方に対して,前倒し接種を行っています。今般,18歳以上の全ての方についても,集団接種会場と大規模接種会場において前倒し接種を行うこととしました。現在は,5歳から11歳までの小児の接種について,3月から開始できるよう準備を進めています。
また,新型コロナの影響で廃業や離職された方に対して,緊急雇用や住宅確保等により生活を支えていくとともに,小規模事業者経営改善資金利子補給補助などの中小事業者への支援を引き続き行うことで事業の継続と雇用を守っていきます。
長引くコロナ禍を乗り切るためには,切れ目のない支援が不可欠です。このため,本市独自の対策を,国の補正予算に伴う前倒し分と併せて,今議会に追加提案したいと考えています。この中で,子どもへの感染リスクを低減させるため,私立も含めた保育所,幼稚園,学校の換気設備などを新たに整備していきます。また,売上が減少した中小事業者に応援金を給付するとともに,原油価格の高騰によって大きく影響を受ける施設園芸農業者と漁業者に対する補助も新たに実施していきます。
都市魅力の創造
次に,都市魅力の創造についてです。
(福山城築城400年記念事業の推進)
福山城築城400年記念事業については,先月,予定どおりスタートイベントを終えることができました。今後は,鞆町の沼名前神社や新市町の吉備津神社で藩主ゆかりの記念事業を開催するなど,様々な地域を舞台にイベントを実施していきます。
また,昨日は,ワーナーブラザースの御厚意により,映画「ザ・バットマン」の舞台であるゴッサム・シティとの友好都市提携を締結しました。もちろん,史上初,世界初のことであります。世界に多くのファンを持つ映画との共同企画という型にはまらない柔軟な発想は,築城400年記念事業に対する内外の関心を呼び,日本の城の美しさを世界に発信する絶好の機会になるものと確信しています。
8月のオープニングイベントを経て来年1月のフィナーレイベントまで,多彩な文化行事を通じ,これまでの本市の歩みをみんなで祝い,楽しむ機会としていきます。
私は,スタートイベントの式辞において,福山の偉人を選定し,その功績を改めて顕彰したいと申し上げました。24日に委員会を立ち上げ,選定作業に入ります。委員には,各界を代表する方々に御就任をお願いしました。築城400年記念日までに選定を終えるよう進めてまいります。
(世界バラ会議福山大会)
2025年(令和7年)の世界バラ会議福山大会に向け,新年度から植栽デザイン計画に基づく公園やローズロードの整備など,都市環境整備3か年集中対策に全力で取り組んでいきます。
また,本市ではこれまで,まるごと実験都市を掲げ,他都市に先駆けて自動運転などの様々な実証実験に取り組んできました。世界バラ会議を機に,会場と会場とを無人の自動運転バスで移動できるよう,新年度から取組を本格化させていきます。まずは,来月,公道においてレベル3相当の実験を行うとともに,中国・四国地方初となるバス型車両でのレベル4の実験をみらい創造ゾーン内で実施します。
新年度には,「ばらの新品種国際コンテスト」の募集を開始します。新たに無農薬で育てる未来のばらを開発し,経済・社会・環境の調和をめざすSDGsの理念を体現した持続可能なばらのまちづくりの取組を世界に向けて発信していきます。
(福山駅周辺の再生)
福山駅周辺を居心地が良く,歩いて楽しい,ウォーカブルな空間へと変えていきます。同時に,市内外から人や企業をひき付け,備後圏域の経済の好循環を生み出す拠点としていきます。
その核となる駅前広場については,幅広い市民の皆様の御意見を踏まえ,交通結節機能と広場機能が盛り込まれた素案を取りまとめました。新年度には,更に多くの御意見を伺いながら基本方針を策定していきます。
三之丸町地区の再開発については,新年度,新たに南棟が着工します。中棟,北棟を含め,全てが完成する2023年度(令和5年度)に向けて,工事が本格化していきます。
エフピコRiMについては,4月に一部エリアが先行オープンし,開放的な空間で様々な利用者が交流する拠点が誕生します。新年度からは,民間事業者によるコワーキングスペースなどの整備も始まり,9月のグランドオープンを迎えます。私がこれまでお約束してきたスピード再生が実現することとなります。
駅北口スクエアについては,5月に完成し,駅から城へと人々をいざなう空間に変わります。
このように,駅周辺の再生は,リノベーションによるまちづくりに始まり,官民連携の中で,次々に民間主導の取組が生まれています。国の特区制度などにより,道路空間の活用の機運が高まり,オープンテラスなど新たな事業にチャレンジする若者たちの姿がまちの雰囲気を変えています。エリア価値は確実に向上しています。
(防災・減災の推進)
災害に強い都市づくりを進めます。
抜本的な浸水対策については,複数の流域において,5年という短期間の集中対策を,国・県・市一体となって進めてきました。これは,全国でもこれまでに例のない取組です。既に被害軽減に一定の効果が現れています。2023年度(令和5年度)の概成に向け,抜本的な浸水対策を最後までやり抜きます。
ため池については,引き続き管理者の特定を進めるとともに,関係者の同意が得られた箇所から着実に耐震化工事に取り組んでいきます。
盛土については,昨年までに必要な点検を終え,適正に施工されていることを確認しています。今後は,航空写真等により推定される箇所の点検を行っていきます。
市民の防災意識の向上にも取り組みます。土砂災害警戒区域と洪水浸水想定区域を合わせて表示したハザードマップを作成し,市民に災害リスクをわかりやすく発信します。また,避難情報等を複数の媒体に一括して送信できるシステムを新たに導入し,迅速な避難行動につなげていきます。
(魅力ある地域づくり)
持続可能な地域共生社会の実現をめざします。
多世代での話合い,地域内外の人材の参画,そしてデジタル技術の活用など,新たな手法による地域づくりを全市で進めていきます。
また,地域自治組織の負担軽減を図るため,行政から地域への依頼事項を抜本的に見直します。
まちづくりサポートセンターの機能強化により,新たな地域づくりを担う人材の発掘や育成,そして多様な人材との交流・連携を促進し,地域活動を活性化していきます。
こうした活動を支援する(仮称)まちづくり支援拠点施設を整備するとともに,市民に身近な活動の拠点である交流館整備を加速していきます。
民間の創意工夫により,公園の新たな可能性を引き出すPark‐PFI事業については,中央公園に続く候補地の選定に向けて,調査を進めていきます。
(医療提供体制の充実)
安定した質の高い医療提供体制を構築していきます。
基幹病院である福山市民病院については,がん医療・救急医療・高度専門医療の各機能を更に強化していくため,新年度から,本館建て替えに向けた実施設計に着手します。
今年度創設した研修医に対する支援制度を拡充し,初期研修を終えた専攻医も新たに対象に加えることで,医師の定着につなげます。看護師については,ナースセンター・サテライト福山と連携し,復職支援の強化と就業者のフォローアップに取り組みます。WEBサイト「びんご看護ネット」をリニューアルし,看護職の魅力を発信していきます。
(社会経済基盤の整備)
備後圏域の経済をけん引し,市民生活の安心・安全を支える基盤整備に引き続き取り組みます。
福山道路,福山西環状線,福山沼隈道路等の整備を着実に進めることで,国道2号などの渋滞を解消します。
福山港のふ頭再編改良事業においては,箕沖地区の整備が来月末に完了し,新年度からは箕島地区の岸壁工事が本格化していきます。
福山北産業団地第二期事業については,全15区画のうち10区画で6社の分譲予定者を決定しました。残り5区画についても早期の完売に向けて,企業の意向調査を継続していきます。
(地域産業の活性化)
活力ある地域産業をつくります。
中小企業のデジタル化による生産性向上に向けた取組に加え,SDGsの視点を踏まえて行う設備導入や商品開発などを新たに支援の対象としていきます。
人材確保については,女性を始め誰もが働きやすい職場環境づくりへの支援を継続します。また,首都圏等の転職希望者を対象に市内企業のインターンシップへの参加を促すとともに,市内企業への就職につながるよう新たに移住支援金を給付します。
さらに,兼業・副業人材を登用する市内企業への支援制度も創設します。
現行の官民協働による留学制度を発展的に解消し,グローバルな視点を持って地域で活躍するグローカル人材を未来創生人材育成奨学資金の対象に新たに追加します。
農林水産業については,農地の適合作物や面積規模などの情報をオープンデータ化することで新たな農業参入を促すほか,土砂災害等の未然防止につながる森林整備,海底耕うんの実施による栄養塩向上の効果検証や川砂の投入に向けた海底の土質調査を行います。
なお,多様な働き方の実現に向けて,国の補正予算に伴う前倒しとして,サテライトオフィスやコワーキングスペースを開設・運営する民間事業者への新たな支援を検討しています。
(脱炭素社会に向けた取組)
災害に強く,高い環境性能を有する次期ごみ処理施設については,2024年度(令和6年度)の稼働開始に向けて,焼却施設や粗大ごみ処理施設の工事に新年度から取り組みます。地域新電力会社である福山未来エナジーについては,電力の供給先や電源調達を備後圏域へと拡大し,圏域全体での脱炭素社会の実現に向けて率先して取り組んでまいります。
人口減少対策の強化
次は,人口減少対策の強化です。
(福山ネウボラの強化)
まず,福山ネウボラの強化についてです。
ネウボラ相談窓口「あのね」では,コロナ禍にあっても一人一人に寄り添った相談が行えるよう,今年度からオンライン相談を開始しました。引き続き相談員の資質向上に取り組み,子育て家庭から信頼されるよう努めてまいります。
「ミニえほんの国」が新たにスタートします。地域子育て支援拠点事業を行っている公立保育施設6か所において,絵本の読み聞かせや貸出しを行っていきます。
新たに公園遊具の整備計画も策定します。この中で,インクルーシブ遊具などの整備を進め,障がいのある子どもや高齢者も集い楽しめる空間をめざしていきます。
待機児童ゼロに向けて再チャレンジします。最大の課題である保育人材の確保・育成に向け,未来創生人材育成奨学資金による保育士をめざす学生への支援などを引き続き行います。スマート保育の導入を加速していくことで保育士の業務負担の軽減も図っていきます。
また,子どもの成長と保護者の就労を支えるため,保育施設において,医療的ケア児の受入れ体制を整備していきます。
周産期・小児医療についても充実していきます。福山市民病院は,昨年4月に小児救急医療拠点病院の指定を受けました。これに加え,今後は,より高度な医療を提供する総合周産期母子医療センターの指定をめざして,県と連携して取り組んでいきます。今年11月で開所から10年が経過するこども発達支援センターについても,医師や保健師などを増員し,診療体制を充実します。
子どもの異変にいち早く気付き,課題を改善することで,子どもが安心して学びに向かうことができる環境をつくっていきます。新年度は,モデルとなる小・中学校を選定し,教育部門と福祉部門が連携して新たな支援体制を構築していきます。
子ども家庭総合支援拠点については,国の補正予算に伴う前倒しとして,県の児童相談所と情報共有できるシステムの構築を検討しています。
以上申し上げたとおり,子どもや子育て世帯に安心と希望を与える福山ネウボラを一層強化してまいります。
(未来を切り拓く教育)
福山の未来を切り拓く子どもたちの学びの場を充実します。
本年4月から,新市中央中学校,義務教育学校の想青学園,イエナプラン教育校の常石ともに学園及び特認校の広瀬学園が新たに開校します。再編校においては,遠距離通学となる児童生徒に対して,スクールバス等での送迎を行うとともに,これまでの地域とのつながりを大切にした教育活動を実施し,地域に対する愛着を深めていきます。山野,広瀬,加茂小・中学校の再編については,2023年度(令和5年度)の開校に向け,保護者や地域の皆様と議論を重ね,準備を進めてまいります。
また,福山高等学校については,屋内練習場の整備やグラウンドの拡張などを行い,部活動の環境をより一層充実していきます。
次代を担う子どもたちが最新の科学やテクノロジーに触れ,楽しく学び,成長していく場となる(仮称)子ども未来館については,新年度に基本構想をつくり上げ,更に基本計画の策定へと進めてまいります。
デジタル化の推進
次に,デジタル化の推進についてです。
誰もがデジタル化の恩恵を享受できる都市の実現に向け,産業,地域,行政の各分野のデジタル化実行計画を策定しました。
中でも鍵となるのが,行政のデジタル化です。書面・押印・対面を前提としたこれまでの行政手続の制度・慣行を抜本的に見直し,新年度には400の手続でオンライン申請を可能にします。公共施設のオンライン予約についても計画的に拡大していきます。また,窓口でマイナンバーカード等を提示するだけで申請手続が終了するよう,「書かない窓口システム」を新たに導入します。
そして,こうしたサービスを誰もが利用できるよう,高齢者に対しては,国の補正予算に伴う前倒しとして,スマートフォンの利用を希望する1万人の方に,機器の購入から使い方までを一体的にサポートする新たな支援策を検討しています。また,年齢にかかわらず,スマートフォンの使い方やサービスの受け方などの講習会を開催することで,情報格差の解消にも取り組んでいきます。
産業のデジタル化については,びんごデジタルラボやICT相談所の機能を充実させ,中小企業への支援を強化します。そこでは,セミナーへの参加からITツール等の導入や運用までを最適な形で支援していきます。
地域のデジタル化では,全学区でデジタル化を推進するリーダーの育成に取り組んでいきます。また,デジタル技術を活用し,一人暮らしの高齢者の見守りを強化します。
4月には,産業界や地域団体,大学などが参画する(仮称)デジタル化推進会議を立ち上げます。最高デジタル責任者(CDO)の助言を得ながら実行計画を着実に推進していきます。
新たな都市魅力づくりへの挑戦
次に,新たな都市の魅力づくりに向けた挑戦についてです。
本市の将来を展望するとき,個性豊かな地域が新たな核となり,中心部の活力とあいまって都市全体の発展をけん引していくことが,これからの都市づくりにおいて,めざすべき方向ではないかと,私は考えています。
海や山などの自然,地域に根付いてきた産業,祭りや神社などの歴史・文化,そしてその地域でしかできない体験や学びなど,地域には大切に守り,受け継がれてきた貴重な資源が多くあります。
私は,車座トークなどを通して,これらの価値を地域の皆さんと改めて見つめ直し,地域の活力の源にしていくことが必要だと実感してきました。
このため,新年度からは,各地域にある魅力的な資源を新たな視点で分析し,活用の在り方を検討していきます。資源を磨き上げ,ストーリー性を持たせ,つなげることで,人や企業をひき付ける魅力へと高めていき,そのことが地域の誇りとなり,自信へとつながっていく。そうした活力ある地域づくりに向けて新たな一歩を踏み出していきます。
新年度予算案の大要と持続可能な財政運営に向けて
以上の結果,一般会計の当初予算規模は過去最大となる1,968億4,000万円となり,今年度当初予算と比べて201億6,000万円,率にして11.4%の増となりました。特別・企業会計を含めた全体では,3,636億7,551万3千円,率にして8.7%の増となりました。
このうち,歳入の根幹となる市税については,中小事業者等に対する軽減措置の終了に伴う固定資産税の増に加え,給与所得の伸びや企業収益の拡大による個人市民税と法人市民税の増などから,今年度比約60億円増の約747億円となる見込みです。
一方,歳出については,扶助費や介護保険特別会計への繰出金などの社会保障関係費は約703億円と引き続き増加しています。また,次期ごみ処理施設の建設や抜本的な浸水対策などの都市基盤整備を行うこととした結果,投資的経費は今年度比約162億円増の約400億円となりました。
あわせて,歳入・歳出両面から財源確保にも取り組み,約19億円を確保しました。また,繰上償還の実施により公債費を抑制するとともに,減債基金から6億円を繰り入れるなど基金の活用も行いました。
これらの結果,各財政指標については,経常収支比率は84.5%と,平成の合併後の2006年度(平成18年度)以降,17年間で2番目に低い値となっています。また,実質公債費比率については0.6%と初めて1%台を下回り,そして将来負担比率は数値が算定されない状況を維持しています。
引き続き,細心の注意を払いながら,持続可能な財政の維持に努めてまいります。
組織体制
次に,新年度の組織について御説明申し上げます。
新型コロナ対策の強化のほか,災害発生時における対応力強化,まちづくり施策の一層の推進,デジタル化の更なる推進に向けて体制を充実していきます。また,PFI等の民間活力の活用に向けた体制整備を行うなど,より質の高い公共サービスの提供をめざしてまいります。
おわりに
「福山市の過去,現在,未来を結ぶ記念塔として,福山城を復元したい」
これは,福山空襲で焼け落ちた福山城を戦後福山の発展の象徴として再建した徳永豊元市長の言葉であります。
再建から50年余,私は,築城400年を機に,「福山城」の威容を現代によみがえらせるとともに,戦後福山のもう一つの象徴である「ばら」による魅力ある都市づくりを進め,福山への誇り,愛着,共感を一層高めていきます。市民と力を合わせてコロナ禍を乗り越えた先の新しい社会を見据えて,職員一丸となって挑戦を続けてまいります。
予算以外の議案といたしましては,条例案として「福山市個人情報保護条例の一部改正について」など15件,その他の議案として「福山市立西多治米保育所改築工事請負契約締結について」など4件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上,御可決いただきますようお願いを申し上げ,提案理由の説明といたします。
本文は,口述筆記ではありませんので,表現その他に若干の変更があることがあります。