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令和6年第5回福山市議会定例会 市長説明要旨(11月27日)
本日、令和6年第5回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位には御参集いただき、誠にありがとうございます。
今回提出しております「令和6年度福山市一般会計補正予算」を始め、諸議案の御審議をお願いするに当たり、当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。
始めに、原油価格・物価高騰対策についてであります。
先般閣議決定された国の新たな総合経済対策を踏まえ、市民や事業者に一日も早く支援をお届けできるよう、今議会への追加提案を考えてまいります。
次に、地域の拠点づくりについてであります。
人口減少社会にあっても都市の活力を維持していくためには、それぞれの地域における魅力づくりとにぎわい創出が欠かせません。特に、未来の支え手であるこどもや若者の希望が反映された地域づくりが重要です。また、その際には、立地適正化計画などの既存の計画との整合性にも留意が必要であり、こうした考え方に立って拠点づくりの戦略策定に着手したところです。引き続き、地域が主体となり、行政が伴走支援しながら地域づくりを進めてまいります。
次に、バスの利用促進についてであります。
市民生活の基盤であるバスは、人口減少や住民ニーズの変化に適切に対応するものでなければなりません。こうした思いから、交通事業者、有識者、市民団体等が連携し、誰もが安心して利用できる公共交通網の構築をめざす「バス共創プラットフォーム」を立ち上げ、関係機関それぞれが何をすべきかについて議論を重ねてきました。これを受け、来月18日から24日までの間、市内全域で「路線バス運賃無料ウィーク」を実施します。期間中の利用状況や交通量の変化、交通機関に対する市民ニーズを、アンケートも実施しながら把握・分析し、今後のバスの利用促進と路線の見直し等につなげてまいります。
次に、文化財の国宝化に向けた取組についてであります。
福山城の伏見櫓・筋鉄御門を始め、新市の吉備津神社本殿や鞆の沼名前神社能舞台の国宝化をめざし、今月3日に歴史的建造物国宝指定期成同盟会を結成しました。これを受け、年内には文化庁等への提言を予定しています。あわせて、京都の伏見城から移築された伏見櫓や筋鉄御門、沼名前神社能舞台については、今後より詳細な分析調査を行い、創建された時期や移築の経緯の裏付けをより強固なものにしていきます。このほかにも、シンポジウムを開催するなど、市民の理解と協力が広まるよう取り組んでまいります。
先月、「福山城キャッスルステイ」の第1号となる宿泊がありました。甲冑を着用して筋鉄御門から入城し、江戸時代の蒸し風呂をイメージした御湯殿でのサウナや天守最上階の天空の間から夜景を楽しむナイトラウンジなどを体験されました。後日、お礼のメールをわざわざいただくなど高い評価をいただきました。既に来年にかけて複数の予約もいただいています。新たにふるさと納税の返礼品にも加えたほか、城泊を盛り込んだ旅行商品を造成するなど、更なる利用促進に取り組んでまいります。
次に、世界バラ会議福山大会についてであります。
先週までに、22か国130人の方から大会への参加登録がありました。大会本番に向け、市民・企業が主体となった商品開発や記念イベント開催のほか、登録があった207人の運営ボランティアに対する研修会の実施、会場となるホテルや交通事業者との詳細協議など準備の最終段階に入っています。こうした中、公益財団法人都市緑化機構が主催する第44回「緑の都市賞」緑のまちづくり部門で、国土交通大臣賞を受賞しました。これは、戦後復興と平和を願って市民と共に進めてきた本市のばらのまちづくりや世界バラ会議福山大会に向けた取組などが高く評価されたためです。市民や関係者の大きな励みになるものと受け止めています。今後は、ニコライ・バーグマンさんによる100日前イベントの開催のほか、「Rose Expo」に参加する著名人や飲食・物販等の出店者を順次発表するなどして大会機運を盛り上げ、また来月からは会場を彩るために市民が育てたばらを募集するなど、大会の成功に向けて取組を加速してまいります。
次に、福山港内港地区の埋立てについてであります。
国の港湾整備に伴う浚渫土砂の受入先候補として、今月29日から国による土質調査が実施されます。これに基づき、費用の試算や施工上の課題を検討される予定と聞いています。今後は、港湾管理者である県とも連携をし、来年夏頃までに事業スキームや役割分担を整理してまいります。
次に、現在ネウボラセンターの開設に向け、準備を進めています。センターの機能については、支援の対象を、これまでの妊娠期から就学前までを中心としたものから、学童期、そして若者にまで広げ、不登校やひきこもり、ヤングケアラーといった多様な課題にワンストップで相談・対応できるものとします。また、屋内で親子が安心して遊び、交流できる場も整備していきます。場所については、子育て家庭が訪れやすく、若者も立ち寄りやすい、福山駅周辺を考えています。今年度末に策定する「こども計画」がめざすこどもまんなか社会の実現に向け、ネウボラセンターを核として、こども・若者への総合的な支援に取り組んでまいります。
「子ども未来づくり100人委員会」では、今年3月から、それぞれの立場で議論を重ねてきました。それらの結果、「様々な世代が集える居場所づくり」、「働き方改革の推進」、「子育てに関する情報発信の充実」、そして「こども主体の教育の推進」の4つに重点的に取り組んでいくことになりました。近く、「福山市子ども未来づくり宣言」として取りまとめ、市民・産業界・子育て支援団体・行政がそれぞれ主体的に取り組むことを共同で発表します。市内のあらゆる団体が一丸となり、子育てしやすい、子育てしたいと思えるまちをめざしてまいります。
先月、新年度の予算編成方針を発表しました。新たな「5つの挑戦」に沿った最初の予算編成であり、選挙戦を通して伺った市民の声にしっかり応えていくため、「少子化対策・子育て支援の充実や高齢者の生きがいづくり」、「人々が集い、交流する地域の拠点づくり」、そして「都市の発展を支える基盤づくり」に重点的に取り組むことにしています。特に、原油価格や諸物価の高騰が続いていることから、特例枠を設けて市民の生活と事業者の経済活動への影響を緩和する支援にも注力していきます。加えて、後年度も含めたトータルコストの節減につながる取組についても特例枠とし、デジタル化による生産性向上を始め、公共施設の集約・複合化による維持費削減や脱炭素化による省エネなどを推進します。
財政見通しについては、歳入では、市民税や固定資産税のほか、地方交付税の増加により、今年度を上回るものと見込んでいます。一方で、歳出は社会保障関係費や人件費の増加に伴って歳入総額を上回ることが想定され、現時点では収支不足が見込まれています。今後の国の動向も見極めながら、予算編成過程で事業を精査し、歳出規模の抑制に努めていきます。また、2025年度(令和7年度)から5年間で取り組む新たな「総合的な財源確保策」については、「備後圏域の連携による効率的な行政サービスの提供」と「行政の脱炭素化によるエネルギー消費の削減」という2つの視点をこれまでの取組に追加し、総額280億円の確保をめざしてまいります。
次は、補正予算についてであります。
この度は、一般会計を含む5会計で補正をお願いしています。
まず、高齢者や子育て世帯を対象とした「(仮称)思いやり駐輪場」を、福山駅北口と南口に1か所ずつ暫定的に整備します。小児慢性特定疾病等の医療費受給者証をマイナンバーカードによる資格確認へ移行するため、医療機関が行うシステム改修を支援します。企業からの寄附金を活用し、沼名前神社能舞台における文化事業の開催を支援するほか、食育や認知症対策の啓発にも取り組みます。このほか、条例に基づく財政調整基金の積立て等を行います。債務負担行為については、福山夏まつりと弁天島花火大会の事業費負担金などを計上しています。
以上の結果、今回の補正予算額は、一般会計で65億4,897万3千円の追加となり、5会計の合計では67億1,165万1千円の追加となりました。
予算以外の議案といたしましては、条例として「福山市生活保護法に基づく保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について」など8件、その他の議案として「熊野貯水池耐震対策工事請負契約締結について」など11件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上、御可決いただきますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。
本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。