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令和7年第1回福山市議会定例会 市長総体説明
先ほどは、「令和6年度福山市一般会計補正予算」を御可決いただき、ありがとうございます。
ただ今、御上程になりました「令和7年度福山市一般会計予算」を始め、諸議案の御審議をお願いするに当たり、新年度における市政運営の基本方針と予算案の大要について御説明申し上げます。
1 はじめに
本年5月、多くの人がばらの魅力に触れる「Rose Expo」と本市初の本格的な国際会議である「第20回世界バラ会議福山大会」がいよいよ開催されます。
「Rose Expo」では、初日を飾るイベントとして、ファッション文化の最先端を行く「TOKYO GIRLS COLLECTION」とコラボしたファッションショーの開催が決定しました。有名なばらのブランドやばらを使ったスイーツ・ドリンクなどの出展ブースも57が既に決まり、今後も増えていくことが見込まれています。本番に向け、これからも新たなイベントの発表が続きます。また、「世界バラ会議」には、先月末時点で27か国412人の方から参加登録をいただいており、大会への期待も高まっています。「福山ばら祭」と「ばらのまち福山国際音楽祭」も同時開催され、「ばらのまち福山」を華やかに彩ります。国内外から本市を訪れる方々に、まちいっぱいに咲き誇るばらの美しさとローズマインドによるおもてなしをお届けしたいと思っています。
市民の皆様と共に一連のイベントを成功させ、本市が国際都市へと飛躍する年にしていきます。
2 市政運営の基本方針
昨年9月、「こどもと若者に希望を、暮らしに安心を、経済に活力を」との所信を述べ、3期目の市政をスタートしました。
これまで、スピード感を持って「地域の拠点づくり」やネウボラセンターの開設など新たな挑戦に取り組んできました。
新年度には、広域連携を進める第3期びんご圏域ビジョンや本市のデジタル化を推進するための新たなデジタル戦略がスタートします。福山駅周辺のにぎわい再生も駅前広場整備の方向性を決める段階に入っていきます。
改めて、「戦略的な地域の拠点づくり」、「こども・若者・高齢者が笑顔で暮らせる社会づくり」、そして「都市の発展を支える基盤づくり」を新年度予算の3つの柱に据え、“「都市」と「人」が輝く未来の地域創生”に邁進してまいります。
少子高齢化や人口減少が進む中にあっても、未来に希望を持ち、市民が安心して暮らせるよう、一つ一つの挑戦をかたちにしてまいります。
3 戦略的な地域の拠点づくり
まず、1つ目の柱の「戦略的な地域の拠点づくり」についてであります。
(1)「(仮称)地域の拠点づくり戦略」の策定
人口減少社会にあっても、都市の活力を維持していくためには、その影響が懸念される地域こそがその魅力を高め、にぎわいを創出していく必要があります。また、「自分たちの地域を元気にしてほしい」という多くの市民の声にも応えていかなければなりません。このため、各地域の歴史、文化、自然、そして日々の生活の中に新たな価値を見いだす「地域の拠点づくり」を進めます。
まずは、「(仮称)地域の拠点づくり戦略」の策定に取り掛かります。戦略には、車座トークで交わされた意見なども踏まえ、それぞれの取組がめざす方向性やその実現に向けた具体的な内容を盛り込むこととし、住民と行政がそれぞれの役割に沿って取り組んでいくこととなります。
この「地域の拠点づくり」の考えは、先般国が示した「地方創生2.0」の方向性とも一致するものです。ここ福山から、「地方創生2.0」のモデルを全国に発信してまいります。
(2)多様な価値観を認め合う多文化共生社会の実現
多様な価値観を認め合う多文化共生社会を実現していきます。このため、外国人住民が社会の一員として地域で共に暮らしていけるよう、日本語教育や生活面の支援を地域・教育・就労の各分野で進めます。
まず、地域においては、日本語教室の運営体制を強化し、防災リーダーや多言語サポーターと連携して防災講座への参加を促します。教育においては、増加する外国人児童生徒が無理なく学校生活に適応できるよう、旧郷分幼稚園に日本語初期指導教室を開設します。そして、就労においては、企業の即戦力として活躍できるよう、産学官による「(仮称)外国人材活躍推進協議会」を立ち上げ、日本語や生活・仕事への理解を高めるための支援を行ってまいります。
4 こども・若者・高齢者が笑顔で暮らせる社会づくり
2つ目の柱は、「こども・若者・高齢者が笑顔で暮らせる社会づくり」であります。
(1)福山ネウボラの更なる強化
まず、「福山ネウボラの更なる強化」に取り組みます。
(ネウボラセンターの開設)
子育て家庭のニーズは多岐にわたり、若者が抱える悩みも多様化しています。相談・支援の窓口を一本化することで課題を的確に把握し、負担や不安の軽減に努めます。
このため、8月に、ネウボラセンターを子育て家庭や若者が訪れやすい天満屋福山店に開設します。センターは土日祝日も利用できる施設とし、不登校やヤングケアラー、ひきこもりなどの課題にも対応するものとします。安心して楽しめるこどもの遊び場も合わせて整備します。
(安心して妊娠・出産・子育てできる環境の構築)
近年、備後圏域の分娩取扱医療機関が急激に減少しており、安心して妊娠・出産できる体制整備は喫緊の課題です。このため、妊婦健診のみを実施する医療機関と分娩を引き受ける福山市民病院が連携する「産科セミオープンシステム」を開始し、既に約30人の妊婦に利用していただいています。
子育て家庭の経済的負担を軽減するため、保育施設や学校の給食費を引き続き据え置きます。また、低年齢の保育ニーズの高まりに対応するため、まずは湯田地区と曙地区での新たなこども園の整備に向け、今後、基本設計に取り掛かります。
支援が必要なこどもやその家庭の負担も軽減します。医療的ケア児に対しては、通学時に保護者に代わって看護師が同乗する回数を増やします。こども発達支援センターでは児童精神科の診察日を追加します。ひとり親家庭が養育費を確実に受け取れるよう、新たな支援制度も設けます。
また、今後もこども・若者への安定的な支援を継続していけるよう、「こども未来づくり基金」を創設します。新年度は、この基金を活用して、まずは6つの交流館にこどもが安心して遊べるキッズスペースを試行的に整備します。
(少子化対策の拡充)
昨年の本市の出生数は、神辺町合併以降初めて3,000人を下回ることが予測されています。危機意識を持ち、「福山市こども計画(第2期福山市ネウボラ事業計画)」に沿って少子化対策を強化していきます。
若者が結婚や子育てを躊躇する理由の一つに、いわゆるワンオペ育児があります。このため、少子化対策には、夫婦で家事・育児を分担できる働き方改革が何より重要な意味を持つと考えています。今後速やかにグリーンな企業プラットフォームに「共働き・共育て」部会を立ち上げることで共感する企業の輪を更に広げます。新たに開催するワーク・ライフ・バランスEXPOや県が進める「共育て」の取組とも連携して、働き方改革の流れを拡大してまいります。
(2)未来を創造する若者の活躍促進
若者の夢の実現に向けたチャレンジを応援します。このため、日本の未来を創造する福山にゆかりのある若者を見いだし、表彰する「(仮称)ふくやま未来大賞」の創設を検討していきます。
また、若者に選ばれる都市をめざし、「学び」と「仕事」の選択肢を広げます。福山市立大学情報工学部の開設に向け、新棟建設工事に着手するとともに、学部の設置認可申請を行います。市内への就職につなげていくため、若者と企業をつなぐインターンシップを充実させるとともに、グリーンな企業プラットフォームを通じて若者が働きやすく魅力を感じる企業を更に増やしていきます。
(3)人生100年時代の高齢者支援の充実
人生100年時代にふさわしい健康長寿社会をめざします。そして、健康な高齢者には、その豊かな知恵や経験を生かして社会で大いに活躍していただきたいと願っています。
このため、今年度から、介護予防のための「ふくやまSHINKA(シンカ)プロジェクト」を行っています。これは、運動や文化活動の種々のプログラムに参加し健康づくりを行うものです。新年度は、プログラム参加者である高齢者自身が立場を変え、講師として活躍できる場も設けていきます。
また、生活の質をより一層高めていきます。高齢者が支障なくデジタルツールを活用できるよう、スマートフォンの購入と使い方講座が一体となった支援を再開します。配食サービス空白地を解消し、ごみ出し支援を全市に展開していきます。
(4)全世代交流型のエリアの創造
次に、全世代交流型のエリアの創造についてであります。
「(仮称)まちづくり支援拠点施設」については、2026年度(令和8年度)からの供用開始に向けて引き続き建設工事を行っていきます。また、「(仮称)子ども未来館」については、2029年度(令和11年度)からの供用開始をめざし、設計・建設・運営を一括して担う事業者を選定します。なお、未来館の附帯施設としての大阪・関西万博パビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」についても、議会の御理解を得る中で、その誘致に取り組んでいきます。
これらの施設に、エフピコアリーナ、かわまち広場などが加わることで、健康・スポーツ・レジャー・防災・交流・教育・福祉といった多様な機能を持った全世代交流型の新たなエリアが誕生することになります。2027年度(令和9年度)中の「レベル4」の実装をめざし、現在、自動運転の実証実験を重ねています。未来のモビリティによって、このエリアと商業・交通などの機能が集積する福山駅周辺とが結ばれることで、福山の新たな未来を創造する都市の核を一体的に形成してまいります。
(5)個性や能力を伸ばす教育の実現
次に、個性や能力を伸ばす教育の実現についてであります。
これまで、こども主体の学びに取り組んできました。昨年8月に児童生徒を対象に実施したアンケートによれば、9割以上が授業を楽しいと実感しています。一方で、全国学力・学習状況調査においては、国や県の平均を下回る状況が続いています。こどもたちの確かな学力を育くむため、新年度に「学力向上プロジェクト」を立ち上げます。新たに小学4・5年生、中学1・2年生を対象とした学力定着状況調査を実施することで、一人一人について理解が不十分な内容を詳細に把握し、授業改善につなげます。
また、こどもたちが多様性を認め合い、一定の集団規模で学ぶことができる環境を整えていく必要があります。このため、地域住民やPTAなどで構成する検討委員会を立ち上げ、これまでの学校再編を踏まえて新たな学校教育環境の整備に向けた基本方針を策定していきます。
このほか、学校や専門機関からの支援が届いていない不登校のこどもたちが安心して学べるよう、山野地区の自然を生かしたフリースクールの充実など多様な学びの機会を提供してまいります。
5 都市の発展を支える基盤づくり
3つ目の柱は、「都市の発展を支える基盤づくり」であります。
(1)備後圏域の産業の活力向上
まず、備後圏域の産業の活力向上についてであります。
(農林水産業の振興)
農林水産業については、農業の担い手の確保に向け、国の経営開始資金に加えて本市独自の支援金を新たに支給します。また、移住支援金の制度も創設し、新規就農者の経済的負担を軽減します。海洋環境の改善に向けては、漁場保全緊急対策として、漁業者による藻場の保全やアイゴ対策を支援します。
老朽化が進む福山地方卸売市場については、備後圏域の食生活の安心・安全を支えるとともに、海外輸出も視野に入れたコールドチェーン化をめざし、再整備を進めます。2028年度(令和10年度)の完成に向け、国や金融団と共に建設工事への必要な財政支援を行います。
(戦略的な観光振興)
観光振興については、大阪・関西万博とも連携する中で「Rose Expo」の多彩なイベント内容やアジアで2回目の開催となる「世界バラ会議福山大会」の意義を発信するなど、一層の誘客促進に取り組みます。また、福山駅に新たに停車する観光列車「etSETOra」や「はなあかり」も活用します。「福山城キャッスルステイ」を中核としたナイトタイムエコノミーの魅力も国内外にPRしていきます。
鞆未来トンネルの開通に併せて、南部地域の豊かな資源を陸と海でつなぐ「陸の道・海の道構想」の実現に向け、一歩踏み出します。「陸の道」を構成する中核施設の一つが、道の駅「アリストぬまくま」です。備えるべき機能などを検討し、基本計画を策定します。そして、「鞆の浦しおまち海道サイクリングロード」を「しまなみ海道」とつなげ、官民一体となって利用促進に努めることで、国によるナショナルサイクルルート指定をめざします。「海の道」としては、田尻のあんず、阿伏兎観音、常石の造船所、2027年度(令和9年度)に供用開始予定の鞆地区の東西交通・交流拠点、県内初進出の星野リゾートが立地する仙酔島などを結び、瀬戸内の多島美とともに海から楽しむ手法を検討していきます。
これらを盛り込んだ新たな観光振興基本戦略を6月までに取りまとめ、周遊観光を軸とした誘客促進などを進め、地域の活性化につなげてまいります。
(2)都市基盤の整備
次に、都市基盤の整備についてであります。
(道路や港湾の整備)
福山道路の未事業化区間と神辺水呑線については、2026年度(令和8年度)の一体的な新規事業化をめざし、備後圏域一丸となって国や県へ強く訴えていきます。松永地域の南北交通の要の一つである今津高西線については、概略設計に取り掛かります。
福山港内港地区の埋立てについては、国は土質調査を終え、現在は埋立て費用と施工上の課題を整理しています。県とも連携して夏頃までに事業スキームを検討していきます。
(福山駅周辺の再生)
福山駅周辺を公共交通と歩行者中心の空間に変えるウォーカブルなまちづくりを推進します。特に駅前は、通過点ではなく交流や新たなアイデアが生まれる場に変えていきます。このため、駅前広場の再整備について、整備後の具体的なイメージや効果をわかりやすく示す中で、幅広い市民の声を丁寧にうかがっていきます。そして、駅前広場整備基本計画の策定に向け、議論を積み重ねていきます。あわせて、駐輪場不足に対応するため、天満屋福山店南側に駐輪場を116台分、駅の南北には思いやり駐輪場を21台分、それぞれ新たに整備します。
エフピコRiMについては、「iti SETOUCHI」の利用が増加し、新たに入居を希望する声も寄せられています。利用フロアの拡大に向けて事業スキームや利活用計画の検討を進め、8月までに方向性をお示しします。
(3)安心・安全で快適な生活環境の整備
市民が安心・安全で快適に暮らせるよう、激甚化・頻発化する自然災害への備えの強化や移動手段の確保などに努めます。
(災害に強い都市づくり)
発生確率が高まりつつある巨大地震への備えを強化するため、住宅の改修支援やため池の耐震化に取り組みます。
浸水対策については、蔵王ポンプ場において新たに耐水性の向上などが求められた結果、2年遅れて2027年度(令和9年度)の完成になる予定です。一方、今年の出水期までには蔵王雨水幹線を活用した暫定貯留が可能となるため、同地区における防災力は相当程度強化されます。
避難場所の環境改善については、基幹緊急避難場所に指定されている24校の小中学校の屋内運動場について、2026年度(令和8年度)までに空調整備を行います。今後も、利用実態を踏まえ、整備を進めていきます。
地域の防災力の向上については、消防団の装備を充実するほか、孤立可能性集落の支援体制を構築していきます。
(生活環境の整備)
人口減少や住民ニーズの変化に適切に対応した移動手段を確保し、市民の暮らしを支えます。公共交通網の再構築に当たっては、バス共創プラットフォームを通じて昨年12月に実施した実証実験の結果を踏まえて、新規路線の運行の可能性についても実験を行います。バス事業者の経営改善に向けた努力を促す補助制度を創設するとともに、乗務員確保のための就労支援金を新たに支給します。オンデマンド乗合タクシーについては導入地区を拡大し、公共交通の空白地域の解消に努めます。
また、老朽化が進む中央斎場については、市内の斎場全体の在り方も含め、今後の再整備に向けた基本方針を策定していきます。
(4)歴史・文化、スポーツによるにぎわいづくり
次に、歴史・文化、スポーツによるにぎわいづくりについてであります。
(歴史資源の磨き上げと芸術活動の推進)
ふるさと福山への市民の誇りと愛着を高めていくため、福山城の伏見櫓や筋鉄御門、新市の吉備津神社本殿、鞆の沼名前神社能舞台の国宝化をめざし、期成同盟会による国への提言活動を継続します。このうち、伏見櫓については、移築の経緯の裏付けをより強固なものにするため、移築元の京都伏見城の遺構を調査します。
地域にある貴重な文化財も、次世代にしっかり引き継いでいきます。このための登録文化財制度を本市独自に創設し、必要な支援を行います。先般、国土交通省のインフラメンテナンス大賞特別賞を受賞された「別所砂留を守る会」については、国の登録有形文化財への登録をめざして砂留の測量調査を行います。
また、ふくやま美術館の改修に向けては、施設の在り方や今後の適切な作品保管方法を検討し、基本構想を取りまとめます。
(スポーツに親しめる環境の充実)
スポーツによるにぎわいづくりをめざします。緑町公園屋内水泳場と竹ケ端運動公園庭球場の整備が完了し、4月にはオリンピックのメダリストを招いて完成セレモニーを開催します。夏に開催される全国高等学校総合体育大会では、早速、竹ケ端運動公園庭球場が会場となるほか、飛込など合わせて4競技が行われます。引き続き全国大会などの誘致に取り組み、市民がスポーツを見て楽しむ機会を増やすとともに、競技力の向上にもつなげてまいります。
6 備後圏域の連携強化とデジタル化の推進
以上、新年度予算の3つの柱について申し上げましたが、これらの施策を支える基盤となる「備後圏域の連携強化」と「デジタル化の推進」にも力を入れていきます。
(備後圏域の連携強化)
備後圏域における連携中枢都市圏では、これまで、市町共通の課題解決に向け、中小企業への支援や医療提供体制の確保、保育サービスの充実などに取り組み、成果を上げてきました。今後の加速する人口減少を考えれば、これまで以上に自治体間の連携を強化していかなければなりません。第3期ビジョンにおいては、資源循環型の経済の構築を含む地域経済の活性化や多文化共生社会も見据えた住民サービスの充実、事務の共同実施などの行政サービスの効率化に一層注力していきます。
(デジタル化の推進)
また、デジタル技術の活用により、少子化や若者の流出による人手不足といった社会課題へ対応していくとともに、場所や時間に捉われない豊かなライフスタイルを実現していくことが求められています。このため、新たなデジタル戦略に基づき、中小企業のデジタル化を進めます。AIなど様々なデジタルツールを導入するためのアドバイスなど伴走支援を行っていきます。このほか、子育て家庭向けの手続のオンライン化や公共施設予約サービスの導入施設の拡大なども進めてまいります。
7 新年度予算案の大要と健全な財政運営に向けて
以上の結果、一般会計の当初予算規模は、過去最大となる1,998億3,000万円となりました。今年度の当初予算と比べて96億4,000万円、率にして5.1%の増となります。特別・企業会計を含めた全体では3,871億6,406万4千円、率にして5.5%の増となります。
このうち、歳入について、その根幹となる市税は、定額減税の終了に伴う個人市民税の増加や家屋の新増築による固定資産税の増加などにより、今年度比約39億円増の約778億円となる見込みです。
また、歳出については、扶助費や後期高齢者医療特別会計への繰出金などの社会保障関係費は約813億円と引き続き増加する一方、投資的経費は今年度比約19億円減の約189億円に抑えました。
持続可能な財政の確保に向け、今後5年間の新たな「総合的な財源確保」の取組に着手します。新年度には約54億円の効果額を生み出せる見込みです。また、新たに減債基金を活用し、市債発行額を神辺町との合併以降最小となる約94億円に抑制しました。市民一人当たりの市債残高は目標としてきた35万円を下回る34万円に抑えることができました。財政調整基金と減債基金については、中核市平均を上回る水準を引き続き維持しています。
これらの結果、経常収支比率と実質公債費比率は引き続き低い水準を、将来負担比率は数値が算定されない状況を11年間連続で維持しています。
8 組織体制
次に、組織について申し上げます。
「(仮称)子ども未来館」の整備を始め、地域の拠点づくり、ネウボラセンターの開設、高齢者施策の推進、そしてこどもの学びの充実に重点的に取り組んでいくため、体制を強化します。引き続き、簡素で効率的な体制を基本に、時代の変化に対応した政策の立案や実施、そして横断的な連携を行うことができる組織をめざしてまいります。
9 おわりに
本市の「ばらのまちづくり」は、1950年代半ばに戦後の復興と平和への願いを込め、荒廃したまちに市民が1,000本のばらを植えたことから始まりました。1960年代にかけて行われた整備を経て、その地はばら公園となり、今でも多くの市民に愛されています。ばら公園を整備した徳永豊元市長は、回顧録で「・・・やがては福山で念願の国際ばら展を開くのです。(中略)ばらの街として国内的に認められている福山市を、国際的なばらの都市にしてほしいのです」と記されています。
先人たちがこれまで積み重ね、未来を託してきた「ばらのまちづくり」が、本市初の本格的な国際会議の開催という大きな花を咲かせようとしています。
今日の福山があるのは、本市の未来を思い、挑戦し続けてきた先人たちのおかげです。今を生きる私たちもまた、誇りと希望にあふれる福山を次の世代へと引き継いでいかなければなりません。市民の先頭に立って挑戦を続け、未来を切り拓いてまいります。
予算以外の議案といたしましては、条例として「福山市議会の個人情報の保護に関する条例及び福山市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例の一部改正について」など27件、その他の議案として「河川改修工事(谷地川・手城川流域・5-1)請負契約締結の変更について」など16件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上、御可決いただきますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。
本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります