本文
令和7年第3回福山市議会定例会 市長説明要旨(6月6日)
本日、令和7年第3回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位には御参集いただき、誠にありがとうございます。
今回提出しております「令和7年度福山市一般会計補正予算」を始め、諸議案の御審議をお願いするに当たり、当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。
始めに、ばらのまちづくりについてであります。
先月17日から25日にかけて「福山ばら祭」「Rose Expo」「第20回世界バラ会議福山大会」「ばらのまち福山国際音楽祭」が開催され、街中がばらで彩られた9日間となりました。
「世界バラ会議福山大会」の開会式には、大会名誉総裁を務める寛仁(ともひと)親王妃信子殿下に御臨席いただき、お言葉を賜りました。大会には28の国・地域から723人の方が参加し、ばらの専門家による講義が行われるとともに、地域住民が心を込めて育てたばら花壇を巡るデイツアーを堪能いただきました。また、福山城公園プロムナードでの歓迎レセプションや商店街での市民との交流などユニークベニューを活用したエリアMICEの取組も大変喜ばれました。
「まちの至る所で見頃を迎えた状態の良いばらが咲いていることに驚いた」「こどもたちやボランティアが熱心にばらを説明する姿勢から、福山にばらの文化が根付いていることがわかった」「福山でのおもてなしは素晴らしく、運営は大会史上随一であった」という声をいただき、国内外から高く評価されたものと受け止めています。大会開催に御尽力いただいた全ての皆様に敬意を表し、心から感謝申し上げます。
私は、ばらという美しい花が国境を越えて人と人を結び付け、平和を希求する力を持っていることを改めて実感しました。ばらのまちづくりの原点である平和への願いを、次の世代に引き継いでいきます。そして、ばらに関わる人材の育成を始め、福山で生まれた大会記念ばらの普及やガーデンツーリズムの推進などばらのまちづくりを更に深化させ、「世界一のばらのまち」の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、防災力の向上についてであります。
今月16日に蔵王雨水幹線の暫定供用を開始します。この結果、東深津町の暫定雨水貯留施設と合わせ、これまでの約3倍の雨水貯留が可能となります。また、笠岡市及び井原市との間で相互給水体制を構築するため、今年4月に「緊急時連絡管を活用した相互応援に関する協定書」を締結しました。今月から連絡管の工事を進め、年内の運用開始をめざします。備後圏域の更なる防災力の向上に、引き続き取り組んでまいります。
次に、活力ある地域の形成についてであります。
今月から「地域の拠点づくり」の戦略策定に取り掛かります。この中で、旧合併地域が活力を取り戻すためにはどのような拠点機能が必要なのか地域住民と共に考え、具体化していきます。また、「地域の拠点づくり」に取り組む者同士の連携を促進していくため、今後、多様な団体等が参加する「(仮称)地域の拠点づくり合同会議」も立ち上げ、議論を深めていきます。
先般、本市唯一の道の駅である「アリストぬまくま」が、国土交通省の「道の駅」第3ステージ応援パッケージに中四国でただ一つ選定されました。今後、国による重点的な予算配分や経営戦略の立案などの支援をいただくことになります。これは、地元と行政が一体となって進める「地域の拠点づくり」の取組を大きく後押ししてくれるものでもあります。資源豊かな南部地域の拠点となる道の駅に、県内外から人を呼び込めるよう再整備を進めていきます。
また、鞆地区では、今年3月に鞆未来トンネルが開通したことにより、課題となっている町中の通過交通が減り、特に通勤時の混雑が大幅に軽減されたと聞いています。引き続き、観光車両が町中に進入しないための有効な対策や町歩きの際のマナー向上など、安心・安全な暮らしと観光が調和したまちづくりを住民と共に考え、進めてまいります。
次に、福山駅周辺のにぎわい再生についてであります。
2018年(平成30年)にふくやま未来づくり100人委員会から福山駅前の未来図の提案をいただきました。そこには、緑があふれる公園があり、市民の憩いの場となり、様々なイベントが開催されて多くの人でにぎわう駅前のイメージが示されていました。以来、デザイン会議と広場協議会でそれぞれ長年にわたり議論を行ってきました。この中で、新幹線「のぞみ」が停車し、年間1,300万人もの人が行き交う備後圏域の玄関口にふさわしい場として、交通結節機能と都市の広場機能が融合した居心地が良く歩きたくなる空間へ変えていくべきとの方向性が改めて示されました。現在その具体化に向けた検討を進めているところです。市民からも広場機能を望む声があるものの、一方ではバスやタクシーの利便性が低下するのではないかといった疑問の声も上がっています。このため、来月から市民対話集会を開催し、再整備の具体的なイメージを丁寧に説明し、懸念の解消に努めていきます。また、対話集会でいただいた御意見については今後作成する駅前広場の基本計画案に反映し、市民と共に再整備を進めていきます。
エフピコRiMについては、先月、利用フロアの拡大に向けたサウンディング調査を実施しました。事業者からは、企業の働き方改革を進める拠点や市内企業と首都圏の企業が交流できる場にしたいとのニーズを確認することができました。今後、フロア利用の考え方や事業方式、費用負担の在り方を整理し、8月までに方向性を決定してまいります。
次に、福山ネウボラの更なる強化についてであります。
ネウボラセンターについては、8月の開設に向け、天満屋福山店8階の改修工事に着手します。センターでは、新たに不登校やひきこもりに悩む若者の相談窓口を設けるとともに、保育施設の入所申込み等の受付や出産応援金などのオンライン手続のサポートも行います。また、こどもが安心して遊び、親同士も交流できるようにとの思いから、0歳から3歳までを対象とした現在のプレイルームを拡張するとともに、4歳から小学校低学年までを対象とした遊戯場を新たに整備します。来年度からは、相談・支援内容を更に充実し、子育て家庭や若者の多様化する悩みにワンストップで対応できる体制を整備していきます。
働き方改革の推進は、少子化対策の重要な柱であると考えています。このため、今月にはグリーンな企業プラットフォームに「(仮称)働きやすい職場部会」を設置し、先進的な取組事例の共有や職場の環境改善に向けた支援制度の活用を促していきます。
医療的ケア児とその家族への支援も強化します。こどもが安心して自宅で暮らすためにも、在宅医療を充実していく必要があります。このため、来月中に医師会や薬剤師会、岡山大学、福山市民病院などとワーキンググループを立ち上げ、かかりつけ医と関係機関とが連携して在宅医療を支える体制を構築してまいります。
次に、学校教育の充実についてであります。
児童生徒の学力や学習習慣の状況などを踏まえ、教育委員会において第三次福山市教育振興基本計画の改定作業を進めています。「すべてのこどもたちが、自分自身の成長を実感できる学校教育の実現」を基本理念に掲げ、喫緊の課題である基礎学力の定着・向上に家庭や地域とも連携して着実に取り組んでいきます。まずは、学力定着状況調査の分析結果を踏まえ、一人一人のつまずきや学習の定着状況に応じた個別指導の強化を図っていきます。また、効果的な指導ができるよう、モデル校を中心に授業改善に向けた教職員研修を実施してまいります。
最後に、補正予算についてであります。
この度の補正は、一般会計において、民間事業者による地域資源を活用した新たなビジネスの立ち上げに対し、「ローカル10,000プロジェクト」による支援を行うほか、2018年(平成30年)に市立保育所で発生した保育中の事故の和解に係る損害賠償金を計上しています。
これらの結果、今回の補正予算額は、2億6,500万円の追加となりました。
予算以外の議案といたしましては、条例として「福山市職員の勤務時間、休暇等に関する条例及び福山市職員の育児休業等に関する条例の一部改正について」など4件、その他の議案として「鞆地区東西交通・交流拠点施設整備事業委託契約締結について」など7件を提出いたしております。
何とぞ慎重なる御審議の上、御可決いただきますようお願いを申し上げ、提案理由の説明といたします。
本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。