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令和7年第4回福山市議会定例会 市長説明要旨(9月8日)

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年9月8日更新

 本日、令和7年第4回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位には御参集いただき、誠にありがとうございます。
 今回提出しております「令和7年度福山市一般会計補正予算」を始め、諸議案の御審議をお願いするに当たり、当面する市政の状況と議案の大要について御説明申し上げます。

 去る8月6日、広島の平和記念式典に出席しました。被爆80周年の今年、改めて平和の尊さに思いを致すとともに、世界の現状に危機感を強くしました。中でも印象に残ったのは、核抑止論に対する知事の強い不信の言葉でした。式典に出席した核保有国の代表、式典の最中にも無辜(むこ)の人々の命を奪い続けている紛争当事国の代表には、知事の言葉を噛み締めてほしいと思いました。
 一方、私たち市民には何が求められているのでしょうか。それは、過去から目を背けず、事実を正しく学び、今できることを、たとえそれがどんなに小さくとも実行することです。式典の中で、こども代表の2人も、思いやりの心と周りの人たちのためにほんの少し行動することが世界の平和につながる、と誓いの言葉を述べていました。
 本市では、戦後復興と平和の象徴としてのばらのまちづくりが1950年代半ばにスタートしました。「ローズマインド」という言葉も、その中で育まれてきました。そして、60年の歳月をかけて100万本のばらのまちを達成しました。今年5月には、世界で最も権威あるばらの大会「世界バラ会議福山大会」を成功裏に終えることもできました。私たちには、多くの市民の小さな善意の積み重ねにより、大きな目標を達成した誇れる体験があります。これからも核兵器のない平和な世界の実現に向け、私たちのやり方で、確かな歩みを継続していきます。
 
 私は、市長就任以降、現場主義を徹底し、市民の声をしっかり受け止めながら市政を進めてきました。また、福山ネウボラの創設やフレイル予防の推進など、先進的な取組に努めてきました。ばらのまち福山国際音楽祭や福山城築城400年記念事業により都市の文化度を高めるとともに、抜本的な浸水対策や福山北産業団地第2期事業など都市・産業インフラの整備にも全力を投入してきました。世界バラ会議福山大会という大きな節目を乗り越えた今、改めて今年度の重点政策である3つの柱の取組を本格化させていきます。この中でも特に、「福山駅前広場の再整備」「地域の拠点づくり」「(仮称)子ども未来館の整備」に全力を尽くしていきます。

 まず、「福山駅前広場の再整備」についてであります。
 年間1,300万人もの人が行き交う備後圏域の玄関口である福山駅前を、交通結節機能と都市の広場機能が融合した居心地が良く歩きたくなる都市空間へと変えていきます。7月、JR西日本からの報告を受け、北口広場へのバスターミナルの移設と立体駐車場の建設を当面見送ることとしました。そして、議論の焦点を駅前広場の在り方に絞った上で、幅広く市民の意見をうかがうための市民対話集会を先月9日に開催しました。対話集会には、オンラインを含めて約220人の方が参加され、駅前広場のあるべき姿や求められる機能について本市から説明した後、参加者から意見をいただきました。バス・タクシーの利便性に関する懸念が出された一方で、地域間競争を勝ち抜くためには駅前広場整備が必要、福山の顔である駅前がバスやタクシーの乗り場になっているのはもったいないといった意見もありました。明日開催する広場協議会では、改めて交通結節機能と広場機能をいかにバランスよく調和させるかなどについて御議論いただきます。また、若者や女性を中心としたワークショップ「ふくまちヒロバラボ」を来月から4回開催します。未来の福山駅前の姿はどうあるべきかについて、これからの福山を担う若い世代の思いをうかがい、共に考えていきます。加えて、経済界や商店街の皆さんのほか、子育て世代や高齢者・障がい者の団体などとも意見交換を行う予定です。こうしたプロセスの中で新たな都市空間のイメージ(たたき台)を示し、年度内に基本計画を取りまとめてまいります。
 次に、「地域の拠点づくり」についてであります。
 現在、神辺、松永、新市、沼隈、内海、そして駅家の6つの地域において、地域が主体となった拠点づくりの取組が始まっています。神辺では、「むすびの驛(えき)かんなべ会議」で公共空間を活用した交流の場づくりが様々検討されています。松永では、30年ぶりに駅北口で夜店が復活するなど、「松永未来会議」において人を呼び込むための活動や空き店舗の活用などについて議論が重ねられています。新市では、「かわまちづくり意見交換会」で芦田川の河川敷を活用した多世代が集まる魅力的な空間づくりをめざして検討が進んでいます。そして、7月には、沼隈・内海で地域住民による議論が開始し、駅家でも「駅家公園活性化協議会」が立ち上がりました。また、これら6つのエリアの関係者が一堂に会する「地域力アップデート大会議」もスタートしました。参加者からは、同じ志を持つ人と思いやアイデアを共有し、新たなつながりができたとの評価をいただきました。年度内に、めざす姿と具体的な取組を盛り込んだ戦略を策定し、「地域の拠点づくり」に向けた住民の挑戦を後押ししてまいります。
 次に、「(仮称)子ども未来館の整備」についてであります。
 今月から整備等検討委員会に新たな外部専門家を加え、展示やイベントなどの議論を具体化していきます。その後、事業者選定のための公告を年内に開始します。また、物価高騰が進む中でも2029年度(令和11年度)の供用開始に遅延が生じないよう、こども未来づくり基金への積み増しを行い、必要な財源を確保していきます。大阪・関西万博パビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」については、未来館の屋外フィールドとして万博終了後に移築することをめざし、博覧会協会による公募に正式参加します。誰もが新しい遊びと学び、創造を体験でき、多世代の交流もできる場として活用していきたいと考えております。

 このほか、エフピコRiMについては、サウンディング調査の結果を踏まえ、新たに2階の活用をめざしていきます。2028年度(令和10年度)からの供用開始に向け、まずは年内に運営事業者を選定します。そこで働く若者や女性が魅力を感じ、また企業が交流することで新たなビジネスチャンスが生まれる拠点をつくってまいります。
 こども・若者支援の拠点となるネウボラセンターが、一昨日、天満屋福山店の8階にオープンしました。早速、多くの子育て家庭でにぎわっています。来年度の本格稼働に向けた準備を進め、福山ネウボラを更に強化し、「こどもまんなか」を推進してまいります。
 高齢者支援については、暮らしの課題をデジタルを活用して解決していくため、スマートフォンの購入助成と使い方講座を合わせて実施する取組を今月1日から開始しました。来月には、サロンや認知症カフェの開催情報のほか、様々な支援制度が掲載されたWEBサイトを立ち上げ、高齢者の社会参加を促進してまいります。
 バス共創プラットフォームを通じた公共交通網の再構築については、来月から12月までの3か月間、大谷台線など3路線で増便するほか、松永駅から鞆未来トンネルを経由して鞆の浦までを結ぶ新路線で試験運行を実施します。また、12月にはバスを利用するきっかけづくりとして、一部を除く市内バス路線の運賃を100円とする実証事業を2週間にわたって実施します。これらの取組を通じて、誰もが利用しやすい移動サービスの実現をめざしてまいります。
 自然災害への備えについては、11月に、能登半島地震の教訓を踏まえた総合防災訓練を実施します。孤立可能性集落対策として、国や県などと連携したドローンによる物資輸送に加え、通信途絶時に衛星電話を利用する訓練を行うこととしています。また、外国人住民も安全に避難できるよう、多言語サポーターと連携した訓練を実施します。新たな課題にも適切に対応していくことで、災害に強い都市づくりを進めてまいります。

 次に、議案として提出いたしております2024年度(令和6年度)企業会計の決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、病院事業会計については、新本館の建設工事を計画的に進めるとともに、外来化学療法センターの増床によるがん医療の充実や、産科セミオープンシステムの導入など周産期医療提供体制の強化にも取り組みました。収支状況については、入院・外来収益がそれぞれ増加した一方で、人件費や医療材料費の高騰などから15億4,491万4千円の純損失を計上し、経常収支は2023年度(令和5年度)に続いて赤字となりました。「福山市民病院経営強化プラン」に基づく収益の向上や材料費などの適正化の取組を着実に進めていきます。
 11月に通水100周年を迎える水道事業会計については、水道施設を健全な状態で将来に引き継ぎ、安心・安全な水を安定的に供給するため、計画的な更新や耐震化に取り組んできました。純利益は、11億597万2千円を計上しています。
 下水道事業会計については、快適な生活環境の確保に向けて汚水管渠整備を進めてきたほか、蔵王地区の雨水幹線とポンプ場の建設工事など浸水対策の強化を図っています。また、昨年度からは備後圏域において脱炭素・資源循環を進める新たな取組も進めています。純利益は、14億4,601万7千円を計上しています。
 工業用水道事業会計と昨年度から公営企業会計に移行した集落排水事業会計については、それぞれ純利益を計上しています。
 これら上下水道事業等は市民生活と社会経済活動を支えるライフラインであり、中長期的な視点に立って引き続き健全経営に努めてまいります。

 次に、補正予算についてであります。この度は、一般会計で補正をお願いしています。
 まず、エフピコRiM2階の改修のための設計を行います。「(仮称)まちづくり支援拠点施設」については、物価高騰や外構計画の変更に伴い整備費を増額します。また、入居する団体などによる協議の場として「(仮称)まちづくりネット」を立ち上げます。多様な主体が互いに知恵を出し合い、まちづくりにおける様々な課題の解決につなげていきます。グリーンな企業プラットフォームの取組を加速します。女性が活躍しやすい職場環境整備の支援を充実するほか、経営者層に見られる固定的な性別役割意識(アンコンシャス・バイアス)の変革を促していくため、若者・女性が感じる職場の課題や希望する働き方についての声を聴いていきます。
 皆様からいただきました御寄附については、それぞれの思いに沿って、芸術・文化イベントの開催などを支援するほか、災害用備蓄品や教材の購入に活用します。
 債務負担行為については、(仮称)子ども未来館の整備費と運営にかかる経費などを計上しています。また、繰越明許費について必要な措置を講じています。
 以上の結果、今回の補正予算額は、25億3,907万2千円の追加となりました。

 決算及び予算以外の議案といたしましては、条例として「福山市立保育所条例の一部改正について」など3件、その他の議案として「福山市公共施設照明設備LED化整備業務委託契約締結について」など8件を提出いたしております。

 結びに当たり、以上申し上げてきた事項に加え、本市の更なる発展に向けて今取り組まなければならない事柄について申し述べさせていただきます。
 先般公表された国の人口動態統計では、今年上半期の出生数と婚姻数が共に昨年を下回ることとなりました。本市の出生数も、2013年(平成25年)からの10年間で3割以上減少しています。人口減少・少子化が加速する中にあっても、市民生活に大きな影を落とすことなく、そして若者が未来に夢を馳(は)せることができるよう、あらゆる課題に挑戦していかなければなりません。このため、専門家による会議を来月立ち上げ、特に地域の特性を踏まえた少子化対策について提言をいただき、今後の施策に反映させてまいります。
 2点目は、ばらのまちづくりの新しいステージについてです。「世界バラ会議福山大会」の経験を一過性のものに終わらせないため、先月26日に懇話会を開催し、大会の成果をどのように未来に引き継いでいくべきかについて御議論いただきました。そして、専門家にも意見をうかがう中で、大会のレガシー(遺産)として取りまとめました。それが、1つ「ばらであふれるまち」、2つ「ばらのまちづくりの歴史・ローズマインド」、3つ「ばらを愛する多くの市民」、そして4つ「国際会議を成功に導いたまちの力」です。今後は、これら4つのレガシーを更に発展させ、市民と共に新たなばらのまちづくりに取り組んでまいります。

 以上、提案理由を御説明申し上げました。何とぞ慎重なる御審議の上、御可決いただきますようお願いを申し上げます。

 本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。