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選挙運動と政治活動について
選挙運動と政治活動の違いは?
政治上の目的をもって行われる一切の活動が政治活動と言われています。
ですから,広い意味では選挙運動も政治活動の一部なのですが,公職選挙法では,選挙運動と政治活動を理論的に区別しており,それらを定義付けすると次のようになります。
【選挙運動】
特定の選挙に,特定の候補者の当選をはかること目的に,投票行為を勧めること。
【政治活動】
政治上の目的をもって行われるいっさいの活動から,選挙運動にわたる行為を除いたもの。
選挙運動はいつからできる?
選挙運動は,公(告)示日に立候補届出をしてから投票日の前日までに限りすることができます。それ以外の期間,たとえば,立候補届出前にする選挙運動は事前運動として禁止されています。
候補者が行う選挙運動とは?
公職選挙法により認められた候補者が行う選挙運動は,ポスター等の印刷物や演説会等の言論などによって行われますが,その方法の主なものは次のとおりです。
ただし,選挙の種類により,その方法,あるいは数量や規格などが異なるものがあります。
- 選挙事務所の設置
- 選挙運動用自動車の使用
- 選挙運動用はがき
- 新聞広告
- 選挙運動用ビラの配布
- 選挙公報
- ポスター掲示場へのポスターの掲示
- 街頭演説
- 個人演説会
- 電話による選挙運動
- インターネットを利用する方法による選挙運動
やってはいけない選挙運動にはどんなものがあるか?
次のような選挙運動は,禁止されています。
【戸別訪問】(公選法第138条)
いかなる人も,特定の候補者に投票してもらうことを目的に,住居や会社,商店などを戸別に訪問してはいけません。
また,特定の候補者名や政党名あるいは演説会の開催について言い歩くこともできません。(個別訪問の類似行為の禁止)
【署名運動】(公選法第138条の2)
いかなる人も,選挙に関して特定の候補者に投票をするように,あるいは投票しないようにすることを目的として選挙人に対し,署名を集めてはいけません。
【人気投票の公表】(公選法第138条の3)
いかなる人も,選挙に関し,公職に就くべき人を予想する人気投票の経過または結果を公表することはできません。
「経過の公表」とは,人気投票の途中の成績を公表することをいい,「結果の公表」とは,人気投票の最終結果を公表することをいいます。
「公表」とは,不特定又は多数人の知り得る状態にしておくことで,新聞・雑誌・ラジオ・演説・ビラ・インターネット・団体の機関紙等による公表は禁止されます。
【飲食物の提供】(公選法第139条)
いかなる人も,選挙運動に関して飲食物を提供してはいけません。
したがって,候補者が選挙運動員や労務者に対し,慰労を目的に飲食物を提供することや候補者や選挙運動員が選挙事務所の来訪者に手料理をふるまうこと,さらに第三者が候補者に対して陣中見舞いを差し入れることも禁止されます。
ただし,湯茶及びこれに伴うお茶うけ程度の菓子や果物,漬物等の提供は除かれています。また,選挙運動員に渡す一定数の弁当は提供することができます。(これらの経費は,選挙運動費用に算入されます)
【気勢を張る行為】(公選法第140条)
いかなる人も,選挙運動のため,人目を引こうと自動車を連ねたり,隊列を組んで往来し,気勢を張る行為をしてはいけません。
【選挙期日後の行為】(公選法第178条)
当選又は落選に関するあいさつをする目的での戸別訪問や,手紙等(自筆の信書を除く。)の差し出し,新聞・雑誌による広報,放送設備による放送,当選祝賀会等の集会開催,また自動車を連ねたり,隊列を組んで往来し,気勢を張る行為はできません。
ただし,インターネット選挙運動の解禁により,選挙期日後に自身のホームページ等において当選又は落選に関するあいさつをすることは可能です。
【買収】(公選法第221条から223条)
選挙犯罪のうちで最も悪質なものであり,法律で厳しい罰則が定められています。候補者はもちろん,選挙運動の責任者などが処罰された場合は,当選が無効になることもあります。
選挙運動用自動車の声がうるさいので何とかして欲しい。
候補者などが,選挙カーから拡声機を使い名前などを連呼したり,街頭で演説したりするのも,候補者ができる選挙運動の一つです。午前8時から午後8時まで行うことが認められています。音量の規制は特になく,実際には騒がしいと批判を受けることもありますが,候補者にとっては,法律で定められた範囲内で有権者に政見を訴える一方,有権者にとっても候補者やその政見を知る機会でもありますので,御理解いただきますようお願いします。
なお,学校,病院,療養施設等の周辺では,マイクの音量を落とすなど,静穏に努めなければならないとされています。
インターネットを利用した選挙運動について注意点を教えて欲しい。
インターネットを利用した選挙運動については,特に次の点に注意してください。
(注意:インターネットによる投票はできません。)
- 年齢満18歳未満の人は,インターネット等を利用した選挙運動も含め,選挙運動を行うことができません。
- 一般有権者(候補者・政党等以外の者)は,電子メールを利用した選挙運動を行うことができません。
(注意:電子メールを使用した選挙運動ができるのは,候補者及び政党等に限られます。一般の有権者は,候補者及び政党等から送られてきた選挙運動用電子メールを他者に転送することはできません。
- ホームページや電子メールの文面等を印刷して頒布や回覧することはできません。
- 選挙運動期間以外に選挙運動を行ってはいけません。
(例:投票日当日のウェブサイト等の更新不可)