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福山市下水道接続指導制度
下水道整備の目的
福山市では,都市の健全な発展と快適で衛生的な生活環境を確保し,川や海などの公共用水域の水質を保全するため,公共下水道の整備に取組んでいます。
公共下水道は,生活排水などをきれいにして自然に返す大切な役割を担っています。皆さんが早くに接続していただくことで,効果が発揮できます。
下水道接続指導制度とは
正当な理由なく,長期間下水道の接続に至っていない建物所有者に対して早期の接続を促し,また,接続困難な建物についての猶予の基準や運用を定めた制度です。
本市の水洗化の向上の取組は,下水道の役割や目的,下水道法の排水設備の設置義務や,くみ取便所から水洗便所への改造義務とその設置または改造期限等を市民に分かりやすく説明し,下水道へ接続していただくようお願いしています。
しかしながら,再三のお願い,指導にもかかわらず,長期間下水道へ接続されない建物があり,排出された汚水が周辺地区の住環境に影響を及ぼしているケースもあります。
そこで排水設備の設置に係る特別の事情や,くみ取便所を水洗便所に改造していないことに係る理由の基準,運用方法を定めた「下水道接続指導制度」を2016年(平成28年)4月1日より導入し,効率的・効果的に接続指導を行うことで,下水道への早期の接続を図るものです。
※集落排水地区は,この制度の対象となりません。
下水道接続指導制度の概要
下水道接続指導制度は,経済的に接続が困難など,排水設備の設置に係る猶予の基準や運用方法等を要綱で規定し,長期間下水道接続に至っていない建物の所有者に対して,下水道法に基づく排水設備の設置義務及び期限,設置の猶予,命令,罰則等に関する説明を行い,排水設備の設置工事等に着手していただくための具体的な特別指導や勧告を実施します。
なお,正当な理由なく排水設備設置の猶予申請を行なわなかったり,排水設備の設置工事等に着手しなかった者に対しては,下水道法の罰則を適用するための設置命令や改造命令を行うことがあります。
接続指導制度の解説
(1) 公共下水道供用開始の告示 → 「公共下水道供用開始区域図」へ
公共下水道供用開始の告示は下水道法第9条の規定に基づき行われ,供用が開始されるとその区域の土地所有者,建物所有者等は接続の義務が生じます。
(2)接続期限
下水道への接続(排水設備の設置工事,くみ取便所から水洗便所への改造工事)期限は,「供用開始後3年以内」です。
(3)接続の猶予 → 下水道接続猶予の申請へ 【猶予する事情の記入例(PDF)】
公共下水道供用開始区域内すべての建物所有者は,やむを得ない事情により期限内に接続工事ができない場合,申請により期間を定めて猶予することができます。なお,工事資金の調達が困難な場合,猶予する期間が終了してもその事情が継続していれば,再申請により猶予の延長が出来ます。
区分 |
猶予する事情 |
猶予する期間 |
1 |
工事資金の調達が困難な場合 |
3年以内 |
2 |
適正な管理のもと合併処理浄化槽を使用している場合 |
5年以内 |
3 |
下水道接続工事をすると建築物に損害が出るおそれがある場合 |
原因が解決されるまで |
4 |
土地の形状等により下水道への接続工事ができない場合 |
接続工事ができるようになるまで |
5 |
建築物が長い間使われておらず汚水が出ていない場合 |
その建築物が使用されるまで |
6 |
建築物を近いうちに取り壊す予定がある場合 |
2年以内 |
7 |
管理者が特に必要と認めた場合 |
その都度定める |
(4)特別指導
下水道への接続期限が経過しても,正当な理由なく排水設備設置の猶予申請または接続工事等に着手しない建物所有者で,次の要件の合計点が10点以上となった場合,特別指導を2回実施します。
土地・建築物の状況 |
点数 |
|
1 |
建築物が単独処理浄化槽(トイレの汚水だけを処理する浄化槽),くみ取便所を使用または適正な管理を怠ってる合併処理浄化槽(トイレや台所,風呂場等雑排水も含む汚水を処理する浄化槽)により汚水を処理しているもの |
4点 |
2 |
建築物が適正な管理のもと合併処理浄化槽により汚水を処理しているもの |
3点 |
3 |
公共下水道の供用を開始した日から3年を超え,6年未満の区域に所在する土地 |
2点 |
4 |
公共下水道の供用を開始した日から6年以上,10年未満の区域に所在する土地 |
3点 |
5 |
公共下水道の供用を開始した日から10年以上経過した区域に所在する土地 |
経過年数を2で割った数(端数切捨) |
6 |
建築物の使用方法が営利目的であるもの |
3点 |
7 |
土地または建築物が排除する汚水が1か月当り200立方メートル以上使用または同等以上と推測されるもの |
3点 |
8 |
下水道法に定める特定事業場 |
2点 |
9 |
広島県生活環境の保全等に関する条例に定める汚水等関係特定施設を有し,排出水を排水する工場・事業場 |
2点 |
(5)勧告
未接続者に対して特別指導を2回実施した場合で,正当な理由なく排水設備の設置の猶予申請または接続工事等に着手しなかった場合は,期限を定めて排水設備の設置等を勧告します。
(6)排水設備の設置命令等
勧告を2回実施した場合で,未接続者が正当な理由なく排水設備設置の猶予申請または接続工事等に着手しなかった場合は,未接続者に対し下水道法に定める排水設備の設置や,くみ取便所から水洗便所への改造命令を下水道接続指導審査会の審査のもと行う場合があります。
これに従わない場合は,法律違反として告発する場合があります。
下水道法の根拠条項
(排水設備の設置等)
第10条 公共下水道の供用が開始された場合においては,この公共下水道の排水区域内の土地の所有者,使用者または占有者は,遅滞なく,次の区分に従つて,その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管,排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし,特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては,この限りでない。
一~三 (略)
2・3 (略)
(水洗便所への改造義務等)
第11条の3 処理区域内においてくみ取便所が設けられている建築物を所有する者は,この処理区域についての第九条第二項において準用する同条第一項の規定により公示された下水の処理を開始すべき日から三年以内に,その便所を水洗便所(汚水管が公共下水道に連結されたものに限る。以下同じ。)に改造しなければならない。
2 (略)
3 公共下水道管理者は,第一項の規定に違反している者に対し,相当の期間を定めて,このくみ取便所を水洗便所に改造すべきことを命ずることができる。ただし,この建築物が近く除却され,または移転される予定のものである場合,水洗便所への改造に必要な資金の調達が困難な事情がある場合等このくみ取便所を水洗便所に改造していないことについて相当の理由があると認められる場合は,この限りでない。
4~6 (略)
区分 |
命令 |
罰則 |
排水設備の設置義務 (第10条第1項) |
設置命令 (第38条第1項) |
1年以下の懲役または100万円以下の罰金 (第45条) |
くみ取便所の改造義務 (第11条の3第1項) |
改造命令 (第11条の3第3項) |
30万円以下の罰金 (第48条) |
接続工事は下水道排水設備指定工事店へ
下水道への接続工事は,必ず「福山市下水道排水設備指定工事店」に依頼してください。
(その際,2~3社に見積してもらい,工事費,施工時期,工事内容について比較検討することをお勧めします。)
また,工事費の「融資あっせん制度」(水洗便所改造資金融資あっせん制度)もありますので,ご相談ください。
下水道への接続猶予の申請について
猶予する事情によって,必要な書類は異なります。ご注意ください。
次の書類をご用意のうえ,申請してください。
区分 | 猶予する事情 | 猶予期間 | 証明する書類 | 記載例 |
1 | 工事資金の調達が困難な場合 | 3年以内 | (1)前年の所得状況(市町村民税課税証明書等)を証明する書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
2 | 適正な管理のもと合併処理浄化槽を使用している場合 | 5年以内 | (1)1年以内に実施した浄化槽法第7条第1項または第11条第1項の規定による検査の結果(浄化槽法定検査判定結果票等)を証明する書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
3 | 下水道接続工事をすると建築物に損害が出るおそれがある場合 | 原因が解決されるまで | (1)回復できない損害を示す書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
4 | 土地の形状等により下水道への接続工事ができない場合 | 接続工事ができるようになるまで | (1)排水設備の設置が困難であることを示す書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
5 | 建築物が長い間使われておらず汚水が出ていない場合 | その建築物が使用されるまで | (1)建築物から長期間汚水が排出されないことを証する書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
6 | 建築物を近いうちに取り壊す予定がある場合 | 2年以内 | (1)取り壊す理由が申請者の都合による場合,建築物の使用計画書 (2)土地または建築物の所在地を示す書類 | |
7 | 管理者が特に必要と認めたもの | その都度定める | その都度定める |
|
福山市下水道接続指導要綱はこちら
申請様式等はこちら
排水設備設置猶予の判定基準
公共下水道の接続指導を適正に実施するため,上下水道局に下水道接続指導審査会(以下「審査会」という。)を置きます。
審査会は,次の各号に掲げる事項を所掌します。
(1)排水設備設置の猶予の認定に関すること。
(2)特別指導に関すること。
(3)勧告に関すること。
(4)設置命令及び改造命令に関すること。
(5)告発に関すること。
区分1 | 工事資金の調達が困難な場合【個人の場合】 |
期間 | 3年以内 |
書類 | (1)前年(1月から6月までの間に申請する場合にあっては前々年)の所得状況(市町村民税課税記載事項証明書等,所得控除の内訳がわかるもの)を証明する書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 | 生計維持者の所得-社会保険料控除-扶養控除(扶養+本人)-障がい者控除-大学生等控除≦判定基準額100万円 (差引額が100万円以下の場合は,設置の猶予となる。) (1)「主たる生計維持者」の所得とする。 (所有者と生計維持者が異なる場合は,実際の生計維持者) (2)他の同一生計者の収入を対象としないため,負債は考慮しない。 (3)判定基準額を工事費100万円とする。 (4)控除対象に社会保険料控除を加える。 (5)必要経費算定には扶養家族に本人を加えた人数とし,必要経費基準額は下記の表の所得税扶養控除額を参考にする。 (6)大学生等(高等学校卒業後進学した学生等)の扶養親族がいる場合は,改めて1人当たり50万円を控除する。 |
運用-(5)の所得税扶養控除額
区分 | 控除額(万円) | |
扶養控除 | 一般(18歳未満,23歳以上) | 38 |
19歳~22歳 | 63 | |
70歳以上 | 48 | |
70歳以上で同居の父母等 | 58 | |
障がい者控除 | 障がい者 | 27 |
特別障がい者 | 40 | |
同居特別障がい者 | 75 |
区分1 |
工事資金の調達が困難な場合【法人の場合】 |
期間 |
3年以内 |
書類 |
(1)前年(1月から6月までの間に申請する場合にあっては前々年)の所得状況(市町村民税課税証明書等)を証明する書類または前年(または四半期ごと)の損益収支の状況,概況がわかるもの ※当期純損失が生じていることが確認できるもの(任意様式) (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)法人市民税額の法人税割が0円で,均等割が1号の場合は,代表者個人(主たる生計維持者のみを判定対象とする)の所得状況で判定する。 (2)法人市民税額の法人税割が0円で,均等割が2号から4号の場合は,この純利益がマイナスの場合には「猶予可」とする。 (3)法人市民税額の法人税割が0円で,均等割が5号から9号の場合は,「猶予不可」とする。 (4)法人市民税額の法人税割が課税されている場合は,「猶予不可」とする。 |
区分2 |
適切な管理のもと合併処理浄化槽を使用している場合 |
期間 |
5年以内 ただし,申請日において公共下水道の供用が開始された日から既に8年(設置期限の3年に本区分の最長猶予期間である5年を加えて得た期間)を経過しているときは,本区分における猶予は認めない。 |
書類 |
(1)浄化槽法第7条第1項または第11条第1項の規定による検査の結果(浄化槽法定検査判定結果票等)を証明する書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)浄化槽法第11条第1項の規定による検査の判定結果が,A(適正である。)またはB(概ね適正である。)の場合は「猶予」とする。 (2)浄化槽法第11条第1項の規定による検査の判定の結果が,C(不適切であり改善を要すると認められる。)の場合は「猶予不可」とする。ただし,清掃が実施され(または実施される見込み)水質検査の結果が改善された(または改善される見込み)場合は「猶予」とする。この場合は,業者が発行する清掃の実施済証や維持管理票により確認する。 |
区分3 |
下水道接続工事をすると建物に損害が出るおそれがある場合 |
期間 |
原因が解決されるまで |
書類 |
(1)回復することができない損害を示す書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)福山市排水設備指定工事店が調査の上作成した現況確認調書(様式第6号)等(排水設備指定工事店の記名・押印及び現状を示す写真や図面等が必要)または職員により調査した調書で確認する。 |
区分4 |
土地の形状等により下水道への接続工事ができない場合 |
期間 |
接続工事ができるようになるまで |
書類 |
(1)排水設備の設置が困難であることを示す書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)福山市排水設備指定工事店が調査の上作成した現況確認調書(様式第6号)等(排水設備指定工事店の記名・押印及び現状を示す写真や図面等が必要)または職員により調査した調書で確認する。 |
区分5 |
建築物が長い間使われておらず汚水が出ていない場合 |
期間 |
その建築物が使用されるまで |
書類 |
(1)水道・電気・ガス検針票等,建築物が使用されていないことが明らかであることを示す書類 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)水道台帳により過去1年間の平均使用水量が2か月で4立方メートル以下とする。また,電気・ガス等使用量を参考にし,生活または事務所等として使用されていないことが明らかであること。 |
区分6 |
建築物を近いうちに取り壊す予定がある場合 |
期間 |
2年以内 |
書類 |
(1)建築物の使用計画書 (2)土地または建築物の所在地を示す書類(地図等) |
運用 |
(1)建築物の所有者の署名・捺印のある建築物の使用計画書(様式第7号)等により確認する。また,家屋台帳により所有者を確認する。 (2)建築物の所有者の署名・捺印のある計画書で2年を超えて使用するが,数年後にこの建築物を除去することが計画上明らかな場合は,審査会の意見を参考に猶予を決するものとする。 |
区分7 |
管理者が特に必要と認めた場合 |
期間 |
管理者がその都度定める。 |
書類 |
(1) 管理者がその都度定める。 |
運用 |
(1)職員により調査した調書で確認する。 |