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3月定例市議会市長記者会見

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月9日更新

 記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。

 会見日:2018年(平成30年)2月20日(火曜日)

報告事項

  • 東京都文京区との相互協力に関する協定締結について
  • ふくやま未来づくり100人委員会について
  • 3月定例市議会の案件について

会議録

市長 

 私から新しいバックボードを背に,報告2点と3月定例市議会の案件について説明させていただきます。

 まず,1点目の報告であります。本市と東京都文京区は,3月20日に相互協力に関する協定を締結することとなりました。江戸時代には,福山藩主をつとめた阿部家の藩邸が文京区にあり,そして「福山坂」や福山に縁がある地名が今なお文京区に残るなど,ご縁のある地域であります。また,現在も文京区の「あじさいまつり」に福山市は参加している,このような交流も現在,継続をしています。協定の内容につきましては,住民の交流や文化・観光などの新興,災害時における相互の応援に関することを柱としています。今後,子どもたちの相互交流や築城400年記念事業での連携,そして文京区内には大学が沢山ありますが福山市内の大学との相互交流など,取組を具体化していきたいと考えています。文京区役所における締結式では,文京区長と私が署名を行い,阿部家17代当主である阿部正紘様にもご臨席していただきます。本協定の締結によりまして自治体間の連携や住民同士の交流が活性化され,相互の都市の発展に繋がる事を期待しています。

 次に,2点目は,ふくやま未来づくり100人委員会についてであります。このたび市内の企業である柿原銘板製作所様から,ものづくりの技術を生かし未来図の大型パネルをご寄贈いただけることとなりました。大きさは,縦1.25メートル,横1.7メートルで,色彩豊かな「30年後の福山の未来図」がアルミ板で製作されます。掲示場所ですが100人委員会の委員の希望もあり,市役所本庁舎1階の市民ホールといたしました。3月1日(木曜日)15時から寄附受納式,並びに除幕式を行います。当日は,寄附者のほか,100人委員会の委員の皆様や未来図の絵の作者 木村桃子さんにも参加をいただき,一緒に喜び合いたいと考えております。

 100人委員会の活動でありますが,この未来図を描いてそれで終わりという事ではありません。切れ目なく次の取組に繋げていく事が大切であると考えています。新年度は今年度の事業の後継事業として,「未来づくり支援事業」を新たに実施いたします。具体的には,未来づくりに意欲のある市民や事業者の皆様にお集まりいただき,何ができるかを話し合う「未来づくりミーティング」を開催してまいります。これが一つの柱です。これまでの取組を踏まえて,テーマを具体的に掘り下げて「市民の皆さん方が議論をする場」を作るという事であります。 

 また,実現に向けた市民や事業者の皆様の取組を公開プレゼンテーションで情報発信することにより賛同者を幅広く募り,専門家による助言も取り入れながら,未来づくりに向けた新しい取組が一段と進むよう支援したいと考えております。以上が2点の報告であります。

 それでは,引き続き,3月議会の案件について,ご説明をいたします。本日,招集告示を行い,2月27日から開会することといたしました。第1次分として提出いたします内容について,ご説明をいたします。

 まず,報告案件ですが,「損害賠償の額を定めること及び和解の専決処分の報告について」の1件であります。次に,予算案件といたしましては,平成30年度当初予算は,一般会計,特別会計11会計,企業会計4会計,以上16会計を提出いたしております。条例案件ですが,「福山市職員定数条例の一部改正について」をはじめ,22件であります。次に,単行議決案件といたしましては,「(仮称)ふたば・法成寺統合保育所新築工事請負契約締結について」をはじめ6件であります。

 それでは,「平成30年度予算並びに重点政策の概要」について,ご説明をいたします。平成30年度予算案について大要をご説明いたします。今回の予算は,一般会計で1,668億3,300万円,特別・企業会計を合わせた全会計で,総額3,233億5,000万円余りの規模となっております。詳細な内容については,先日,企画財政局からご説明しましたので,私からは,予算編成の基本的な考えと重点施策についてご説明いたします。

 今年度,私は,「活力と魅力に満ちた輝く都市」の実現に向けて,「5つの挑戦」を着実に実施することで,市民の皆様が「変化を感じる年」にしたいと申し上げてきました。新年度は,市民の皆様に未来を実感していただけるよう,5つの挑戦を加速させ,「輝きを放つ都市づくり」「未来を創る人づくり」「本格的な人口減少対策」の3つの柱を中心に取り組んでまいります。こうした思いを込めて新年度予算を「未来実感予算」と名付けました。

 新規施策を中心に説明をいたします。まず,「(1)輝きを放つ都市づくり」についてであります。

 1つ目は,中心市街地の活性化です。今年度からスタートさせた福山駅前の再生に向けた取組をビジョンの実践へと,新しいステージに移行してまいります。3月に策定予定のビジョンを実践へと繋げるということであります。三之丸地区を含めた駅前のエリアを魅力あふれる空間へとデザインする「(仮称)福山駅前デザイン会議」を立ち上げ,にぎわい創出に向けた道路や公園などの公共空間の有効活用を検討します。福山城二之丸南側道路をお散歩エリアとした社会実験や,中央公園への民間事業者によるカフェ等の設置に向けた導入可能性調査などに新たに取り組みます。

 2つ目は,「産業・物流の拠点機能強化」です。地域経済の活性化や雇用創出に向け,福山北産業団地第2期事業を推進します。また,広島県東部工業技術センターの機能強化や,広島県のIoT・AI推進施策に呼応し,市内企業のイノベーション力を強化し企業の競争力を高めてまいります。ものづくり大学の充実や,ものづくりやIoT・AI人材の育成に取り組みます。また,シャープを始めとする地元企業や,この度県と協定を結んだソフトバンクなどが参画する「(仮称)先端技術によるまちづくり官民協議会」を新たに設置します。これらにより,県と連携しながら産業の拠点機能の強化に一層取り組んでまいります。

 3つ目は,「芸術・文化の拠点機能強化」です。福山城築城400年に向け,福山城西二之丸石垣の整備や樹木の伐採に着手します。福山駅北口の広場についても,福山城との一体的なにぎわい創出に向け,再整備に向けた基本方針を策定いたします。また,第1回「ばらのまち福山国際音楽祭」を5月に開催します。この国際音楽祭を大人から子どもまで,リーデンローズを中心に市内各所で海外の質の高い音楽に触れる機会とし,また,市民音楽団体の参加を得る中で,子どもたちの豊かな感性を育むとともに,本市の伝統文化を発信するなど個性的な音楽祭に育てていきたいと考えています。音楽による新たなまちづくりに挑戦してまいります。

 4つ目は,「スポーツの拠点機能強化」です。社会体育施設のうち,老朽化が進むテニス場やプールについて再編方針を策定し,市民の皆様が快適にスポーツを楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。また,備後圏域の拠点施設となる総合体育館の整備につきましても,2019年度(平成31年度)中の完成に向け,着実に進めてまいります。同時に,開館まで約2年となりました。積極的にスポーツ大会などの誘致も進めてまいりたいと考えております。

 次に,「(2)未来を創る人づくり」についてであります。駅前についてエリア価値を高める志を持った地権者と事業者をつなぐ「現代版 家守」を育成し,リノベーションによるまちづくりを進めてまいります。

 2つ目,女性の「働きたい」思いを後押しするため,女性が働きやすい環境を整備する企業への支援に新たに取り組みます。就業規則の改正に係る社会保険労務士への相談費用や,女性専用更衣室の設置などの職場環境改善を通じて,市内企業の人材確保にもつなげてまいります。

 3つ目,官民協働による福山版「留学制度」につきましては,先日の説明会では約60人の方が参加され,期待の大きさを感じているところです。留学コースは,「ものづくりコース」や,「ビジネスモデル革新コース」などを設定しており,地元企業の競争力アップに貢献する人材育成を目指してまいります。参加される大学生は,日本代表として海外に派遣されることになります。新年度は本市にとって初の海外派遣となります。この貴重な経験を本市の発展に是非とも生かしていただきたいと期待をしています。

 4つ目,「10歳の君へ ようこそ美術館プロジェクト」であります。市内全ての小学4年生をふくやま美術館に招待する新しいプロジェクトです。国内外の優れた絵画を鑑賞することで,豊かな想像力や思考力などを育みます。子どもの頃から質の高い本物の芸術・文化に触れる機会をこれからも増やしてまいります。

 次に,「(3)本格的な人口減少対策」についてであります。全国的に少子化が進行する中,本市においても,出生数は減少傾向にあります。人口は都市活力の源泉であり,強い危機意識を抱いています。このため,新年度では,本格的な人口減少対策を見据えた先行的な取組として,「福山ネウボラの拡充」に取り組みます。子育て家庭に定期的に福山ネウボラ相談窓口「あのね」に訪れていただく仕組みづくりに新たに取り組みます。妊婦を対象に子育てグッズや絵本などが入った「あのねHappy Baby Box」をプレゼントすることで,新たな命の誕生に胸を膨らませていただき,同時に「あのね」を身近に感じていただきたいと考えています。また,4月に開設する予定の市立大学附属こども園に「あのね」を開設いたします。市立大学や専門家と連携した質の高い相談対応につなげてまいります。子育て支援情報の発信力も強化し,現在の子育て支援アプリをリニューアルし,新たなアプリを提供します。更に妊娠を希望される方への支援として,不妊治療に加え,新たに不育症治療の助成制度を創設します。

 また,「若者や女性の転出抑制・転入促進の強化」では,市内に居住しながら遠方の大学へ通学している大学生の定期代の支援に新たに取り組み,地元就職につなげてまいります。また,本市の主要課題である若い女性の転出抑制・転入促進策として,市内に転入する女性や母子家庭等を対象に就職活動や引っ越しなどに要する費用への助成制度を創設し,女性のUIターン就職の支援を充実します。子育て世帯等への住まいの支援にも新たに取り組みます。現在,人口減少対策の施策全般について全庁をあげて検証に取り組んでいます。9月を目途に,検証結果を踏まえた人口減少対策の全体像をお示しし,本格的な取組に繋げていきたいと考えております。以上が,「未来実感予算」の概要,3つの柱であります。

 改めて特徴な点を3つご紹介いたします。「未来づくりへの挑戦」をご覧ください。未来づくりの取組に一般会計の政策経費の37%に相当する総額約126億円を重点配分いたしました。昨年は同様に23%に相当する73億円をこうした未来づくりに充てた訳であります。今年度に比べ選択と集中をより進めた形といたしました。「輝きを放つ都市づくり」に87億円,「未来を創る人づくり」に25億円,「本格的な人口減少対策」には14億円を投入いたします。また,都市の成長を促進する投資的経費は大幅に増額しております。前年度比約33億円増加の214億円といたしました。ここ20年間では最大規模となる額を確保しております。次の新規事業の比率につきましては,後ほど改めてご説明いたします。未来づくりへの積極的な投資を大幅に増額する一方で,忘れてはならないのは,持続可能な財政運営であります。主要な財政指標である実質公債費比率は1.5%で,過去最低値を更新しています。経常収支比率は83.8%と0.4ポイント前年度と比べて改善しています。将来負担比率では,財源が将来負担額を上回り,4年連続で比率は算出されておりません。また,市債では,臨時財政対策債を含めた総額での発行抑制に努めた結果,発行額は159億円と,依存割合では10%未満の9.6%にとどめております。市民1人あたり市債残高は31万4千円と,目標にしております35万円を下回る状況を維持しております。

 3つ目の特徴であります。「堅実な財源の確保」であります。財政の健全性を確保しながら,未来づくりへの重点配分や投資的経費への大幅な増額計上を行うためには,財源の確保は欠かすことはできません。事務事業の見直しでは,スクラップ・アンド・ビルドなど大胆に事業を見直すなどした結果,280事業で約11億円の財政節減効果を生み出しました。歳入の根幹である市税は,企業収益の改善による法人市民税の増加や個人所得の増加による個人市民税の増加などから,前年度比9億円の増加となる725億円を確保しております。また,計画的な基金の活用にも意を払い,教育環境整備基金や大規模事業基金など,総額では11億円の繰り入れを行いました。以上が,「未来実感予算」の特徴となります。

 最後に,先ほど申し上げました新規事業の比率についてであります。私が初めて編成した平成29年度当初予算は,5つの挑戦を実施するため,新規事業に積極的に取り組みました。その結果,新規事業の比率は,平成28年度の5.5%から6.9%にアップしておりますが,新年度予算では,その比率は9.2%と,さらに2.3%増加しております。今後も事業の新陳代謝を進めていく中で,5つの挑戦に積極的に取り組んでいきたいと考えています。以上,1次分として45件を提出いたしております。私からの説明は以上でございます。

質疑応答

記者

 今回発表された新年度予算について,市長が目指す方向性と目指すべきビジョン・将来像の中での位置づけですね。その実現のために重視している事業について幾つかお聞かせいただければと思います。

市長

 市政の総合計画で設定した最終ゴールという観点から申し上げれば,活力と魅力に満ちた輝く都市を実現すると,いうことになるかと思います。そのために「5つの挑戦」に取り組んでおります。1年目は「着実な実施」に努めました。そして2年目となります来年度予算は「その加速」であります。加速することで,力強く次の一歩に進んでいくという方向性をイメージしながら市政運営に取り組んでまいります。

 一方で,少し視点を変えまして「私が考える市政運営のあり方」からどういった市政を目指しているのか,という事に触れさせていただきたいと思います。国は社会のルールを議論する。作る。そして地域は,或いは地方自治体はそのルールを着実に運用する。大きな役割分担がそうでありますが,そうした役割を安易に捉えてしまうと,地方にいる私たちは工夫を怠る事になってしまわないかと,こうした緊張感を私は常に持っているわけです。創意工夫が必要であり,国が定めたルールに対してその付加価値をつけることこそ地方の役割であると考えます。これからの社会情勢を考えれば,ますますそうした市政は大切になってまいります。これからの社会情勢は人口減少あるいは,税収も減ってくる。そのなかで地域が限られたパイを奪い合うといった状況も想定される訳であります。地方分権が進み,より地域の自由度が増していくという考え方も必要だと思いますが,その前に今すぐにでも出来る事はないか,そうしたことに意を払っていく事が重要ではないかと。そのように思って創意工夫,あるいは付加価値をつけていく,そういった市政運営を意識してまいりました。だから,挑戦なんですね。私の場合は5つありますが,挑戦が必要だということであります。そして,先程も紹介しましたが,100人委員会の取組,こうしたこともこれからの地域にとっては重要な取組になっていく,そういう意識であります。挑戦をする為にはどんどん新しい事業を生み出していく。その一方で長く継続してきた事業をスクラップするという意志を持ち続けるということが重要であると考えております。そういった考え方・方向性の上に立って,どういった事業が重視されていくのかということであります。備後地域の玄関口となる「駅前のにぎわい再生」を着実に,そして強力なメッセージとともに進めていくという事は,大きな柱であり続けると思っております。 そして「都市が魅力を放つ」,そして「住民が誇りを持てる」。そのためにも拠点機能を強化していく。そうした事業でありますね。

 人口減少対策では福山が広島県内ではトップを走っていると自負しておりますが,ネウボラの取組をさらに拡充しスピードアップしたいと思っています。本当はもう少し相談員の数を増やしていきたいとは思っておりますが,まずは,現在の相談状況を踏まえれば,現有の21名で対応可能と考えております。ただ,他とは違う研修をしていただいて,信頼を頂いている相談員ですが,もっと能力を高める,資質を向上する取組を不断にしたいと思っており,先ほど申し上げましたように市立大学付属こども園に場所を移し,そうした取組の第一歩にする。このような取組も行いました。そのように人口減少対策や子育て,そうする事で安心をして生活できる地域づくりにも取り組む,それが重要な事業の柱になると思います。これは「人づくり」と言ってもいいかもしれません。

記者

 改めまして,この新年度予算は一言で言って何予算だと言えばいいのか。一言でお願いします。

市長 

 一言で言えば,未来を実感していただける予算。言葉を変えれば去年が変化を感じていただける年でしたね。今年は変化を確かなものにする予算,と言い換えてもいいかもしれません。

記者

 今回,福山駅の北口の整備事業費,あるいは伏見櫓の国宝化に向けた調査の事業費といったものが含まれていますが,その中で駅前の賑わい再生と同時に城の整備に同時に力を入れる理由をお聞かせください。

市長

 備後地域を牽引する都市のインフラ整備は重要だと考えております。
一つは道路であり交通であります。そうした社会資本整備が反射的に思い浮かぶと思いますが,歴史文化のインフラ,これも重要な社会資本ですね。こうした取組を産業関連の社会資本整備,例えば道路や交通など,そういうものと歩調を合わせるように進めていくことは都市の魅力を高める重要なインフラ整備であると考えております。
その意味で象徴的な福山城の整備は力強く進めていかないといけないと考えております。

記者

 予算に含まれていない件で恐縮ですが,ローズアリーナの高飛び込みの件で,先般報道がありましたが,シンクロ高飛び込みの公式基準を満たしていなかったという事ですが,この事について,どう思われていますか。

市長

 1995年に水泳連盟から公認を頂き,1998年にシンクロ高飛び込みの公認基準が新たに導入され,そして,その事に関しては公認基準を満たしていない,と言う意味であって,それ以外の水泳施設としては,これはしっかりと基準を満たした施設であることには変わりはなく,間違いはない訳であります。ただ,メキシコオリンピックチームを迎える時点としてこの事が十分説明できなかったという事については申し訳ないと思っています。すでに広島県を通してメキシコオリンピック委員会にそうした事情を説明し,水泳チームの要望を受け入れるような形であれば整備に取り組んでいきたいと,このような思いを持って今,関係者と調整をしています。

記者

 県を通じてメキシコにコンタクトを取っているようですけど,まだ返答がないと言う事ですが,このあたりはどのようにお考えですか。

市長

 今現在も返答はないと報告しております。誠意を持って,スピード感を持って対応に努めます。

記者

 今回の新年度予算には計上されていませんが,また今後補正予算などで対応をお考えですか。

市長

 先方の意向を踏まえて必要であれば,迅速な対応に努めていきたいと思っています。

記者

 本格的な人口減少対策について,もう少しお伺いしたいのですが,当初ですね,この予算で先行的取組としてと但し書きがあるのですが,この本予算でもう少しインパクトの大きいものを示すのものだと思っていましたが,こうして時間をかけて9月に本格的に出すと。そうした時間をかける理由をお伺いしたいのと,人口減少対策は地方創生に絡む総合戦略や人口ビジョンで分析をし,対策は打ってきたと思っているのですが,それまでの対策は何が課題で,今後,示そうとする全体像とは何が違ってくるのかと。この2点を聞かせてください。

市長

 時間をかける理由は,1つは今まで以上に客観的な事実や統計,つまりエビデンス(根拠)を踏まえた検証に努める意識を持っているからであります。もう1つは今年度,県と共同して取り組んでいる子育て家庭の貧困調査,その集計がまだ当初には間に合っていないからです。集計分析が当初より遅れているという意味ではありません。県はそもそも,この様な日程で調査し分析をしており,我々もそれに合わせて慎重に分析しながら結果を施策に反映する必要があると。そうした事も一つの要因であります。当初は確かに一つの大きなメッセージを予算に盛り込むタイミングではありますが,自治体の場合は補正において施策的な経費が盛り込まれる,そうした手法が可能でありますから,そこは十分な結果を踏まえて取り組んでいく事に特段問題はないと考えています。

 これまでもやってきているではないか,という事ですね。この事につきましてはやってきたと思います。先ほど申し上げましたが,検証に当たり,これまではエビデンスをベースにした検証については,これまで必ずしもそういった手法・やり方を重視してこなかったとすれば,それは,この際やっていかなくてはいけない。これからの人口減少対策や子育て施策には,かなりの財源が必要となってくるのではと思っております。そのためにも効率的な,そして重点的な施策・予算を投入していく必要がある。無駄のない予算を編成していく必要がある。そういった思いがあるので,ここは物事によっては多少の時間をかけることはお許しいただけるのではないかと,ただそれを待つこと無く出来る事は,迅速にやるという事で,今回盛り込んだのが社会減を出来るだけ抑制しようという取組を先行的に取り組ませていただいた,ということです。

記者

 確認ですが,9月に示したいイメージですよね。人口減少対策は,どの自治体もやっていて,かなりはっきり言ってハードルが高いかなと思います。まず正解がない,色々な施策を組み合わせていくようなものであり,今の時点で市長のお考えになっている9月に示したいイメージがちょっとわからないのですが,それを聞かせてください。

市長

 それを今,議論しているところですが,現時点で申し上げられる事は,例えば,先ほど社会減を抑制するという柱について盛り込んだと申し上げましたが,一方であるのが自然減対策ですね。そうすると社会減対策と自然減対策というのが大きな二つの柱になるかもしれませんし,或いはかなり多くの外国人実習生が福山にも生活しておられますね。そうした人達と福山市民とが仲良く共生できるような施策が用意できれば有力な労働力として外国人実習生の方にも参加をいただけるという事があるかもしれません。

 幅広く人口減少対策を生産年齢人口の減少を何とか乗り越えるという意味もあるのだと捉えれば,そうした外国人実習生に対する生活環境の整備なども柱になってくるかもしれません。これは今,お尋ねがありましたので現時点での私の個人的な思いとして申し上げましたが,現在包括協定を結んでいるホームドクターのDBJ・日本政策投資銀行との間で柱立てを含めた議論整理をしていただいているという事です。

記者 

 産業の面で質問ですが,北産業団地の二期工事について改めて期待感や思いを一言お願します。

市長

 今,福山市内は設備投資の為の用地が不足しております。そのために設備投資が市外に流出している,そんな動きも出始めています。そうした状況を考えると市内に産業活動に取り組んでいただく為の用地を確保していくという事はある意味急務です。そうした思いで二期造成に着手したという事であります。

記者

 その点なのですが,地域経済のみならず,経済全体で人手不足と言われていますが,その点について北産業団地は非常に大きな役目を果たすと思われますが,それについてはいかがでしょうか。

市長

 それは団地を造成して企業が立地できるのかという事ですね。この近辺の中では福山市には労働力は比較的あると思っております。そういう意味では労働力を必要とする企業や産業が立地していただける条件としては好条件であると考えています。

記者

 裏返しとなるような質問で恐縮ですが,現段階で産業づくりにおいて市長が思われる課題ですが,どのようにお考えになっておられますか。

市長

 福山の産業構造の特徴は,元気のある中堅中小零細企業が数多くひしめくオンリーワン・ナンバーワンの企業が鎬(しのぎ)を削る活力ある地域だと,この様に今でも受け止めております。そうした企業が思う存分活躍できるような環境を作る事が行政の役割であります。

 一方でものづくり以外での分野の可能性を求める,そうした取り組みも必要でありますし,女性が働いてみたい,働きやすい,そうした職場環境や産業企業の立地も必要になってきますね。

 そういう意味から,さらに中小零細企業がこれまでと違ってネットワークで結ばれ,そして,親企業に提案できる。そうした提案力を持った中小零細企業に育ってという取り組みを支援していく事も行政の重要な役割だと。そのようなことから人材育成・ICT人材の育成やAIなど,そうした産業政策への取り組みが必要になってくる。これが福山の産業政策の今後あり方であり,今回その思いを予算の中に盛り込んだという事になります。

記者

 細かい点の質問なのですが,未来づくりへの挑戦についてですが,政策経費の37% 126億円の内訳,人口減少対策というのは確か再掲分で14億なのかなという気がするのですが,再掲分を足して126億円という解釈でよろしかったでしょうか

企画財政局長

 はい,再掲分はここの中には入っておりません。それぞれ施策ごとに分類をして輝きを放つ都市づくりに約87億円,未来を創る人づくりが25億円,本格的な人口減少対策に14億円というようにしております。

記者

 先ほど全体的な予算で今年は一年目に着実に実施したものを加速させると言う事をお伺いしましたが,最重要の施策とされている駅前について,新年度がどういうステップになるのかを,お話していただけたらと思います。

市長

 例えば,ソフト面から言いますと,未来を作る人づくりのイノベーション人材の育成・家守ですが,これを年度内に2回実施します。本年度も1度実施しましたが,とても良い取組でした。関心を持っていただいた方も増えました。そういった意味から2回実施することで多くの成立と言いますか,そういうものに努めていきたいと思います。従来から言っている言い方でいいますと,連鎖反応的な取組につなげていけるという事です。

 これもソフト面とハード面両方の取組という事になりますが,デザイン会議を立ち上げます。公共空間の整備のあり方が,どう地域のエリア価値を高める事に繋がるのか,そういう意味では行政の役割がもう一段具体的なイメージを持って取り組むのかもしれません。

 また,キャスパにつきましても色々な報道がありますが,もし地権者の皆様からこの駅前再生の取組とどのような整合的な再編というか整備があるのかと問いかけがあれば,それは積極的に我々のこれまでの議論を踏まえた思いをお伝えしたいと思います。もちろんこれまでも,我々の方から議論の途中経過については情報提供をしていますが,先ほど申し上げたような点を踏まえれば駅前の取組も一段ステップアップして加速化をしている事になるのではないかと考えております。

記者

 福山市内で死体遺棄事件が2件続きました。いわゆる地域のつながりといった面であまり上手くいっていなかったのかと印象を受けました。民生委員との連携を含めて本腰で取り組まれていくこと,市長の思いがあれば教えていただければと思います。

市長

 先日報道がありました事案につきましては,事件性があるのかないのかも含めて現在捜査中だと聞いています。そういう意味からすれば2つの事案,地域の必ずしも十分繋がっていない市民の方,特に生活弱者,経済弱者のような弱い立場にある方をどのように地域や行政がサポートすることについては,やはり一度勉強する必要があるのではないかと思いました。別に民生委員の問題だけではないと思います。自治会なのか行政の問題なのかもわかりません。あるいは行政の関連ではありますが地域包括の取組との関連でどのようなことが言えるのか,幅広い観点から勉強をしてみる必要があると思います。

記者

 現段階で地域の連携はうまくいっているとお感じですか。

市長

 今までの地域と行政のつながりが人口減少社会や高齢化社会の中にあって,これからも維持可能なのかという問題意識は強く持っています。これは車座トークでも多く意見を頂きました。そういう意味では既に今回の予算,市民局の事業の中で地域をどのように再構築していくのかというテーマで有識者を交えた検討会・審議会を立ち上げます。その中でも今回の事案もテーマの一つとして取り上げていただけるものだと思っておりますが,それとは別に行政の中でもしっかりと検証していくべき悲しい事案だったと思っております。

記者

 保育施設の待機児童ゼロについて昨年10月時点でゼロでなかったと。集計が始まった1994年から福山市は待機児童ゼロであったと思いますが,これが途切れた事に対する市長の考えと,新年度予算で受け皿整備などが含められていますが,改めてゼロを復活させるかそういった思いをお聞かせいただきたいと思います。

市長

 今回は厚生労働省の待機児童の基準が改定された結果,新たな基準に基づいての算出という事でありました。それに従い従来基準で10月時点の待機児童をカウントした場合の数字に比べると児童数は増えた形となりました。新年度の当初には,しっかりとした体制を整備し,これまでの待機児童ゼロを維持していきたいと思います。今後ともそうした取組を続けていくことに変わりはありません。4月1日にご心配をかけないように取り組みたいと思っております。

記者

 文京区との協定について福山市としてこの提携にかける目的・メリットや具体的な事業があるのか,また市長にお尋ねすることかわかりませんが,文京区としてのメリットや狙いというのをお伺いできますか。

市長

 具体的な取組につきましては,これから一段と議論しながら整理をしていきたいと思います。やはり全国の中でも特に親近感を覚える地域ですね。私も一度,文京区長とお会いしまして,「仲良くやろう」と,このような話しをしてまいりました。文京区にある資源は,文化なり教育なり様々な我々にない資源を持っています。一方で私たちには山や海といった豊かな自然があります。そして地域の伝統や文化というものもありますね。そういったものを相互に尊重し合えるような形にしていきたいと思っています。文京区にとっても,そうした福山市の魅力を感じて頂いているのではないと思いますが,何がメリットという事は単刀直入に聞いた事はありません。

 以上。