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9月定例市議会市長記者会見
記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。
会見日:2021年(令和3年)8月31日(火曜日)
9月定例市議会市長記者会見
・本市の新型コロナウイルス感染状況について
・9月議案・補正予算について
・福山市立福山高等学校の部活動の強化について
9月定例市議会市長記者会見 [PDFファイル/1.94MB]
会議録
市長
本市のコロナ感染状況について,9月議会に提案する議案等について,福山市立福山高等学校の部活動の強化についての3点をお伝えします。
まず感染状況の推移ですが,直近1週間10万人当たりの陽性者数は,やや減少傾向とみてとれますが,まだまだ盆休みの影響が全てではないということから,引き続き9月上旬頃まで注視していく必要があります。現在,入院が54人,うち重症が2人です。宿泊療養施設で療養されている方が196人おられます。自宅療養が211人,調整中が163人です。本市の感染の状況は,爆発的な状況であることを示す厳しい数字となっています。この調整中というのは,宿泊療養施設に入っていただくか,改めて自宅療養をお願いするか,その調整を行っているということでご理解いただければと思います。病床のひっ迫割合は49.1%であります。現在,宿泊療養の全ホテルの室数に対する割合が84.8%であり,一時はホテルに空きがなくなり,100%を超える状況になりましたが,先週,市内のホテル1カ所が追加されることにより,ホテルの客室数が231に増えました。現在,ホテルへ受け入れるための準備が進められていることになります。
次は年代別の感染状況です。今回の新しい波,特に7月後半以降に,20代,30代の感染者数及び感染者の割合は,比率を高めているということができます。また10代以下についても,大きく増えています。特に10代以下の中でも,未就学児童の数,そして割合の増加が特徴です。7月22日以降の本市の感染状況,年代別感染状況の特徴は,30代以下の割合が7割近くを占めていることだとみております。
感染経路別の感染状況について,濃厚接触者の数,割合が一番多くなっています。これは,積極的疫学調査がしっかりと行われて,接触者が囲い込まれ,そこから,陽性者が確認されているということです。心配していることは,感染経路不明の数,割合です。これは市中感染が広がっている可能性を示唆するものだと思います。
濃厚接触者について,接触の場面ごとに整理しました。盆休み以降の,会食,飲食店,また接待を伴う飲食店で接触があった可能性を示していますが,全体の数が増えていますので,会食の場や飲食店だけというわけではありません。一番多いのは家庭内感染,あるいは職場での感染ということでありますが,再び会食や飲食店,接待を伴う飲食店での感染が増えていることに,注意を払う必要があると考えています。
変異株の状況についてです。最終的な確定は,国の検査結果を待つ必要がありますが,スクリーニング検査によると,4月,5月と急速にアルファ株の割合が増えました。そして,7月以降デルタ株への置き換わりが進み,8月は90%がデルタ株だと疑われております。デルタ株への置き換わりが,感染スピードが極めて速い,今の福山の感染状況を示していることだろうと思います。
感染者に占めるワクチンの接種状況について,感染者全体に占めるワクチン2回接種済みの方の比率は6%です。1回接種を終えた人は12%,ワクチン未接種の方の感染の割合が72%となっています。ワクチン接種を終えたといっても,感染しないということはないということです。引き続き注意が必要だということを示していますが,やはりワクチンをぜひ接種していただきたいと改めて思っています。改めて,8月1日から8月28日の感染者は1,208人です。陽性者の延人数は2,405人ですが,これは2020年4月2日に本市で初めての陽性者が確認された以降の数です。半数以上が,8月1日からの1か月弱で占められています。これは今回の感染の山がどれだけ大きいかということを,改めて市民の皆さま方には感じていただきたいと思います。
次はワクチン接種の状況であります。すべての接種者において,1回目の接種を終えた割合は49%です。2回の接種を終えた方の割合が38.9%です。分母は福山市の人口全体をとっておりますので,今,ワクチン接種を行う対象になっている12歳以上でみますと,この2回接種を終えた割合は,これよりも高くなると思います。年齢別の接種者について,20歳未満の方,あるいは20歳代の方が,接種を前向きに考えていただいている状況がみてとれる途中経過になっています。ワクチン接種の促進に向けて,新規の予約枠の追加,新たな会場の増設を行います。まず,新規の予約枠を再開していきます。具体的な予約開始日等が決まりましたら,別途ご報告をさせていただきます。また,改めてモデルナを使った大規模接種会場を新設するため国に申請中であります。接種会場は,新たにJR福山駅北口を降りてすぐの場所にある,学校法人福山大学社会連携推進センターとなります。当初9月末までに約7割の接種をめざすと申し上げてきましたが,この間の国からのワクチンの供給についての動きがいろいろありました。そうしたワクチン供給の制約もあって,目標の時期を少し遅れることになりますが,10月の早い時期には,7割の接種率の達成をめざします。そして,モデルナを使った大規模接種会場の新設によって,さらにワクチン接種を希望される方のニーズに応えていきます。7割の接種率を7割5分,あるいは8割を視野に置きながら接種率を高めていく,そうした体制を整えていきたいと思います。
改めて,市民の皆さま方には,引き続き最大限の警戒をお願いしたいと思います。何度も申し上げてきましたが,感染拡大地域,あるいは県外との往来はぜひ控えていただきたいと思います。また積極的にPCR検査を活用していただきたいと思います。福山駅前臨時PCRスポットについて,当初は8月末まででしたが9月中も実施することになりました。ぜひご活用いただきたいと思います。そしてワクチン接種についても,前向きにお考えいただければと思います。ワクチンについて,引き続き,県,国にしっかりと必要量の確保の要望をしていきたいと思います。
続いて,9月定例市議会の案件につきましてご説明をいたします。9月議会につきましては,本日8月31日に招集告示を行い,9月7日から開会をいたします。
第1次分として提出いたします内容について,ご説明をいたします。まず,報告案件としては,「損害賠償の額を定めること及び和解の専決処分の報告について」を始め3件であります。次に,決算案件としては,「令和2年度福山市病院事業会計剰余金の処分及び決算認定について」を始め4件であります。次に,予算案件としては,「令和3年度福山市一般会計補正予算(第5号)」を始め2件であります。次に,条例案件としては,「福山市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部改正について」を始め4件であります。次に,単行議決案件としては,「福山市LED街路灯整備事業委託契約締結について」を始め9件であります。以上,9月議会へは1次分として22件を提出いたしております。
それでは改めて補正の概要についてご説明をいたします。今回補正する会計は,一般会計と病院事業会計の2会計であります。補正予算額は,一般会計が21億5,431万2,000円の追加,病院事業会計が4,900万円の追加,合計で22億331万2,000円を追加します。財源の一部は財政調整基金の取り崩しで賄うことにしています。また,債務負担行為を一般会計で3件,病院事業会計で1件計上しています。
それではまず,新型コロナウイルス感染症対策からご説明をいたします。一般会計で約7億3,000万円を追加いたします。検査体制の維持,強化するため,医療機関が実施するPCR検査や患者の入院に係る医療費の公費負担分の増加のほか,行政が実施するPCR検査の委託の増加に対応するためのものです。
次に,市民への生活支援についてですが,長期間にわたって外出を自粛し,アルバイト先の休業など困難な状況が続いている学生を市独自に支援いたします。2020年度は,県外の大学等に進学した本市出身の学生を対象として実施しましたが,今回は対象を拡充します。市外の大学などに進学した本市出身の学生や,市内の大学などに通う学生で一人暮らしの方に対して,ふるさと福山学生応援パックを届けます。食料品,衛生用品などが支援品となっています。
中小事業者への支援として,中小事業者売上回復応援金を創設いたします。国や県の時短協力金だけでは売り上げ回復が難しく,厳しい状況が続く事業者を,市としても支援するものであります。2021年5月から9月までの売り上げ相当額が,前年または前々年の同月と比較して,30%以上減少している飲食店を含む全ての中小事業者を対象に,中小法人は月額20万円,個人事業者は月額10万円を上限に支給し,売上減少率が一定程度まで回復するよう支援するものであります。飲食店を対象とする支援策は,県による支援によって一定程度カバーされております。しかし,県の支援がない7月について,市も応援金でサポートしていくということになります。
7月8日及び15日の大雨による災害関連経費は,大雨により被災した道路河川の災害復旧について対応するとともに,水路維持改良費浸水対策費は,内海町樋ノ口地区などの浸水原因の調査と対策の検討を行うものであります。安心安全の実現といたしまして,特別養護老人ホーム等施設建設費補助は,介護医療院への転換に向けた整備費など助成するものです。また,小規模福祉施設等整備費補助は,介護施設の非常用自家発電設備やブロック塀の改修整備費などを助成するものです。教育環境の充実としまして,福山高等学校部活動施設等整備費は,部活動の環境を整えるための経費です。新年度から,福山高等学校の野球部監督に,広島新庄高等学校で監督を務められていた迫田守昭(さこだ もりあき)さんをお迎えすることになりました。これを機に,グラウンドの防球ネットや屋外照明,ピッチングマシンの整備などを行うものです。次は学校図書館環境整備事業費でありますが,図書の充実などに対して多くのご寄附をいただいております。当初の10校からさらに10校を追加して,今年度合計20校の整備を行うものです。部活動支援事業費は,中学校野球部全体の競技力向上に向け,迫田守昭さんを講師としてお迎えし,生徒や指導者を対象に講習会を実施するものです。公共事業等の追加に伴うものといたしまして,国庫補助内示の増などに伴い,市営住宅の外壁改修や,自転車の通行空間整備,通学路の安全対策などを実施するものです。社会体育施設建設費は,竹ヶ端運動公園庭球場の屋根の整備に向けた設計費用を計上するものです。民間投資の支援として,中小企業融資資金貸付金は,一般財団法人地域総合整備財団のふるさと融資制度を活用して,複合型介護福祉施設を整備する事業者に対し,無利子貸し付けを行うものです。また,6次産業化推進事業費は,県補助の内示に伴い,輸出向けHACCP(ハサップ)に対応した施設整備を行う事業者に対しその費用の一部を補助するものであります。
コミュニティの活性化として,新市町向金丸自治会など7か所の地域集会所の建設費を助成するほか,瀬戸学区及び柳津学区のコミュニティ活動に要する設備整備費等を補助することにしています。寄附金対応は,寄附者のそれぞれの思いに沿った事業に活用させていただくものであります。その他の官民連携推進事業費については,仮称まちづくり支援拠点施設の整備手法について,調査検討を行うものであります。病院事業会計では,Wi-Fiスポットを整備し,病棟や外来などにおいて,インターネットに接続できる環境を整備するものであります。次に,債務負担行為として,まちづくりサポートセンターの運営業務委託や西多治米保育所の改築事業など一般会計で3件,病院事業会計では,市民病院の立体駐車場整備について計上するものであります。以上が,今回予定をしております,令和3年第5回定例市議会に提出する補正予算の概要であります。
それでは最後に,先ほどの補正の概要説明でも触れましたが,2022年(令和4年)4月に,福山高等学校の野球部監督に迫田守昭さんをお迎えすることになりました。迫田さんは,広島商業高校で2度,広島新庄高校で4度,春夏甲子園に同校を導いた名監督であります。福山高等学校は,部活動にも主体的に取り組んでいます。また,迫田さんの監督就任が,野球部だけでなく全教育活動そして地域へと大きな刺激とエネルギーをいただけるものと期待をしています。また市内の野球をしている子どもたちや,指導者の育成にも合わせてお力添えをいただき,本市のスポーツ振興,競技スポーツの強化につながっていければと願っております。以上で,私からの報告を終わります。
記者
8月13日からの大雨についてです。市内ではこれまでのところ,土砂崩れなどの大規模な被害は確認されていません。一方で河川が氾濫危険水位に達するなどして避難指示が相次ぎました。一連の大雨に対する市長の受け止め,今後,改善すべき点などがありましたらお聞かせください。また,芦田川に架かる潜水橋「下山守橋」で橋板の一部が流されました。2018年の西日本豪雨で壊れ,復旧させたばかりの箇所もありました。その原因,今後の復旧方法についてもお聞かせください。
市長
8月の大雨関連についてのご質問であります。長期にわたる雨で,本市においても一部被害が発生いたしました。もちろん,平成30年7月豪雨とは雨の降り方,雨量も違いますので,一概に比較することはできませんが,これまで進めてきました排水機整備,臨時のあるいは暫定の貯留施設等が一定程度効果を発揮したのではないかと受け止めています。こうした被害については早速復旧を行う,あるいは浸水被害の原因調査を行う,そして,効果的な対策につなげていくことに対する必要な経費を9月補正予算に盛り込むことといたしました。一方,当時を振り返りますと,夜間強い雨雲が福山市を通るケースがありましたので,前日の明るいうちに,高齢者の方にはできるだけ避難をしていただく対応をしました。また,自主避難することもお願いしました。夜間どうしても避難指示を発令せざるを得ない状況になりましたが,その際にはできるだけ危険区域を限定して,そして避難指示を発令する前には,当該地元の自治連の会長に事前に連絡し,避難場所の準備を行った上で,雨の状況もみながら,迅速に避難指示を発令いたしました。その際も夜間ということもあり,避難自体に危険を伴います。そうした場合には,垂直避難をお願いすること,また,背後に山が迫っているご自宅の場合は,その山側と反対の箇所に身を移していただくこともあわせながら避難指示を出しました。改めて,災害の対応は,その時その時でさまざまです。現地でどのような状況が起きつつあるのかということを,まずはしっかりと職員が出向いて確認をする。あるいは,頭の中でさまざまなデータを踏まえながら,イメージを描くことで,臨機応変の対応に努める必要があると改めて感じました。今回,夜間であったこと,そして急な天候の悪化ということもあって,職員の参集に時間を要するということも見受けられましたので,今後はさらに早め早めの体制作りの準備に取りかかれるように改善をしていきたいと思っています。以上が8月の大雨についてのお答えであります。
潜水橋の下山守橋についてであります。7月1日から供用開始したばかりでありましたが,下山守橋付近の芦田川の水位が,橋面よりも約1メートルの高い位置まで上昇し,橋桁が約39メートル流出しました。現在,潜水橋に架かっていた草木などの撤去を終えました。今後は速やかに残っている橋脚や橋桁に異常が生じていないかを調査します。今回被災した原因ですが,平成30年7月豪雨に伴う復旧にあたって,構造上の制約により橋桁に軽量のコンクリートを採用したことが一つの要因とみています。また,下山守橋と同様の構造で復旧した近田橋が今回は被災していません。そのことを考えれば,この下山守橋付近は川の流れが,あるいは被災箇所の川の流れが速く,水圧の影響を受けやすい河川環境にあったのではないか,という仮説ももっています。今後の復旧については,潜水橋というのは現在の河川関係法令が整備される前からあった橋であり,その構造も簡易な構造であるため,洪水によって大きな水圧を受けると橋桁が流出する構造になっています。今回福山市としては,川の流れをできるだけ阻害しないよう,洪水によって大きな水圧を受ける橋桁が流出する構造での復旧方法が基本と考えていますが,現地調査の結果を踏まえながら,河川管理者である国と復旧に向けた協議を急いでまいりたいと思います。
記者
新型コロナウイルスの感染拡大についてです。この度,市役所の中でも職員の感染が続きまして,20日時点で34人の感染が判明しました。さらに職員の間の濃厚接触も多数あり,少なくとも90人以上ということを把握しています。感染対策を呼びかけていた人事課でも課員が濃厚接触者となり,自宅待機ということになってます。これまで繰り返し感染予防を呼びかけてこられたということも踏まえて,今回に関する受け止め,それから今後どのような対応を考えていらっしゃるのかお考えをお聞かせください。
市長
まず直近の数字をご説明いたします。8月30日時点で市民病院も含めると,感染者は40人,自宅待機者が67人となっています。この間,市役所内で2つのクラスターも発生する事態になっています。日頃から,職員一同,感染予防対策には十分注意をしながら仕事を行っていましたが,今回,このような事態を起こしてしまい,市民の皆さまには大変なご心配をおかけいたしました。感染が確認された直後から,保健所を中心に感染拡大を封じ込めるための調査をしっかりと行いました。また,感染者については自宅待機を行う,さらには,交代制の勤務,テレワークの勤務,あるいは執務室の消毒などを行いながら,行政サービスの影響を最小限にとどめる取組をしてまいりました。現在は感染者の調査も一通り終わりました。そして,自宅における経過観察に入っておりますので,一定程度,市役所内の感染は収束したのではないかとみておりますが,気を緩めることなく,引き続き庁内の感染予防に努めながら,業務を継続してまいりたいと思います。市民の皆さまにご心配をおかけしましたことを改めてお詫びを申し上げます。
記者
市職員の感染について情報公開の在り方について少し疑問を感じましたので,市長にお伝えできたらと思います。先ほど人事課ということをお伝えしました。この人事課に関しては,課長を含めて,課員が濃厚接触者あるいは接触者になられたのですが,当初は総務部ということで課名までは公表されていない状況でした。一方で,情報発信課は,感染者との濃厚接触者で課員が自宅待機になっているとの公表もあり,部署名の公表・公開のところで,違いがあったのではないかと思いました。人事課に関しては取材をして判明したのですが,当初から部ではなくて,課で公表するといった基準で発表された方がよかったのではないかと思いますが,お考えをお聞かせください。
市長
従来は部の単位で情報公開を進めていました。今回の事例について,担当から相談を受け,複数の職場で感染が発生していることもありましたので,部単位の発表では市民の皆さまには分かりづらく,不安を与えかねないということで,課名の公表を指示しました。当初,一部は課の名前,一部は部の名前という違いがありましたが,市民への情報提供の在り方として,課単位の情報公開を指示し,それに沿って情報公開を進めていったということであります。
記者
人事課は部の公表にとどまってしまったという理由がありますか。最後まで人事課というのは積極的には公表されませんでした。
総務局長
当初は職員の感染が出た時には,市の方針としてできるだけ職員が特定されないように,部で公表していました。ただし,報道機関や市民に接する機会が多いところは,市民の感染リスクも考えて課名を公表していました。ご指摘がある中で,複数の職場でクラスターが発生したことを受けて,それ以降は課名で公表するという対応で統一させていただいております。
記者
新規感染者数はやや減少傾向というお話ありましたが,安心できる状況ではないという認識でよいでしょうか。
市長
全く安心はしておりません。むしろ,当初から盆休みの影響が出るのが8月20日前後,そして,さらに影響が出るのが8月末から9月当初の可能性があると申し上げてきましたが,今まさに改めて警戒を強めていかないといけない時期に差しかかっていると思います。人口46万人の都市では,ちょっとした要因でその日の感染者数は違ってくる可能性があります。東京や大阪のように,人口が極めて大きな都市では,数字の傾向を掴みやすと思いますが,状況の違い,環境の違いを考えれば,まだまだ安心できる状況ではないと思っています。
記者
感染者のワクチン接種状況について,8月の感染者のうち,およそ2割は1回以上接種されているということで改めて伺います。ワクチンを接種しても,感染するということは大事な情報だと思うのですが,ワクチン接種をしても無症状の方が多いとか,知らず知らずのうちに無自覚のまま感染を広げているような可能性があるとか,マスクをしていないなど,感染対策が不十分な実態があるのか,そうした実態をどのようにお考えでしょうか。
市長
感染者のワクチン接種状況については,感染者の72%の方が未接種の方となります。やはり,ワクチンを接種することの意味はあると考えています。一方で,2回接種してもなぜ感染するのか,1回接種でもなぜ感染するのか。これについては,科学的にもさまざまな見解がある段階だと思います。1回接種と2回接種での抗体のつき方の違いや,1回2回それぞれ打っても抗体のつき方に個人差があるなど,それ以外にもさまざまな議論がなされています。それに対して,専門家ではない私が軽々な論評をすることは控えたいと思いますが,感染者のワクチン接種状況からみても,やはりワクチンは打っていただくことをお勧めしたいと,ワクチンを打つ方がいいのではないかという思いは強くもっています。
記者
例えば,ワクチン接種をして安心してしまい感染対策が不十分になっている方が多いという状況はありますでしょうか。
市長
感染が確認された方のうち,2回接種の方が70人,1回接種の方が149人で,ワクチン接種後にどのように行動を変容させてきたか,つまり以前はマスクをつけていたけれども,マスクを取るようになってしまったなど,そういう詳細なことまでは残念ながら把握できていません。ただ,ワクチンを2回打ったとしても,引き続きマスクを着用するなど,基本的な感染予防対策はぜひ継続していただきたいと思います。それが,国や専門家の皆さまが国民に伝えているメッセージだと理解しています。ぜひ警戒を緩めることなく,引き続き注意をお願いしたいと思います。
記者
ワクチン接種がなぜ必要なのかということは,多くの人がワクチンを接種することで集団免疫をつけることに意義があるという認識でよろしいでしょうか。
市長
その通りです。一つの見方として,この感染者の中で未接種の方の割合が7割を超えているという現実も一つの説明になると思います。また,ワクチン接種を進める根拠になると思います。先ほど,目標達成時期が遅れて10月の早い時期には,当初目標の7割の接種をめざすと申し上げましたが,7割だけでいいのか,もっと高い接種率をめざしていかないといけないのか,そうした議論も出てきております。大規模接種会場の新設について国に申請しながら,さらに接種率の向上をめざし,それによってさらなる集団免疫の獲得をめざしたいという思いをもっています。
記者
保育所も含めてクラスターが発生してる状況だと思うのですが,このクラスターの発生の要因を教えてください。
市長
感染力が極めて強いということだと思います。このことが,これまで一定程度注意をしながら感染予防対策に努めていたところで,クラスターが発生する要因の一部になっているのではないかと思っています。ただ,現時点では,かつてのような大きなクラスターには至っておりません。それは,それぞれの事業所等のその後の対応が適切に行われている,あるいは保健所の積極的疫学調査に一定の効果が出ていることで,今,クラスターが膨張することを食い止めているということだと思っています。
記者
今回のクラスターの拡大傾向は,やはり事業所の中で広がるのか,あるいはその家庭も含めて広がるクラスターなのか,どのような傾向でしょうか。
市長
今回のクラスターの数は,その所属している場所の中でだけの人数のカウントになっています。従って,例えば事業所で感染した人が家庭に持ち込み,家庭内で感染した数はクラスターの数からは除外されています。
記者
福山高等学校の部活動等整備費について補正予算があります。防球ネット等の整備が含まれていますが,これは迫田さんの就任に合わせて部活動を強化していく,強豪校をめざす,そういう思いがあるのでしょうか。
市長
迫田監督の就任を機に部活動の環境整備を行いたいという意味では,その通りだと思いますが,やはり部活動をしっかりと行うために今まで十分整備されていなかった環境を,改めて整えるということであります。
記者
福山高等学校では来年の春から,これまでの備後地方の市町に限っていた生徒の募集枠を全県に広げるということもありますが,やはり迫田さんの監督招へいに関係しているということでしょうか。
市長
そうではありません。そもそも,福山高等学校の入学試験の競争率が,1倍を少し上回るという低い数字になっています。倍率を高めて,優秀な生徒に福山高等学校に来ていただきたいという思いで,通学範囲を全県に拡大したということであります。広く県内から勉強も熱心で,運動能力にも長けた,そんな生徒が福山高等学校に来ていただけることを強く望んでいます。
記者
宿泊療養について,この度県の調整でさらに受け入れの準備が進んでるということであります。これまで100%を超えていたことが,ここで状況が改善されることについて,市長としての受け止めをお聞かせください。一方で自宅療養が211人いらっしゃるということで,自宅療養者はどうあるべきかということについて,教えていただけたらと思います。
市長
当面,ホテルを一つ確保し,さらに9月に入ってもう1カ所を確保するよう現在調整中であります。今の感染スピードを考えると,まだまだ安心できないと思っています。さらに言いますと,ホテルが確保できても,課題はそこに常駐する看護師の確保が難しいということです。場所と人材がともに整備されていなければ,ホテルを運用していくことができないという難しさがあります。医療従事者については県が確保することになっていますが,それでも本市でできる限りの努力をしながら,宿泊療養の環境が整備されるように努めていきたいと思います。自宅療養が211人おられることは極めて厳しい状況だと思っています。それから,調整中163人とありますが,これも相当数が自宅療養に移る可能性が強いとみています。ご質問にありますように,本来自宅療養はどうあるべきかということでありますが,本来であれば,極めて限定的に自宅療養は認められるべきものだろうと思います。例えば,幼い子どもがいる場合,保護者が感染したときに,子どもと離れ離れになるわけにはいかないなどの特別な事情がある場合に限り,自宅療養にしていくということが当初の考え方であります。現実はそうなっていない,そうはいかなくなってしまったということだと思います。医師会とも協力をしながら,しっかりと自宅療養者の健康観察を行う,そして万が一,急変が生じた場合には,必要な医療措置につなげていく。そうした対応をしっかりとするように,関係者一同,身を引き締めて,危機感をもって,この数字を受け止めています。
記者
自民党総裁選について伺います。今,全国的にもコロナウイルスの感染が拡がって深刻化する中で,9月に総裁選ということで日程が決まりました。コロナ収束が見えない中で,一国の首相としてふさわしい資質というものを市長としてのお考えをお聞かせください。菅首相のほかに広島選出の岸田氏の立候補が予定されています。市長としてはどちらの方がその資質を備えていると思われますか。
市長
誰もが経験したことがない未曽有の危機という状況に,今私たちは置かれています。しっかりとしたリーダーシップをもって,そして科学的な根拠に沿って国民を導いてくれる,国民の心がそうしたリーダーのもとで一つになれる,そうしたリーダー像が望ましいと思っています。私は自民党員ではありませんが,これまで国のリーダーになるべく準備をされてきた方々が手を挙げて論戦を戦わせ,ウィズコロナ・ポストコロナを国民に安心感をもってその時代を示してくれる,そんなリーダーが選ばれることを期待しています。もちろん岸田さんは広島県出身の有力な総裁候補のお一人だと思っています。地元の声を国政により反映していただけることを強く期待しています。
記者
ばらの新品種国際コンテストの開催について,大会の記念ばらの決定のためのコンテストが開催されるということですが,ローメンテナンスなばらの開発,誰もが育てられるばらで街中をいっぱいにするということが掲げられております。これは福山城,鞆の浦と並ぶ三つの観光資源の柱とされています。どういったばらが求められているのか,どういったばらを望まれるかを教えてください。
市長
戦後1000本のばらから始まったばらのまち福山です。100万本のばらのまち福山を達成することで大きな区切りを迎え,その後,どうばらと向き合うかということを,これまで私なりに模索してきました。その中で,今,ばらの世界の潮流といえば,無農薬,ローメンテナンスだということです。そしてもう一つは,一本一本を愛でることです。これはもちろん,ばらの愛で方,愛し方,育て方としては,これからも引き続いていく一つの目安だと思いますが,その一本一本のばらのよさを評価するだけでなく,そのばらをまとめて植栽することによって,まちの景色を作っていくことが,ばらの役割の重要な視点だと言われています。ローメンテナンス,ランドスケープローズ,こうしたものを基本的なコンセプトとして,2025年が20回目の世界バラ会議であるということも考えて,大会記念ばらの新品種の国際コンテストを実施しようと考えています。
記者
職員の感染について,福山市役所始まって以来,これだけの感染者を出したというのは初めてのことだと思います。これだけの人数の感染者を防げなかった市長の行政責任はどのように感じておられますでしょうか。
市長
市民の皆さまにご心配をかけたこと,あるいは行政サービスをしっかりと維持していかないといけない市役所で,行政サービスが一部なりとも停滞する懸念を生じさせたということについては,大変申し訳なく思っています。
記者
例えば北部環境センターについて,どこかの部署がカバーしたということらしいですが,他のところをカバーするということになれば,当然その過重労働や超過労働などがあるということで,通常見込まれない費用がかかるのではないでしょうか。余分な予算をそこで執行する必要が出てくるのはないでしょうか。
経済環境局長
北部環境センターにつきましては,現在ご指摘の通りクラスターが発生し,そこの職員をPCR検査による陰性者も含めて全員自宅待機とする措置をとり,各センターの応援で業務を行っております。この業務の中身につきまして,あるいは勤務の労働形態について,時間外がずっと発生していることではなく,通常のローテーションを組み合わせる中で,全センターをあげて業務が行われているということでご理解いただきたいと思います。
記者
市役所の執務室は非常に狭く,大人数の職員が執務されています。クラスターの発生はおそらく予見できたのではないかと思います。しかし,こういう事態になるまで対策を立てていなかったのでしょうか。
総務局長
これまでもコロナの感染防止対策として,分散勤務や執務室の分散,土日の勤務など,さまざまな取組を行ってきました。そういった中で,今回,大勢の職員が感染したことに対しては,市民の皆さまにご心配をおかけして非常に申し訳ないと思っております。こういった事態を受けて,さらなるテレワークの促進や,職場内での一層の分散勤務などを徹底して実施しております。
記者
市長は情報発信,情報公開ということを市政の柱にされています。職員の間で,感染者が出たという情報はやはり速やかに出すべきだと思います。また,いつどこの部署で最初に感染が発生し何人になった,さらには,それを受けてこういうふうな対策を取りました,ということも併せて報道機関の各社に情報提供するべきだと思います。市のホームページでも掲載すべきだと思います。そのようなことが,やはり情報発信,情報公開ということではないでしょうか。
市長
具体的にどういう情報提供のあり方が望ましいのかということについては,引き続き検証していかなければいけないと思います。少なくとも,市としては,従来と同様の県が示した県下統一の情報公開のルールにとどまっていてはいけないということから,例えば課名の公開は迅速に行うよう指示しました。市役所とはいえ,個人情報の観点からも注意深い情報提供の必要もあると思います。そうしたバランスがどうあるべきなのかということについては,引き続き考えていかないといけないと思います。
記者
迫田監督の招へいについて,非常に期待できることだと思います。非常に手腕の高い方であると思います。迫田監督の招へいは,市長から要望されたのでしょうか。
市長
昔のことなのではっきりと覚えていませんが,そうした指導者を福山に招へいしたいという思いを教育委員会に伝えていました。そういう中で,迫田監督と面識のある方に間に入っていただき,今回の話が具体化されたと記憶しています。
記者
迫田監督の今のお住まいはどこでしょうか。
市長
広島市です。
記者
迫田監督は福山市に住居を移されるのでしょうか。
市長
まだ決まっていません。
記者
盈進高校も野球部の強化ということで,社会人野球の監督を招へいして力を入れた経緯があります。この度,迫田監督は非常に実績ある方なので,何年後かにはすごくいい成績を上げられるのではと思います。子どもと導者育成にも力を入れていくということは非常にいいことだと思います。迫田監督の招へいで,福山を野球で盛り上げようということをお考えでしょうか。
市長
野球でも盛り上げようと思います。もちろん他の競技についても,いろいろな可能性が出てくれば,福山高校に限らず積極的に取り組んでいきたいと思ってます。そういう思いの中の一つが迫田監督との出会いだったということです。
記者
市長は迫田監督と直接の面識はありましたか。
市長
お名前はよく聞いていましたが,まだお会いしたことはありません。
以上。