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新型コロナウイルス感染症に関する臨時市長記者会見
記者会見などにおける市長の発表や質疑応答をとりまとめ,掲載しています。
会見日:2021年(令和3年)9月3日(金曜日)
新型コロナウイルス感染症に関する臨時市長記者会見
・本市の感染状況について
・ワクチン接種について
新型コロナウイルス感染症に関する臨時市長記者会見資料 [PDFファイル/593KB]
会議録
市長
本市の感染状況とその対応,ワクチン接種の今後の進め方についてご報告します。8月20日前後から,日々の感染者数は様相が変わってきているようにみえます。一方で,大変深刻に捉えるべき数字も出てきております。1点目は病床のひっ迫割合です。8月31日の記者会見の時点では,病床のひっ迫割合は49.1%であり50%を下回っていました。9月1日時点では,69.1%と70%に近づいています。いよいよ病床がひっ迫しつつあることを感じています。それから2点目は,以前から申し上げておりますが,宿泊療養施設の不足の問題であります。先月末に1つの施設を新たに加え,現在231室確保しておりますが,満室になろうとしています。また,自宅療養者の数は208人,重症者は2人です。
現在の状況がなぜ起きたのかを,盆の期間の人流を見ることによって説明します。まず,盆の前の期間の7月30日から8月6日,そして盆の期間中の8月7日から8月15日,盆の後の期間の8月16日から8月25日というように,期間を3つに分けました。そして,昼の時間帯と夜の時間帯,1日全体の人出の状況と3つに分類し,それぞれ2019年,2020年との比較をしました。その結果,2021年の人出は2020年の人出に比べると,1日平均で見ると,盆の前,盆の期間中,盆の後も人出が増えている状況です。特に昼間14時台ですが,人出が増えていることが認められます。夜の時間帯について,盆の前の夜の人出は大きく増えていましたが,盆の期間中,盆の後については,2020年よりも減っていることが分かりました。また2019年との比較では,1日平均を見ると減少していることが分かります。つまり,この盆の間,盆の前後も含めて,この夏休み中の人流を十分に抑えることができなかったことが,その後の本市の感染状況につながったとみています。
次は,感染者の判明状況です。行政検査は陽性者が把握された後,濃厚接触者の調査をすることが中心です。それに対してPCRセンターと医療機関からの届出は,接触者・濃厚接触者ではない方が,自分の体調に不安を感じている,あるいは誰かと接触した,もしくはどこか市外などに行った,誰かと会食したなど,何かの行動について不安を感じて医療機関を訪問した,もしくはPCRセンターにキットを出した方です。従って,言い方を換えれば,市中感染の状況を反映している可能性があるという見方をしています。このPCRセンターと医療機関からの届出の合計が増加することは,市中感染が拡大している可能性があるということになります。盆の期間中,特に8月10日以降に医療機関からの届出件数が非常に多かったことが要因でその比率が大きく増えており,市中感染が拡大した可能性があるということです。今,全体的に減少傾向が続いていますので,市中感染が収まっていくことを期待したいと思います。
病床がひっ迫しつつあり,ステージ4つまり感染爆発のステージにすでに入っている状況です。これを何とかしないといけません。そして,宿泊療養施設の空きがなくなったことを踏まえ,8月27日に県知事とのトップ会談の場で本市から提案をしています。一つは,宿泊療養施設を増やす提案です。これに対して,先月1カ所増やし部屋数は231室となりましたが,さらに明日9月4日,1施設96室を稼動する見込みとなりました。これにより,分母である部屋の総数は327室に改善します。ここで少し余裕をもつことができます。これが自宅療養者の抑制につながることに期待したいと思います。次は医療施設の改善です。病床が7割近く埋まっている状況を踏まえ,トップ会談において,できるだけ限られた医療従事者を効率的に活用できる酸素ステーションの設置を提案しました。現在は酸素ステーションの設置に向けた検討が開始されています。もちろん,この2つはいずれも本市における体制の確保ということです。本市において酸素ステーションの検討が行われ,近々設置されることになると思いますが,すでに本市では独自に酸素濃縮器を10台確保しておりますので,酸素ステーションなどで活用できるということになると思います。この2つによって,医療提供体制のひっ迫を少しでも回避したいということです。しかし,まずは日々の感染者数を減らさないと抜本的な改善にはつながらないということは言うまでもありません。
次に,市役所内の感染拡大についてです。濃厚接触者,接触者の調査をほぼ終えました。ほぼ収束したこの時期を捉えて,再発防止に向けた「勤務体制・環境の在り方検討委員会」を本日9月3日に立ち上げました。本市でも災害時の業務継続計画,BCPはすでに策定していますが,視点を新たに,新型コロナウイルスの感染を予防するためのBCPを策定いたします。これには二つの視点があります。一つ目は,今,第5波が継続中ですが,この今の波に備える緊急的な第1次計画です。二つ目は,第5波が収束しても継続して取り組む業務計画です。これは,いつ新たな波がくるか分かりません。その時においても,そのまま体制が取れるようにするものです。これを第2次計画として,今回検討します。
次は,ワクチン接種についてです。妊婦の接種の奨励と推奨,勧奨について,厚生労働省から8月23日に通知が来ております。これまでは,厚生労働省から地方に対する妊婦へのワクチン接種についての通知は,安定期に入るまで慎重に対応すること,という内容でした。今回の通知は,妊婦そしてパートナーも含めて,ワクチン接種を推奨するという内容です。つまり方針が変わったということです。この方針の変更に対して,早急に対応を行い整理してきました。ようやく医療機関との間での調整がつきましたのでご報告します。妊婦・パートナーに対するワクチン接種を担う医療機関は市内5カ所です。全ての産婦人科がワクチン接種を担っているわけではありません。この5カ所の医療機関で接種していただくことになります。まず妊婦の方はかかりつけ医に相談していただき,ワクチン接種を担う病院に予約していただくことになります。当然ですが,かかりつけ医がこの5カ所の病院であれば,そこで予約・接種していただけますが,かかりつけ医がワクチン接種をしていない場合は,かかりつけ医に相談をしてから予約する。そして,母子健康手帳を持参し,ワクチン接種していただくことになります。もちろんパートナーと一緒に接種していただくということを考えていただきたいと思います。これは個別接種の事例でありますが,集団接種においても,エフピコアリーナふくやま,旧福山市体育館,西部市民センター,東部市民センターの接種会場において,専用の予約枠を設定します。予約開始日など,決まり次第お知らせします。このような体制で,妊婦,そしてパートナーも含めたワクチン接種を積極的に,優先的に進めていきます。
次にワクチン接種の予約状況についてです。2回目まで接種している比率は全国平均並みであり,少し全国平均を上回る接種率になっています。年代別にみると,少し心配していました10代,20代,30代の若い方々の予約や接種の割合が少しずつ上がってきている状況です。
以上が私からの報告であります。
記者
自宅療養されている方が208人,調整中が78人ということですが,明日9月4日にも宿泊療養施設が開設され自宅療養者の抑制につなげるということですが,現状,例えば感染者の中で家族への感染拡大を不安に感じており,本来であれば施設に入りたいという,差し迫った状況の方がいらっしゃるのかを教えてください。
市長
自宅療養者208人の中に,宿泊療養施設が埋まっているため,自宅療養をお願いしている方が含まれていることは事実だと思います。今後は,宿泊療養施設が稼働し,余裕ができれば,医師の判断あるいは保健所の判断により,ホテルに移っていただくという運用も可能になります。つまり,選択肢が増えるということです。
記者
自宅療養の方の容態が急変することもあり,それは良くないということで,宿泊療養施設を増やしていくという思いが強いのでしょうか。
市長
しっかりとした健康管理を行うために宿泊療養施設を十分に確保することが本来の考え方であります。宿泊療養施設に余裕がないから自宅療養をお願いしている方については,宿泊療養施設に空きができれば移っていただくことも考えていきたいと思います。
記者
市職員の感染に対する対策について,今回の検討委員会では,テレワークの実施など,すでに対策している点とどう内容が変わるのか,どのような対策を検討しているのかを教えてください。
市長
今回,初めて感染予防に備える業務計画を策定します。この当面の対応と,中長期的に取るべき対応を分けて策定するということであります。検討の視点ですが,なぜウイルスが外部から市役所の中に持ち込まれてきたのか,なぜ市役所の中で感染が広がったのか,その原因の検証からスタートします。もし,執務体制が原因として挙げられるのであれば,執務体制の在り方を変えていかないといけない,勤務環境を変えていかないといけないということになります。従って,執務室の在り方を見直す,執務体制の在り方を見直す,職員個々の勤務管理の実態を確認し見直す。大きく三つの視点で見直しを行います。しかし,各部署で事情が違います。内部管理部門と,市民との窓口対応を主たる業務とする部署では,そこに常駐すべき職員の数,必要な職員の数の考え方は違います。部署ごとに,業務計画を策定していくということになると思います。対象は,本庁と支所です。場合によって,上下水道局もこの考え方を準用して,管理者の判断で業務計画を作っていただくということもあります。
記者
検討委員会の委員長など,組織の構成はどうなりますか。
市長
両副市長が,委員長と副委員長になります。委員長は中島副市長です。
記者
検討委員会には本庁と支所,上下水道局などが入っているのでしょうか。各部署の幹部の方が委員ということでしょうか。
市長
上下水道局は今回の委員に入っています。保健所長も入っています。内容については,前回,福山市独自に感染予防ガイドラインを策定したときに助言をいただいた専門家,そうした方々の意見を聞きながら進めていきたいと思います。この業務計画は,2020年7月策定の職場における本市独自のガイドラインをベースにして,しっかりとした計画を作っていきます。
記者
酸素ステーション設置の検討をトップ会談で話をされていますが,野戦病院の話もあったと思います。今回設置を検討しているのは,すでに県が置いているような酸素ステーションを想定しているということでしょうか。
市長
詳しくは県と調整します。今,中等症の方はおられませんが,重症患者が2人おられます。その方々は病院でしっかりと療養されていますので,軽症者を中心に酸素ステーションに集めて,その症状に応じたケアをするという意味では,野戦病院の一歩手前の酸素ステーションという意味をもつものを念頭に置いています。私も,その体制,運用ということで知事に提案をしています。
記者
場所についてですが,体育館など例が出ていました。いつ頃までをめどに,どういった体制で実施していきたいという思いはありますでしょうか。
市長
具体的な設置の日程について,県との調整はできていません。市独自で候補場所をいくつか当たりを付けていますが,おそらく県の方でも候補地,候補物件があると思います。県が考えている場所で運営していただくことについては問題ありません。
記者
妊婦の方への優先接種が始まりますが,福山市内に住民票をもつ方,それから里帰り出産をされる方など,対象はどういった範囲を想定されているのでしょうか。
保健部参与
福山市内に住んでいる方,里帰り出産で帰って来られる方を対象にしていきたいと思います。
記者
ひっ迫している病床に対する取組を今後進めていくお考えはありますか。
市長
県はすでにさまざまな取組を進めていると思います。県の調整に委ねているということになります。
記者
市としてできることはありますでしょうか。
市長
我々もできることはやりますが,医療体制については県が責任をもっています。対応が多岐に渡ることで,医療界に混乱を与えないようにしないといけないと思います。そのことを踏まえ,こうした状況を県と共有をしながら,県が病床の確保について,一義的に責任をもって対応しているということであります。
記者
今は感染者数が減少傾向にあると思いますが,これは人流との関係で,盆の間などの夜の人流が減少していることから,感染者数が減少しているという推測ができるのでしょうか。
市長
そこまでは言えないと思います。少なくとも,医療機関やPCRセンターに行かないと陽性者として把握されません。例えば,無症状の場合は医療機関には行きません。従って,潜在的な陽性者が市中に存在していないとも限りません。今後も注意深くみておいたほうがいいと思います。
記者
減少傾向にあるこの数字をそのまま受け取るわけにはいかないということでしょうか。
市長
そうです。傾向値として受け入れてないということです。
記者
病床のひっ迫が一気に進んでいますが,この要因についてはどうお考えでしょうか。
市長
以前と比べて少ない数とはいえ,40人以上の感染者が日々おられます。基礎体力のある方,軽症の方でも療養施設に入っていただく,もしくは,やむなく自宅療養をお願いしています。また,感染者が多くいれば,基礎疾患をもっておられる方も一定程度含まれるということだと思います。そういう方を注意深く,病院でケアする必要があるということで増えてきています。
記者
市役所の感染再発防止策について,9月議会も開催される中で,検討委員会を今日9月3日に立ち上げて,いつ頃までに策定しようという目標がありますでしょうか。
市長
もちろん早急に作らないといけないという思いをもっています。ただ,部署ごとに,その仕事の内容に応じて策定していく必要があります。しかも,感染の原因の検証も踏まえながら,個々に作っていく計画になりますので,一定程度の時間はかかると考えています。今月中の早い時期に作ろうという思いで取り組んでいます。それまでは,基本的な感染防止対策をもう一度確認し,市役所における水際対策をしっかりと実施します。
記者
菅総理が総裁選に出馬をしないとおっしゃられましたけれども,市長の率直な感想,また岸田氏が出馬表明されていますが市長のお考えはありますでしょうか。
市長
岸田さんに対する期待は,少しも変わりません。ぜひ新しいリーダーとして,コロナ対策に取り組んでいただきたいと思います。そして,広く国民の心に覆いかぶさっている不安を払拭していただきたいと,強く期待しています。菅総理の件でありますが,いろいろお考えになって結論を出されたことだと思います。私が感じているのは,新しい政治が求められている,そういう流れの中で,総裁選の第二幕が始まったということだと思います。前回も申し上げましたが,新たな候補者も含めて,これまで準備をされてきた方が名乗りを上げられ,国民に新たな展望を感じさせるような,そんな総裁選にしていただければと思います。
以上。