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昔の道具について 「冷暖房関係」

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年4月10日更新

火鉢(ひばち)

火鉢角火鉢

 中に灰を敷き炭を入れ、炭火をおこして手を温めるための暖房具で、五徳(ごとく)を立てて鉄瓶や薬缶(やかん)をかけ湯茶を沸かしたり、網を置いて餅や魚を焼くためにも使用されました。 座敷の装飾品としても活躍しています。土製・木製・金属製(鉄・銅・青銅など)・陶器製など多様にわたり、江戸時代から明治にかけて陶器が発達してくると次第に庶民の間に普及しました。明治中期以降になると炭焼き技術の普及で炭が容易に手に入り、火鉢の使用は一段と増えました。
 部屋を暖めるだけの火力はなく近づいて身体を温める程度ですが、囲炉裏とちがい煙が出ず、また持ち運びや、夏場は収納することができ、石油ストーブが普及する1965(昭和40)年頃まで冬の必需品として活躍しました。

五徳
囲炉裏や火鉢の中に置き、釜や薬缶をなどをかけるための輪型の道具で、3脚か4脚、鉄または陶器でできています。

長火鉢(ながひばち)

長火鉢 中に灰を敷き炭を入れ、炭火をおこして暖をとる長方形の木製箱型暖房具で、お湯を沸かしたり、銅壺(どうこ)を灰に埋めて酒を燗(かん)するのにも使われました。引き出しや銅壺付きのものもあり、引き出しには乾燥力があるといわれ、よく煙草や海苔を収納したといわれています。
1962(昭和37)年頃の石油ストーブの開発で、その姿は次第に減ることとなりました。 

置炬燵(おきごたつ)

置炬燵 数人が同時に使える暖房具で、炭火の入った土製の火鉢を櫓の中に入れ、炬燵蒲団をかけて使用しました。四方から同時に入って温まることができ、冬場の家族団らんには欠かせないものでした。当時の伝統的な日本建築の機密性の低さでは、部屋全体を暖めるより、炬燵のように身体を温める道具が発達しました。
 昭和30年頃から電気炬燵が普及し始め、次第に炭火使用のものは見ることがなくなりました。

行火(あんか)

行火 中に炭火を入れ蓋をし、炬燵蒲団をかけて手足を温める暖房具で、猫火鉢ともいわれました。土製で、大きさは直径1尺(30cm)程度のものが一般的でした。
 電気行火の普及で次第に使われることはなくなりました。

豆炭行火(まめたんあんか)

豆炭行火 おこした豆炭を中に入れ、それを蒲団の中に入れて身体を温める暖房具で、豆炭は火もちがよく安価で入手できたため、一般家庭でよく使用されました。

十能(じゅうのう)

台十能

 竃(かまど)や囲炉裏などの燠火(おきび)や灰などをかき出したり、それを、火鉢(ひばち)や炬燵(こたつ)に移すための道具で、一般的にはブリキ製ですが、鉄製のものもあります。また、下に木製の台を付け、直接畳や床の上に置けるようにしたものもあり、これは台十能と呼ばれました。

※写真は台十能

湯たんぽ(湯湯婆)

湯たんぽ 陶製や金属製の器で身体を温めるための暖房具で、沸かしたお湯を中に入れ、やけどしないよう布に包み、就寝時の蒲団の中に入れて身体を温めました。お湯が冷めないように注ぎ口はできるだけ小さく作られ、お湯がこぼれないように栓が付いています。

団扇(うちわ)

団扇 手で扇(あお)ぎ風を送り出す冷房具で、炭をおこす際にも使用されました。現在ではこのような実用的な使用は少なくなりましたが、夏祭りなどで夏の風物詩として活躍しています。
 原型は古墳時代に中国から伝来し、平安時代中頃からは涼を得るためだけでなく、公家や僧侶などの間で顔を隠して威厳を保つためにも使用されました。江戸時代になると庶民にも普及し、次第に実用的使用が高まりました。また、絵師に絵を描かせ芸術性を競ったり、見て楽しむという使用方法が加わりました。そして、明治に入ると店舗などの広告が印刷され、宣伝としての使用が多くなりました。

扇風機(せんぷうき)

扇風機 モーターでプロペラを回転させて風を送り出す昭和の夏の代表的な冷房器具で、1800年代末にアメリカで発明され、日本では1894(明治27)年に最初に発売されました。
 主に家庭で使われる床置き式や、店舗や電車などで使用される壁掛け式や天井式、小型の卓上式などさまざまなタイプがあります。現在でも幅広く使われていますが、エアコンの普及によりその数は大きく減少しました。

風鈴(ふうりん)

風鈴 小さな鐘状の器に短冊などを付けた舌が下がっており、短冊が風を受けて舌を動かし、鐘状の器にあたって心地よい音色を出します。窓を開けたままにする夏場、軒下の窓辺に吊り下げて使用しました。鋳物・陶器・ガラス製などがありますが、昔の主流はガラス製でした。
 実際には冷房効果はありませんが、涼しげで心地よい音色と、見た目で気分的に涼しさを得る夏の風物詩です。
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