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文房至宝

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月2日更新
   
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硯   すずり

文房四宝(ほかに墨・紙・筆)の中の一つ。墨を磨りおろし、文字などを書くときに使う。
硯に使われる石は、極めて細かい石英粒子などが均密に含まれており、これらと墨がうまく磨り合わさって、初めて硯のはたらきをする。

端渓 天然石雲月硯

天然石雲月硯たんけい てんねんせきうんげつけん19.0×15.0×3.5cm
水中の小石塊で採掘されたものを仔石(しせき)といい、石の髄が水中で磨かれたものとして喜ばれた。
眼は光の輪の中に瞳があり、眼の最高といわれるくよく眼である。
墨池と雲文を刻しただけでほとんど作硯はしておらず、眼は月に見立てている。
※くよくの「く」は句に鳥、「よく」は谷に鳥
 

 

 

 

 端渓 百福長方硯

たんけい ひゃくふくちょうほうけん20.0×12.5×3.0cm
【端渓とは】
広東省高要県で産出される石。30km以上にわたる山並みが続いた山脈で採掘される。端渓 百福長方硯
多くの蝙蝠(こうもり)が彫られたという意味の硯。福を呼ぶ”福(フク)”という字と、蝙蝠の”蝙(フク)”という字の発音が同じであることから、蝙蝠は縁起のよい動物とされてきた。

 

 

 

 

 

とう河緑石 蘭亭硯

とうがりょくせきらんていけん22.7×14.0×3.5cmとう河緑石 蘭亭硯
【とう河緑石とは】
甘粛省の黄河の支流であるとう河の河底から宋代(960~1127)に採掘された緑石である。
宋代以降河の氾濫によって流れが変わり、採掘場所が分からなくなったため幻の硯といわれる。
【蘭亭硯とは】
東晋の書聖・王羲之の最高傑作「蘭亭序」の光景を硯の面や周囲に刻した硯。
墨がたまる池と呼ばれる部分は、庭園の水の流れを模しており多くは実用の硯ではなく文人たちの愛玩用として作られた。
※「とう」はさんずいに兆

 

 

 

 

 

紅絲石曲玉小硯

こうしせききょくぎょくしょうけん11.9×11.9×2.0cm

紅絲石曲玉小硯

【紅絲石とは】
山東省青洲付近の黒山から産出する、黄褐色に紅色の糸状のまだら模様を描く美しい石。
古く唐代(619-907)から採掘が始まり、宋代(960-1279)まで産出した。
この硯のような丸いものは円硯(えんけん)といわれる。名前にある曲球(きょくぎょく)とは勾玉のこと。
 

 

 

 

墨   すみ

文房四宝の一つ。すす、香料、膠の3つの原料から作られる。

明・国寶明・国寶

みん こくほう17.3×6.4×1.8cm 220g

 

小判型の大型墨。
表面には双龍争珠が配されている。この図は、2匹の龍が珠を奪い合っているもので、吉祥とされている。
裏面には雲紋と年款(作られた年号)が配されており、この墨は明代の宣徳年製(1426年~1435年)である。

 

 

明 香奩明・香奩

みん こうれん8.2×8.2×21.3cm 1500g

明代(1368-1644)に作られた墨で、重さ1,500g、高さ21.3cmもある巨墨。
香奩とは、香りの良いものを入れておく箱のことで、明代には、女性の化粧道具を入れる箱として使われていた。この箱の形を模して作ったため、この名前が付けられた。
このような古墨は艶があり、造りが厚手で、重たいものの方が良いとされている。

 

 

 

乾隆御墨『雲行雨施萬国咸寧』

けんりゅうぎょぼく うんこううしばんこくかんねい8.1×8.1×2.8cm 230g

乾隆御墨「雲行雨施萬国咸寧」
清の乾隆皇帝(1711~1799)に献上された墨で乾隆御墨と呼ばれる。
墨の形は大別すると五種類で、このように正方形のものは最も少ない。他に円形、長方形、六角・八角形、古代の装身具の形などがある。
墨の名は「雲が雨となり、国中に恩恵が広がり、皆が安らかになる」という意味である。金で彩られた龍の爪が五本あるのは、皇帝だけに許されたもの。
中国では龍は伝説上の霊獣で、雲を起こし、雨を呼び、天地間のすべてのものに利をもたらすとされ、墨や硯などの装飾として使用されてきた。

 

紙    かみ

描金銀花卉文絹

びょうきんぎんかきもんけん描金銀花卉文絹165.0×9.0cm
清 18-19世紀
絹の上に、金や銀で花が描かれた絢爛たる一品である。
絖(ぬめ)や絹も、紙と同様に書画の揮毫に使用されている。 

筆   ふで

筆筒が工芸品の中に入るのは明代後期からで、文房清玩の風尚の高まりと共に巧緻な装飾筆管がうまれた。

夜光青貝螺鈿筆

夜光青貝螺鈿筆やこうあおがいらでんひつ 25cm

【螺鈿とは】
漆地の上に貝殻を貼りつけ、その上から数回漆をかけ、貝殻の部分を磨きだして仕上げる。
光線の具合で青く光るので青貝ともいう。

 

印材    いんざい

田黄天然石

でんおうてんねんせき10.5×8.0×9.8cm 1090g

田黄天然石
【田黄とは】
中国福建省都の福州東方40キロメートルの寿山郷を中心とした一帯から産出される

石を寿山石といい、そのうち田畑の底から採石された黄色の石のことをいう。
田黄は極小のものまで作られているが、この印材は重さが1090gもあるとても

大きなものである。
(周亮功刻)

 

 

象鈕田黄象鈕田黄

ぞうちゅうでんおう4.5×4.5×5.2cm 180g

鈕(ちゅうと)は印の上部にある、つまみの部分のことをいう。
この印材のような象や羊などの動物類を彫りつけたものもあれば、

桃や竹などの花果類、仙人や童子(子供)などの人物を彫ったものもある。
田黄は当時、金と同じくらい貴重であり、材を惜しんだため、極小のものまで作られて

いるのが田黄印材の特徴といえる。
 

 

鶏血(呉昌碩刻)

けいけつ(ごしょうせきこく)(右)2.6×2.6×9.0cm 170g

(右)2.6×2.6×9.0cm 175g
鮮やかな紅色が鶏の血のようであることから、鶏血という名前がついた。鶏血(呉昌碩刻)

この紅が鮮やかで多いほど、価値は高いとされている。
紅色の部分が特徴的な鶏血はとても硬いガラス質でできているため、彫刻での装飾が難しく、実際に印としてはあまり使われない。
しかし、この印材には呉昌碩によって文字が刻まれている。

印画像
 

 

白芙蓉 獣鈕

白芙蓉 獣鈕

はくふよう じゅうちゅう4.4×4.4×8.4cm 310g×2

【白芙蓉とは】
寿山石の一種。乾隆期頃から採石されたといわれている。
乳白色で潤いがある石。
 

 

 

筆筒   ひっとう

筒状の筆立てのことをいう。

鼈甲鼈甲

べっこう

7.8×7.8×8.0cm

 海亀(タイマイ)の甲羅から作られた筆筒。筆筒は竹、陶磁、石、木、玉などで作られたものがほとんどで、、大変珍しい一品である。

 

 

 松下七賢林図

しょうかしちけんりんず

松下七賢林図

13.1×13.1×15.2cm

竹に画が立体的に彫られた筆筒。
魏・晋の時代に動乱の世を避けて竹林に集まり、俗事を忘れて思うままに暮らしたという

七人の賢人の図が描かれている。

 

 

 

水滴

すいてき

硯に墨を磨るための水を注ぐ器。

白磁山羊形

 はくじやぎけい11.5×5.0×9.0cm白磁山羊形
白磁の水滴。

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